※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
農地の価格は宅地より基本的に低くなっていますが、どうして農地の価格は低いのでしょうか。
そもそも、農地の価格はどのように決まるのでしょうか。
この記事では、農地の価格を種類・エリア別に解説するほか、農地の価格の決め方や低い理由についても解説します。
実際に農地を売買する場合の流れや、農地の適正価格を調べるのにおすすめな不動産一括査定サイトもご紹介しますので農地の売買を検討している方にぜひ読んでいただきたい記事です。
全国の農地の価格
まずは、全国の農業委員会の全国組織である全国農業会議所が発表している、2021年における全国の農地の価格をご紹介します。
都市計画法によって線引きをされているかどうかによって、農地の価格は大きく変わります。価格の単位は千円/10a、変動率は%です。
都市計画法の線引きをしていない市町村の農地価格
まずは、都市計画法で線引きをされていない市町村の2021年の農地価格をご紹介します。
ほとんどの農地は非線引き地域に該当し、線引き区域に比べて価格は低いのが特徴です。
また、田の方が畑よりも高い価格がついていることや、田・畑共に年々売却価格が下落していることが読み取れます。
エリア | 集計数 (田) | 平均価格 (田) | 変動率(田) | 集計数 (畑) | 平均価格 (畑) | 変動率(畑) |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 5,460 | 1,112 | △1.2 | 5,486 | 825 | △0.9 |
北海道 | 113 | 243 | △0.5 | 190 | 115 | △0.4 |
東北 | 1,014 | 519 | △2.3 | 1,007 | 309 | △1.8 |
関東 | 585 | 1,390 | △1.2 | 626 | 1,529 | △0.5 |
東海 | 339 | 2,209 | △1.6 | 344 | 2,010 | △1.8 |
北信 | 903 | 1,310 | △1.1 | 831 | 899 | △1.0 |
近畿 | 459 | 1,886 | △0.3 | 414 | 1,351 | △0.3 |
中国 | 642 | 678 | △1.4 | 633 | 405 | △1.1 |
四国 | 391 | 1,680 | △0.8 | 394 | 933 | △0.8 |
九州 | 1,004 | 801 | △1.5 | 1,003 | 557 | △0.8 |
沖縄 | 10 | 868 | △0.7 | 44 | 1,255 | 0.2 |
都市計画法の線引きをしている市町村の農地価格
次にご紹介するのが、2021年における都市計画法で線引きをされている市町村の農地価格です。
田・畑の両方とも非線引き地域よりも高い価格がついているのですが、いずれも前年度比では下がっていることが読み取れます。
エリア | 集計数 (田) | 平均価格 (田) | 変動率(田) | 集計数 (畑) | 平均価格 (畑) | 変動率(畑) |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 2,326 | 2,957 | △1.3 | 2,170 | 2,846 | △0.8 |
北 海 道 | 25 | 435 | △0.3 | 32 | 472 | 0.1 |
東北 | 309 | 1,345 | △3.4 | 292 | 1,167 | △1.9 |
関東 | 531 | 1,491 | △0.8 | 516 | 1,941 | △0.6 |
東海 | 366 | 6,565 | △0.9 | 373 | 6,417 | △0.6 |
北信 | 240 | 2,208 | △2.5 | 189 | 1,952 | △2.3 |
近畿 | 353 | 3,203 | △1.5 | 281 | 3,027 | △1.0 |
中国 | 209 | 4,012 | △0.1 | 201 | 2,727 | △0.1 |
四国 | 107 | 4,142 | △2.5 | 97 | 3,417 | △1.9 |
九州 | 186 | 1,696 | △1.2 | 179 | 1,514 | △0.5 |
沖縄 | – | – | – | 10 | 5,410 | 1.6 |
農地の価格はなぜ下がっている?
都市計画法における非線引き区域と線引き区域、両方の価格が下落していることがお分かりいただけたと思います。では、なぜ農地の価格が下がっているのか、主に以下の原因が挙げられます。
- 農業生産意欲の減退
- 農業従事者の減少
- 農業収益と農地価格がリンクしていない
農業生産意欲の減退
農業従事者の高齢化や米価の低迷など、さまざまな理由で農業生産意欲が減少につながっています。
精算意欲減退が農地の生産力低下、すなわち農地の価格低迷へとつながっています。
農業従事者の減少
新規の就農者や農業の後継者が減少し続けているため、農家が新たに農地の購入を控える動きが加速しています。
そして、購入需要の減退が農地の価格下落へとつながっているのです。
農業収益と農地価格がリンクしていない
農地の購入需要が減っているため、農業収益が上がっても比例して農地の価格が上がっていかないという事態に陥ってしまいます。
農地の価格はどのように決まる?
農地の価格はどのように決まるのでしょうか。
都市部の宅地であれば駅からの距離やエリアの人気などで価格が決まりますが、農地の場合は違った要因で価格が決まるのです。
ここでは、農地の価格を決まる要因について説明します。
農地としての価値で決める
農地は当然ながら農業をするための土地なので、農業に適しているかどうかも価格を決める大きな要因になります。
財産評価法に基づいて価格を決める
財産評価法を基準に価格を決めるのも1つの方法です。相続の際に農地の財産評価をするための計算方法で、農地を以下4種類に分類した上でそれぞれの分類に応じた計算方法を用います。
- 純農地
- 中間農地
- 市街地農地
- 市街地周辺農地
そして、それぞれ「宅地比準方式」「倍率方式」のどちらかを財産評価方法として選択することを農地法によって決められています。
宅地比準方式とは
農地を宅地に転用すると仮定して、転用にかかる「宅地造成費用」を引いて評価額を求める計算方法です。宅地比準方式の計算式は、以下の通りです。
「農地を宅地と仮定した場合の㎡単価」-「宅地造成費の㎡単価」× 農地面積
なお、宅地造成費は国税庁が地域ごとに定めており、国税庁のHPで閲覧できます。
参考:国税局
倍率方式とは
倍率方式とは、原則として路線価が定められていない農地(土地)の評価額を算出する方法です。
固定資産税評価額に、国税局が定めた一定の倍率を乗じて評価額を計算する方法です。
純農地および中間農地は倍率方式を用いる
農地が「純農地」「中間農地」に該当する場合は、倍率方式を用いて評価額を算出します。
純農地は農地としての生産性が高く、宅地転用が基本的に不可能な農地のことを指し、売却価格は低くなる傾向にあります。
一方の中間農地は、農業委員会の許可を得られれば宅地への転用が可能な農地のことで、純農地よりも高い価格となることが多いです。
市街地農地・市街地周辺農地の評価額算出方法
市街地農地の評価額は倍率方式か宅地比準方式のいずれかを用いて計算します。
また、市街地周辺の農地については、その農地が市街地農地と仮定した評価額の80%を評価額とします。
農地の種類は国税庁のHPで調べられる
4種類の農地の評価額算出方法について触れてましたが、売却しようとしている農地が「純農地」なのか「市街地農地」なのかといった分類を知るにはどうすればよいのでしょうか。
農地の分類は、国税庁のサイトで簡単に調べられます。
トップページで都道府県名を選択すると「財産評価基準書目次」が表示されますので「一般の土地等用」という項目をクリックしてください。
さらに詳細な番地を選択することで農地の詳しい情報が表示されます。「純」は純農地、「周比準」は市街地周辺農地、「比準」「市比準」は市街地農地のことです。
農地には価格の相場などない?
ここまで、農地の価格を決める方法をいくつかご紹介してきましたが、あくまで参考程度と考えてください。
というのも、相場というものはある程度の母数の売り手と買い手が揃わなければ、成立しません。
売り手も買い手も少ない農地の取引では、相場はあってないようなものなので、最終的に売り手と買い手の交渉で決まります。
取引事例や評価額は交渉時に用いる材料として活用する、程度の認識でいた方がよいのです。
「農地」としての価格を決めるポイント
農業生産性、すなわち農業をしやすい土地かどうかは農地の価格を測る重要なポイントです。
耕作面積以外にも日照量や水はけなど農業に適した土地であれば、農地としての価格は上がりやすくなります。
以下のような農地は農業用地としての価格が上がりやすくなります。
- 日照量や年間雨量が多い
- 土壌が良い
- 災害のリスクが低い
- 農場や周辺道路の整備状況が良い
- 農地から集落へのアクセスが良い
日照量や年間雨量が多い
日照量や降雨量は、農業生産性に直結します。
作物を育てる上で重要な要素である日照量・降雨量が多い地域の方が、農地として高い価格で売却しやすいのです。
土壌が良い
農作物を育てるのに適した強い土壌の土地や、外から水を引きやすい農地は高価格で売りやすくなります。
また、農地から宅地へと転用することを見越した場合にも、強い地盤の農地の方が高い価格がつく可能性が高いです。
災害のリスクが低い
水害や土砂崩れなどが起こると、農作物の栽培に大きな支障が出てしまいます。
急斜面の近くや水はけが悪い土地などは、査定を受けても低い金額になってしまう可能性があります。
農道の整備状況が良い
農道整備状況の良さは農業をする上で非常に重要です。
幅が狭い農道だとトラクターなどの農業機械が通れないことがありますし、農道が舗装されていないと農作業がしづらくなってしまいます。
農地から集落へのアクセスが良い
農地から集落までの距離が近い方が農業のしやすさに直結するため、売却価格は高くなります。
さらに、農地から集荷地の距離に関しても近い方が、農作物を消費者に届けやすくなるため、売却価格が上がりやすくなります。
農地の売却価格の相場を調べる方法
農地の売却を成功させるには、売却価格の相場を掴むことが大切です。
いくらで売れるそうなのかという大まかな価格が分からなければ、価格交渉時に強気に出てもよいか同課の判断がつきません。農地の相場は以下の方法で調べることができます。
- 不動産会社のサイトを見る
- 「不動産ジャパン」をチェックする
- 「土地情報システム(国土交通省)」のデータを見る
- 一括査定サイトを活用する
不動産会社のサイトを見る
農地を含む不動産価格を調べるのに便利なのが、SUUMOやHOME’Sなど不動産会社が運営しているポータルサイトです。
売却を検討している農地と似た立地や面積の農地売却事例が掲載されていれば、その価格で売却できる可能性があるということです。
ただし、農地を扱っているポータルサイト自体も少なく、似たような立地の農地が掲載されている可能性は低いです。
「不動産ジャパン」をチェックする
「不動産ジャパン」という不動産情報サイトも、農地の価格を調べるのに便利です。
不動産ジャパン消費者が安心して不動産取引できるように設立されたWEBサイトで、公益財団法人不動産流通推進センターという公的組織が運営しています。
農地を始めとする不動産の情報が不動産流通大手4団体から提供されているため、質・量ともに豊富な不動産価格情報を得られるのです。
参考:不動産ジャパン
「土地情報システム(国土交通省)」のデータを見る
農地の価格を調べるには「土地情報システム」という国土交通省が提供する土地情報システムが便利です。
不動産の取引価格や地価公示などの情報を検索して閲覧できる便利なサイトです。
実際に農地の価格を調べる際には、「②種類を選ぶ」から「農地」を選択して、さらに「③地域を選ぶ」から売却したい農地がある地域を選択することで過去の取引価格が表示されます。
農地の成約価格以外にも取引時期やエリアなどの情報も閲覧できるので、近い条件の案件を参考にしてください。
一括査定サイトを活用する
不動産一括査定サイトを利用することで、農地の価格を手軽に調べられます。
農地の住所や売却希望時期、面積などの基本的な情報を入力するだけで複数の不動産会社から査定を受け取ることができるという便利なサービスです。
どの一括査定サイトも利用は無料で、全項目を入力するまで10分程度で済みます。
農地の価格を調べるだけでなく売却の仲介を任せる不動産会社とも出会えるので、積極的に活用していきましょう。
農地の売却相場についてさらに詳しく知りたい方に向けて、不動産売買における相場の調べ方の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
農地売却の流れ
ここでは、農地売却の流れを解説します。所有している農地が納得いく価格で売却できそうなら、速やかに売却できるように流れを把握しておきましょう。農地の売却は以下の流れで行います。
- 農業委員会へ事前に相談する
- 不動産会社と媒介契約
- 購入希望者と価格交渉
- 農業委員会の許可を得る(3条許可)
- 売買契約書を締結する
- 代金決済と農地の引き渡し
農業委員会へ事前に相談
農地の売却を進める前に、農地の権利関係を管理している行政委員会である農業委員会への事前相談をしておくことです。
売却しようとしている農地が、売却許可のおりない地域や規模の可能性があるためです。
そもそも売却不可能なのか、条件付きで認められるのかを事前に確認してから農地の売却を進めましょう。
不動産会社と媒介契約
農地を売却する際には、後々のトラブルを防ぐためにも不動産会社へ仲介を依頼した方が確実です。
一括査定サイトなどを利用して信頼できる不動産会社と出会えたら、仲介を依頼するための契約書である媒介契約を取り交わします。
こちらの記事では、不動産の専門用語である媒介と仲介の違いについて解説しています。
購入希望者と価格交渉
農地の購入希望者が現れたら、価格交渉を行います。
ここまで解説してきた農地の価格が決まる要因を加味しながら、慎重に価格交渉を進めましょう。
売買契約書を締結する
価格交渉で合意したら、農地を売却することを約束する書面である売買契約書を交わします。
売却する農地の価格や所在地、面積などの条件の他、もしも農業員会(都道府県知事)から売却許可が下りなかった場合の取り決めまで記載しておきます。
こちらの記事では、不動産の売買契約書や印紙税について詳しく解説しています。
農業委員会から3条許可を得る※転用目的でない場合
売買契約書を締結したら、いよいよ農業委員会から農地の権利移動に関する許可申請「三条申請」をします。
農業委員会への許可申請には複数の書類が必要となりますので、出来るだけ早くそろえておくことです。
先に許可をとってから売買契約書締結となる場合もあるので、不動産会社と進め方を打ち合わせしておくことをおすすめします。
代金決済と農地の引き渡し
売買契約書で約束した期日通りに代金が買主支払われたことを確認したら、農地の引き渡しをします。
口座に売却代金が入金されているかどうかは、必ず自らの目で確認しましょう。
農地の査定ができる!おすすめの不動産一括査定サイト
ここでは、おすすめの不動産一括査定サイトをご紹介します。
マンションや宅地と違って、農地の場合は査定サービスを利用できないこともあります。
今回ご紹介する一括査定サイトはいずれも農地の一括査定が可能なので、農地の売却価格を調べる際にぜひご活用ください。
HOME4U
出典:HOME4U
HOME 4Uは2001年に日本で最初に運営を開始した不動産一括査定サービスで、20年以上の運営実績があります。
NTTデータの子会社である「(株)NTTデータスマートソーシング」が運営しているので、運営期間・歴史ともに信頼できる不動産一括査定サイトです。
不動産査定は無料で利用でき、農地(不動産)の面積や住所などの情報を入力するだけで、厳選された1800の不動産会社の中から最大6社の査定を受けとることができます。
また、不動産査定を利用した結果、不動産会社以外からしつこく営業電話がかかってくるような事態は避けたいものですが、HOME 4Uは官公庁のセキュリティー業務を長年請け負ってきたNTTのグループ企業とあって個人情報の扱いも厳重なので安心です。
HOME4Uで農地の価格を調べる手順
HOME4Uでは以下の手順で農地の一括査定を申し込みます。
- 不動産の種類で「土地」を選択
- 所在地(住所)を入力
- 土地面積を入力
ここまで入力すると、次の入力項目が表示されます。続けて、以下の項目を入力してください。
- 現在の状況(「賃貸中」「居住中」など)を選択
- 査定の理由(「相続」「離婚」など)を選択
最後は査定を受け取る住所を入力すれば完了です。
候補の不動産会社が表示されるので、依頼ボタンを押してください。
リビンマッチ
出典:リビンマッチ
リビンマッチは提携する2600以上の不動産会社から最大6社の査定を依頼できる一括査定サービスです。
農地(不動産)の立地や面積などの情報を入力するだけで簡単に査定の申し込みができるので、仕事が忙しくて不動産や巡りをする時間がない方でも安心です。
「田舎の土地でも査定してもらえた」という口コミも見られたため、農地の価格を知りたい方にもおすすめな一括査定サービスといえます。
リビンマッチで農地の価格を調べる手順
リビンマッチはチャットボットに応答する形で、一括査定の依頼を進めていきます。具体的には以下のような質問へ答えてください。
- 都道府県
- 市区町村
- 町名
ここまで入力すると、面積と共に物件種別を聞かれるので「農地」を選択してください。
最後に売却時期などの質問に答えれば入力は完了します。
表示された不動産会社の候補から実際に査定を依頼する不動産会社にチェックを入れて送信ボタンを押せば、あとは不動産会社からの連絡を待つだけです。
イエウール
出典:イエウール
イエウールは農地(不動産)の所在地や売却希望時期といった簡単な情報を入力するだけで、提携する2000社以上の不動産会社の中から最大6社分の査定を受け取れる不動産一括査定サービスです。
サービスの評判も上々で、東京商工リサーチが2022年に実施した「不動産屋の一括査定サイトに関するランキング調査」というアンケートで1位に選ばれました。
イエウールの一括査定を利用するには、物件の住所などの情報を選択し、物件種別から「農地」を選択してください。
あとは査定を依頼する候補である不動産会社が表示されるので、選択して依頼するだけで簡単に農地の価格を知ることができます。
イエウールで農地の価格を調べる方法
イエウールで農地の価格を調べるには、以下の手順で進めます。
- 都道府県を選択
- 市区町村を選択
- 町名を選択
- 地番を選択
- 物件種別で「農地」を選択する
ここまで入力を進めるとチャットが起動するので、指示通りに追加情報を入力していきます。
最後は不動産会社の候補が表示されるので、最終的に査定を申し込む不動産会社にチェックを入れて送信してください。
不動産一括査定サイトをさらに詳しく知りたい方に向けて、こちらの記事はおすすめの不動産一括査定サイトを比較しています。合わせてご覧ください。
農地の価格は一括査定サイトで調べよう
農地の価格については取引数が少ないために相場と呼べるものがほとんど存在せず、買い手と売り手の交渉で決まるといっても過言ではありません。
農地を納得いく価格で売却するには農地の価格交渉に慣れた不動産会社と出会うことが近道となりますので、不動産一括査定サイトを上手に活用して、信頼できる不動産会社と巡り合いましょう。