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競売手続きが開始される旨の通知が届いても、実際にはまだ取れる手段がいくつかあるため、できる限り早期に行動することが賢明です。
そこで今回は、借入の担保にしている家が競売にかけられた後からでも、ダメージを少なくできる方法を解説します。また、競売になりそうな状況ならば、すぐに行動に移して回避を試みましょう。
家が競売にかけられるケース
家が競売にかけられるケースとしてまず挙げられるのは、住宅ローンの返済が滞った場合です。これについては、後ほど詳しく解説します。住宅ローンの返済が滞った場合以外にも、競売にかけられる以下のようなケースがあります。
- マンションの管理費などを滞納した
- 消費者金融からの借り入れを滞納した
- 投資用不動産のローン返済を滞納した
マンションの管理費などを滞納した
マンションの住宅ローンは支払っていても、管理費や修繕積立金の滞納で競売にかけられることがあるため、注意が必要です。
「建物の区分所有等に関する法律」では、マンションの各部屋ごとの所有者(区分所有者)は共同の利益に反する行為をしてはならない、と定めています。共同の利益とは、具体的な例をあげると、エレベータや廊下などの共有部分の維持管理のことです。
つまり、管理費等の支払いを滞納するということは、共同の利益に反する行為にあたります。管理費等を支払わないにも関わらず共有部分を使用すれば、区分所有者間での不公平感が生じてしまうからです。よって、他の区分所有者は滞納している人に対し、集会の決議と訴えによって競売を請求できます。
消費者金融からの借り入れを滞納した
借り入れをするときに、家を担保にしていなければ競売にならないと思う人もいると思いますが、そういうわけでもありません。消費者金融が裁判所に競売を申し立てることはできるからです。とはいえ、住宅ローンの残債があり、家を競売にかけても住宅ローンを完済できない場合は消費者金融の申し立ては却下されます。
これは抵当権をもっている住宅ローンの債権者への配分が優先されるからです。たとえば、消費者金融からの借り入れが500万円あり、住宅ローンの残債が3,000万円、家の売却見込み額が2,500万円だった場合、たとえ家を売却しても消費者金融への配当はありません。
ただし、消費者金融は家の競売だけでなく、給与差し押さえを申し入れることがあります。これによって住宅ローンの返済ができなくなれば、住宅ローンの債権者が競売を申し立てることになります。
投資用不動産のローン返済を滞納した
正確に言えば「家」の話ではありませんが、アパート経営や購入したマンションの1室を購入して賃貸に出すといった、自宅ではない投資用不動産が競売にかけられるケースです。
他者へ貸し出すことを目的とした投資用物件をローンで購入する際は、家賃収入を組み込んだ返済計画を金融機関へ提出します。この計画は、常に満室を想定した計算ではなく、入居者の入れ替わり期間なども含めた空き室割合を組み込んでおくのが基本です。
しかし、その見込みを超えて空き室が続くと、計画通りの返済が不可能になり、債権者である金融機関が競売を申し立てることになります。
家が競売にかけられるまでの流れ
- 住宅ローンの滞納が3カ月以上続く
- 裁判所から競売決定の通知が来る
- 裁判所が現地調査を行う
- 差し押さえ不動産の売却が開始される
- 立ち退きが強制執行される
続いて、住宅ローンを滞納してから家が競売にかけられるまでの流れを解説します。なお、先に例に挙げたマンション管理費や消費者金融への返済の滞納に関しては、裁判所へ相手が申し立てたときが始まりとなるため、ここでの解説からは除外します。
住宅ローンの滞納が3カ月以上続く
住宅ローンは1カ月の滞納なら、まだ金融機関からの「支払のお願い」の通知が届く程度でしょう。しかし、それが2カ月~3カ月になると、要求度の高い「督促状」へと変わります。督促状を出すことは、金融機関が競売申し立てをするための前提として必要だからです。
つまり、督促状が来たということは、金融機関は競売も視野に入れていると考えられます。ケガや病気による入院や会社の業績不振などの理由で一時的に支払えないという事情であれば、その旨を金融機関へ連絡して相談するようにしましょう。滞納が3カ月になると、個人信用情報センターに延滞の情報が登録され、いわゆるブラックリスト入りになってしまいます。
(督促状が送られてきたということは、金融機関が競売を視野に入れたという段階になったことを示すことになりますが、これをもってただちに競売に動き出すことはまずありません。競売手続きに移ることがほぼ確定するのは滞納が6カ月に及んだ場合です。

滞納してしまう前に、まず銀行など住宅ローンを設定している金融機関に相談することが大切です。そして、返済期間や返済金額などの調整をしてもらいます(リスケジュール)。銀行としても、競売にはしたくないので、できる限り返済ができるように考えてくれるはずです。滞納しそうになったら、すぐに相談することをおすすめします。
6カ月の滞納による「期限の利益喪失」で競売へ
滞納が6カ月に及ぶと、返済期限が到来するまでは返済する義務がなく、返済も求められないという「期限の利益」を喪失するという予告書または通知書が送られてきます。
「期限の利益喪失」になると、これまで毎月決まった金額を返済すればよいという権利がなくなり、残債の一括返済が求められても文句を言えなくなります。
一括返済は、担保となっている不動産の売却で行われることになりますので、所有者本人が売却しない可能性を考慮して強制的に売却できる競売の手続きへと進行していきます。
住宅ローンが滞納する際の注意点は、こちらの記事をご覧ください。
リフォームには、お得な「補助金制度」を利用するのがおすすめです。国によるリフォーム補助金制度はもちろん、各地方自治体でも、コストを抑えてお得にリフォームできる様々な補助金制度があります。賢く利用して満足いくリフォームを実現させましょう。
裁判所から競売決定の通知が来る
滞納7カ月目は、当初の債権者である金融機関に対して、保証会社が滞納者の代わりに住宅ローンの残債と利息を支払ったという「代位弁済通知」が届く頃です。この段階で、債権者は保証会社に移ります。この時点で一括返済がなされなければ、保証会社は滞納8カ月目の時点で裁判所へ競売を申し立てることが多いです。
特段の事情がなければ裁判所は競売を認め、担保となっている家の差し押さえを通知します。こうなると、債権者の合意がなければ家を売却できません。そして9カ月目になると、「競売開始決定通知」が裁判所から送られてきます。
裁判所が現地調査を行う
競売決定の通知から1~2カ月で、裁判所の執行官による、売却額を決定するための現地調査が行われます。これは法律に基づく強制的な調査であるため、どんなに競売を避けたい気持ちがあっても調査には協力しなければなりません。また、アパート経営等の投資用物件であれば、入居者への聞き取り調査もあります。
なお、この調査では外観だけでなく内観も撮影され、競売が開始されたときに写真がネットで公開されてしまします。
差し押さえ不動産の売却が開始される
売却は裁判所が行います。方法は、ネット状に調査時に撮影した写真と住所を掲載し、入札期間の中で最も高額を申し入れた人に売却するというものです。
ここまでくると、もう所有者にできることは限られてきます。入札期間は1週間~1カ月とタイトなスケジュールで進行する上に、この時点で競売よりも高額で買ってくれる人がみつかっても、その人に売却するのは現実的ではないからです。
落札者とは異なる人へ売却する場合、競売の代金が裁判所に納付される前に、落札者と債権者から合意を得る必要があります。さらに、売却額を現金で受け取って債務者に一括返済しなければなりません。1週間~1カ月でこの手続きを行うのは、非常に難しいでしょう。
立ち退きが強制執行される
競売の代金が落札者から納付されると、競売にかけられた不動産は落札者へと所有の権利が移ります。つまり、債務者はその時点で不法占拠者になってしまうわけです。
物件買受人となった落札者は「不動産引渡命令の申し立て」を裁判所に行い、旧所有者に引越代がないなどの事情があっても、立ち退かない場合は強制執行を申し立てます。まずは明け渡しの催告が行われ、強制執行の説明を行い、執行日を家に貼ります。これは剥がしてはいけないものです。
強制執行日までに自分で立ち退くのが通常ですが、それでも立ち退かない場合は強制執行が行われます。場合によっては執行官と不動産会社の担当者だけでなく、警察や鍵業者が立ち会うこともあり、残された荷物も運ばれていくため大がかりです。
家が競売にかけられるデメリット
- 相場よりも売却価格が低くなる
- プライバシー漏えいのリスクがある
- 資産がほとんど残らない
- 引っ越し代を自己負担する必要がある
ここから具体的に解説していきます。
相場よりも売却価格が低くなる
競売は早期に売却しなければならないため、市場価格より低い値段で入札を開始します。売却額は市場の5~8割程度になることが多く、売却額を全て充てても住宅ローンの残債を完済しきれないことが少なくありません。残債は競売による立ち退き後も存在するため、返済が続くことになります。
また、競売による立ち退きはあくまでも強制的なものであるため、債務者の事情は考慮されません。債権者が可能な限りの差し押さえを行えば、引越代すら残らずに立ち退きだけを迫られるわけです。
プライバシー漏えいのリスクがある
競売の情報がネット上で公開されると、外観・内観の写真と住所まで示されるため、不特定多数の人に知られてしまいます。近所の人に知られてしまうリスクもあり、子供がいる場合はとくに噂による被害が気になるところです。
また、これらの情報を見た不動産会社が、突然訪問してきて売却を迫ってくることもあります。「競売ではこれぐらいでしか落札されない」や「競売でも売れなければさらに安い値段しかつかないので借金が減らない」などと脅して安く買い叩いてきます。
資産がほとんど残らない
競売は残債の返済に充てるために行うのであり、家以外にも資産があるようなら全て差し押さえられて手元に残りません。
そもそも、家以外に所有している資産があるにも関わらず、それを住宅ローンの返済に充てないケースは珍しいため、最後の資産ともいえる家が競売にかけられることをもって、基本的には資産はゼロになります。
引っ越し代を自己負担する必要がある
競売による物件買受人の決定後の立ち退きにかかる引っ越し代は、債務者負担です。強制執行ともなれば、それにかかった運搬代などの費用も債務者へ請求されます。
そうはいっても、資産が残っていない以上、引っ越し代を捻出できないことも多々あります。これでは物件買受人への明け渡しが円滑に進みません。そこで、債権者が引っ越しや強制執行にかかる代金を現金で支払い、その金額を売却額から差し引いて残債を計算するのが一般的です。
家が競売にかけられるのを回避するには

住宅ローン返済の滞納が6カ月に及び、競売手続きが始まったとしても競売を回避することはできます。もちろん、その段階になる前に行動することが大切です。では、競売を回避する方法を見てみましょう。
住宅ローンの残債を一括で返済する
競売を回避する最善の方法は、残債の一括返済です。しかし、これは現実的な解決策とはいえません。住宅ローンを返済するために別の借金を背負ってしまうと、住宅ローンより高い金利になることがほとんどです。一時的には競売を回避できても、結果として債権者が変わっただけで競売に陥ってしまいます。
なるべく早めに売却する
まず、返済の滞納が1カ月目を迎える前、今後の見通しが良くないと判断できた段階で売却に向けて動いておくことがおすすめです。地域の開発などで値上がりしない限り、建物は時間が経てば経つほど経年劣化分の価値が下がっていきます。
また、返済を滞納する前であれば、精神的にも時間的にも余裕があるため、新たな生活基盤を作りやすいというのもポイントです。
売却活動を進めても、実際に売却することが決定するわけではありません。信頼できる不動産会社に事情を説明し、住宅ローンの残債を一括返済できる金額なら売却に応じるなど、取れる選択肢の幅が広く残されています。
任意売却を検討する
家を売却した金額と、貯金などの所持している資産で残債を一括返済できる場合は通常の売却となります。一方、住宅ローンの返済を滞納中で家を売却しても完済できず、なおかつ競売ではない売却が任意売却です。
残債がある以上、債権者へ家を売却することを合意してもらわなければなりませんが、競売よりもおすすめです。
任意売却のメリット
任意売却の最も大きなポイントは、競売よりも市場価格に近い金額で売却ができることです。競売では短期での入札となるため市場価格の5~8割になってしまいますが、任意売却は競売と比べれば期間の余裕がある分、高額でも買い手がつきやすいからです。
また、任意売却の段階では金融機関と売却後の返済計画を相談することもできます。家を売却しても残債はありますが、引っ越し費用までは差し押さえないでもらうことができたり、買い手に対して引っ越し費用分の上乗せを相談することも可能です。

プライバシーの面においても、一般的な販売活動とほとんど変わらない手法がとられるため、近所の人に知られるリスクが低いです。
任意売却の注意点
任意売却が可能な期間は、滞納が発生してから競売の物件買受人が代金を納付するまでの間です。ただし、プライバシー面のメリットは競売の情報がネット上で公開された時点、あるいは調査が入ったときに消失するため注意しましょう。
また、既に家を売却しても残債があると判断できた段階で、あえて滞納して任意売却へ移行するというのも一つの手ではありますが、信用情報機関に滞納という事故情報が登録されることになります。この点にも注意が必要です。
その他、任意売却を希望する人のところには、悪徳業者や詐欺師などが寄ってきやすいということは覚えておく必要があります。とくに競売も同時進行している場合、住所が知られてしまうため、突然の訪問には要注意です。
任意売却の詳細情報と注意点は、こちらの記事をご覧ください。
住宅ローンの支払いが困難になってしまったとき、競売を避ける方法の一つに任意売却があります。任意売却は債権者の合意を得た上で、一般市場で物件を売却でき、競売よりもメリットの多い手段です。任意売却の基本的な情報や売却の流れなどを解説します。
リースバックを検討する
自宅を売却せざるを得ない資金状況に陥っても、介護や子育てなどが関係して引っ越すのは難しいという事情もあるでしょう。そんなときは「リースバック」を検討するのも一つの手です。
リースバックなら、家は売却してその買主に賃料を払うことで居住が可能となります。さらに将来的に収入が回復すれば買戻しの余地があります。
リースバックを専門に行う不動産会社へ相談する
リースバックは、買主に賃貸借契約を結ぶことを合意してもらう必要があります。つまり、買主は投資用物件として購入することになります。買主にとってリースバック物件は、空き室リスクが少ない利回り商品という位置づけです。
住み続けたいという売主の希望と、安定した家賃収入を得たいという買主の希望が合致する必要があります。そのため、その希望をもつ買主候補を抱えているリースバック専門の不動産会社へ相談するのがおすすめです。
リースバックの注意点
リースバックは買主のボランティアで行うわけではないため、当然利益を出すための家賃設定がなされます。売却しても済み続けられる分、売却額は市場価格の6~8割程度です。また、家賃も近隣相場よりは高めに設定されます。
買戻すときは売却時の価格よりは高くなってしまうのが一般的ですが、収入が現在より上向く見込みがあるなら希望があります。それでもなお、住宅ローン残債の一括返済よりは一時的に難を逃れることができ、なおかつ精神的余裕を持ちやすい方法です。
ただし、当初の買主の事情で転売されるリスクは常に抱えることになります。新たな買主がリースバックに応じてくれる保証はありません。最初の買主と結ぶ定期借家契約の期間内に収入が上向く見込みがあるかどうかが、リースバックを検討する際の材料となります。
まずは住宅ローンの借入先である金融機関に早めに相談することが何より大切です。滞納をしてしまい、任意売却や競売という状況に陥ってしまった場合は、信頼できる相談先を見つける必要があります。無料で相談できれば一番良いのですが(法テラスなど)、もし相談料がかかったとしても、悪徳不動産会社などに買い叩かれるよりは手元に残るお金が多くなる場合が多いです。

しかし、やはり一番の相談先は、借り入れをしている金融機関です。債権者としても、少しでも損が少なくなるようにする必要があります。
家が競売にかけられた場合の対処法
- 競売手続きが進行中でも任意売却に動く
- 債権者から取り下げ書を提出してもらう
- 専門家に競売回避の相談を行う
家が競売にかけられてからも、まだ任意売却などの手段を講じることはできます。対処法を詳しく見てみましょう。
競売手続きが進行中でも任意売却に動く
債務者主体の任意売却は、債権者主体の競売手続きは同時進行が可能です。競売決定後では時間的猶予があまりありませんが、滞納9カ月が目安の「競売開始決定通知」から考えても、物件買受人の代金納付までは3~4カ月ほどあります。
任意売却の活動をするときには債権者の合意が必要であり、その時点で競売が取り下げられるわけではありあせん。しかし、競売よりは長期間、買い手を探すことができますし、高く売却できる可能性があります。競売手続きが進行中でも任意売却に動きましょう。
競売の取り下げは入札開始の前日まで
任意売却自体は物件買受人の代金納付まで可能ですが、債権者に競売を取り下げてもらうには、期間入札が開始される前日までが期限となります。これを超えると、結果的に任意売却することになるとしても、競売の取り下げができないため入札が開始されます。
そして、任意売却の買い手が現れたら、債権者だけでなく高額入札の申し入れをした人にも、任意売却をすることを合意してもらわなければなりません。
債権者から取り下げ書を提出してもらう
任意売却での売却額と、それに応じた返済計画を債権者へ提出し、債権者と交渉すれば競売の取り下げ書を裁判所に提出してもらえる可能性があります。なお、交渉を行うのは任意売却活動を始めたときではなく、買い手がつき、代金が支払われる段階です。
また、交渉したからといって必ずしも取り下げ書を提出してもらえるわけではありません。競売による見込み額よりも任意売却の金額が下回っていたり、何らかの理由で現金になるまでに時間がかかる場合には、債権者が競売を続行する可能性があります。
専門家に競売回避の相談を行う
自分で対処するのが難しいと感じたら、弁護士などの専門家へ相談しましょう。弁護士であれば、債務整理や民事再生の手段を講じて、住宅ローン滞納の根本的な問題を解決へ導いてくれることがあります。
競売を避けるためには冷静な対処が必要

競売はできるだけ避ける方がよいので、可能な限り、通常の売却または任意売却を検討しましょう。また、悩むよりもまずは相談するというのがおすすめです。
債権者・弁護士・任意売却の専門業者など、早めに相談しておくことで、状況の悪化を防げます。競売を避けるため、あるいは競売にかけられた後でも、冷静に状況を把握して対処することが大切です。