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不動産の査定を依頼する機会が訪れることは、それほど多くはありません。しかし、いざ大切な土地や建物を売る必要に迫られたときには、当然ながら不動産の価値を適正に評価してもらいたいものです。
そのためにも、査定のしくみを知ることと、不動産会社の選び方は特に重要になってくるでしょう。
この記事では、不動産の見積もりを依頼した時に重要となる査定時のポイントについて詳しく取り上げ、どのような事前準備が必要なのか解説します。
家の売却査定方法は2種類
家を売却する際の査定方法は、大きく分けて2種類があります。
ひとつめは「簡易査定(机上査定)」ふたつめは「訪問査定(実査定)」です。
査定額とは3か月程度で売却できるであろうと想定される価格をいいます。
「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定(実査定)」それぞれの解説とメリット、デメリットを紹介します。
簡易査定(机上査定)
簡易査定(机上査定)とは、実際に対象となる不動産に訪問することなく、過去のデータや現在の状況などをもとにして査定金額を算出する方法です。
所在地や対象となる土地や建物の広さ、また建物の築年数や間取りなどの情報と、現在売りに出ている不動産の中から条件が似ているものを選択します。
その中から価格や過去の取引価格なども参考にし、現在の市場動向にあわせて考慮し算出されます。
簡易査定のメリット
「簡易査定」のメリットは、不動産会社に直接行かず査定の依頼ができるという点です。
時間的な制約を受けることなく、気軽に利用することが可能。参考程度に査定額を知りたい方におすすめです。
簡易査定のデメリット
デメリットは、対象となる不動産そのものの状況など、個別の詳細な要素が一切反映されていないという点です。
「簡易査定」は過去のたくさんの取引事例を参考として算出されているため、平均的な価格となる可能性は高くなります。
ただ、現在の対象不動産の状況についてはまったく考慮されてはいないので、算出される金額はあくまで「目安」として捉えておくとよいです。
専用サイトを利用した「簡易査定」の流れは以下の通りです。
- 建物の種類・所在地を選択する
- 連絡先など詳細情報を入力する
- 複数の不動産会社を選択する
- 送信をし折り返しの連絡を待つ
訪問査定(実査定)
訪問査定(実査定)とは、「簡易査定」の際に参考とするデータをふまえ、不動産会社の担当者が実際に対象となる不動産へ訪問し、現地の査定価格を考慮したうえで算出をする方法です。
対象となる不動産の現在の詳細な状況が反映されるので、「簡易査定」に比べてより精度の高い査定価格を算出できます。
現地での訪問調査の際には、隣接する道路と対象となる不動産との位置関係や周辺の環境、建物内や設備などの状況が評価の対象となります。
マンションなど集合住宅の場合では、階数なども査定金額に影響することがあります。
一戸建てやマンションの場合、室内の状況やメンテナンスの有無の状況などによって評価が変わってしまう可能性もあるので注意しましょう。
また、立地や環境にそれほど違いがない場合であっても、建物自体がリフォーム直後である場合と、劣化や不具合の多い場合とでは査定金額が大きく変わってくる可能性があります。
訪問査定のメリット
「訪問査定」のメリットは、対象となる不動産それぞれの詳細な状況が反映されることにより、精度の高い査定価格を知ることができるという点です。
また、不動産会社の担当者と直接やりとりをする中で売却に関する疑問や相談などもできるので、実際に不動産会社を選択する際の参考にもなります。
訪問査定のデメリット
デメリットは、訪問の準備による手間や、時間的な制約を受ける可能性があるという点です。
また、不動産会社が直接訪問することで売却を検討していることが近隣に知られてしまうということも考えられます。
売却の意向を近隣に知られたくない場合には、あらかじめ不動産会社に伝えておくとよいです。
「簡易査定」で選択した不動産会社への「訪問査定」の流れは以下の通りです。
- 訪問日時を決める
- 現地調査
- 対象不動産に関する書類の提示・確認
- 査定結果の連絡
家の査定価格の決め方
不動産の価格査定の方法には、取引事例比較法・原価法・収益還元法の3種類があります。どの方法で査定するかは、マンション・一戸建て・土地など物件の種類によって異なります。3種類の査定方法について、特徴を見ていきましょう。
取引事例比較法|過去の事例と比較
取引事例比較法は、建物に限らず、土地も含めた全ての不動産の査定価格算出において、基礎となる査定方法です。文字通り周辺の取引事例(主に成約事例)のデータを集め、それをベースに査定価格を算出する方法で、より実情に即した結果が得られる方法と言えます。
まずは、比較の対象となる成約事例を探すことがスタートとなりますが、不動産会社と個人では利用できる手段に差があります。
不動産会社は、指定流通機構と呼ばれる機関の情報(レインズ)を利用していますが、これは個人では利用できません。自分で調べる場合は、国土交通省が運営管理している「土地総合情報システム」を使うのが良いでしょう。
不動産会社が行う取引事例比較の大まかな流れは、次のとおりです。
- レインズで、周辺の成約事例をピックアップする
- ピックアップした物件の中で駅からの距離や広さ、築年数や方角など、なるべく条件の近い物件を絞り込む
- 最終的に残った比較対象事例の売却価格を1平方メートルあたりの金額に換算する
レインズには、全国の成約事例の記録が保管されているので、そこから対象となる不動産になるべく近い条件の事例を探します。
どうしても同じ条件の物件が見つからない場合は、比較的類似していると思われる物件を用いますが、築年数の差などは「補正」が必要です。
比較的類似している物件とはなんですか?
同じ町名・○丁目、マンションであれば同シリーズの同時期販売されたマンションを参照してください。
補正には次の4つがあります。
- 時点修正
- 事情補正
- 地域要因比較
- 個別的要因比較
時点修正は、事例として採用した取引時点と現在を比較しながら、不動産の資産価値を現在の価値に置き換えます。
事情補正は、通常の不動産売買ではなく、特別な事情を抱えた売買を除外することで、売り急いでいた物件や、事故物件などを比較対象から除外します。
地域要因は、比較対象とする物件どうしの地域差を考慮することです。例えば、物件が面する道路の幅が異なる場合では、築年数などの条件が同一でも資産の価値は異なります。地域的な要因を比較しながら、価格の補正をしていくことで公平な比較が行えます。
そして、個別的要因比較は、同じ築年数のマンションであっても、施工した業者のブランド力の差などにより発生する個別の価値の差を考慮することです。
取引事例比較法は、査定したい物件に似た物件が何件もある場合に、信頼できる価格を割り出すことができますが、逆に比較物件が少ないときは注意が必要です。また、補正の考え方や補正される金額も不動産会社によって異なります。
不動産会社に対しては、どこの物件を取引事例として抽出し、どのように補正したのか説明してもらうようにしましょう。
原価法|一戸建ての査定によく使う
原価法は、主に一戸建ての建物部分の査定価格を算出する時に利用されます。現に存在している建物をいったん取り壊したと仮定して、同じ建物をもう一度建てたときにいくら費用がかかるのかを計算し、その価格から、経年劣化による価格低下分を差し引きます。
原価法の計算式
再調達価格×((耐用年数-経過年数)÷耐用年数) |
?再調達価格とは、今の家を解体して改めて新築した時の建築費を指します。再調達価格と耐用年数は、構造などによって機械的に決まってくる値です。また、経過年数と築年数は同じです。
なお、再調達価格の計算は複雑なため、不動産会社が算出した数字をそのまま用いることでよいです。具体的な計算事例を見てみます。
再調達価格の計算事例
構造 | 木造一戸建 |
---|---|
築年数 | 15年 |
耐用年数 | 20年 |
延べ床面積 | 100平方メートル |
再調達価格 | 14万円/平方メートル |
この条件を計算式に当てはめてみると、次のようになります。
再調達価格(100平方メートル×14万円)×((20年-15年)÷20年))=350万円 |
数式だけを見ると、戸建の場合の建物部分の査定額は、計算式だけで決まってしまうようにも見えるでしょう。
しかし、建物は使い方やメンテナンス次第で劣化の状態が大きく異なります。そのため、原価法で算出した値は、実地で建物を見分し、査定価格をより実情に合ったものに調整します。
収益還元法|将来生み出す収益を計算
その物件の不動産的価値により発生し得る収益をベースに物件価格を算出する方法で、主に賃貸マンションなどの投資用不動産を査定する時に利用されます。したがって、一般的な用途で用いられることはほとんどありません。
収益還元法の中にもいくつかの種類がありますが、ここでは最も一般的な直接還元法について説明します。
収益還元法の計算式
(年間収入-年間諸経費)÷還元利回り(自分自身が物件から得たい利回り) |
年間収入とは、賃貸用マンションやビルであれば、賃借人から回収する賃料のことです。
また、年間諸経費は「管理費・修繕費」「入居者入れ替え時の補修費」「固定資産税」など、物件運用に関する全ての費用が含まれます。計算例で確認してみましょう。
年間諸経費の条件例
賃料収入 | 300万円 |
---|---|
年間諸経費 | 55万円 |
還元利回り | 8% |
この条件を計算式に当てはめると、次のようになります。
(300万円-55万円)÷8% |
したがって、約3,063万円が査定価格になります。
不動産売却の基本知識については、下記記事で詳しくまとめています。不動産売却が初めてで不安な人は、一度全体の流れを把握しておきましょう。
この記事では、不動産に関する流れやかかる費用といった基礎知識から、取引上の注意点などを分かりやすく解説します。節税の方法や不動産会社の選び方についても触れていますので、不動産の売却における疑問を解消するのに役立ててくださいね。
家査定の前の準備と確認事項
不動産を査定するにあたっては、目的や方法、重視するポイントによって必要書類が変わってきます。特に売却を前提にした本格的な査定の場合は多くの書類が必要です。
ただ、必ずしも、ここで紹介する書類すべてが必要ではありません。査定の「度合い」によって、必要書類が異なりますので、状況に応じて準備する書類を確認するようにしましょう。
現時点の住宅ローンの残高を確認
住宅ローンが残っている場合は、売却時に残債を全額一括返済することになります。
したがって、まずは現時点の残高を確認しましょう。借入を行った金融機関に依頼すれば、残高証明書を発行してくれます。売却価格を決める上で非常に重要な情報となるので、査定を依頼する前に正確な数字を把握しておきましょう。
必要書類の準備
査定を行うにあたって必要となる書類と、それらの準備方法について、詳しく見ていきます。
登記事項証明書を取得
電子化が進んだことにより、全国どこの法務局でも目的の証明書を取得することが可能となりました。
したがって、不動産の所在地を管轄する法務局へ出向く必要はもちろんありません。入手方法は3つあり、それぞれ用意するものや手数料が違います。
- 登記所(法務局)もしくは法務局証明サービスセンターの窓口で請求
- 郵送による請求
- オンラインによる請求
法務局が近くにある場合は、窓口に行くのが間違いも少なく確実です。
法務局の窓口に備え付けてある交付申請書に必要事項を記入して提出すると、記載内容のチェックが行われたあとで申請書が戻されます。そのとき、申請に必要な金額(1通600円)が伝えられますので、収入印紙を買って申請書に貼り、再度窓口に戻して証明書の交付を受けましょう。通常、印紙売場は窓口があるフロアや建物内にあります。
申請書には、住所・氏名・請求する土地の所在と地番、建物の場合はさらに家屋番号を記入しますが、地番や家屋番号は住居表?の住所ではありません。
登記識別情報、登記済証(権利証)、固定資産税通知書等で確認するか、法務局に備え付けられた地図または市区町村役場、住居表?地番対象住宅地図(ブルーマップ)等で確認しておくようにしましょう。
郵送での請求の場合とオンラインについて
郵送での請求の場合は、申請書にあらかじめ収入印紙を貼っておきます。返信用の封筒に返信先を記入し、切手を貼って申請書と?緒に管轄している登記所へ郵送します。
また、最近はオンラインでの請求も可能になっています。窓口に?べて手数料が安く、郵送で受け取る場合は500円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合、480円とお得です。
さらに、手数料の納付は、インターネットバンキング以外にも、Pay-easyに対応したATMが利用できるほか、平日21時まで請求できて、窓口での待ち時間もありません。
公図を取得
公図(こうず)とは、法務局に備え付けられている図面で、土地の位置や形状を確定するための地図であり、法的な図面です。土地の地番・土地の大まかな形状や、大きさ・隣接地との位置関係などが、公図から得られる情報です。請求方法は、登記事項証明書と同様に窓口、郵送、オンラインの3つが選択できます。
土地測量図と境界確認書を取得
一戸建や土地を売却する際に、土地の面積や隣の家との境界線を明確にするために必要な書類です。もし紛失した場合は、法務局に保管されているので、管轄の法務局に出向いて自分でコピーを取るようにしましょう。
登記済権利証または登記識別情報を準備
どちらも同じ内容の書類ですが、2006年以前に発行されたものは登記済権利証、それ以降のものは登記識別情報と呼ばれます。
主に、媒介契約、売買契約時の名義変更手続きや、住宅ローンの借り換え時などに用いられるものであり、査定時には必ずしも必要ではありません。
しかし、不動産の所有者を明確にする書類として、場合によっては提出を求められることもあるでしょう。建物と土地では、登記識別情報も個別に存在するため、戸建住宅(土地と建物)を売却する際は、それぞれの準備が必要です。
登記済権利証は写しを自宅に保管しているケースもあるので、まずは自宅内を探しましょう。見当たらない場合は、法務局か司法書士に相談して取得してもらいます。
印鑑証明書と実印を準備
印鑑証明書は発行から3カ月以内のものを用意します。なお、印鑑登録をまだ済ませていない場合は、実印の登録申請から始めなければならないので、あらかじめ登録しておくようにしましょう。
印鑑証明書は、市町村役所またはその出張所等で発行しており、印鑑登録が済んでいる場合は印鑑登録証(印鑑登録カード)またはマイナンバーカード、本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)を持って役所に行き、窓口で発行手続きをします。
また役所によっては、自動交付機を備えている場合があり、画面の指示に従って操作すると、自動的に印鑑証明を発行できます。いずれの場合も手数料は1通300円なので、忘れずに持って行くようにしましょう。
身分証明書を準備
パスポート、運転免許証、健康保険証など、身分が証明できる書類を用意しましょう。
これらの必要書類は、査定を申し込むまでに準備をしておきましょう。後から準備するよりもスムーズに進みます。
家の査定を行う流れ
不動産査定の大まかな流れは、次のとおりです。
- 不動産会社に査定を申し込む
- 査定の日時を決める
- 不動産会社による査定を待つ(約2週間)
- 査定結果の報告
- 売却依頼
簡易査定は、机上査定とも呼ばれ、物件のデータだけで査定結果を得ることができる手軽さが特徴です。簡易査定を申し込む際に提示する主なデータは、住所、家と土地の面積、間取り、築年数なので、家屋の現況やリフォームの有無などは考慮されません。不動産の売却を考えたとき、最初に行なうのは多くの場合、簡易査定です。
これに対し、訪問査定は、不動産会社が実際の物件を確認して査定を行なう方法です。簡易査定の結果を参考に、地形や物件の状況、周辺環境、日照などさまざまな要素を確認し、インフラの整備状況や法的規制なども総合的に考慮して査定します。
データだけでなく、実際の物件を見分した結果が査定に反映されるため、簡易査定よりも精度が向上し、実際の取引価格に近い査定価格が算出されます。特に、売却が決まっている場合は、訪問査定を利用しましょう。
なお、訪問査定には不動産鑑定士による有料査定もありますが、マイホームを売りに出すケースであれば、無料査定でも問題ありません。
査定のための調査にかかる時間は数十分程度ですが、査定額を提示されるまでは数日かかるので、余裕をもってスケジュールを組みましょう。
なお、査定は、居住中の物件でも依頼することができます。
簡易査定は3社以上行うとよいです。査定先は、大手・中堅・地元・知り合いなど全く違った切り口の業者へ依頼するのがポイントです。
家の査定でチェックされるポイント
査定時に重点的にチェックされる項目がわかれば、それを改善してできるだけ高く査定されるようにできるでしょう。不動産会社の目線を知ることは、物件の評価を上げるためにとても意義があります。
一戸建ての場合
戸建ては、マンションと比べて個別性が強く、間取りや設備の状態などさまざまな要因が複合的にからみあって価格が決まります。
さらに、土地の査定も必ず含まれることになり、周辺土地相場を基本とした評価が行われます。全体の査定額を大きく左右する項目について、詳しく見ていきましょう。
部屋の間取り
古い住宅の場合は、動線が生活者視点になっていない場合も多く見られます。
最近の家屋では、家事がしやすいように間取りを考慮し、キッチン、洗面、浴室などの水回りを一周出来るように設計することが効率的とされています。
ただ、飽きがこないように大胆にデザインされた間取りや、子ども部屋が多く設けられている場合などは、査定額を下げることにつながりかねません。
例えば、老後の住まいとして購入を検討している夫婦の世帯には子ども部屋は不要であり、生活に必要な部屋数があれば十分でしょう。
したがって、より多くの購入希望者に受け入れられやすく、中古物件の売却に向いているのはシンプルな間取りです。別荘などのこだわり物件を売る際は、査定額が低く見積もられる可能性があることに注意しましょう。
水回りの劣化具合
毎日使う水回りは、湿気もこもりやすく汚れが溜まる場所です。こまめに掃除をしていても、長年の生活で蓄積されてしまった汚れは、簡単に落ちないものもあるでしょう。
特に排水管など見えないところの汚れは、気になるニオイが室内に漂ったり、排水に支障が出たりと査定額に大きな影響を与えかねません。
快適な生活の基礎となる水回りは、不動産会社も入念にチェックする項目です。自分で対応するのが難しい場合は、プロのハウスクリーニングを依頼するなどして、査定前に徹底的にキレイにしておきましょう。
雨漏りやシロアリの被害がないか
日頃からの手入れが不十分だったり、運悪く水害の影響を受けて雨漏りしてしまったりして、知らず知らずのうちにシロアリが繁殖していることがあるかもしれません。
戸建てであれ、マンションであれ、そのような住宅では建物の腐食が進み、最悪の場合は倒壊してしまう恐れもあります。
不動産売買を行う際は、その建物に潜んでいる問題の状況を事前にすべて包み隠さず、売主から買主に伝えることが宅地建物取引業法第35条で決められています。
したがって、雨漏りやシロアリの被害を受けている家を査定に出すときは、その物件に問題があることを必ず不動産会社に伝えなくてはいけません。
これらは、直接的に建物の破損や故障等で居住性に問題があるので、物理的瑕疵と呼ばれ、機能が落ちていることになります。雨漏りやシロアリ被害を隠して売却に至り、後から問題が発覚すると、瑕疵担保責任を問われることになりかねません。
こういった事態に発展すると、媒介した不動産会社としても評判を落とすことになります。売買にかかわったすべての人や業者にとって大きなリスクとなるため、建物の瑕疵に関する告知義務は必ず守らなくてはなりません。問題があらかじめわかっている場合は、早めに修繕を行ってから査定に出すようにしましょう。
マンションの場合
部屋の構造や住宅設備が同じなので、戸建ての場合ほど個別性は顕著ではありません。マンションの査定でチェックされるポイントは、立地や周辺環境など、主に物件そのものが位置する状況に依存するものと、部屋の方角や階数です。
立地と周辺環境
交通インフラの利便性を挙げる人は多く見られます。住宅需要が高まり、郊外のマンションでも入居希望者が絶えなかった頃は、徒歩10分の距離でも比較的駅から近い物件として扱われることもありました。しかし最近は、夫婦共働き世帯を中心に、通勤に便利な駅近物件が人気です。
マンションは一戸建てと違って、物件の多くが最寄り駅から徒歩圏内にあり競合も多いので、最寄り駅から徒歩7分以内でなければ、なかなか売れません。
しかし、仮に7分以上かかる場合でも、駅とマンションとの間に商業施設や活性化しているエリアがあれば、売れやすくなることもあります。
近隣の開発計画も査定価格に大きな影響を与えます。例えば、沿線に新しい駅ができたり、既存の駅ビルの全面改修、近くの道路の延伸や新しい道路の建設など、交通インフラの利便性向上は、大きなインパクトになります。
幼稚園や学校などの教育機関や病院が近隣にあるかどうかは、子育て中のファミリー層の買主にとって購入を決める際の重要ポイントです。
また、近くに大型商業施設や公園が建設されると、その周辺の資産価値が上がり、不動産価格も上昇する傾向にあります。逆に、採算悪化にともなって行楽施設やショッピングモールが撤退してしまうと、資産価値が下落を始め、不動産価格が低下するので査定額も伸び悩みます。
他には、新耐震基準に適合しているかどうかも重要なポイントです。災害時の建物の堅牢さに対する評価であることはもちろんのこと、適合していない場合は住宅ローンの控除が受けられなかったり、ローンを組むこと自体が難しかったりなどのデメリットも発生しかねません。
方角と階数
査定価格が変わりやすい一番の要素が日当たりです。例えば、南向きだったとしても、目の前にビルやマンションが建っていれば、日当たりの評価は下がります。また、北向きだったとしても視界を遮るものが、何もなく開放感があれば、想定よりも明るい部屋の場合もあるでしょう。
気を付けなければいけない点は、近隣に建築計画がある場合です。購入希望物件の目の前に空き地があって、そこにマンションの建築計画があったとします。そうなると、将来的には日当たりが悪くなることも想定され、南向きの物件であっても査定額は安心できません。
また、タワーマンションなどでは、高層階ほど人気が高い傾向にあります。これは単に眺望が良いということだけではなく、高層階に住むことで優越感を感じるという心理的な効果もあるでしょう。
中には低層階用と高層階用でエレベーターが分かれていることもあり、高層階用のエレベーターに乗ることにステータスを感じるという人もいるようです。
家を査定してもらう際のポイント
数多くの業者の中から自分の目的に合った不動産会社を選ぶためには、各社の得意分野を知り、口コミなどから評価を集める必要があります。ただ、個人で集められる情報には限りがあるので、インターネットの一括査定サイトなどを利用するのも効果的です。
予め自身で相場価格を調査
不動産会社に査定の依頼をする前に、あらかじめ自分自身で相場の価格を調べておきましょう。
そうすることで、不動産会社とのやりとりをする際にとても役に立ちます。
あらかじめ一般的な相場価格を把握しておくことで、不動産会社主体ではなく、売り主が主体となった売却の流れを作れます。
実際に売りに出した際に、相場に比べて価格が高く売却に時間がかかりすぎてしまったり、逆に価格が安くなりすぎて損をしてしまうことがないよう事前に調べておきましょう。
相場価格を調べる方法としては、近隣で条件の近い物件の過去の取引状況を調べる、また今現在売りに出ているものの中から条件に近いものを参考にするといいでしょう。
家の査定は複数の不動産会社に依頼をする
家の査定は複数の不動産会社に依頼をすることをおすすめします。
その理由としては、不動産会社それぞれに立地や条件などの得意な分野の違いがあるためです。
会社の規模や立地など、個性の違う複数の不動産会社に査定を依頼することで自分にとって最適な不動産会社と出会う一歩となります。
また、中には、媒介契約を取りたいために極端に高い価格を提示するような不動産会社もあります。
その多くが当初提示されていた価格を下げられてしまうことも。
そのような不動産会社をさけるための方法として、一括査定サイトを利用することをおすすめします。
一括査定サイトは数多くの業者が登録しており、物件の査定を一度に複数社から受けられるメリットがあります。
地域の特徴や不動産動向に通じていて、知識と経験が豊富な不動産会社を選ぶ際にも参考になるはずです。
業者によっては、携わった実績の多さや、独自の販売ネットワークによる強みにより、他社より高めの査定額を提示してくることもあるでしょう。
また、見積もり査定のタイミングから、数百万円もの幅で金額が変わってくることもあります。
とはいえ、査定額だけで、不動産会社を決めるべきではありません。販売活動の進め方によっては、なかなか売れずに、物件価値がどんどん下がっていくということもあります。
まずは、どのような販促戦略を立てているのかを事前に確認し、その内容も踏まえて不動産会社を決めていくと良いでしょう。
下記の記事は、おすすめな不動産一括査定サイトを比較しています。
不動産の一括査定サイトにはどのようなメリットがあるのか興味がある方も多いのではないでしょうか。この記事では不動産一括査定サイトの利点やサイトの選び方などを紹介しています。不動産売却をスムーズに進めたい方に必見の情報を詳しく解説します。
売却に強い業者を選ぶ
不動産会社には、それぞれ得意とする分野があるものです。特定のエリアに多くの物件を持っていたり、地域との密接なつながりで根強い顧客層を抱えていたりする場合は、なかなか他社の参入は難しいです。
また、マンション売却に特化した営業展開に注力していたり、一戸建ての売却を得意とするなど、専門性のある営業領域で力を伸ばしている不動産会社もあります。
まずは、自分の不動産を売却するのが得意かどうかを見極めなくてはなりません。
そのためにも、過去にどんな種類の不動産を売却した経験があるのか、過去にどのようなエリアで不動産を売却していたのかを聞きましょう。
経験豊富なをノウハウが蓄積されており、営業トークや営業資料の内容に厚みがあることが選択の基準です。
そして、近隣物件の取引状況などを確認したり、売り出し物件の価格を調査しているうちに、段々と相場の感覚が身に付くでしょう。
査定額の提示を受けた後に、最終的な売却を判断するのは自分自身です。すべてを不動産会社に任せることなく、自分でも調査を行い不動産事情にアンテナを張るようにしましょう。
また、中には媒介契約を結びたいがために法外に高い査定額を提示してくる悪徳業者も存在します。
優良で親切な不動産会社かどうかを判断するためにも、妥当で公正な査定額がどの程度になるのかを自分で確認しておくことが重要です。
不動産売買の流れ、不動産そのもの以外にかかる諸費用、高く売るポイントなどを知っておくと、不動産会社との交渉で強みになります。
下記の記事は、良い不動産会社の選び方を詳しく紹介しています。
納得のいく不動産取引をするためには、信頼できる不動産業者とパートナーを組むことが大切です。良い不動産業者の見極め方や不動産業者の選び方のポイントなどを解説します。また、業者選びとともに重要な営業マンの見極め方についても触れています。
以前の成約事例などがある業者が良いです。やはり、依頼者の立場に立って行動してくれる業者が一番です。
不動産会社に家の情報を正確に伝える
不動産会社に査定を依頼した際、家の状況を正確に伝えておかないと売却後にトラブルにつながる可能性があります。
設備に関する不備や、近隣の騒音などの日常生活と密接に関わることだけでなく、事故歴など伝えることで敬遠される可能性があると考えられることも査定に影響します。
このような情報を事前に伝えず、のちにトラブルに発展した場合、売主が「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」を負うこととなり、裁判につながってしまう可能性があります。
「瑕疵担保責任」とは、不動産に不備や欠陥などの問題を売り主が伝えず、また買い主が気づかないまま取引が成立した場合に、売り主が負わなくてはならないと責任です。
売却後に瑕疵の存在が発覚した場合、買い主から損害賠償を求められる可能性が高くなります。
そうならないためにも、査定の際にはありのままの状態を伝えることが大切です。
査定額の根拠をしっかり確認
複数の不動産会社に査定を依頼した場合、提示された査定価格に多少の違いが生じることがあります。
中には、高額な査定額を提示する不動産会社もありますが、必ずしも査定額が高いから良いというわけではありません。
そのような不動産会社は単純に契約を取りたい、というだけの理由で相場より高い査定額を提示したということも十分考えられます。
極端に高い査定額を提示した不動産会社を選択してしまった場合、近隣との相場とかけ離れた価格である可能性が高くなります。
そのため売却に至ることなく、結果的に価格を下げることになってしまう可能性があります。
そのような状況にならないためにも、査定時に価格の根拠を明確に説明できる不動産会社をえらぶことが大切です。
家の査定をスムーズに進めよう
住み慣れたマイホームを売却するにあたっては、まず適正な査定額を割り出すことが第一段階です。そのための段取りを知っておくと、不動産会社との交渉でもあわてることがありません。
また、地域の相場観を把握しておくことは、自分の大切な財産を守るうえでも重要です。
不動産会社の査定を受けるときは、1社で決めるのはおすすめできません。必ず複数社からの査定を受け、比較・検討しましょう。納得のいく売却活動をすすめるためのスタートは、査定の段階から始まります。
正しい知識と優良な不動産会社の協力を得て、あなたの不動産査定をスムーズに進めましょう。