不動産売却をしたときの税金申告が必要なケース|失敗しないための手続き方法

不動産売却の際、「税金の申告をどうすればいいのかわからず、困っている」「確定申告はするべきなのかどうか」など悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

不動産売却の際に確定申告が必要な場合と不要な場合、また必要書類やその手順について詳しく紹介していきます。

いくつかの項目に分けて紹介していきますので、それぞれのポイントをチェックしていきましょう。

必要な申告を行わずに損をして、後から後悔しないためにも、売却前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

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不動産売却で確定申告は必要なのか

不動産売却で確定申告は必要なのか

まずは、不動産を売却したときの確定申告についてみていきます。

不動産の売却は大きなお金が動くので、税金の額も大きくなります。

ここでは、次の3つのケースを紹介します。

  • 申告が必要な場合
  • 申告が必要でない場合
  • 申告を忘れてしまうとどうなるのか

申告の有無が1つのポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

申告が必要な場合 <不動産売却で利益が出ると必須>

確定申告とは、1月1日~ 12月31日に発生した所得を、翌年の2月~3月頃に税務署に申告し、税金を納めるという手続きです。

自営業の方などは馴染み深いかもしれませんが、サラリーマンの方は自分自身で確定申告をする必要がないことが多いので、あまり馴染みがないかもしれません。

不動産売却においては、売却益が発生した場合に確定申告が必要です。

この不動産の売却益を譲渡所得といい、次の計算式で求められます。

  • 譲渡所得(売却益)=収入額-取得費-譲渡費用

収入額とは通常の場合、売却した価格のことです。

取得費とは資産の取得に要した金額のほか、設備費や改良費も含まれています。

なお、建物の場合には、時間の経過や使用によって価値が減少していくので、減少した分の価値、つまり減価償却費相当額を差し引き、譲渡時の価値を算出します。

譲渡費用とは、譲渡する際に発生した費用のことです。

譲渡時の仲介手数料、契約書の印紙税、建物取り壊し費用、立退料など、譲渡に要した費用が含まれます。

この計算式で求めた譲渡所得がプラスの場合は売却益がある、つまり、確定申告をする必要があるということになります。

申告が不要な場合

譲渡所得がマイナスになった場合は、確定申告をする必要はありません。

しかし、申告が不要の場合でも税務署から書類が届くことがあります。

税務署に不動産売却をしたと報告をしたわけでもないのに書類が届くと不安になるかもしれません。

しかし、税務署は登記簿で不動産売却があったことを知り、利益があった場合の無申告を避けるための問い合わせとして書類を送っているだけですので、きちんと対応すれば問題ありません。

申告が不要な場合に届いた書類は、本当に売却損なのかということの確認なので、損失が出たことの根拠となる資料を添えて回答しましょう。

申告を忘れてしまうと <追加で税金の徴収>

確定申告の期間は毎年、2月16日~3月15日です。

期間内に申告をしないと、本来納めるべき税金のほかに、無申告加算税という追加の税金を払わなければならなくなってしまいます。

確定申告期間後であっても自主的に申告した場合は、無申告加算税が軽減されることもあります。

しかし、申告しないまま税務署からの勧告に対応しないでいると、最悪の場合、財産の差し押さえもあり得ます。

申告する必要があるのかないのかをしっかりと判断し、必要がある場合は確実に期間内に申告し、納税を済ませるようにしましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

期限が過ぎた後の申告であっても、期限後の1ヶ月以内に自主的に申告されるなどのいくつかの要件を全て満たせば無申告加算税は課されません。

ただし、その場合でも延滞税は課せられますので、遅れた場合はできるだけ早く申告するようにしましょう。

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不動産売却は申告で支払う税金を減らせる

不動産を売るときには、支払う税金を減らすことができる場合があります。

ここでは、3つの控除について解説します。

不動産売却の利益に6種類の特別控除

利益が出た場合の特別控除

譲渡所得計算の方法は、「収入額-取得費-譲渡費用」です。

不動産を売却して利益が出た場合は、申告をして税金を納めなければなりません。

この利益について800万円~5,000万円の6種類の特別控除があります。

これら6種類の特別控除について、概要と上限の控除額などを表にまとめました。

対象 控除額の上限
収用等により土地建物を譲渡した場合 5,000万円
マイホームを譲渡した場合 3,000万円
特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 2,000万円
特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 1,500万円
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 1,000万円
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 800万円

これらについては、国税庁のホームページから確認できます。

ここで注意が必要なことは、譲渡所得には譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える長期譲渡所得と、5年未満の短期譲渡所得があり、1,000万円の特別控除は、長期譲渡所得に限り適用されるということです。

相続した不動産の売却には取得費加算の特例

取得費に関しても特例があります。

それは、相続した不動産を売却する場合の取得費加算の特例です。

この特例を使うことで、売却した不動産に対する相続税を譲渡益より控除できます。

この特例を適用するには、相続開始から3年10ヶ月以内に相続財産を売却していること、という条件があります。

しかし、契約が完了していれば、実際の引き渡しが期間外でも適用されるので、契約完了日を確認してみましょう。

損失がでても損益通算と繰越控除

一般の土地や建物の譲渡は、損失がでてもそれ以外の所得との通算や、次年度以降への繰り越し控除はできません。

しかし、条件を満たしている場合は、損失をほかの所得から控除したり、繰越控除をしたりできる特例があります。

所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡して損失がでたときは、損益通算ができます。

損益通算とは、一定期間内の赤字と黒字を相殺することです。この場合の要件を挙げていきます。

  • 譲渡する年の1月1日において、所有期間が5年超
  • 個人の居住用財産である
  • 償還期間1年以上の借入金が残っている

さらに、損益通算でカバーできない部分は、翌年以降3年間、繰越控除が認められています。

この際も条件がいくつかあり、重要なものは以下の2つです。

  • 繰越控除をしない年も含めて、毎年確定申告をする
  • その年の合計所得金額が3,000万円以下の年に限る

これらの損益通算や控除などは、自分で申告をしないと適用されませんので注意しましょう。

不動産売却で申告をする手順

実際に不動産売却をした際の、申告の手順を紹介します。

申告のために書類をそろえよう

まずは、申告のために書類をそろえる必要があります。

必要な書類はいくつかあり、税務署から入手するものと、自分で準備するもの、また特例を受ける場合に必要なものなどがあるので、それぞれ以下の表で確認してみましょう。

税務署から入手する書類 自分で準備する書類
確定申告書B様式(平成29年分以降用:国税庁) 不動産売却時の売買契約書
分離課税用の確定申告書(国税庁) 不動産購入時の売買契約書
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用:1から4面、国税庁】 仲介手数料、印紙税などの領収書
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用:5面、国税庁】

自分で準備する書類の契約書はコピーで構いません。

次に、特例を受ける場合の必要書類です。

特例を受ける場合は以下の書類を、上記の書類と一緒に申告時に提出します。

特例 必要書類
3,000万円の特別控除の特例 除票住民票
居住用財産の軽減税率の特例
  • 除票住民票
  • 売却した不動産の登記事項証明書

買い替えの特例*

  • 買換(代替)資産の明細書(国税庁)
  • 先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書(国税庁)
  • 代替資産の取得期限延長承認申請書(国税庁)
  • 旧不動産の「登記事項証明書」
  • 新不動産の売買契約書など関連書類

*:特定のマイホーム(居住用財産)を売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるという特例です。

特例に関しては、適用条件とともに、必要書類にも注意しましょう。

マイナンバーカードで申告の手間が減る

マイナンバーカードを使うことで、申告の手間を減らすことができます。

マイナンバー制度ができたことで、インターネットで確定申告ができるようになりました。

国税庁のサイトから、画面の指示に従って必要項目を入力することで申告ができるというものです。

わざわざ窓口などに足を運ばなくてもよいので、忙しくてなかなか時間が取れないという方などは、ぜひ活用してみるとよいでしょう。

不動産売却の申告ができる期間

必要な書類がそろったら、次は実際に申告します。

基本的には、毎年2月~3月頃ですが、今年は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点による対応として、期間が延長されたと国税庁より発表されています。

税務署は基本的に土日・祝日は閉庁しているので、平日にはなかなか時間が取れない場合もあるかと思います。

しかし、申告期間中は、日曜日に申告書の提出ができる場合もあるので確認してみてください。

また、e-Taxを使えば、確定申告の期間中は、国税庁のHPから24時間いつでも申告書を提出することができます。

e-Taxとは、国税庁が運営する、国税の申告・申請・納税に関するオンラインサービスのことで、自宅から申告と納税ができます。

e-Taxを利用する場合は事前に用意するものがあります。

  • マイナンバーカード
  • カードリーダーまたはマイナンバーカード対応のスマートフォン

マイナンバーカードを利用すると、e-Taxでの提出の際、利用者識別番号と暗証番号の入力が不要になります。

このとき、マイナンバーカードの電子証明書を読み込むためにカードリーダーまたはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。

カードリーダーを持っていない方は、家電量販店に売っているので、購入しておきましょう。

税金の申告で記入が必要な項目

続いて、税金の申告の際、記入が必要な項目を紹介していきます。

実際の確定申告で記入が必要な書類は、以下の書類です。

  • 申告書B様式
  • 源泉徴収票
  • 収支内訳書
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 譲渡所得の内訳書などの各種控除関係の書類

譲渡所得内訳書の記入項目

それでは、譲渡所得内訳書の記入項目についてみていきます。

譲渡所得内訳書で記入するのは、以下の項目です。

  1. 売却した不動産の所在地
  2. 売却した不動産の種類(チェックを入れます)
  3. 実測面積(実測して売却した場合)
  4. 利用状況(チェックを入れます)
  5. 売買契約日・引き渡した日
  6. あなたの持分、共有者の住所・氏名、共有者の持分(売却した不動産が共有の場合)
  7. 譲渡価格
  8. 代金の受領状況
  9. 売却理由

記入する際は、売買契約書を使って項目を埋めていきましょう。

申告書Bの記入項目

次は、申告書Bの記入項目です。

まずは第一表についてみていきます。

  1. 収入金額
  2. 所得金額
  3. 社会保険料控除
  4. 生命保険料控除
  5. 地震保険料控除
  6. 配偶者(特別)控除

これらは、源泉徴収票を使って記入します。

第二表の記入項目は、第一表と同様に、1~5の項目です。

こちらも源泉徴収票の内容を転記します。

そして第三表(分離課税用)の記入項目です。

  1. 収入金額の分離課税一般分
  2. 必要経費
  3. 差し引き金額
  4. 所得金額の分離課税一般分
  5. 地震保険料控除

こちらの第三表は、先ほど触れた、譲渡所得内訳書の内容を転記していきます。

税金を納めるため売却益は残しておく

不動産売却をした場合にかかる税金は、譲渡所得税、住民税、印紙税です。

また、住宅ローンが残っている物件を売却する場合は、抵当権抹消手続きの際の登録免許税もかかります。

ではここで、譲渡所得税の計算方法を簡単に紹介します。

まず、譲渡所得=収入額-取得費-譲渡費用 という計算で譲渡所得を求め、そこに税率を掛けることで譲渡所得税が求められます。

後ほど詳しく紹介しますが、この税率は不動産を所有していた期間によって変わってくるので注意が必要です。

また、住民税は確定申告をすると、その年の6月から支払いをすることになります。

住民税納付書が送られてきたら、必須項目を記入して納めましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

売却益が出た場合は、すべて次の物件の購入費に充てるのではなく、税金を納めるために残しておく必要があります。

マイホームを売却したときの税金

それでは、マイホームを売却したときの税金についてみていきます。

まず長期所有と短期所有についてポイントを押さえておきましょう。

譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれています。

取得日の翌日から譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合は長期所有、5年以下は短期所有となります。

譲渡した年の1月1日が基準であり、引き渡した日や契約した日ではないというのがポイントです。

それぞれの税率は、以下の通りです。

  長期譲渡所得 短期譲渡所得
所得税 15.315% 30.63%
住民税 5% 9%

それぞれの所得税には、復興特別所得税が含まれています。

では、マイホーム(土地と建物、所有期間5年超え10年未満)の売却価格が2億円で、取得費1億6,000万円、3,000万円の特別控除を使っても利益が出た場合を想定して、税金の計算例をみてみましょう。

譲渡価額-費用-税金で手元に残るお金を求めることができます。

まず、マイホーム(土地と建物)の売却価格が2億円だとして、費用を計算していきます。

譲渡費用のほとんどを占める仲介手数料は、売却価格が400万円を超える場合は、売却価格の3%+60,000円+消費税が上限額です。

この場合は、(2億円×0.03+60,000円)×1.1=666万6,000円となります。

次に税金の計算をします。

ここでかかる税金は印紙税、登録免許税

(これは、売却した物件に住宅ローンなどの抵当権があった場合、その抵当権を抹消する手続きに必要な費用です。抵当権が設定されていない物件を売却する際には発生しない費用です。今回は住宅ローンで抵当権が設定されていることとします。)、

消費税、住民税、所得税・復興特別所得税です。

まず印紙税は、譲渡額が1億円を超え5億円以下のものは60,000円となります。

抵当権抹消手続きの登録免許税の計算は、不動産の数×1,000円で、この場合、土地と建物の2つで2,000円となります。

消費税は先ほどの仲介手数料に含まれた分のみです。

続いて住民税と所得税・復興特別所得税の計算をするために譲渡所得を求めます。

譲渡所得は、収入額-取得費-譲渡費用で求められます。

この場合の譲渡費用は、ここまでに求めた費用の合計、666万6,000+10,000+2,000=667万8,000円となります。

よって、3,000万円のマイホーム売却時の特別控除を使うと、譲渡所得は 2億ー1億6,000万ー667万8,000ー3,000万=332万2,000

長期譲渡なので、住民税は、332万2,000円×0.05=16万6,100円、所得税・復興特別所得税は、332万2,000×0.15315=50万8,765円となります。

(ここで1つ注意すべきポイントは、所有期間10年を超える場合は税率が変わることです。10年を超えて所有すると、譲渡所得が6,000万円以下の部分については所得税10%・住民税4%となり、6,000万円を超える部分については所得税15%・住民税5%となります。)

つまり、売却価格2億円ー譲渡費用667万8,000円ー住民税16万6,100円ー所得税・復興特別所得税50万8,765円で、手元に残る金額は約1億9,264万7,135円ということになります。

あくまで一例ですが、このようにして税金や手元に残るお金をシミュレーションすることができます。

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不動産売却の申告で失敗をしない方法

ここまで不動産売却の申告について、基本的な知識や手順などをみてきました。

しかし、慣れていないことをするときは、失敗しないかと不安になると思います。

ここでは不動産売却の申告で失敗しないためのポイントを説明します。

不動産売却の申告で失敗をしないポイント

わからないことは専門家に頼る

実際に申告の準備をしていると、税金の計算や仕組みなど、よくわからない箇所が出てくるかもしれません。

そういう場合は、やはり、専門家に相談をすることをおすすめします。

大まかな不動産売却の申告についての相談は、不動産会社でもできます。

しかし、具体的な税金の額などについては、不動産会社ではなく税理士に相談するようにしましょう。

忙しくて確定申告の手続きに時間を割くことができないという方にも、税理士への依頼や相談はおすすめです。

計上できる費用を洗い出しておく

不動産売却の申告でミスしないために重要なことがもう一つあります。

それは、計上できる費用を洗い出しておく、ということです。

どのようなものが費用にあてはまるのか、譲渡費用や取得費として計上できる主なものをまとめました。

譲渡費用となるもの 取得費となるもの
売却時の仲介手数料 土地の購入価格
売却時の測量費 建物の購入価格から減価償却費を控除したもの
売却時の印紙税 購入時の仲介手数料
売却に伴う立退料 購入の際の立退料・移転料
建物の取り壊し費用 購入時の印紙税
  購入時の登録手数料
  購入時の不動産取得税
  搬入費や据付費
  建物等の取り壊し費用

譲渡費用となるのは、売却時にかかった諸経費です。

購入時の諸経費というようなイメージしておくとよいでしょう。

不動産売却で申告をしないと税金で損をする

不動産売却の申告についていくつかの項目に分けてみてきました。

不動産売却で利益が出た場合は、申告をしないと、延滞税を納めなければならないというリスクがあります。

また、損失が出た場合でも各種の特例や控除を受けることができないなど、税金で損をする場合があるので注意しましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

わからないところは専門家を頼るなどしながら、不動産売却をした際には売却益や売却損が出たかどうかにかかわらず、申告はしっかりしておきましょう。

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