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「不動産鑑定評価」は、どのような場面で必要になるのか、鑑定評価の依頼をする場合にはまず、どこに相談し、なにから始めればよいのかなど、この記事では「不動産鑑定評価」について詳しく説明します。
実際に鑑定評価の依頼をした場合の費用や、提出にそなえて知っておきたい書類の名前、依頼をしてから「不動産鑑定評価書」を受け取るまでの流れを紹介します。
また、鑑定評価に要する期間、それぞれの状況や用途によって選択のできる方法などもあわせて紹介します。
不動産鑑定評価は適正な価値を知ることができる
不動産の価値を知りたい場合、インターネットで検索をしたり、不動産会社で無料相談や査定を依頼したりといった方法が考えられます。
では、不動産会社が無料で行う「不動産査定」と「不動産鑑定評価」とでは、どのような違いがあるのでしょうか。
「不動産査定」は、無料で短期間に現在の不動産に対する目安の金額を知ることができるので、不動産の売却を考えたときの参考にするにはとても便利な方法です。
不動産会社などに頼めば査定してくれます。その際は、何社かに査定してもらったほうがいいでしょう。
しかし、「不動産査定」で算出された金額はあくまで目安の金額であるため、公的に使用できる証明書にはなりません。
一方「不動産鑑定評価書」は、国家資格をもつ不動産鑑定士が評価・作成をすることで公的な証明力があり、裁判所や税務署などにも有効に提示をすることが可能なものです。
遺産相続などで不動産を分配する場合などにも、「不動産鑑定評価」を利用することで対象不動産の適正な価格が把握でき、公平で公正な遺産分割ができると考えられます。
不動産鑑定士が不動産の価格を有料で算出してくれます。
相続税の申告をする場合に提出する書類や、節税対策のために行った生前贈与などで確定申告を行うとき、また、離婚の際の財産分与や親族間での不動産の売買や交換をする場合にも、不動産鑑定評価は有効です。
賃貸借に関わる不動産利用の際や債券や株式に関わる不動産評価、不動産を担保とした債権者となった場合や継承・合併の際など、個人間だけでなく企業や金融機関・税理士や弁護士なども不動産鑑定評価書を利用する場合があります。
裁判所や税務署などに提示する際には、先ず、不動産鑑定士に相談すると良いでしょう。
不動産鑑定評価の費用は鑑定業者によって違いがある
不動産鑑定評価を依頼した場合の費用は、鑑定業者によって違います。
それは、報酬の設定が原則として自由であり、鑑定費用はそれぞれの鑑定業者が独自に設定できるからです。
また、鑑定費用を設定する場合の費用体系も3通りあり、鑑定業者が自由に選択をしています。
費用体系の違いを知っていることで鑑定業者を選ぶときの参考になり、対象不動産の状況に応じて、最適な鑑定業者を選ぶことができます。
不動産鑑定評価の報酬は原則的に自由な設定が可能
不動産鑑定評価の報酬について、法律などで明確な規定は定められていませんが、報酬を設定する際の目安として「不動産鑑定報酬基準」というガイドラインが使われています。
このガイドラインを目安として、それぞれの鑑定業者が独自に報酬額の設定をしている、というのが一般的です。
そのため、鑑定業者によって報酬額の設定に違いが出てきます。
たくさんの鑑定業者が存在し、価格競争が激しいとされる都市部にある鑑定業者に比べて、比較的価格競争の少ない地方にある鑑定業者のほうが、報酬額が高めに設定されている傾向があります。
逆に、価格競争によって都市部の鑑定業者の鑑定金額が「不動産鑑定報酬基準」の金額より安く設定されている、といったこともあります。
また、一般的には個人の鑑定業者にくらべて、規模が大きい鑑定業者のほうが、鑑定金額を高く設定されていることが多いようです。
はじめて鑑定業者を利用しようと考え始めた場合や、すでに不動産鑑定評価書の作成を依頼することが決まっている場合には、まず複数の鑑定業者に無料の鑑定相談を依頼しましょう。
そして念のため、自分自身でも「不動産鑑定報酬基準」の内容を確認しておくと安心です。
鑑定の費用体系は3通りある
不動産鑑定の際の費用の体系には「報酬基準型」「積み上げ型」「定額型」の3通りがあります。
依頼者自身が選択できるものではなく、それぞれの鑑定業者が選択し、報酬金額の設定をしています。
多くの鑑定業者が採用している「報酬基準型」
「報酬基準型」とは、「鑑定報酬額表」を基準とした、一般的に多くの鑑定業者が採用している体系です。
それぞれの鑑定業者が「鑑定報酬額表」を目安として、報酬額を設定しています。
依頼者それぞれの依頼内容に応じて必要経費の増減をすることもありますが、あくまで「鑑定報酬額表」の金額に合わせていくことを基本とした方法です。
作業量によって報酬額が上乗せされる「積み上げ型」
報酬基準型で使われるような基準がなく、対象不動産の土地の広さや依頼内容の複雑さなど、鑑定をする上での不動産鑑定士の作業量などを基準にすることで報酬を決める方法です。
条件によって金額の増減があるという点では報酬基準型とおなじですが、基準がないというのが報酬基準型と積み上げ型の大きな違いです。
対象不動産ごとのちがいがない「定額型」
「定額型」は、どのような依頼内容であっても一律の料金設定です。依頼者側にはとてもわかりやすい費用体系なのですが、実際に定額型を採用している鑑定業者は今のところほとんどないようです。
また、定額制を採用している鑑定業者のなかには、本来必要な評価内容を減らすことで経費を削減していたり、作業内容そのものに手を抜いていたりなどの可能性があるので注意をしましょう。
鑑定費用を左右する要因
鑑定費用を左右する要因として「対象不動産の鑑定評価額によるもの」と「対象不動産の種類によるもの」の2つがあげられます。
対象不動産の鑑定評価額によるもの
鑑定費用が高額になる理由の1つに、対象不動産の鑑定評価額が高い、ということがあげられます。
不動産鑑定士に対する社会的責任の度合いが高くなるほど、費用もそれに比例して高くなります。
不動産鑑定評価書には、評価を担当した鑑定士の署名と押印がされています。
そのため、評価書に対する鑑定士の社会的責任も重いとされています。
万が一、評価内容が原因で何らかの問題が生じた場合には、鑑定業者、不動産鑑定士ともに損害賠償請求の対象となる可能性があります。
鑑定評価額が高額であれば、それだけ不動産鑑定士が負う社会的責任も重くなり、報酬額も高くならざるを得ないといえます。
対象不動産の種類によるもの
「宅地または建物の所有権」「宅地の借地権」など、対象不動産の種類(類型)によっても報酬額が変わってきます。
なぜなら、鑑定評価をする際に作業量が多いものや高度な技術を必要とするものなど、不動産鑑定士の負担の大きさに違いがあるからです。
不動産鑑定士に相談する時点で、どの種類の鑑定になるかも確認しましょう。
不動産鑑定にかかる費用の相場
不動産鑑定にかかる費用は、不動産鑑定士の物理的な作業内容や社会的責任の重さなどにより、対象不動産の鑑定評価額とその種類によって変動します。
鑑定評価額と対象不動産の種類によって異なる
不動産鑑定にかかる費用は、鑑定評価額と対象不動産の種類によって変化します。
鑑定評価額が高いものほど、鑑定費用も高くなります。
更地の状態より建物が建てられている場合の方が鑑定費用が高く、一般的な宅地や宅地見込みの場合の所有権に比べ、農地や林地の所有権・地代の方が鑑定費用が高くなっています。
鑑定評価額 | 鑑定費用の目安 | |
---|---|---|
更地 | 5,000万円以下 | 20万円~30万円 |
土地と建物 | 5,000万円以下 | 25万円~50万円 |
宅地見込地の所有権 | 5,000万円以下 | 25万円~60万円 |
農地・林地の所有権・地代 | 5,000万円以下 | 35万円~70万円 |
簡易鑑定の場合は費用を抑えられる
「簡易鑑定」とは、「不動産価格意見書」「調査報告書」などとよばれており、不動産鑑定評価書を鑑定業者独自の基準によって簡略化したものをいいます。
一般的な不動産鑑定評価書に比べ、調査報告書の費用は12万円~20万円前後、意見書の費用では5万円程度からと、正式な鑑定書よりも比較的費用を安くおさえることができます。
ただ「簡易鑑定」には国で定めている明確な鑑定の定義がありません。
そのため、鑑定の内容がそれぞれの鑑定業者により異なります。
また、税務署や裁判所などに提出するための公的書類としての扱いはなく、企業間や個人間での取引の際の目安の資料や、所有している不動産の価格を確認するための目安として利用されています。
不動産価格意見書や調査報告書などの費用は、法令上の正常価格はないので、相場の価格を事前に調べておくとよいです。
不動産鑑定士事務所のホームページに価格が表示されていることがありますので、「地名+不動産鑑定事務所」などで検索し、身近な不動産鑑定事務所を調べてみるとよいです。
不動産鑑定評価の流れ
不動産鑑定評価は「不動産鑑定業者に相談・問い合わせ」「不動産鑑定士による不動産鑑定評価業務の開始」「不動産鑑定評価書作成・発行」という流れになります。
無料で利用ができる相談や問い合わせ、見積もりの依頼、実際に鑑定の依頼する鑑定業者を決定し、不動産鑑定評価書が発行されるまでの流れを紹介します。
不動産鑑定業者に相談・問い合わせ
不動産鑑定評価書が必要になった場合、まずは不動産鑑定業者に問い合わせをします。
一般的に相談や問い合わせ、見積りまでは無料で利用できます。
問い合わせの段階で、依頼をした場合の鑑定評価の流れや必要とされる目安の期間、費用に関することなど、聞いておきたいことをあらかじめ確認しておきましょう。
鑑定の際に必要となる書類などについても事前に聞いておくと安心です。
また、無料相談や見積もりは複数の鑑定業者に依頼しておくと、それぞれの鑑定業者の雰囲気や費用の比較ができるのでおすすめです。
不動産鑑定士による不動産鑑定評価の開始
鑑定業者に不動産鑑定を依頼する場合には、鑑定評価に必要な書類を提出する必要があります。
提出した書類をもとに、不動産鑑定士が現地調査や役所や法務局への調査や価格の分析などを行います。
鑑定評価依頼の際に提出する書類は次のとおりです。
- 価格等調査業務依頼書兼承諾書
- 全部事項証明書
- 住宅地図
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面・各階平面図
- 道路台帳
- 上水道配管図
- 下水道配管図
- ガス配管図
鑑定業者に書類が用意されていて記入をするだけでよいものや、鑑定業者が書類の取得を代理でしてくれるものもあります。
自分で取得する必要があるもののなかには、取得の際に手数料などの費用がかかるものもあります。
取得場所と合わせて、金額もあらかじめ確認をしておきましょう。
不動産鑑定評価書作成・発行
不動産鑑定士による現地調査などの結果をもとに対象不動産の鑑定評価が行われ、不動産鑑定評価書が作成されます。
通常、現地調査を開始してから2週間から3週間程度で発行されます。
不動産鑑定評価書の発行の際、「業務の目的と範囲等の確定に係る確認書」を受け取ります。
その後、対象不動産の鑑定評価についての内容や鑑定評価額についての説明を受け、鑑定評価書の発行となります。
正本・副本と各1部ずつ、計2部が発行されるので、受け取りもれのないように確認をしましょう。
受け取り後のアフターフォローを行っていることもあるので、疑問点があれば受け取り時に確認しておきましょう。
提出書類を集めることは、少し手間がかかります。
不動産会社が行うレベルの書類になってきますので、難しいな、できないなと思う場合には、相談して取得してもらいましょう。
もっと簡単に不動産価格を知りたい場合には
不動産鑑定士による不動産鑑定評価は公的にも有効なもので、信頼のできる評価です。
しかし、評価に要する期間が比較的長くかかり、費用も高額なので気軽に利用するには難しいこともあります。
そこで、公的な証明書が必要ではなく、所有している不動産の価格をもっと簡単に知りたいという場合に利用できる方法を紹介します。
複数の不動産会社に査定を依頼する
まず、不動産会社に無料の価格査定を依頼する方法です。
会社の規模や営業担当者の経験、店舗の立地などの条件によって査定額に違いが出ることがあります。
そこで、複数の不動産会社に査定の依頼をすることをおすすめします。
タイプの違う複数の不動産会社に依頼をすることで、それぞれの不動産会社の査定額を比較できます。
また、極端に高い査定金額を提示してきた場合などは、単にその不動産会社が契約を取りたいだけの可能性もあるので注意が必要です。
内容を比較したり、レスポンスの早さや対応時の印象なども選択肢の1つとして、信頼できる不動産会社を見つけましょう。
会員制の鑑定システム「東京カンテイ」を利用する
不動産業界でよく使われている有料の会員制鑑定システム「東京カンテイ」を利用する、という方法もあります。
比較的規模の大きな不動産会社であれば、すでに会員になっている可能性が高いので「東京カンテイ」を利用することで、より正確な査定額を算出することも可能です。
「東京カンテイ」は一般の人には使えないシステムになっていますが、ニフティに登録している人であれば一般の人でも一部有料で利用できます。
有料ですが、専門的な鑑定情報を格安で得られるので、利用できる環境の方には便利なサービスです。
単純に査定額を知りたいだけならば、不動産鑑定までする必要はありません。目的により、依頼先を決めましょう。
必要な費用を把握してから不動産鑑定の依頼を検討しよう
不動産鑑定評価は、不動産の価格を知るためにとても信頼のできる方法です。
しかし、鑑定評価を出すためには、多くの時間と費用を要します。
不動産鑑定評価を依頼する場合には、複数の鑑定業者から見積もりを取ったり、費用の相談をするとよいです。
公的な書類として提出する必要がない場合には、簡易鑑定や価格査定を利用することで時間や費用をおさえることが期待できます。
状況にあわせていろいろな方法を選択できるので、自分にあった最適な方法をみつけましょう。
宅建業者と不動産鑑定事務所は、似ているようで全く違う分野の業務を行っています。
通常の売買では不動産鑑定事務所ではなく、宅建業者への依頼となります。
裁判所や税務署に関わってくる場合や、公式な鑑定書等が必要な場合には、不動産鑑定士に依頼しましょう。