日照権について知ろう!トラブルの事例や建築基準法を徹底解説

自分が住んでいる近隣に大きなビルやマンションが建ってしまい、自宅に太陽の光が差し込む時間が減ってしまった。なんていうトラブルを聞いたことないでしょうか?

これらのトラブルに関係する権利に「日照権」というものがあります。

では日照権とはどんな法律なのでしょうか?詳しく解説していきます。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

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日照権とはいったい何か

日照権とは

日照権とは、「自分の建物に対する日照の利益を保護する権利」です。

どういうことか詳しく説明すると、まず家を建てると窓から日の光が入ってきます。

仮に隣に高層ビルが建ってしまったら本来入ってくるはずの光が入ってこなくなってしまいます。そうならないために規制を設けています。

実は日照権という法律は存在せず、近い法律から日照権を解釈しています。

この日照権をめぐって様々なトラブルがありますが、決められた法律がない以上、解釈の余地があります。

日照権に関連するのは建築基準法で定められている「斜線制限」と「日影規制」です。

建物を建てる時に必ず調べなくてはならない情報です。

「斜線制限」と「日影規制」

日照権を解釈するために建築基準法で定められているのが「斜線制限」と「日影規制」です。

それぞれどのように定められているのか解説します。

斜線制限

斜線制限とは、建設予定の土地の周りの道路や近隣土地の日照を保護するために制限をかけるもので、地面から斜線を引いて、その範囲内で建設を認めるというものです。

無制限に家を建てられてしまうと、近隣地域が迷惑してしまうので、とても大切な規制です。

斜線制限は3つあり、それぞれ用途地域によって定められています。

制限の種類 適用用途地域

道路斜線制限

無制限に適用

隣地斜線制限

第一種・第二種低層住居専用地域以外に適用

北側斜線制限

住居専用地域のみ適用

  • 道路斜線制限

道路斜線制限は住居から接している道路の反対側の建物の日照を保護するための制限です。

道路の幅によって建てられる大きさが決められます。

どの地域でも適用されるので、道路がある限り必ず調べます。

  • 隣地斜線制限

隣地に面した建物の高さが20m又は31mを超える場合に制限がかけられます。

この高さは主に高層ビルやマンションに対して適用されるもので、第一種・第二種低層住居専用地域以外に適用されます。

第一種・第二種低層住居専用地域はそもそも10mまたは12mの制限があるので、判断基準になりません。

  • 北側斜線制限

北側隣地を保護するための制限されたもので、日照や風通しを確保しています。

北側の隣地の境界線上に高さを設けて、そこから決められた斜線の範囲内で建築物を建てることができます。

用途地域とは

用途地域とは街の景観を整えるために国が土地の使い方を決めた制度です。

用途地域は多岐に分類されていて、それぞれ役割が異なります。

住居系

用途地域 定義
第一種低層住居専用地域 低層住居に係る住居の環境を保護するために定める地域
第二種低層住居専用地域 主として低層住居に係る住居の環境を保護するために定める地域
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅に係る住居の環境を保護するために定める地域
第二種中高層住居地域 主として中高層住宅に係る住居の環境を保護するために定める地域
第一種住居地域 住居の環境を保護するために定める地域
第二種住居地域 主として住居の環境を保護するために定める地域
準住居地域 道路の沿道として、地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ住居の環境を保護するために定める地域
田園住居地域 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住居に係る住居の環境を保護するために定める地域

商業系

用途地域 定義
近隣商業地域 近隣の住宅地の住民に対して日用品などの供給を行うことを目的とした商業その他の業務の利便を増進するために定める地域
商業地域 主として商業等の業務の利便を増進するために定める地域

工業系

用途地域 定義
準工業地域 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するために定める地域
工業地域 主として工業の利便を増進するために定める地域
工業専用地域 工業の利便を増進するための地域

日影規制

日影規制とは、建物の高さを制限して、日影を作らないようにするための規制です。

地方ではあまりないと思いますが、都内など高層ビルが建つ地域では無造作に建てて近隣住宅に日が入ってこなくなってしまいます。

斜線制限だけでは高さに関して規制していないので、日影規制を設けることにより、近隣の保護を強化しています。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

裁判でも争われる基準の一つに一年でもっとも日が短い冬至の日を基準として、どのくらいの日影ができるかを計測されます。

日影規制は用途地域によって高さが決められています。

第一種、第二種低層住居専用地域

・軒の高さが7mを超える建物
又は
・地下を除く3階以上の建物

商業地域、工業地域、工業専用地域

適用なし

その他の用途地域

軒の高さが10mを超える建物

用途地域の指定のない地域

地方公共団体による

受忍限度とは

日照権が侵害されていてもそれだけで違法というわけではありません。

違法と呼ばれるためにはその侵害が受忍限度を超えるものでなくてはなりません。

受忍限度とは、社会生活を営む限度で我慢するべき限度のことです。

騒音などのトラブルにも適用されていますが、法律で定められているわけではないので、現況判断になります。

建築基準法上問題ない建物は受忍限度の限度を超えているかどうかで日照権の侵害の有無が判断されることが基本です。

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日照権の侵害の判断基準の一例

日照権の侵害の判断基準の一例

裁判などで争われる日照権の侵害の判断は様々な観点から判断されます。

  • 日照の利益が享受できなかった事実
    →どのくらい日影時間があったのか。
  • 享受できなかったことによる建築基準法上の違法性
    →建築基準法上問題ない建物に関しては違法性が認められることはほとんどありません。
  • 近隣住居との比較対象
    →現状経っている他の高層マンションや商業施設との折り合いなど。
  • 被害、加害回避の可能性
    →被害者側の建物や加害者側の建物のどちらかで日照侵害を改善する方法がないかの判断です。
  • 都市計画上の用途地域による判断
    →建築基準法上問題なくても、被害を受けている側の施設が日照権を重要視している場合には、受忍限度を超えるものと判断されることが多いです。例えば幼稚園や病院などの日の光を重視している施設もあります。
  • 当事者間での話し合いがあったかどうか
    →高層マンションや商業施設を建設する際に近隣住民との説明会があったかどうか、また話し合いでどのような対応があったか。

その他、多くの要素を考慮して裁判では判決を行います。

日照権で争われた事例をご紹介

日照権で争われた事例をご紹介

日照権に関するトラブルは全国的に頻繁に行われています。日照権の侵害が認められた事例と認められなかった事例をそれぞれご紹介します。

基本的に日照権は認められないケースが多いです。

それでも受忍限度を超えるものは例外的に建築ができなくなってしまうこともあり、建築主からすれば損害がとても大きいです。

認められたケース

保育園の園児を含めた43人が原告となり、マンションの経営者Yに対して日照権の侵害を訴えて認められた事例です。

そもそも保育園など児童を育成するために必要な施設は校庭の役割など児童の教育上の見地から日照権は普段の事例より厳しく判断されます。

今回のケースでは保育園は園児にとって生活の場であり、教育の場であるとし、学校と異なり学業だけでなく、子供の健全な発達を促す目的もあることから、マンションによる日照は園庭への日影の受忍限度を超えるものだと判決しました。

認められなかったケース①

Xが住んでいる住居の隣地に建設されたマンションによって冬季に全く日が入らなくなってしまい、日照権が侵害されたとしてマンションの所有者に対して不法行為の侵害を訴えた事例です。

この事例はマンション建設前に取り壊した2階建ての建物の時からある程度日照が制限されており、それを踏まえたうえで、Xは現住居を購入しており、また日中は仕事で家に誰もおらず、その時間の2時間の間のみ日照が行われていたことを踏まえて、X所有の建物部分に対する日照の利益はそもそも軽微なものであるため、建築基準法に違反していないマンションは日照権の侵害に値しないと判決しました。

認められなかったケース②

隣地に建てられたマンションによって、Xの住宅のうち最も日影になる場所は午前8時から午後4時頃までの約8時間もの間が日影になり、一日中日影となる状況に陥りました。

しかしそもそもマンションが建つ前から近隣建物により、日影時間が長く、建築基準法上違法がなかったマンションが原因とは言いにくいとのことで、日照の受忍限度を超えていないと判決しました。

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合法なのに訴えが尽きない現状

基本的に建築基準法上で認められている建物は公共の福祉に反していないと判断されるため、日照権の侵害は認められにくいです。

しかし、それでも訴えが絶えないのは、近所の自治体によるマンションの工事などの騒音や景観が悪くなるといった言いがかりも関係しています。

例えば商業施設や高層マンションを建設するときに、近隣地域の住民に対して、説明会を行うことがありますが、初めから攻撃的な態度をとるのは先住民側であることが多いです。

建設を中止させるのではなく、日照を最大限譲歩させる話し合いをするべきです。

まとめ

日照権はそれ単体で定められた法律がないため、解釈にゆだねられる部分が多いです。

どうしても日照権を主張したいのであれば、裁判所に訴えなくてはなりませんが、建築基準法上問題のない建物に対しての侵害の訴えはそもそも却下されることもあります。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

可能であれば訴える前に説明会等でお互い話し合って意見を出し合える環境があればよいですね。

同じ地域で生活をする当事者同士なので、お互い仲良くしていきましょう。

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