
親からの相続、離婚、老朽化、住み替えなど、様々な理由で、所有するマンションを処分したいと考える人もいるでしょう。
人気のエリアや、築浅の物件であれば高く売れる可能性がありますが、立地や老朽化したマンションでは、なかなか買い手が見つからないこともあります。
このように、手放したいけれどなかなか手放せない時はどうすれば良いのか、様々なケースを紹介していきます。
マンションが売れないからといって放置するのは危険!
まず、マンションが売れないからといって放置するのは絶対に辞めましょう。
マンションの所有権は放棄できませんし、誰かに売って所有権を手放さない限り、固定資産税や、管理費、修繕積立金は支払い続けないといけません。
管理費と修繕積立金は、築年数にもよりますが、月に2万~3万程度かかるのが一般的でしょう。
これだけを見ると「特に問題ない」と考える方もいるかもしれませんが、処分するまで支払い続けなければならず、1年、3年、5年と積み重なると、大きな出費になります。
また、年々、金額が上がる可能性もあります。
マンションの空き家は増加傾向
現在、戸建ての空き家が問題視されていて、「空き家バンク」などで少しでも減らそうという動きがあります。
実はマンションにおいても、この空き家の問題が深刻化しています。
その理由の一つに「親からの相続」が挙げられます。
すでに新築したマイホームなどがあれば、実家を相続しても、今の自宅を処分してまで引っ越ししよう、と考える方は多くないでしょう。
また、一人っ子同士の夫婦の場合は、両方の実家が持ち家の場合、ぞれぞれ相続することになり、マイホームと合わせて3軒の不動産を所有することになります。
もちろん夫婦だけで全ての家に住める可能性は低く、どうしても実家の2軒は空き家になってしまいかねません。
戸建ての場合は、建物を取り壊して更地にし、固定資産税だけで土地を維持する事もできますが、マンションはそうもいきません。
更に少子高齢化と人口減少の影響で、根本的な解決策が見つかっていないのが現状です。
マンションを処分すべきケースとは?
マンションはどのような時に処分すべきなのか、具体的に解説していきます。
老朽化
マンションは頑丈に建設されていて、戸建てと比べて築年数の経過にも強くはあります。
しかし、築50年前後になると、事故のリスクなどが高まってきます。
さらに建物の劣化が進めば、なかなか新たな買い手が見つからなくなり、譲渡や売却処分が難しくなってきます。
改築を行わないといけなくなれば、大きな出費となりますし、一部屋ではなく、一棟所有している場合だと、数千万円という費用がかかってしまいます。
少しでも高く売るには、できるだけ早く処分することをおすすめします。
兄弟や親族などで分割相続した
しっかりと話し合った上で、誰かが住み続けるのもありですが、兄弟や親族間で連携が取れていない場合はあまりおすすめしません。
維持費やローンの負担が誰かに偏ってしまえば、揉め事に発展してしまう可能性があるからです。
残念ながら、実家の相続を巡って親族関係に溝ができてしまった、という話はよくあることです。
このような事態を防ぐためにも、早めにマンションを処分して、そのお金を平等に分配した方がいいかもしれません。
離婚時に夫婦名義の場合
夫婦でお金を分担してマンションを購入したのに、万が一、離婚してしまった場合、その後の住宅ローンは、住んでいる人だけが払うのか、分担して払っていくのか、取り決めがややこしくなってしまう可能性があります。
揉めてしまいそうであれば、いっそ処分してしまって1円単位で分けるほうがすっきりするかもしれません。
相続放棄できるが、手続きがややこしい
亡くなった親や祖父母が所有していたマンション。
築40~50年と古く、立地も悪い場合、売れる見込みも低いので相続したくない、という人もいるかもしれません。
結論から言いますと、相続を放棄することは可能です。
しかしマンションだけを相続放棄することはできず、相続した財産すべてを放棄しなければなりません。
貯金や株式、他の土地や不動産など、プラスになりうる財産も放棄しなければなりませんので、注意しましょう。
また、仮に相続放棄した後、遺品にあった宝石など何かしらの財産を貰ってしまうと、相続の単純承認と認識されて相続放棄できなくなるので、気を付けましょう。
なお、相続放棄するかしないかは、原則3か月以内に決定する必要があります。
もし他にも相続人がいる場合、あなたが相続放棄したマンションや貯金などの相続権は、全て他の相続人に移るので、事前に相談することをおすすめします。
自治体への寄付は難しい
売れないマンションを放棄する方法として、自治体に寄付する、という選択肢もあります。
この方法なら、不要なマンションを気持ちよく手放せますし、公共の施設として使ってもらえるでしょう。
しかし現実的には、自治体が物件の寄付を受け取ってくれる可能性は低いです。
物件を受け取ったことで、固定資産税などを自治体が負担しなければならず、使用目的のない物件は、寄付でも受け取ってもらえないでしょう。
特にマンションの一部屋だけとなれば、非常に難しいと思っておきましょう。
古いマンションを処分する方法とは
次に、古いマンションを処分する方法について、具体的に紹介します。
不動産業者に買取を依頼する
買い手が見つからない場合、不動産業者に買取をしてもらう方法があります。
業者としては、マンションを安く仕入れることができますし、リフォームして「掘り出し物件」として高く売ることもできるため、買い取ってもらえる可能性が高くなるでしょう。
「いきなり買取は……」と思う方は、買取保証を行っている不動産会社を探すのも一つの手です。
買取保証とは、最初は仲介で3~6か月売り出して、売れなかった場合は業者が買い取ってくれる方法です。
全ての不動産業者が行っているわけではありませんので、査定をする前に事前に聞いておくとよいでしょう。
納得のいく不動産取引をするためには、信頼できる不動産業者とパートナーを組むことが大切です。良い不動産業者の見極め方や不動産業者の選び方のポイントなどを解説します。また、業者選びとともに重要な営業マンの見極め方についても触れています。
不動産業者を変更してみるのも一つ
どうしても仲介で少しでも高く売りたい場合は、不動産業者を変更してみましょう。
業者ごとにそれぞれの特徴があり「マンションを売買が得意」というところもあれば「古いマンションを売ることが得意」というところもあるので、一社に固執をせずに、まずは話を聞くだけでも良いでしょう。
顧客の多い大手なら買い手が見つかる可能性が上がりますし、地元密着の不動産業者なら独自の情報網を活用してくれるかもしれません。
タイミングをみて、改めて売り出してみよう
半年ほど売り出してみても売れない場合、一旦、販売を中断するのも一つの手です。
中古物件を探す人の多くは、不動産会社のホームページだけでなく、アットホームやSUMMOといったポータルサイトも利用します。
ネット上の物件情報は、新着のものほど目立つ場所に掲載され、人の目にもつきやすいですが、時間が経つにつれて目立たなくなり、成約できる可能性が激減します。
そのため売り続けるより、一旦取り下げて、条件等を見直してから再度売り出してみましょう。
その際、不動産業者を変更することも合わせて検討してみてもいいかもしれません。
サイト上に再び新着物件として表示されれば、成約できる可能性も高くなります。
こちらの記事ではマンションの売却について気になるポイントを解説しています。売却後の注意点についてもまとめているのであわせて読んでみてください。
失敗しないマンション売却のコツを宅建士監修のもとご紹介します。売却の流れや高値で売れる可能性が上がるタイミングや税金、手数料などマンションを売る際に誰もが気になるポイントをわかりやすくまとめました。
まとめ
古いマンションを処分したほうが良いケースや、具体的な処分方法について紹介してきました。
老朽化はもちろん、兄弟間の相続、離婚など、様々なケースでマンションを早めに処分した方が良い状況があります。
ただ、老朽化が激しい場合は、なかなか買い手が見つからないことも事実です。でも、売れないからといって放置することは絶対にやめましょう。
不動産業者による買取を依頼する、一括査定サービスを利用する、価格などの条件を見直しながら再度売り出してみる、など、様々な手段がありますので、上手に活用しながら、早めの売却を目指しましょう。