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「路線価」はその名の通り、道路に面した土地の価格です。国や各市区町村が算定し、土地に対する課税の基準としています。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があり、土地を取得する際の税金や、売却どきの価格にも影響するためチェックしておく必要があります。
路線価の調べ方とともに、目的別でどちらを参照すべきかみていきましょう。
路線価に関する予備知識
まずは「路線価とは何か」という予備知識を入れておきましょう。路線価の種類や、実際の取引価格との関係性について解説します。
一般的な路線価は相続税路線価を示す
路線価は「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類がありますが、一般的に「路線価」といえば「相続税路線価」を示します。
どちらも公道に面した土地の価格であることと、土地に対する税金の計算に使われるという点は共通です。
公道に面した標準的な宅地に対して、1平方メートルあたりの時価を評定し、所有する面積に応じてそれぞれの課税額が決定します。
なお、相続税路線価の決定は国が行い、公示するのは国税庁です。毎年1月1日に、地価公示価格・売買実例価額・不動産鑑定士による鑑定などを基に土地の評定が行われ、価格が更新されます。
固定資産税路線価は各市町村が決定する
相続税路線価は国が決定するのに対し、固定資産税路線価は各市区町村が決定します。ただし、東京23区に関しては東京都の決定です。
固定資産税路線価は、原則として3年間据え置きとなっています。直近での評価替えが平成30年度であったため、次回は令和3年度です。
しかし、地価が大きく変化した場合は、3年間に満たない場合でも修正が行われます。
固定資産税評価額と固定資産税路線価とは同じではない
土地や建物を持っている人は、毎年「固定資産税評価額」が記載された納税通知書が届くはずです。
この「評価額」と「路線価」は同じではありません。固定資産税評価額は、土地は土地の評価額、建物は建物の評価額がつられます。
また、路線価はあくまでも公道に面した土地の価額ですが、固定資産税評価額は「無道路地」も対象です。
「固定資産税路線価」は土地の売買する際に、取引価格を調べるための目安の1つとして使います。また、購入しようとしている土地の固定資産税がいくらぐらいになりそうなのか、おおよその目処をつける際にも使うことがあります。
「宅地」の範囲は広い
「宅地」の認定基準は「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」であり、必ずしも住宅地というわけではありません。
また、土地全体の状況や使用実態から、宅地に認定されるものもあります。
建物・施設名 | 地目の認定基準 |
---|---|
テニスコート・プール | 宅地に接続するものは宅地、それ以外は雑種地 |
ドーム型野球場 | 全部を一団として宅地 |
遊園地・運動場・野球場・ゴルフ場など | 主たる利用が建物敷地なら宅地、建物が付随的なものに過ぎなければ雑種地 |
競艇場 | 事務所・観客席などの永久的設備と認められる建物敷地は宅地、その他は雑種地 |
ガソリンスタンド | 宅地 |
高架下にある土地 | 建物の敷地については宅地 |
工場または営業場 | 接続する物干し場やさらし場は宅地、その他は雑種地 |
公示されるのは7月1日
相続税路線価の価格調査基準日は1月1日ですが、公示は集計などが完了した後の7月1日となっています。この時期のずれには注意が必要です。
公示日より前の1〜6月に相続した場合でも、7月1日に公示される路線価が相続税の計算に適用されます。よって、公示されている前年の価格で計算した相続税額よりも、実際は上下する場合があります。
これは、相続は、被相続人(故人)の死亡日から始まり、効力が生じるとされているからです。つまり、相続登記が完了した年ではなく、被相続人が死亡した年の路線価が、相続税計算の基準となります。
被相続人の死亡 | 相続登記の完了 | 適用される路線価 |
---|---|---|
2018年12月 | 2019年1月 | 2018年1月1日評定分 |
2019年1月 | 2019年1月 | 2019年1月1日評定分(2019年7月1日公示) |
2019年7月 | 2019年7月 | 2019年1月1日評定分(公示済) |
価格の目安は地価公示価格が基準
さて、ここまで路線価について見てきましたが、ここで取り上げるのは「地価公示価格」です。これは路線価よりも、実際に民間で取引される土地の売却額(実勢価格)に近い額となっています。
路線価と地価公示価格に差が出るのは、その価額を算定する目的の違いです。
路線価は税金を計算するためのものであり、実勢価格より高くならないように配慮されています。
一方、地価公示価格の目的は、正確な土地の価値を鑑定評価することです。評定は不動産鑑定士によって行われ、公共事業を含めた土地取引の基準となる価額として使われます。
土地の売却について価格を参考にしたい場合は、この地価公示価格を見れば実勢価格の参考になります。しかし、この地価公示価格は調査にコストがかかるため、路線価よりも調査地点が少なく都市部限定です。
地価公示価格を評定する対象ではない土地でも、路線価がわかればおおよその計算はできます。相続税路線価は8割程度の評価、固定資産税路線価は7割程度の評価とされています。
土地価格の変動の傾向がわかる
路線価を見れば、土地価格の変動の傾向がわかってきます。2019年7月1日発表分までを見ると、全国平均は前年比1.3%増です。
東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏と大阪府は6年連続、愛知県は7年連続で上昇しています。ここ最近の上昇が著しいのは沖縄で、2019年公示分は前年比8.3%増、2018年と合わせて2年連続1位の上昇率です。
さらに細かな地区で過去の路線価を比較すると、その上昇率は50%に至るところもあります。変動が激しかった地域に何があったのかを調べれば、プラス・マイナス要因が見えてくるはずです。
大阪の路線価の調べ方
では、本題の大阪の路線価の調べ方について見ていきましょう。インターネットを使えば自宅で簡単に調べられます。
国税庁の路線価図のHPにアクセスする
相続税路線価は国が決定するため、大阪に限らず国税庁のホームページから確認できます。毎年7月に公開される「路線価図・評価倍率表」にアクセスしましょう。
- トップ画面の地図から「大阪」をクリック
- 次ページの「1.土地関係」にある「路線価図」をクリック
- 市町村を選択
- 地区の一覧から路線価図のページ番号を選択
- 路線価が記載された地図が表示される
ページ番号がわからなくても、とりあえず選択してみましょう。各地区のページ数はそれほど多くありません。路線価の見方は次の「路線価の見方」で詳しく解説します。
また、市町村を選択したあとの画面の「ご利用方法」の中に「この市町村の索引図ページへ」というリンクもあります。
これを選択すると、その市全体の地図が表示され、特定の地区を選択すれば地区全体の路線価図が表示されます。ページ番号がわからず、何枚も見るのが手間なときは便利です。
過去6年間分も調べられる
トップページの上部に、過去6年分のタブが用意されています。都道府県を選択してからだと過去分へのタブがなくなってしまうため、過去の路線価が見たいときはトップページから選択し直しましょう。
資産評価システム研究センターのHPでも調べられる
「全国地価マップ」という、一般財団法人資産評価システム研究センターのホームページからも、路線価の閲覧が可能です。ここでは相続税路線価だけでなく、固定資産税路線価・地価公示価格も掲載されています。
- トップページから「相続税路線価等」を選択
- 「全国地価マップご利用にあたって」を読み「同意する」をクリック
- 郵便番号または住所を入力して検索、あるいは地図や住所一覧から探す
- 路線価図が表示される
国税庁のホームページと比べて、画像ではなく地図アプリのように画面移動・拡大縮小できるのがメリットです。
上昇気流にある地域もある
大阪は6年連続で上昇中ですが、その中でも新大阪・江坂・ベイエリアの上昇率が高くなっています。2019年分では、大阪市淀川区宮原3丁目市道歌島豊里線(新大阪駅前ニッセイ新大阪ビル)が前年比38.9%増です。
おおさか東線の開通や、空港までのアクセスがよいこと、リニア中央新幹線の延伸といった今後の開発予定があり、オフィスやホテルの需要が高まっています。このような要素は地価上昇の大きな要因です。
その他、住宅地としても人気の吹田市では、江坂駅一帯にあたる豊津町の内環状線沿いが36.4%、豊中市新千里東町の北大阪急行千里中央駅前が29.9%上昇しています。
2025年には大阪万博の開催も予定されているため、此花区など周辺エリアが上昇傾向です。
万博開催地(夢洲)にシャトルバスで行くことができる街には、国内外の来場者を見込んだ宿泊施設などが建てられているようです。現在も、まだインバウンドの影響が強いため、大阪の主要部の土地やテナント料は上昇していますが、周辺の住宅地においては、それほどの万博開催の影響はないようです。
路線価の見方
路線価図の見方を解説します。特殊な書き方になっているため、最初はわかりづらいかもしれませんが、1つずつ説明をしていきます。
表記された数字を元に計算する
路線価は公道の部分に記載されています。たとえば、大阪市淀川区宮原三丁目であれば、その周辺の公道に記載されている路線価は「740C」「1,310C」「820C」などです。
この数字は1平方メートルあたりの金額で、1,000円単位になっているため、「740」は1平方メートルあたり「74万円」となります。
仮に、「740C」と書いてある公道だけに面した土地を60平方メートル持っているなら、74万円×60で4,440万円が、その土地の路線価の目安です。
不整形地の評点算出法の特例
「目安」としたのには理由があり、これは整地されている土地の場合だからです。
都市部ではあまり見られませんが、土地の境界のラインが歪な場合は、不整形の程度と位置、地積の大小に応じて不整形地補正率を乗じて路線価額を計算します。所有する土地が不整形地の場合は確認しましょう。
路線価が異なる2つ以上の公道に接している角地などの場合
路線価が異なる公道に面している角地などについては、計算が少し難しくなります。どちらか高い方・低い方で計算するのではなく、奥行きに応じた補正率と影響加算率を乗じる計算です。
奥行価格補正率・影響加算率は路線価図に示された地区に応じて定められているため、調整率表を確認した上で計算をする必要があります。
数字の横のアルファベットは借地権の割合を示す
次に、先ほど出てきた「740C」などの「C」の部分についてです。このアルファベットは借地権の割合の評価を表しています。
借地権とは、自分の建物を所有するために他人の持っている土地を借りて利用する権利のことです。
土地の所在ごとに国税等が借地権割合を設けており、Aであれば90%が借地権割合、Gなら30%、記載なしの場合は借地権割合がないということです。
- A:90%
- B:80%
- C:70%
- D:60%
- E:50%
- F:40%
- G:30%
このアルファベットは、自分の土地に自分の家を建てて住むといった自家用地であれば計算する必要はありません。しかし、人に借りている土地や、貸している土地では重要です。
740Cの場合、借地権割合は70%であるため、借地人の土地評価額は1平方メートルあたり74万円の7割にあたる約52万円となります。そして、貸主の土地評価額は約22万円です。
借地権割合90%の「A」評価は日本有数の一等地
A評価がついている土地は、日本の中でも銀座・東京駅周辺のオフィス街といった飛び抜けた一等地のみです。80%のB評価は、大阪駅・横浜駅などの主要な駅前商業が該当します。
住宅地であればC評価でもかなり高い方で、都内の高級住宅地です。大阪の一般的な住宅地であれば、借地権割合60%のD評価が多いです。
土地の売却前に調べる場合の路線価
土地の取得または所有によって、相続税や固定資産税による支出が増大することもあります。土地の活用が難しそうであれば、売却を検討しましょう。売却前に路線価を調べるにあたってのポイントを解説します。
売買価格の相場を調べることができる
相続税路線価は、民間の売買価格(実勢価格)と近い金額となる地価公示価格の8割が目安です。
つまり、路線価に1.2を乗じれば売買価格に近い金額がわかります。(実勢価格は公示地価の1.1倍〜1.2倍とされています。
実際の取引の平均的な価格も、路線価に対して120〜140%程度です。あくまでも相場であり、確実にその価格で売却できるというわけではありませんが、仲介の不動産会社の見積を比べる際には参考になります。
公示価格とかけ離れると課税対象になる可能性がある
先にも述べたように、地価公示価格は正常な土地取引の基準として評価される価格です。この金額からかけ離れた金額で売買が行われると、通常の売買以上の課税がかかる恐れがあります。
最たる例は「みなし贈与」です。相続税を回避するために、事前に親が子へ土地の売却を行い、その金額が地価公示価格よりもあまりに安いケースが当たります。
たとえば、親が死亡する前に1,000万円の土地を子に10万円で売却すれば、相続税がかからないということです。逆に、子が安い土地を買って親に高い金額で売ることで実質現金を譲渡することもできてしまいます。
このような事態にならないよう、公示価格からかけ離れた取引は「みなし贈与」といって贈与税の課税対象になります。
税率だけで考えれば贈与税の方が相続税よりも高いため、地価公示価格が分からない土地の場合でも路線価から計算して対処しましょう。
売却に関する疑問はプロに相談しよう
路線価から計算した結果、思いのほか土地が高く売れそうな見込みがあったり、税金を考えると売却してしまいたいこともあるでしょう。買い手を自分で探すのは大変なため、プロに相談するのがおすすめです。
大阪の路線価が上昇の地域は売りどきかも
新大阪・江坂・ベイエリアといった路線価が上昇中の地域の土地を所有しているなら、今が売りどきである可能性が高めです。売りどきを逃さないように、万博開催、そして万博開催後の大阪の地価の動きを細かく注視しましょう。
仲介の不動産会社に相談すると、見積もりを査定してくれます。その査定額の段階から高額がつけば、その価格を基準に売り出すため最終的な売買価格も高くなりやすいです。
また、見積もりを出してもらったからといって、すぐに不動産会社と媒介契約を結ばなければいけないというわけではありません。不動産会社に依頼して買い手を募り、最も高い金額で申し出た買い手に売却することも可能です。
売り出し期間に余裕がある方が買い手がつきやすいため、路線価上昇中のエリアなら早めにプロへ相談しておきましょう。
売り出し期間に余裕があれば、より高く買ってくれる人を見つけやすくはなります。その反面、「もっと高く買ってくれる人が現れるかも」と欲を出して、売りどきを逃してしまうという失敗にもつながります。
いくらで売りたいのか、いくらなら売れそうなのか、いくらで売れれば満足なのか、それぞれについて不動産会社の担当者と一緒に見極める必要があります。
一括査定サイトにアクセスする
路線価から売却額の相場がわかっても、自分で知り合いに声をかけたり、インターネットを通じて買い手を募集することは難しいものがあります。
しかし、不動産会社に依頼すれば、それだけで完璧というわけでもありません。不動産会社によって、抱えている見込み客の層と数が異なるからです。
たとえば、商業用地としての需要が高い土地なら、住宅用の土地を求める見込み客が多い業者より、オフィスなどの建設用地を求める見込み客が多い業者の方が高く売れやすくなります。
大阪の路線価を調べてみよう
土地の価格が知りたいときは、細かな地区ごとで確認できる相続税路線価を調べてみましょう。路線価に1.2を乗じると、その土地の実勢価格に近い金額がわかります。
路線価を基にした金額を参考に、不動産会社に査定を依頼しましょう。
不動産会社を選ぶときは、3~5社ほどに査定を依頼した上で比較をし、自分の希望に近いところを見つけましょう。。
路線価は、相続税や固定資産税の課税金額を算出するときに基準となる土地の評価額です。路線価を用いた計算方法を知っていれば、気になる土地の価格を簡単に調べることができます。この記事では東京の路線価の調べ方や、路線価を元に計算する方法を具体的な例をあげて紹介します。