取引事例比較法とは?計算式や査定方法についてわかりやすく解説

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「取引事例比較法ってどんな査定方法?」
「取引事例比較法ではどんな計算で価格を求めるの?」

取引事例比較法は、不動産の鑑定手法の1つで一般的な査定価格の計算方法です。

不動産の売却を考えているのなら、査定方法についても知っておきましょう。

ここでは、取引事例比較法について、取引事例比較法の査定手順や計算方法、取引事例比較法のメリット・デメリットについて解説します。

取引事例比較法を学んで、納得できる不動産売却をしましょう。

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取引事例比較法とは

取引事例比較法とは、不動産の価格を求める方法の1つです。

不動産の価格を決めるときには、好きに価格を決めるのではなく共通した価格計算方法を使って決められます。

不動産の価格は、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」で求めることが一般的ですが、複数の方法を使って多角的に決めることもあります。

ここでは、不動産鑑定方法の1つである取引事例比較法について、原価法や収益還元法についても解説します。

取引事例比較法とは

取引事例比較法とは、売却したい不動産と類似した物件の取引事例を参考にして価格を査定する手法のことです。

国土交通省が公表している不動産鑑定評価基準には下記のように記されています。

「取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を比準価格という。)。

取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。」

引用:国土交通省 不動産鑑定評価基準

取引事例比較法は、過去の取引事例を参考にして価格を査定するので不動産の市場性に着目した手法であるといわれ、土地や区分マンション等の価格を求める際に用いられます。

取引事例比較法では、まず類似物件の取引事例を収集して標準値の単価を求めます。

さらに、事情補正や時点修正を行なうなど、その土地の特性を比較した上で不動産価格を決定します。

取引事例比較法は、過去の取引事例を参考に価格を決定する方法なので、類似する不動産が売買された事例がなければ正確な価格が求められないので注意しましょう。

取引事例比較法以外の査定方法

「取引事例比較法」以外の査定方法には、「原価法」「収益還元法」があります。

それぞれの特徴について解説します。

原価法

原価法とは、不動産の再調達原価をもとに対象不動産の試算価格を求める方法です。

原価法では、今建っている建物を取り壊したと仮定して、全く同じ建物を建て直した場合にいくら費用がかかるかを計算して価格を求めます。

建て直しのための原価を再調達原価とよび、そこから経過した年数に応じて価値が低下していれば低下分を差し引き、リフォームなどで価値が上がっている場合は価格を上乗せします。

原価法は建築費等の費用から算定するので、費用性に着目した手法であり建物の査定によく用いられる査定方法です。

原価法について詳しく知りたい方に向けて、「原価法で査定するメリットや計算方法」について詳しく解説しています。

収益還元法

収益還元法は、その不動産が将来どれくらいの利益を生み出すのかをもとに査定する方法です。

収益還元法は、さらに直接還元法とDCF法に分かれています。

直接還元法では、一定期間の純収益を投資利回りで割って評価額を算出し、DCF法では投資対象不動産の保有期間中に得られる純収益を現在評価額に割引計算した額と、保有期間終了時の不動産売却によって得られる予想額を、現在評価額に割り戻した額との合算で算出する方法です。

収益還元法は、不動産が生み出す利益から価格査定する方法で、利益性に着目した手法なので、投資物件の価格を求めるのに利用されます。

収益還元法は日本ではあまり普及していませんでしたが、海外では一般的な評価法で、「不動産評価のグローバルスタンダード」と呼ばれています。

今後不動産投資が広がるにしたがって、収益還元法を用いて査定をするケースも増えると考えられています。

収益還元法について詳しく知りたい方に向けて、「収益還元法の算定方法や計算方法」について詳しく解説しています。

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取引事例比較法による査定手順

取引事例比較法は土地やマンションの査定に使われる方法で、不動産売却が活発な地域では一般的に用いられます。

ここでは、実際の取引事例比較法での査定手順について解説します。

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実際の成約事例を選ぶ

取引事例比較法では、実際の成約事例選びが大切です。

正確な査定のためには、より近い条件の成約事例を見つけ出す必要があります。

まずは、評価対象となる不動産の近隣の地域などで類似する不動産が売買された事例を収集します。

マンションの査定であれば、同じマンションの成約実績があれば最も信頼できる価格基準になりますが、ない場合は近隣で条件の似た成約事例から探すことになります。

成約事例を探す基準は下記の通りです。

  • 半年以内に成約している
  • 立地条件が一致している
  • 最寄り駅からの距離が同じ
  • グレードや規模が同じ
  • 間取りや平米数が似ている
  • 築年数が近い
  • 接道条件が似ている

上記の条件がそろう成約事例を数件ピックアップして参考物件とします。

比較するべきではない特殊な取引を除く

参考物件をピックアップしたら、その中から特殊な取引を除きます。

特殊な取引とは、「売り主が早く現金化したいから売り急ぎをしたため相場より安く売却された物件」のように、相場価格から大きく離れた価格で取引された物件のことです。

取引事例比較法を用いる場合は、比較する成約事例の価格によって査定額が左右されるので、特殊な取引事例を省くことが鉄則です。

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条件について判定をする

特殊な取引を除いた成約事例をピックアップしたら、それぞれの条件について判定を行います。

不動産では全く同じ条件のものは存在しないので、それぞれの条件の違いを考慮して正確な価格を査定します。

具体的には下記のような条件を判定します。

  • 交通・立地条件
  • 周辺環境
  • 日当たり
  • 内装状態
  • 管理体制(マンションの場合)
  • 敷地・共用部分の状況

査定価格を出す

最後に、評価対象となる不動産と収集した事例を比較し査定金額を出します。

この取引事例比較法で算出された価格のことを「比準価格」といいます。

比準価格は下記の式で求められます。

比準価格 = 取引事例の価格×事情補正×時点修正×標準化補正×地域要因比較×個別要因比較

取引事例比較法では、このような手順で比準価格を算定しています。

取引事例比較法の計算方法

取引事例比較法を使って、実際の土地の価格を計算してみましょう。

査定したい土地が70㎡の土地だと仮定して計算していきます。

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取引事例の価格

まずは、周辺の土地の成約事例から類似する土地を探します。

半年前に100㎡の土地が3,000万円で成約していた場合、その土地の価格は3,000万円÷100㎡で、1㎡あたり30万円と計算できます。

今回は査定したい土地が70㎡なので、30万円×70㎡で2,100万円となります。

比較対象の土地が複数ある場合は、複数の土地の平均価格を求めて取引事例の価格を算出します。

事情補正

取引事例比較法では、正確な価格を算出するために事例の事情補正を行います。

事情補正とは、取引事例に相場と違う価格で売却された事情がある場合には、その事情分を補正し適正化することです。

不動産売却では、「多少安くなってもいいから早く現金が必要なのですぐに売りたい。」「相場よりも高くてもいいので、この土地が買いたい。」というような「売り急ぎ」や「買い進み」という特殊なケースの物件が存在します。

例えば、売り急ぎによって相場より2割高い価格で販売された物件があれば事情補正率を80%考慮します。

100㎡の土地が3,000万円で成約していたが、売り急ぎで2割程度安く売却された場合だと、3,000万円×(100÷80)で計算をして3,750万円と価格補正されます。

特殊な事情があり事情補正が必要な物件は比較に含めないことが原則ですが、成約事例が少ない地域などでは事情補正をして算出することもあります。

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時点修正

取引事例比較法では、今の取引価格と成約価格が決定した時点が異なるのでその間の価格水準に変動がある場合、時点修正を行います。

例えば、対象となる不動産の価格と市場の価格と照らし合わせ、値下がりしていた場合には10%程の減価をすることもありえます。

100㎡の土地が3,000万円で成約した取引事例を基準として、市場価格と照らし合わせると10%低くなっていた場合、3,000万円×90%で計算をして2,700万円に時点修正されます。

一方で、周辺相場が10%程度値上がりしていた場合は、3,000万円×110%で3,300万円に時点修正されることもあります。

マンションであれば、経年劣化で価値が下がることも考慮して時点修正を行います。

標準化補正

取引事例比較法では、土地の形などを考慮し、標準的な土地を設定して比較を行うことを標準化補正といいます。

例えば、査定したい土地が変形地である場合は、整形地よりも条件が劣るので5%程度低くなる場合は標準化補正されます。

100㎡の土地が3,000万円で成約した取引事例を基準として、変形地であるため5%標準化補正を行った場合、3,000万円×95%で計算をして2,850万円となります。

一方、査定地が角地で、中間地である取引事例よりも条件が優れていて5%の価値が高まる場合は、標準化補正率を105%で計算し、3,000万円×105%で3,150万円と価格を補正します。

土地の形や特徴がそれぞれ違うので、査定地の条件を考慮し補正して比較する必要があります。

地域要因の比較

取引事例比較法では、査定したい土地と取引事例の土地での地域要因を比較して価格を算出します。

査定地と取引事例が近隣地域ではない場合は、比較をして算定する必要があります。

例えば、査定地は交通量が多い地域であり、取引事例よりも条件が10%劣っている場合は、地域要因格差率を90%で計算します。

100㎡の土地が3,000万円で成約した取引事例を基準として、査定地は交通量が多い地域なので地域要因格差率を90%で計算すると、3,000万円×90%で2,700万円となります。

一方、査定地は落ち着いた住宅街エリアで、取引事例地よりも価値が10%優れていると判断された場合は、3,000万円×110%で3,300万円と計算されます。

地域によって街路条件や環境条件が異なることから、地域要因を比較して査定する必要があるのです。

個別的要因の比較

取引事例比較法では、個別要因を比較して価格を算出します。

個別要因とは、不動産が保有している個別の要因で面している道路の幅員や駅からの距離、日当たりなどの査定地の特有の要因を考慮して算定されます。

例えば、査定地は駅から徒歩15分、取引事例地が駅から徒歩5分の立地にあり個別的要因が5%劣る場合は、個別的要因格差率を95%で計算します。

100㎡の土地が3,000万円で成約した取引事例があり、査定地は駅から徒歩15分で個別的要因格差率を95%で計算すると、3,000万円×95%で2,850万円となります。

なお、日当たりがよく好条件な土地であれば価値を上乗せして算定されることとなります。

このように不動産個別の要因を考慮して、総合的に査定価格が決定されます。

取引事例比較法のメリット

取引事例比較法のメリットは、取引事例を数多く集めることで精度の高い査定価格が算出できることです。

過去の取引価格の事例データを参照にしているので、実際の相場に近い価格を基準にしています。

また、査定物件特有の要素を客観的に補正しているので、より正確な査定価格を出すことができることが最大のメリットです。

取引事例比較法では、成約時期が近い類似事例のデータを集めることがポイントになります。

近隣地域で類似物件の取引事例を多く収集できる場合、より正確な査定価格を算出することができます。

実際に成約した価格をもとにしているので、精度の高い査定額が算出できるのです。

取引事例比較法のデメリット

取引事例比較法には、メリットだけでなくデメリットもあります。

ここでは、取引事例比較法のデメリットについて解説します。

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事例が少ないと適正な査定ができない

取引事例比較法では、参考となる取引事例が少ないと適正な査定ができないデメリットがあります。

近隣地域に査定したい物件に似た物件がない場合、不動産会社の判断で査定されてしまうため査定価格に差が出る可能性が考えられます。

上述の通り、取引事例比較法では、参考にする取引事例地の選定が重要になります。

不動産売買が活発でない地域の場合は、取引事例が少ないため注意が必要です。

また、どのように補正するかの判断も不動産会社によって異なるため、不動産会社の主観によって査定額に影響が出る可能性もあります。

不動産会社に査定を依頼する場合は、どのような物件を取引事例に選んだのか、どのように補正したのかを納得できるまで説明してもらうようにしましょう。

一戸建ての査定には向いていない

取引事例比較法のデメリットは、一戸建ての査定には向いていないことです。

一戸建て物件は、マンションと比べると内装や間取り、建築費などに差があるため比較することが難しいのです。

あくまで客観的に不動産の価値を判断するため、物件に対するデザインやこだわりが価格に反映されません。

隣り合った同じ大きさの一戸建てが2件あった場合、高い建築費をかけてデザインに拘って建てていたとしても、隣の家と同じ査定額になってしまう可能性もあります。

建物部分も取引事例比較法で求めることは可能ですが、建物は築年数やデザインなどに差があるため、適切な価格を求めることは難しいと考えられています。

そのため一戸建ての査定をする場合は、土地部分は取引事例比較法で査定し、建物部分は原価法で求めることが一般的です。

一戸建ての売却を検討している方に向けて、「一戸建てを売却する際の注意点や高く売るポイント」について詳しく解説しています。

不動産査定なら一括査定サービスがおすすめ

取引事例比較法は、不動産の鑑定手法の1つです。

類似物件が多ければ多いほど正確な査定額が算出できるので、マンションや土地の査定に多く用いられる方法です。

不動産の売却は、高額となるので信頼できる不動産会社に査定を受けることが重要です。

不動産の査定を考えるのなら、多数の不動産業者に一括で査定依頼ができる一括査定サービスの利用を検討しましょう。

不動産無料査定サイトでは、不動産会社に個別で依頼をする手間がかからない上に、数分程度で複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができます。

不動産売却では、相場価格を知るために複数の不動産会社に査定依頼をすることが大切です。

不動産査定サービスを利用して失敗しない不動産売却を目指しましょう。

ここでは、代表的な不動産一括査定サイトを紹介します。

HOME4U

HOME4U不動産一括査定

出典:HOME4U

NTTグループの会社で、国内初の不動産一括査定サイトとして2001年に開設され、累計35万件以上の売却査定数を誇る老舗サイトです。

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HOME4Uの評判や口コミに関しては、下記の記事で詳しく紹介します。

【PR】SUUMO

SUUMO不動産売却一括査定

出典:SUUMO

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出典:イエウール

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