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コンスタントに毎月の家賃収入が得られるアパートは、投資目的にも優れた物件です。
定期的なメンテナンスによる維持管理や運営は、もちろん手間もかかりますが、継続した入居者が見込める地域では安定的な利益を生み、サイドビジネスにも適しているでしょう。
ただ、当初は順調な収入源としてあてにしていた賃貸物件も、やがては建物や設備の老朽化、デザインや内外観の陳腐化、そして地域事情の変化などの波がやってきます。いざ売りに出そうとしたときに、新築物件との競争に負けて買い手が見つからず、売却額が希望価格を大きく下回ることもあるでしょう。
時間とともにその価値が下がっていくのは止むを得ませんが、マイナス収支になってしまうようでは、セカンドライフに向けて大切な財産を上手に活かすこともできません。そこで重要となるのが、アパートを売却するためのプロセスと必要な費用や書類に関する知識です。
この記事では、アパート売却にかかる手順や相場の調べ方、売却にかかる費用や必要な書類について詳しく解説します。
また、安心して任せられる不動産会社の選定ポイントについても取り上げました。
アパートを売却する方法と準備
不動産会社にお願いしたほうが良い理由として、売手と買手の間に入ってさまざまな手続きや交渉を行ってくれます。
売買契約に至るまでのサポートはもちろんのこと、物件の査定まで無料で行ってくれる業者も少なくありませんが、買手との取引が成立した時点で手数料が発生します。
もちろん不動産会社の仲介を依頼せずに、個人間のみで取引を行うことも法律上は問題ありません。
しかし、個人が集められる情報量はプロに比べれば少なくなりがちで、条件に合った買主を見つけるためのネットワークも限定的です。
不動産売買における法律や税制、契約手続きなどは非常に複雑であり、頻繁に行われる制度の改正はさらに仕組みを煩雑にしています。
個人間の契約では、これら法的な側面への認識があいまいなまま契約を行ってしまう可能性もあり、本人も気づかないうちに契約違反などのトラブルを招くことにもなりかねません。
仲介業者に依頼して売却する
まずは不動産会社に査定を依頼し、査定結果を吟味して仲介に入ってもらう業者を選びましょう。
アパートの売却では、この仲介してくれる業者を選ぶプロセスが最も重要です。
物件を扱うプロとはいえども、戸建ての売買を中心に手掛けている業者では、アパートを1棟まるごと売却する実績は不十分かもしれません。
そうした会社に依頼してしまうと、買手がなかなか見つからなかったり、希望する売却価格に届かなかったりという可能性があります。
また、経験値の違いは買手を探すマーケットの違いや、買主に対する交渉手法の違いになって表れます。
したがって、アパート売却の相談を行う際は、まず、収益物件専門の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
あなたの所有する物件の長所や短所、現在の市場の動向を総合的に判断して適切な査定額を算出してくれるはずです。
収益物件専門の不動産会社は大抵チラシや看板に「収益」「事業用」「投資用」という文字を使用しています。逆に言えば、賃貸系・FC系ではない業者です。
売却のタイミングが重要
アパートに限ったことではありませんが、不動産の売却において重要なのはタイミングです。
経済や周辺地域の状況によって上下する市場での価値はもとより、買主のニーズと売り出しの時期が一致することも重要となります。計画的な準備が大切です。
価値が下がる前に売るのが鉄則
アパートの価格を決める要素はさまざまですが、最も大きく影響するのが築年数です。
アパートは、軽量鉄骨造または木造であることが多く、マンションなどの集合住宅に比べると劣化しやすいと言えます。
特に、立地条件が悪く入居率も良くないアパートの場合は、設備の劣化が進みやすく、築20~30年も経過すると売れる可能性は極端に低くなります。
経年劣化が進んで、価値が下がってしまう前に売ることが理想ですが、まずは市場動向の調査が先決となります。
不動産価格を左右する要素もさまざまで、最近では、東日本大震災からの復興や2020年に行われる国際競技大会特需などによる景気回復が、アパートの価格を押し上げてきました。とはいえ、相場下落のリスクは常につきまといます。
最近注目されているのが、2022年問題です。市街化区域の農地である生産緑地は、生産緑地法により固定資産税が農地並みに軽減されたり、相続税の納税猶予を受けられるメリットがありました。
2022年に同法が有効期限を迎えたときには、多くの農業従事者が高齢化していることもあり、農地を手放すことが予想されます。
そうなると、都市近郊に住宅やマンションなどの用地として転用できる土地が一気に増えることになり、結果として価格が下落する可能性がささやかれています。
不動産売買の中で2022年問題という言葉を聞いて、どんな問題のなのか気になっていませんか。実は不動産を売りたい人にとっては、長期的にチェックしていきたい問題のひとつです。2022年問題で不動産売買に起きる影響とその対策を立場別に解説します。
また、人口減少によって需給バランスが崩れることも懸念材料です。
都市部には新たな居住スペースが残っていないため、集合住宅のニーズはこれからも伸びることでしょう。
もちろん新築ほど人気があり、早期の契約に結び付くので、不動産会社は次々に新しいアパートを建て続けます。
戸数が増え、集合住宅の空室数が増えていくと、既存のアパートの価値はどんどん下がっていきます。
こうしたリスクを考えると、好況な今のうちに高い価格で売却してしまう方が良いと言えます。
あらかじめ計画を立てておく
アパート経営が軌道に乗っている間は、なかなか売却の計画を考えることが無いかもしれません。
しかし、その間にも経年劣化は進み、周辺事情も変化します。
あらかじめ売却時期や希望売却価格の計画をたてておくことで、長期的な資金計画も立てやすくなります。
また、売却にも必要な費用があります。その他、必要な書類をあらかじめ調べておいたり、売却がスムーズに進まなかった場合の対策を考えておくなど、大まかなロードマップを用意しておくことをおすすめします。
アパートの売却相場を知る
相場を知ることは、不動産売買に限らずあらゆる商いの基本です。
リアルタイムで、かつ、周辺事情に即した相場を確認するためには、過去の取引結果のほかにもインターネットを利用した一括査定なども併用しましょう。
インターネットでデータを検索する
最近の取引事例をベースにしたアパートの売却相場を知るためには、周辺の取引事例を参考にするのが最適です。
過去の取引事例を参照する手段のひとつがレインズ(Real Estate Information Network System)です。
レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた、東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4つの地域で運営されている不動産流通標準情報システムのことです。
レインズには、売主から依頼された不動産情報が登録されており、機構に会員登録をしている業者であれば閲覧できますが、個人では利用することができません。
個人で調査をする際におすすめできるのが、国土交通省が展開する土地情報システム「不動産取引価格情報検索」です。
不動産取引価格情報検索システムは、これから売却しようとしている物件がどのくらいの相場で取引されているのかを知る指標となります。
操作も簡単で、取引が行われた時期を選択したうえで、土地・建物などの物件の種類を選択し、住所や路線、駅名などから絞り込みを行なうだけです。検索結果には、取引価格(成約価格)が一覧で表示され、取引総額のほかにも最寄駅からの距離や間取りなどが表示されます。
なお、このサイトに掲載されるのは、国土交通省が取引当事者に実施したアンケート調査の結果による情報のみですので、すべての成約事例ではありません。
また、手間がかからず一度に多くの情報を得られる方法として、一括査定サイトの利用も考えられるでしょう。
ネット上で自分の物件情報や個人情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に無料で査定してもらえる点が魅力です。
個別に不動産会社に依頼を行うよりも格段に効率よく査定結果を得られるうえ、各社の比較を通じて自分に合った不動産会社が見つけやすくなるメリットもあります。
相場の計算方法の種類
査定価格の求め方として、収益還元法、原価法、取引事例比較法の3種類があります。
アパートの相場計算には、主に収益還元法が用いられることが多く、その物件が将来生み出すであろう収益を計算して物件価格が決まります。
投資用不動産に適した計算方法であり、一般の住宅などでは用いられません。
計算式は以下のとおりです。
(年間収入-年間諸経費)÷還元利回り(対象物件から得たい利回り) |
年間収入は、いわゆる家賃による収入のことです。
年間諸経費は、管理費・修繕費・補修費・固定資産税など、物件を保守運用していくにあたって必要となるすべての費用が含まれます。実例を用いて計算してみましょう。
賃料による年間収入が300万円、年間諸経費として55万円、還元利回りとして8%を見込んだとします。計算式に当てはめてみると、次のようになります。
(300万円-55万円)÷8% |
これにより、約3,063万円の査定価格を求めることができました。
アパートの相場計算は他にも、原価法と取引事例比較法があります。
原価法では、現存しているアパートをいったん取り壊して新築した場合の費用を計算し、そこから経年劣化などによる減価修正を行って査定額を求めます。
また取引事例比較法では、レインズや土地総合情報システムなどのデータを用いて周辺の取引事例を集め、それをベースに査定価格を求めます。
このように、一定の基準を用いた公平な査定方法がありますが、実際の査定結果は、不動産会社によって変わり、一律ではありません。
査定価格はあくまで目安であって、その価格で売れる保証はないことを認識しておきましょう。
アパートの相場計算には収益還元法が用いられる理由としては合理性が高いからです。
投資家は数字を見ます。全ての目線で査定して総合的に判断をしています。
不動産売却の基本知識については、下記記事で詳しくまとめています。不動産売却が初めてで不安な人は、一度全体の流れを把握しておきましょう。
この記事では、不動産に関する流れやかかる費用といった基礎知識から、取引上の注意点などを分かりやすく解説します。節税の方法や不動産会社の選び方についても触れていますので、不動産の売却における疑問を解消するのに役立ててくださいね。
アパート売却の流れ
ここからは、売却までのプロセスを詳細に見ていきます。
査定から引渡しまでは長い道のりになりますが、信頼できる不動産会社と契約ができたら、売買の成約はぐっと近づくことでしょう。
契約から引渡しまで
売却活動の成否を左右する不動産会社との契約は、慎重に進めなくてはなりません。
また、契約の種類も複数あるので、それぞれのメリット・デメリットを把握し、自分の物件の売却に適した契約を結ぶようにしましょう。
基本的な売却の流れ
次の流れが基本となります。
不動産査定
まずは価格相場を確認し、どのくらいの価格であれば売りに出せるのかを調べます。
自分である程度調べることもできますが、一括査定サイトを用いると一度に複数の業者から査定価格を見積もってもらうことができます。
特に、多くの取引実績を持つ不動産会社による査定であれば、より実情に近い価格を提示してもらえるでしょう。
不動産会社との契約
納得できる査定価格の提示を受けて売却を決断できたら、正式にアパートの売却活動を不動産会社に依頼しましょう。
締結する媒介契約には3種類あります。それぞれの特徴をまとめました。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他社への仲介依頼 | 不可 | 不可 | 可 |
売主が探した相手との契約 | 不可 | 可 | 可 |
契約の有効期間 | 3カ月以内 | 3カ月以内 | 制限はない(行政の指導は3カ月以内) |
指定流通機構への登録 | 契約締結の日から5日以内 | 契約締結の日から7日以内 | 義務ではない(任意での登録は可能) |
業務処理状況の報告義務 | 1回以上/1週間 | 1回以上/2週間 | 義務はない(任意で報告を求めることは可能) |
専属専任または専任(以下、この記事では「専任媒介契約等」とします)のメリットは、不動産会社が熱心に売却活動へ注力してくれる点です。
業者側にとっては、競争相手がいないため無駄な価格競争に神経を消耗する必要がなく、あなたの大切な物件売却に集中して取り組んでくれるからです。
デメリットとしては、1社としか契約できないため、営業・宣伝活動の成否は業者選びにかかってくるという点が挙げられます。
他社との競争原理が働かない分、契約を結ぶ相手は慎重に選ばなくてはなりません。
一般媒介の最大のメリットは、同時に複数社と契約を結ぶことができる点です。
業者間の競争を促し、売却価格をはじめとする取引条件にプラスの効果をもたらします。
また、物件の情報をより多くの人が知るきっかけとなるので、不特定多数の買主からの購入希望も見込めるでしょう。
一方で、業者にとってみれば、営業経費をかけて販売活動を熱心に行っても、他社と成約されてしまっては、それまでの苦労が水の泡です。
したがって、専任媒介契約等と比べると、積極的な販売活動を手控える可能性があるというのが、デメリットと言えます。
売主側の注意として、契約の際には売却物件の瑕疵などを正確に伝えておくようにします。
事前にわかっていたにもかかわらず、売却後に不具合が発覚した場合、契約が無効になったり損害賠償に発展したりと、思わぬトラブルにつながりかねません。
売却活動
不動産会社は、さまざまな手段を用いて売却活動を積極的に展開します。
ホームページへの掲載、メール配信による会員への新着情報周知など、不動産会社の営業力の見せ所です。
その間、売主であるあなたが動く場面はありません。購入希望者の内見などに備えて、アパートの清掃や簡単なメンテナンスを行っておくとよいです。玄関の飾りつけ、カーテンや装飾品などの手入れ、古い掲示を外す、駐輪場の整列などです。
売買契約
不動産会社の仲介のもと、重要事項説明が行われますので、不動産会社の物件調査に協力しましょう。
登記簿上の権利関係、建物にまつわる法的制限、代金の支払い方法、契約解除時の規定などが説明されます。
後々トラブルになって困ることがないように、疑問に思ったことはその場で必ず確認するようにしましょう。
売買条件に合意が得られたら、買主と売買契約を結びます。
このとき、一般的には物件価格の10~20%程度の手付金(契約金)を受け取ることになります。
引渡し
売買契約を締結する際に、あらかじめ引渡し時期を決めておきましょう。
引渡し当日までに必要書類を用意しておきます。
物件の最終確認をしてもらったあと、口座への入金確認のうえで鍵を引き渡します。
売却と購入のタイミング
現に住んでいるアパートを売却する場合は、同時進行で次の住まいを探す必要があります。
最もスムーズに住み替えられる方法は、売却と購入を同時に進めるパターンです。
引渡し日と新居への入居を合わせられれば、単に引越しをするだけで住み替え完了となります。
もしアパートの売却が先行してしまっている場合は、仮住まいが必要になります。
逆に、新居は決まったものの、売却活動がスムーズに進んでいないという場合は二重ローン(ダブルローン)の可能性があります。
できるだけ同時進行となるように計画を立てましょう。
アパート売却にかかる費用
売却後は、売却金額に応じた仲介手数料や各種税金の支払い義務が発生します。
そのほか、ローンを組んでいた場合は抵当権の抹消費用がかかったり、清掃、転居の費用など、想定外の出費にならないよう事前に確認しておきましょう。
不動産会社への仲介手数料
媒介契約を結んだ不動産会社へは、売買契約成立後の成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
不動産売買の仲介手数料は、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けとることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)」によって上限の額が決まっています。
【仲介手数料の上限額】
売買価格(税込) | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の場合 | 5% |
200万超400万円以下 | 売買価格×4%+20,000円+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+60,000円+消費税 |
不動産売却の仲介手数料の仕組みを理解して有利に売却を進めましょう。手数料のポイントを理解しておくだけでも不動産仲介業者と対等に交渉をすることができるため、ぜひ読んでみてください。
支払いが必要な各種税金
売却金額が高額になりがちな不動産取引では、譲渡所得にかかる所得税や住民税も大きな金額となります。
同様に、契約書に貼る印紙も契約金額に応じて決まっているので、売却金額が確定したら、それらも見積もっておきましょう。
売買契約時に必要な印紙税
印紙税は、売買契約書に貼る印紙で支払います。
売買契約書に貼る印紙の金額(印紙税額)は、契約書に記載されている物件の売買価格によって、下表のように決められています。
契約金額 | 税額 |
---|---|
100万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 60,000円 |
譲渡所得にかかる所得税と住民税
不動産を売却したことにより利益(売却益)が発生すると、その利益は譲渡所得とされ、譲渡所得税の課税対象になります。
譲渡所得にかかる税?は、所得税と住?税で構成されており、売却(譲渡)価格から取得費と譲渡費用を差し引いた売却益(譲渡所得)に税率をかけて求められます。
なお、売却価格が取得費+譲渡費用よりも安く、売却損が発生した場合には譲渡所得税はかかりません。
したがって税額の計算にあたっては、まず譲渡所得を求めることから始めましょう。
譲渡価格から取得費と売却費用を引いて求められた課税譲渡所得に、下表の所有期間に応じた税率をかけて譲渡所得税を計算します。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
また、譲渡所得が発生した場合は、売却した翌年に確定申告が必要です。
譲渡損失が出た場合も控除や特例などで節税できる制度があるため、確定申告することをおすすめします。
売却時の税金が控除できる制度
マイホームを売却したときには、譲渡所得から3,000万円を控除することができますが、住宅と?緒に売却する土地にも適用されます。
したがって、マイホームの売却に際しては、3,000万円までの売却益であれば、譲渡所得税を納入する必要はありません。
なお、控除の適用には一定の条件があります。
さらに、居住用財産を売却した年の1月1日現在で、その所有期間が10年を超えている場合は軽減税率が適用されます。
軽減後の税率については以下のとおりです。
譲渡所得金額 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
6,000万円までの部分 | 10% | 4% |
6,000万円を超える部分 | 15% | 5% |
また、賃貸用アパートを売却する場合は、特定事業用資産の買換え特例制度が適用されるので、こちらも活用するようにしましょう。
これは、売却した資産と買い換えた資産がいずれも事業用だった場合に、譲渡所得の一部を将来に繰り延べ、譲渡所得税を節約できる制度です。
売却金額より買い換えにかかった金額の方が多いときは、売却金額に20%を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。
逆に、売却金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に20%を掛けた額との合計額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。
各種手続きに必要な費用
仲介手数料や税金ほど高額ではないにせよ、他にも売却にあたってかかる費用がさまざまあります。詳しく見ていきましょう。
抵当権の抹消
住宅購入時にローンを組んだ場合、住宅に抵当権がつけられています。
抵当権がついたままでは、売却できないため、ローンを完済した上で、抵当権を抹消する必要があります。
住み替えなどの際には、住宅ローンの残債がある状態で家を売却しなければならないこともあるでしょう。
その場合には、住宅ローンの完済や抵当権の抹消などで別途かかる費用も見積もる必要があります。
住宅ローンを全額繰上返済をすると「完済」となり、担保設定していた土地・建物の抵当権(根抵当権)は抹消されます。
抹消手続き(抹消登記)は借入側で行う必要があり、そのとき法務局へ収める税金が登録免許税です。
金額は不動産1件あたり1,000円で、建物と土地は別にカウントされるため、?般的に建物の免許税1,000円+土地の免許税1,000円=2,000円を納めることになります。
抵当権抹消登記の手続きは個人でもできますが、揃えなければならない書類や資料も多く、時間が取れない場合は司法書士に作成を依頼することも検討しましょう。
報酬費用の相場は2~3万円です。
引渡し前の維持管理など
その他、意外に見落とされがちな費用としては、引っ越しに伴う廃棄物の処分費や、ハウスクリーニングにかかる費用などがあります。
仲介手数料に比べれば?額ではありませんが、計算に入れておきましょう。
その他の費用 | 金額の目安 |
---|---|
廃棄物の処分費 | 10万円~50万円程度 |
敷地の測量費 | 50万円~80万円程度 |
建物の解体費 | 100万円~300万円程度 |
ハウスクリーニング費 | 5万円~15万円程度 |
引っ越しするための費用
居住しているアパートを売却する場合は、引っ越し費用が必要になります。
次の住まいに入居するまで仮住まいをする場合は、2回分の引っ越し費用を見積もっておきましょう。
アパート売却に必要な書類
売却に際しては、さまざまな書類も必要となります。
取得までに時間がかかったり、紛失時は再発行が必要だったりすることがありますので、時間に余裕をもって用意しましょう。
売買契約までに必要な書類
以下の書類に含まれる情報の中には、価格等の条件交渉の際に有利になるものもあります。
日頃から、これらをとりまとめておくことが、スムーズな契約締結の第一歩です。
書類名 | 解説 |
---|---|
登記済権利証 | 法務局から登記名義人に公布される書類で、アパートの所有者を証明する書類。
売却する物件が2005年(平成17年)以降に取得したものである場合は、登記済権利証の代わりに登記識別情報が発行されているケースもある。 |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の納税額の確認のために必要。1月1日時点の所有者に年間の固定資産税が課税されるため、取得時期に応じて負担額が調整される。 |
パンフレット・図面や管理規約 | アパートの維持管理に関わる情報や、入居者が守るべきルールなどについて記載されている。買主にとっては維持費等のランニングコストを知る手掛かりとなる。 |
登記簿謄本 | 不動産の登記情報が記載されており、不動産の権利内容が確認できる。法務局窓口、郵送、インターネットでの取得申請が可能。 |
購入時の売買契約書 | 購入当時の土地・建物の内訳が記載してあり、新たに売買契約書を作成するときの参考資料となる。 |
引渡し時に必要な書類
売買契約が成立してから引き渡しを行うまで、早くても1カ月ほど期間が空くのが通常です。
とはいえ、書類の用意に時間がかかるものもありますので、早めに準備しましょう。
書類 | 解説 |
---|---|
実印 | 市区町村の役所で印鑑登録した印鑑。 |
身分証明書 | 本人確認のための書類。売却予定の不動産が共有物件の場合は、全員分が必要 |
印鑑登録証明書 | 市区町村の役所で発行してもうらう。印鑑登録時に作成した「印鑑登録カード」もしくは「印鑑登録証」が必要。 |
住民票の写し | 登記した住所と現住所(住民登録している住所)が異なる場合に必要。 |
登記識別情報または権利証 | 売却予定の不動産の所有者を証明する書類。 |
固定資産評価証明書 | 固定資産税や都市計画税など、税額の確認に用いる。 |
司法書士への委任状 | 登記手続きを司法書士へ委任する場合に必要。 |
ローン残高証明書または返済予定表 | 売主がローン返済中の場合に必要となる。。残債と返済額がわかるものを準備する。 |
書類発行までの日数や有効期限に注意
住民票の写しや固定資産税評価証明書など、役所で取得する書類は窓口が開いている時間帯でしか発行できなかったり、郵送されるまでに数日かかったりすることもあります。時間に余裕を持って準備するようにしましょう。
一方で、印鑑登録証明書などは発行後3カ月以内のものに限られる場合もあります。
あまり早く取得しすぎると無効になってしまうので注意が必要です。
また、権利証を紛失した場合は、司法書士へ依頼して再作成が必要となるので、日ごろからこれら書類はとりまとめておくようにしましょう。
アパート売却の不動産会社を選ぶポイント
売却の成否は、媒介契約を結ぶ不動産会社のスキルにかかっていると言えます。
それぞれ得意とする分野が異なるので、相性の良い不動産会社を早く見つけることがポイントとなります。
不動産会社にも得意・不得意がある
賃貸物件の管理と売却はまったくの別物です。
これまで維持・管理をしてきてもらっている業者はコミュニケーションが取りやすいという利点はあるものの、売却のノウハウは全く異なりますので、業者選びはよく考えましょう。
また、物件の売買という行為の中でも、自宅の売却と収益物件の売却では、査定から営業活動までまったく異なる分野です。
不動産会社によって、マンション売却・土地売却・戸建て売却など、それぞれ得意としている分野があるので、アパート売却に強みのある業者を選ぶようにしましょう。
一般に、大手企業の不動産会社は取り扱い物件数が多く、全国規模のネットワークを活かした多角的な販売活動が特徴です。
一方で、規模の小さい不動産会社も地域に密着した細かな情報を持っており、それぞれに特色があります。
相性の良い担当者を探す
収益物件に強い専門業者を探すのも重要ですが、担当者との相性も大切です。
長く不動産業界で仕事をしており、独自のネットワークや情報を持っているベテランであっても、あなたとの相性が良くなければ、売却活動の妨げになりかねません。
信頼できる不動産会社選びはもちろん、担当者との相性が良いと細かなことでも相談しやすかったり、要望を伝えやすくなったりします。
納得のいく不動産取引をするためには、信頼できる不動産業者とパートナーを組むことが大切です。良い不動産業者の見極め方や不動産業者の選び方のポイントなどを解説します。また、業者選びとともに重要な営業マンの見極め方についても触れています。
悪徳業者を見極めるコツ
不動産にあまり詳しくない人が、複数の業者を相手にするのは、なかなか骨の折れる作業です。
こちらが詳しくないことを見てとると、それぞれの業者が自分にとって都合の良いことしか言わない可能性もあるでしょう。
契約をとりたいがために、査定金額を実際の価格より高め設定することなどは、悪徳業者の典型的な手口です。
担当者と実際に話しをしてみて、アパート売却に関する知識の豊富さや、仕事への誠実さを確認するようにしましょう。
あなたの大切な物件に最後まで責任を持ってくれる信頼のパートナー選びが大切です。
まずは信頼できる不動産会社探しから始めよう
アパートの売却には、収益物件の売却に特化したスキルやノウハウを持つ不動産会社の協力が欠かせません。
査定依頼の際には、大手から地域密着型までさまざまな会社の中から選ぶようにしましょう。
販売力と安心感のある大手企業は、大規模な広告手法と豊富な販売網によるスピード感が売りです。
一方で、地域の特性に精通している地元密着企業は、独自のルートで買主を見つけて来てくれたり、その土地固有のネットワークを利用したきめ細かなサービスを得意とします。
それぞれの強みを生かした販売戦略が、アパート売却をスムーズに進め、アパートの資産価値を活かすことにつながります。
この記事では、不動産に関する流れやかかる費用といった基礎知識から、取引上の注意点などを分かりやすく解説します。節税の方法や不動産会社の選び方についても触れていますので、不動産の売却における疑問を解消するのに役立ててくださいね。