借地権の相続手続きポイントや相続税についてわかりやすく解説

借地権とは、建物を建てるために地主に地代を払い土地を借りることができる権利で、借地人が亡くなった場合には、借地権付きの土地も所有権の土地と同様に相続を行う事ができます。

しかし、借地権を相続する場合は所有権の土地と違う部分も多いため、その権利や相続の流れについて学んでおく必要があります。

この記事では、借地権付きの土地の特徴や、相続手続きの注意点を解説します。

また、借地権の相続税についての基本的な知識や、相続放棄する場合にどのように進めるとよいかもあわせて紹介します。

この記事の監修者

西崎 洋一/宅地建物取引士

西崎 洋一/宅地建物取引士

宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。
物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に宅建士の新しい活躍のステージ「宅建士.jp」を運営している。

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「借地権付きの土地とは」

「借地権付きの土地とは

借地権付きの土地も、他の不動産や金融資産などと同様に相続の対象となります。

これまで借地権付きの土地を所有したことがなく、初めて借地権付きの土地を相続することになる場合、その特徴や権利の内容を知っておかないと戸惑ってしまうこともあるでしょう。

借地権とはどのような権利を指すのでしょうか。はじめに、借地権付きの土地の特徴について紹介します。

土地の所有権は地主

借地権は、建物を建てる(所有する)目的で地主から土地を借りる権利です。借地人は地主に対して、地代を支払います。

借地権は、その土地に建物を建てること目的としていることで成り立ちます。そのため、駐車場などとして利用する場合には、借地権は発生しないことがポイントです。

借地権のメリットは、通常の所有権の土地と比べて安価で購入ができる点、土地部分の税金がかからない点などがあります。

土地部分は自分のものではないので、固定資産税や都市計画税が課税されません。建物部分だけの納税で済むのです。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

地主から土地を借りることのデメリットとしてあげますと「いつか必ず返さなければいけない。」、「毎月賃料を払い続けても自分のものにはならない」といった点があります。

事あるごとに地主の許可や申告が必要

借地権付きの土地に建物を建てる場合、ことあるごとに地主の許可をとる必要があります。

例えば、自分の意思だけで借地権を売却することはできません。売却を行う際には地主の許可が必要です。

仮に、地主に許可を取らずに売却や譲渡を行った場合は契約違反となります。また許可の上で借地権付きの土地を売却する際にも、地主に売却の承諾料を支払うのが一般的です。

また、室内の小規模なリフォームであれば地主の承諾なしでもできますが、家の躯体に影響があるような大掛かりなリフォームや増改築の際も必ず地主の許可が必要です。

なお、追って詳しく解説してしますが相続によって借地権付きの土地を受け継ぐ際には、地主の許可は不要です。

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借地権を相続したら行う手続き

借地権を相続したら行う手続き

借地権を相続することになったら、どのように手続きを進めていけばよいのでしょうか。

借地権付きの土地の相続に必要な手続きについて、ステップごとに紹介します。

相続にあたるのか遺贈にあたるのか正しく判断する

相続が発生する場合、その借地権付きの土地の扱いについて「相続」になるのか「遺贈」になるのかを明確にする必要があります。

相続か遺贈かは、遺言の有無によって判断をします。

  • 相続=遺言がなく財産を受け継ぐ場合
  • 遺贈=遺言によって財産を受け継ぐ場合

遺言がない場合、法律で決まった相続人(配偶者や子、またはその他の血族)が資産を受け継ぎます。これを相続と呼びます。

一方、遺言を残しており、遺言によって指名された人が財産を受け継ぐことを遺贈と呼びます。

遺贈は、資産を譲る相手に制限はありません。そのため、妻や子供などの法定相続人以外の人が財産を受け継ぐ場合もあります。

はじめに相続か遺贈かを明確にする理由は、どちらの扱いかよってこの先の手続きが変わるためです。それぞれの手続き内容については、次に紹介していきます。

相続なら登記上の変更手続き

借地権付きの土地を受け継ぐ方法が相続の場合、特別な手続きは不要です。

ただし、土地の使用者の名義が変わるため、登記上の変更手続きである所有権移転登記を法務局にて行う必要があります。

相続の場合は、地主の許可も不要です。さらに承諾料や更新料、名義書換料の支払いも必要ありません。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

しかし、今後お付き合いが発生しますので、地主の方への相続の報告と挨拶は忘れないようにしましょう。

遺贈なら地主の許可と登記上の変更を行う

相続の場合と異なり、遺贈の場合には原則として地主の承諾を得る必要があります。さらに「承諾料」として地主にお金を支払うことが一般的です。

地主への承諾請求を行う

受遺者(遺贈を受け取る人)と遺贈義務者の2名が署名をした相続(譲渡)の書面の作成をし、地主に遺贈の旨を伝え、承諾の請求を行います。

ここでの遺贈義務者とは、遺贈を受け取る人に対して遺贈を実行する義務のある人を指します。一般的には相続人が遺贈義務者となります。

地主から承諾を得る

地主から承諾を得ます。このとき、地主からの承諾は口頭で確認しても問題ありません。口頭でのやり取りが心配な場合は、内容証明や配達証明郵便を使うとにより信頼性を高めることができます。

万が一地主からの承諾を得ることができない場合、家庭裁判所に申立てを行い承諾を獲得するという流れになります。

なお、家庭裁判所で却下されてしまった場合には、遺贈が認められないです。

所有権移転登記を行う

無事に地主の承諾を得ることができたら、建物部分の所有権の移転登記を行います。なお、建物部分の登記を行う際には、借地権の新所有者単独の意思で進めることができ地主の許可は不要です。

建物の登記を行うことで、地主が変わることがあっても借地を継続して利用し続けることができます。

承諾料の支払い

遺贈の場合、地主から借地権譲渡の承諾を得ることと引き換えに、譲渡承諾料を支払うことが一般的です。

承諾料は名義書換え料金とも呼ばれ、借地権価格や更新料等も加味して総合的に算出します。

承諾料の相場は借地権価格の10%程度とされます。なお、借地権価格は次の式で求めることができます。

  • 借地権価格=土地の価格×借地権割合

借地権割合は国税庁HPの路線価図から調べることが可能です。路線価図に記載のアルファベットで示されているのが、借地権割合です。

上の計算式を使って求めた借地権価格の10%が、承諾料の目安となります。

参考: 国税庁|路線価図・評価倍率表

可能であれば新契約書の作成

長い間土地を借りている場合、地主との間に契約書が存在しないケースがあります。

本来、借地権は契約書がなくても問題ないものではありますが、今後のトラブル回避のために相続や遺贈の機会を利用して作成しておくと安心です。

長い間継続されている契約ですので、新契約ではなく、更新契約という形で契約書を作成しましょう。

借地権を相続したときの税金について

借地権を相続したときの税金について

相続する財産の評価額が一定額以上の場合、「相続税」が発生するケースがあります。

ここでは、借地権を相続した場合の基本的な相続税の考え方、計算方法などを解説します。

相続税が発生する

借地権付きの土地は、所有権の場合と比べて評価額が低くなります。しかし、借地権だからといって相続税が安いとは限りません。相続税が思いのほか高額になることもありますので、注意が必要です。

借地権付きの土地の評価額は、土地の価格に借地権割合をかけて求めます。

取得したタイミングで安価に手に入れていても、地価が高いエリアであったり、借地権割合が高い場所であれば、借地権であっても資産価値が高額になることがあります。

特に利便性が高いエリアやブランドエリアにある土地の借地権の場合には、高額な資産となることが多いので、注意しましょう。

借地権の種類を把握し評価額を調べる

借地権には、大きく分けて2つの種類があります。契約の更新が可能な「普通借地権」と原則として契約期間の更新ができない「定期借地権」です。

初回の契約期間 最初の更新での契約期間 2回目以降の更新での契約期間
普通借地権 30年 20年 10年
定期借地権 50年以上 不可 不可

更新可能な普通借地権は、1回目の更新と2回目以降の更新で契約期間が異なります。

相続税の計算を行う際には、その不動産の「評価額」を計算によって算出する必要があります。

借地権の種類によって、この評価額の計算方法が異なります。普通借地権、定期借地権それぞれの評価額の計算方法を簡単に紹介します。

普通借地権の場合

普通借地権は、契約期間が決まっているものの契約の更新が何度でも可能です。

契約期間は初回が30年、最初の更新で20年、以後の更新で10年ずつとなります。更新を繰り返すことで、半永久的にその土地を借り続けることができます。

普通借地権の場合、評価額は土地の価格に借地権割合をかけて求めます。

  • 土地価格×借地権割合=普通借地権の評価額

土地の価格とは、その土地が所有権だった場合の価格です。路線価が定められている場合は路線価を利用して求めます。(路線価方式)

路線価が定められていない土地の場合には、固定資産税評価額を利用した倍率方式で求めます。

借地権割合は土地によって30~90%の間で定められていますが、60~70%程度となるのが主流です。

定期借地権の場合

定期借地権は、更新が可能な普通借地権と異なり、契約期間の更新ができない借地権です。契約期間が満期となった後は、更地にして地主に返還しなければなりません。

定期借地権の場合、亡くなった借地人が所有時に得た経済的な利益や、契約の残り期間を元にその評価額を求めますが計算が非常に複雑です。

次に基本的な計算式を紹介していますが、個人が自分で正確な評価額を出すことは難しいため、基本的には税理士にお願いするとよいでしょう。

  • 課税時期による自用地の評価額×(A/B)×(C/D)=定期借地権の評価額
?A 借地人に帰属する経済的利益の総額
?B その土地の通常の取引価額
?C 課税時期における定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
?D 定期借地権等の設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率

Cにおける「残存期間年数」とは、定期借地権の契約期間のうちの残り年数を指します。C,Dにおける「基準年利率」「複利年金現価率」は国税庁のHPより参照することが可能です。

なお、税理士には得意分野があります。相続税の計算を税理士に依頼する場合には、特に定期借地権の相続の経験が豊富な税理士法人を選ぶようにしましょう。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

最近ですと、SNSを使って発信されている税理士の先生もいます。不動産業者や他の士業の先生に参考に聞いてみるのも1つの手です。

相続税の計算方法

相続税を計算する場合、借地権の土地の評価額だけでその価格を求めることができません。これは相続税が相続した全ての資産の合計(財産総額)によって決まるためです。

借地権付きの土地の評価額を含め、預貯金、株などの全ての財産を足した総額を調べましょう。

また、相続税には「基礎控除」というものがあります。相続財産から基礎控除額を差し引いた部分に、相続税が課税されます。財産総額が基礎控除額以下の場合には、相続税の納税は不要です。

基礎控除額は相続人の人数で異なり、計算式は次の通りです。

  • 基礎控除額=3,000万円+相続人の人数×600万円

例えば、相続人が妻と子供2人の合計3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

この場合、財産総額が基礎控除額の4,800万円以下の場合は、相続税の納税は必要ありません。財産総額が4,800万円を超える場合は、超えた部分が課税される相続財産となります。

なお、課税される相続税は所得税と同様に累進課税方式が取られています。課税される相続財産の価格によって、段階的に10~55%の税率が定められています。

<相続税の税率>

金額 税率 金額 税率
1,000万円以下 10% 2億円以下 40%
3,000万円以下 15% 3億円以下 45%
5,000万円以下 20% 6億円以下 50%
1億円以下 30% 6億円超 55%

相続税の申告の有無を判断する

先ほど紹介したように、相続税には基礎控除の仕組みがあります。

財産総額から基礎控除額を差し引き、基礎控除の方が高ければ相続税は0円となりますが、相続税が0円となる場合には申告自体も不要です。

基礎控除の仕組みによって、相続税がかからずに申告が不要な人の割合の方が圧倒的に多いとされています。

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借地権の相続を放棄する方法

借地権の相続を放棄する方法

親から借地権の相続が発生したとき、すでに別の土地を生活基盤としており、その土地を相続しても困るというケースもあるでしょう。

また、借地権は所有権と比べて制約が多い上、地主との付き合いも発生することから、相続したくないと思う人もいるかもしれません。

このような場合、相続放棄をするという方法も1つの選択肢です。

ここでは、借地権付きの土地の相続放棄についての注意点や、知っておくべきポイント等をまとめて紹介します。

借地権以外の相続も放棄することになる

相続放棄の際に注意しなければならないポイントとして、1つの財産だけの放棄ができない点が挙げられます。

相続放棄=すべての財産の相続の放棄を意味するため、借地権だけを放棄することはできません。借地権以外の預貯金や不動産などがある場合には、それらも一緒に放棄することになるのです。

借地権だけを引き継ぎたくない場合には、一度相続をして借地権付きの土地の売却を考える必要があります。この際の売却先は、地主や借地権の買取を専門としている不動産業者などが有力な候補となるでしょう。

3カ月以内に手続きが必要

相続権の放棄は、相続開始を知ったときから3カ月以内という期限が設けられています。期限を過ぎてしまうと原則として相続放棄ができなくなってしまいます。

相続放棄の手続きを進めるには、家庭裁判所にて相続放棄申述書という書面、被相続人の住民票、申し立てる人の戸籍謄本等を提出して申請します。

この際、費用として収入印紙代800円が必要です。また、相続放棄手続きを弁護士等に依頼する場合には、3万円程度の報酬が別途必要になります。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

例えば間違いがあった場合、あとあと相続人の間でトラブルになる可能性があります。最初からもめている場合などは、弁護士に依頼しておくほうがよいでしょう。

土地は更地にする必要はない

相続放棄をする際に、借地権付きの土地を更地にしたほうがよいか悩む人もいるかもしれません。

この場合、土地は更地にする必要はありません。むしろ、更地にすることで建物に手を加えたことになり相続放棄と見なされなくなるケースがありますので、注意しなければなりません。

更地にする義務は次の相続人に移ることになりますので、万が一、地主側から土地を更地にすることを求められても断るようにしましょう。

借地権の相続をスムーズにできるよう備えよう

借地権の相続をスムーズにできるよう備えよう

借地権の相続について、手続きの流れや相続税の知識、相続放棄などについて紹介しました。

借地権は一般的な土地の所有権と異なる部分があるため、事前に知識をつけて相続に備えておくことをおすすめします。

借地権付きの土地も他の不動産と同様に価値がある大切な財産です。本記事で紹介したポイントを押さえてスムーズな相続や、活用を考えていきましょう。

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