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住宅の購入時に渡される建築確認通知書は、不動産売却ではとても大切な役割を果たす書類の一つです。所有する建物が違法建築でないことの証明でもあり、家の売却時に提出を求められます。
通常は不動産の引き渡し時に不動産会社や建築会社から受け取っているので、自宅保管されていることがほとんどですが、紛失の場合などは、代用書類の申請手続きを速やかに行いましょう。
建築確認通知書とは
家屋や事業用の建物は、すべて建築基準法に則った設計を行わなくてはなりません。建築確認とは、この設計段階で、建築基準法が定める各種規定に適合しているかどうかのチェックを受けることです。
なお、建築確認の申請を必要とするのは、新築だけでなく、増築、改築、移転の場合も含まれます。
建築基準法に適合している証明
建物の建築等を行う際には、建築計画が建築基準法の規定に適合しているか、自治体の建築主事の確認を受けなくてはなりません。
これを建築確認といい、審査は確認申請書と添付図書を用いて行われます。計画に問題がなく、建築物として各種法令に適合してることが確認されると、「建築確認通知書」が交付されます。
建物の工事は確認通知書の交付を受けてからでなくては着工できません。また、マンションや建売住宅等の広告を出す際にも、通知書の交付を受ける必要があります。
建物の引き渡し時に渡されることが多い建築確認通知書
建築確認通知書は、対象となる建物の建築確認が完了していることを証明する書類です。確認が終わってから3週間ほどで発行されますが、発行された時点では建築会社が保管し、引渡し時に購入者に渡されるのが一般的です。
建築基準法の規定に適合していることが証明されている重要な書類ですので、受け取ったら大切に保管しておきましょう。
1999年以降は確認済証となっている
建築確認通知書は、確認済証と呼ばれることもあります。これは1999年5月1日施行の改正建築基準法を境に名称が変わっただけで、様式や記載事項の順番に若干の差異はあるものの、内容は同じです。
建築確認通知書と検査済証の違いについて
建築物の審査の段階はいくつかあり、多くの書類が発行されます。よく取り違えられるものとして、確認通知書と検査済証がありますので、違いを押さえておきましょう。
確認する対象が異なる
確認通知書は、着工前に対象となる建築物の計画が合法かどうかを審査し、合格した場合に発行されます。あくまで計画内容を確認したものであり、実際の工事の結果について判定したものではありません。
一方、検査済証とは、工事途中の中間検査や工事完了時の完了検査において、その建物が建築基準法に適合しているかどうかを検査し、合格した場合に発行されます。
古い建物の場合、検査済証を取得していない物件も多く見られますが、昨今では金融機関の融資の審査で必要なこともあり、検査済証は不動産取引時の必須書類です。
古い物件だと、上述のようにそもそも検査済証がない場合もあります。そのような物件で融資を受ける際は、金融機関に審査をしてもらえる場合がありますので、相談されてみることをおすすめします。
交付されるタイミングが異なる
建築確認通知書と検査済証は、それぞれの役割の違いから、交付されるタイミングも異なります。
建築確認通知書が必要になる場合
不動産売買や住宅ローンの審査では、対象となる建物が法令に則った建築基準を満たしていることの証明として、建築確認通知書や検査済証が必要です。
では、どのような場合に必要になるのかをみていきましょう。
家を売却するとき
物件の売却に際しては、不動産会社や仲介業者と多くの書類を取り交わします。建築確認通知書もそのひとつであり、売却物件の契約が決まった段階で業者に提出します。
不動産を売買する際の重要事項説明で必要になる事項は、確認通知書に記載されている「建築確認番号」「取得年月日」、そして検査済証に記載されている「検査済証番号」「取得年月日」です。
これらの証明は、建築当時に違法な建築物でなかったことを示すものであり、書類提出は適正な不動産取引成立の基本的な条件といえます。
住宅ローン審査のとき
国土交通省は平成15年に、住宅ローンの融資に際して建築確認通知書や検査済証を用いた審査を行うように、全国の金融機関に対して依頼しました(国住指第8310号 平成15年2月24日)。
それ以前から、震災の教訓などを踏まえて安全性の高い建築物確保のために、確認通知書の提出要請はありました。この依頼は、その方針をより一層強化したものといえます。
融資の対象となる物件が、関係規定を遵守し、建築基準に則っているかを確認することで、違法建築を防ごうということが目的です。
したがって、現在の新築住宅では建築確認通知書がなければ住宅ローンを組むことはできません。
建築確認通知書は、売買取引の際に不動産会社等に提出します。提出の依頼があってから準備をしても問題ありませんが、スムーズな取引のためにも事前に用意しておくようにしましょう。
建築確認通知書を紛失してしまった場合には
購入から長期間経過している場合では、建築確認通知書や検査済証を紛失してしまうこともあるでしょう。その場合には別の書類で対応が可能です。
建築確認通知書は再発行されない
不動産売買で必要となるのは、確認通知書記載の「建築確認番号」と「取得年月日」、検査済証記載の「検査済証番号」と「取得年月日」です。
原則として、確認通知書や検査済証は再発行ができませんので、これらの書類を紛失した場合は別の方法で確認する必要があります。
確認通知書や検査済証は、住宅の引き渡し時に受け取っていることがほとんどです。
通常は自宅保管することが多いと思われますが、貸金庫や実家に保管しているなどといったケースもあるでしょう。
思い当たる箇所をもう一度よく探すのはもちろんですが、代替書類の用意も同時に進めることをおすすめします。
建築確認証明書の代わりとなる書類で対処する
建築確認通知書が見つからない場合でも、必要な情報を得る方法はあります。いずれも所定の手続きが必要なので、早めの対応を心がけましょう。
建築計画概要書で代用する
建築物の概要や検査などの履歴を記載したもので、建築確認番号、検査番号、取得年月日の情報が記載されています。
役所の建築指導課に行くと無料で閲覧できますが、コピーや写真撮影などを許可していない場合もあるので、必要に応じて担当者に確認するようにしましょう。
また、市区町村によっては、有料でこれら書類の写しを発行してもらえるケースもあります。費用は1通100円~500円程度です。
概要書の書式は、自治体や作成年によっても若干異なります。一般的には、新しい建築物ほど情報量が多く、正確で詳細な記載がされています。
なお、確認番号や確認年月日が不明の場合、自分で確認台帳の中から建築物を特定しなければなりません。大量の台帳から探し出す場合は、時間がかかることも想定されます。
台帳記載事項証明書で代用する
台帳記載事項証明書とは、紛失した確認通知書や検査済証の代わりに発行されるもので、確認通知書と検査済証に記載されている情報と同じものが記録されています。建築指導課の窓口で1通200円~400円程度で発行してもらえます。
また、証明書発行に関しては、建築物を特定するために建築当時の地名や地番が必要になってきます。わからない場合は法務局へ問い合わせるか、固定資産税の課税明細書、または図書館などにあるブルーマップなどで調べましょう。
手数料や発行に時間がかかるので注意が必要
書類の発行手数料は自治体によって異なり、1通100円~500円程度です。行政のホームページや窓口で確認しましょう。
また、申請から発行までに数日かかる場合もあります。不動産売買の手続きに支障がないよう、余裕をもって準備することをおすすめします。
絶対、とは言えませんが、建築を請け負った建築会社で建築確認通知書や検査証の写しを保管している場合があります。
万が一、紛失してしまった場合は、一度問い合わせてみることをおすすめします。
家の売却をスムーズに進めるためには
不動産を売却する際には、建築確認通知書や検査済証を準備するほかにも、様々な手続きがともないます。
売却に必要な書類の準備は万全に
一戸建てかマンションかによっても異なりますが、成約までには少なくとも10種類前後の書類が必要です。
売却依頼時、契約時、そして確定申告時で必要となる書類も異なります。それぞれ、管轄する行政機関が異なるうえに、即日発行できないケースもあるので余裕を持って準備しましょう。
書類の発行依頼時には、地番や家屋番号など、申請する側が用意しておかなくてはならない情報もあり、それらの確認に時間がかかることも想定されます。
建築確認通知書や検査済証などを含む必要書類を紛失してしまった場合は、再発行や代わりとなる書類の用意もタイムロスにつながるので、スムーズな売却活動のためにも、日ごろから重要書類をまとめておくようにしましょう。
信頼できる不動産会社に売却を依頼しよう
信頼できる不動産会社を選ぶには、一括査定サイトの利用もおすすめです。複数の不動産会社を一度に比較できるほか、パソコンやスマートフォンから手軽に申し込むことができるのもメリットのひとつです。
ただし、中には契約を早く結びたいがために相場よりも極端に高い査定額を提示するなど、悪徳な業者がいないとも限りません。
大切な財産を適正に評価してもらい、スムーズな売却活動を進めてもらうためにも、売却を依頼する仲介業者の選定は慎重に行いましょう。
売却時に必要な建築確認通知書は大切に保管しよう
不動産購入時に受け取った確認通知書や検査済証などの書類は、将来その物件を売却する際に重要となります。
再発行できない書類の場合は、代わりの書類を用意する必要もあります。売却が決定してから慌てないように、事前の用意が大切です。
家そのものと同様に、不動産関連の書類もまた大切な財産のひとつと考え、日ごろから注意して管理・保管しましょう。