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住宅ローンが残っている不動産を売却した際や、住宅ローンを完済した際には、抵当権抹消手続きを行わなくてはなりません。
その際に必要な書類が「抵当権抹消登記申請書」です。
抵当権抹消手続きと聞くと、難しい手続きというイメージを持ってしまう人も多いかもしれません。
しかし、手順を知れば、手続きが初めてであっても手続きを進めることができます。
この記事では、抵当権抹消に必要な「抵当権抹消登記申請書」について、登記の手続き方法、その他、必要書類についてまとめています。
抵当権抹消登記申請書とは
抵当権抹消登記申請書とは、その名の通り抵当権抹消登記に使う書類です。
はじめに、抵当権抹消登記とはどういったものなのか、また抵当権抹消登記申請書はどこで手に入れることができるのかを確認しましょう。
抵当権抹消登記の申請に必要な書類
不動産などに付いている抵当権を外すことを「抵当権抹消」といいます。
ここで抵当権のおさらいですが、抵当権とは、住宅ローンを契約するにあたって、金融機関が対象の不動産を担保とすることができる権利のことです。
万が一、住宅ローンの支払いが滞った場合、金融機関は抵当権を使うことで、不動産を差し押さえて競売にかけることが可能となるのです。
また、抵当権は設定する際に「抵当権設定登記」が行われています。
反対に、抵当権を外す際には「抵当権抹消登記」を行う必要があります。どちらの場合も登記は法務局で行います。
法務局は出張所などを合わせると全国に500箇所ありますが、手続きを行う法務局はどこでもいいわけではありません。
その不動産があるエリアを管轄する法務局で行う必要があります。
自分の不動産を管轄する法務局を事前に調べておきましょう。
法務局のサイトでダウンロードできる
抵当権抹消登記申請書は、法務局のサイトでダウンロードすることが可能です。
抵当権抹消登記だけではなく、所有権移転(売買)や所有権保存登記など、登記を行う目的によって書類の種類が細かく分けられていますので、間違えないようにしましょう。
様式は、一太郎・Word・PDFの3種類が用意されています。同じページで記載例もダウンロードできるようになっていますので、記入するときに参考にするとよいです。
抵当権抹消登記の申請が必要なとき
抵当権抹消登記申請書の申請が必要なタイミングは大きく分けて2つ、ローンの支払い中で不動産を売却するときと、住宅ローンの支払いが終わったときです。
ローンの支払中の不動産を売却するとき
不動産を売却する際には、住宅ローンが残ったまま売却活動を行うケースも多いです。
一般的に住宅ローンが残った不動産を売却する際には、売却して得た利益でローンを完済し抵当権を抹消します。
その後、抵当権抹消登記が終わった不動産を買主へ引き渡すことになります。
また、住宅ローンを返済しても金融機関側では抵当権抹消手続きを行ってくれません。
金融機関側は、抵当権が残っていても、とくにデメリットがないからです。
そのため、住宅ローンを借りていた売主が法務局にて抵当権抹消手続きを行う必要があります。
また、不動産売買では、抵当権抹消登記と同時に、対象の不動産の所有権移転登記を行うことが一般的です。
ローン中の家を売却する方法と注意点は、こちらの記事をご覧ください。
住宅ローン完済前に所有している家やマンションといった不動産を売却したい方に読んでほしい、売却できる条件や方法、注意点をまとめています。住宅ローン途中でも売る方法は見つかるのでぜひチェックしてください。
住宅ローンを完済したとき
住宅ローンを完済したタイミングでも、抵当権抹消登記申請書の申請を行います。
売買の時と同様に、住宅ローンを完済しても自動的に登記が抹消されることもなければ、金融機関が抹消登記の手続きを行ってくれることはありません。
そのため、住宅ローンを完済したら、自分で法務局へ抵当権抹消登記申請をする必要があるのです。
抵当権抹消登記の手続き方法は2つ
抵当権抹消登記の手続きは、自分で行うか、または司法書士に依頼をするかの2つの方法があります。自分で行えば司法書士への報酬を節約することができますが、その分手間がかかります。
それぞれの詳細を以下にまとめていますので、内容を見比べて、どちらの方法を選択するか検討してみてください。
法務局にて自分で申請をする
抵当権抹消登記と聞くと、専門的な知識が必要で難しいのではないかという印象を持ちますが、よく調べて準備をすれば自分で行うことも可能です。
自分で行う際の流れとしては、次のようになります。
自分で抵当権抹消登記を行う際の流れ
- ローンの完済
- 金融機関から書類を受け取る
- 抵当権抹消登記申請書の作成
- 申請書類を法務局に提出し、申請する
まずはローンの完済を行います。ローンの完済によって、金融機関から抵当権抹消手続きに必要な書類を受け取ることができます。
書類の詳細については、追ってご紹介します。
抵当権抹消登記申請書を作成し、金融機関から受け取った必要書類とあわせて法務局に提出し、申請を行います。
必要書類を揃えて法務局に申請するだけなので、それほど難しくありません。
自分で手続きをすれば、安く済ませることができる点が大きなメリットです。
また、登記を行う不動産が共有名義の場合でも、代表者が1人で手続きを行うことができます。
抵当権抹消手続きの申請方法詳細は、こちらの記事をご覧ください。
抵当権抹消手続きとは住宅ローンなどを組んだときに不動産に付けられる抵当権の登記を解除する手続きです。ここでは、必要書類や申請手順、かかる費用などを解説していきます。これから抵当権抹消の手続きを行う方はぜひ読んでみてください。
司法書士に依頼する
抵当権抹消手続きは自分でも行うことができますが、平日に法務局に出向かなければなりません。
しかし、仕事を休めず時間が作れないという人もいるでしょう。
このような場合は、プロである司法書士に登記手続きの依頼をすることをおすすめします。
金融機関から受け取った必要書類を渡すだけで司法書士が手続きを代行してくれます。
書類の作成を依頼できるのはもちろん、法務局に行く必要もありません。
費用は司法書士事務所によって異なりますが、15,000円ほどと考えておきましょう。
抵当権抹消手続の費用相場は、こちらの記事をご覧ください。
抵当権抹消登記は自分で行うことも、司法書士に依頼することもできます。手続きの費用の相場や必要書類を知ることで、どのようにするのが自分にとって最善か判断していきましょう。
抵当権抹消登録申請書の記入方法
自分で抵当権抹消登記を行う際、とくにわかりにくいのが抵当権抹消登記申請書の書き方です。ここでは簡単に記入方法をご紹介いたします。
申請書にある8項目を記入する
抵当権抹消登記申請書に記入する項目は、次の8つです。
抵当権抹消登記申請書に記入する項目
- 登記の目的
- 原因
- 権利者
- 義務者
- 添付情報
- 申請年月日と申請する法務局
- 申請人兼義務代理人
- 登録免許税
次に、記載時に迷いやすいポイントだけ簡単に説明します。
(1)登記の目的には、「抵当権抹消」と記入します。
(2)の原因では、住宅ローン完済時に金融機関から受け取った書類に記載されている原因を記入しましょう。
「解除」「弁済」などと記載されていることが一般的です。
(3)の権利者には、登記簿上の住所と署名を記入します。住んでいる場所と登記簿上の住所が異なる場合でも、登記簿上の住所を記載します。
(4)義務者には、金融機関の情報を記入します。
(7)申請人兼義務代理人では、(3)の権利者と同様に登記簿上の住所と氏名を書きましょう。
法務局サイトにある記載例を参考
抵当権抹消登記申請書を実際に作成してみて、記入方法に悩んでしまう場合には、法務局のサイトからダウンロードできる記載例を参考にしましょう。
記載例は、一太郎・Word・PDFの3種類がありますので、一番使いやすいファイルをダウンロードして参考にするとよいです。
抵当権抹消登記手続きをするときの注意点
抵当権抹消登記手続きを行う際、注意しなければならない点が2点あります。
1点目は税金がかかること、2点目は有効期限が定められている書類があることです。
手続きには登録免許税が必要となる
登記を行う際には、登録免許税という税金がかかります。
登録免許税は、不動産1件あたり1,000円です。
建物と土地は別に課税されるため、建物の免許税1,000円+土地の免許税1,000円=2,000円が必要です。土地が2筆、3筆にまたがっている場合は、それぞれ2,000円、3,000円となります。
登録免許税は高額な税金ではありませんが、忘れずに準備しておくようにしましょう。
抵当権抹消登記手続きはできるだけ早く行う
抵当権抹消手続きに必要な書類の中には有効期限があり、期限が切れると再発行が必要なものがある点にも注意してください。
住宅ローンの返済時に金融機関から送付される書類の中に「代表者事項証明書」というものがあります。この書類の有効期限は3カ月となっています。
抵当権抹消手続き自体には期限はありませんが、書類に期限があるので、早めに手続きを行うようにしましょう。また、抵当権抹消手続きが済んでいないと買主がローンを組めなくなるので、注意が必要です。
抵当権抹消登記手続の必要書類と紛失時の対処方法
- 登記識別情報または登記済証
- 登記原因証明情報
- 抵当権者(金融機関)の委任状
抵当権抹消登記では、登記申請書とあわせて添付書類を提出します。
準備すべき書類について確認していきましょう。
また、万が一書類を紛失してしまった際の対処方法についてもあわせてご紹介します。
登記識別情報または登記済証
登記識別情報または登記済権利証は、抵当権設定時に抵当権者に交付されるものです。
この書類は、紛失してしまった場合は再発行はできませんので、とくに注意してください。
しかし、万が一失くしてしまっても、次のいずれかの方法で対処すれば、抹消登記を行うことができます。
紛失時の対処方法
- 司法書士が「本人確認情報」を作成
- 事前通知制度を利用
- 公証人による本人確認
「本人確認情報」は司法書士が作成することで、登記済権利証がなくても登記手続きを進めることができるものです。
作成するためには、司法書士に5~10万円程度の報酬を支払う必要があります。
また、登記済権利証がない状態で登記を進めてしまう「事前通知制度」という方法もあります。
登記済権利証がない状態で登記を進めると、法務局から本人に登記申請の内容確認の通知が届きます。
この通知に実印を押して返送することで、抹消登記をすることが可能となる仕組みです。
登記完了までは通常よりも時間がかかる点に注意が必要です。
また、公証役場にて公証人の前で、登記申請用の委任状に署名捺印することで、本人確認をする方法もあります。
発行された認証文を法務局に提出することで登記手続き行うことができます。
公証役場には平日に赴かなくてはなりません。
登記原因証明情報
登記原因証明情報は、登記をすることとなった事実や法律行為が記載された書面のことです。
抵当権抹消登記の場合は、住宅ローンの完済を示す情報となりますので、登記原因証明情報はローンを借りていた金融機関から受け取ります。
万が一紛失してしまった場合は、金融機関に再発行を依頼しましょう。
再発行の依頼は住宅ローンの名義人本人が行い、書類の準備ができたら受け取りも本人が行きましょう。
再発行自体は可能ですが、書類を受けとるまでに数週間程度かかることもありますので、失くさないように大切に保管しておきましょう。
抵当権者(金融機関)の委任状
住宅ローンの契約時に、抵当権を設定するのはお金を貸す側の金融機関です。
そのため、本来は金融機関に抵当権を抹消する権利があるため、抵当権抹消手続きを行う際には「委任状」が必要となるのです。
委任状は受け取った後に、自分の名前の記入が必要です。
受任者または代理人という欄がありますので、債務者の名前と住所を記入しましょう。
なお、この委任状には有効期限はありません。
委任状も、紛失した場合は金融機関に再発行してもらうことが可能です。
抵当権抹消登記しないとどんな問題が起こるか
ここまで抵当権抹消登記についてご紹介してきました。一つ一つ進めていけば難しいものではありませんが、手間がかかることには間違いありません。
期限もないため、つい抵当権抹消登記手続きを先送りにしてしまう人も多いのですが、手続きを行わないことによるデメリットもあります。
最後に、抵当権抹消手続きをしないとどのような問題が起こるのか確認しましょう。
ローンを新たに組むことができない
登記簿上に抵当権が残されたままだと、引き続き抵当権があるとみなされてしまいます。
そのため、新しいローンを組もうとしてもまだ借り入れがあるのではないかと判断されてしまうため、ローン審査に通りにくくなってしまうデメリットがあります。
これは、新しい住宅ローンを組むときだけではなく、車のローンなどでも同様です。
また、対象の不動産を担保にしてローンを組むことができません。
いざローンを組もうとしたときに、慌てて抵当権抹消手続きをすることになりますので、早い段階で登記手続きを済ませることをおすすめします。
時間が経てば登記に必要な書類を紛失する可能性も高くなり、金融機関に書類の再発行を依頼することになればさらに時間がかかってしまいます。
売却するときにデメリットになる
抵当権を残しておくことで不動産の売却時にもデメリットが発生します。
抵当権抹消手続きが済んでいない場合、住宅ローンを完済しても書類上は抵当権がついたままです。
これでは、売買の際に買主側がローンを組むことができないのです。
そのため、抵当権抹消手続きが済んでいない不動産は、売買時には必ず抹消手続きを行う必要があります。
通常の売買よりも手続きが複雑になってしまいますので、売却活動を始める前に抵当権抹消手続きを完了させておきましょう。
抵当権抹消登記申請書は自分でも簡単に作成可能
抵当権抹消登記申請書と、抵当権抹消手続きについてご紹介しました。
必要な知識をつけておけば、抵当権抹消登記申請書の作成は自分でも行うことが可能です。
その他の必要書類とあわせて準備をして、スムーズに登記手続きを済ませましょう。
書類の準備に手間をかけたくない人や、平日に法務局にいくことが難しい人は、プロである司法書士に依頼するのもよいです。
どの方法で登記を行うにしても、抵当権抹消手続きは早い段階で済ませてしまうことをおすすめします。
長い間手続きを行わないでいると、必要書類を紛失してしまうリスクも高まりますし、不動産売却の際や新しくローンを組む際にデメリットも発生します。住宅ローンの返済が完了したら、速やかに抵当権抹消手続きを進めましょう。