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外壁塗装に使われる塗料の種類は多岐にわたり、塗装施工は塗料によって大きな差が生まれます。
合成樹脂など含まれている成分の違いにより、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素といったグレードが決まり、それぞれ性能や価格、耐用年数が異なります。
外壁の状態に適した塗料を選ぶのはもちろん、初期費用やメンテナンスサイクルも重視したいポイントです。
当記事では、一人ひとりの自宅の条件に合った塗料を選ぶために、塗料の基礎知識や費用目安、施工方法などについて詳しく解説します。
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外壁塗装に使われる塗料の基礎知識
外壁塗装は美観だけでなく、経年劣化から住宅を守るためにも必要です。
ご自宅の外壁によって、適切な塗料は変わってきます。
それぞれの特徴を理解してから、業者の選定に入るとスムーズです。
まずは価格の目安や耐用年数など、外壁塗装の前に知っておきたい基礎知識から解説します。
外壁塗料は4つの成分から構成
外壁塗料はポリエチレン・ポリ塩化ビニールなどの「合成樹脂」、タレ止めや顔料の沈降を防止する「添加剤」、色の原料となる「顔料」、塗膜をつくる「溶剤類」の4つから構成されます。
外壁塗装の種類は、成分のクオリティや、含有されている成分の有無で決まるのが一般的です。
例えば、塗料の耐久性に大きく関わる合成樹脂の品質レベルにより、アクリルやシリコンなどといった塗料のグレードが決まります。
のちほど詳しく説明しますが、グレードごとに1液型・2液型が存在し、着色効果のある顔料の有無によって、エナメルとクリアーに分けられます。
さらに、外壁の艶を消す添加物の量によって、艶ありと艶消しに分類されるのです。
1液型と2液型の違い
添加剤に含まれる硬化剤が、塗料に混ぜられた状態か、別の容器に分けられているかによって異なります。
施工の際に、1つの液で使えるのが1液型で、2つの液を混ぜ合わせて使うのが2液型と覚えておきましょう。
2液型は硬化剤と主剤の混合率によって塗装が発揮する効果が左右されるので、施工に手間がかかります。
艶あり塗料と艶消し塗料の違い
塗料には光沢度のラインナップもあり、一般的な塗料としては「艶あり」が認知されています。
添加物として艶消し剤を混入し、光沢度の調整する仕組みです。
艶あり・7分艶・5分艶・3分艶・艶消しの5段階から選択します。
艶消し塗料は「艶なし」「マット仕上げ」とも呼ばれています。
デザインに強いこだわりがなければ、艶消し剤は不純物に近いので、基本性能を守るために艶ありを選ぶのが無難でしょう。
エナメル塗料とクリアー塗料の違い
塗料に着色があるか、透明の状態かの違いです。
エナメル塗料には防サビや遮熱、粘度に加え、タレ防止や膜厚増加など、高い機能性を可能にする顔料を混入できます。
一方クリアー塗料は、既存の外壁模様を残して塗り替えできるのが特徴です。
油性と水溶性の違い
水性塗料は水で希釈し、油性塗料はシンナーで希釈して使います。
油性塗料はさらに強溶剤と弱溶剤に分けられ、弱溶剤は塗料用シンナーで希釈するため刺激臭は控えめです。
油性塗料に比べ、水性は安価で保管が容易です。
耐久性は油性塗料のほうが勝りますが、近年では研究開発が進み、その差は縮まりつつあります。
外壁塗装に使われる基本の塗料4種
ここからは、代表的な4種の塗料「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」について解説します。
それぞれ価格や耐用年数が異なり、また同種の塗料でも若干変わってくるため、ご紹介の価格および耐用年数はあくまで目安としてご参照ください。
価格重視であればウレタン、耐久性重視でフッ素系塗料が選ばれるなど、選定基準はケースバイケースです。
ご自宅の状況や自分の希望に合ったものを選びましょう。
アクリル系塗料
軽量で、外壁のカラーをはっきり浮かび上がらせる効果のある塗料です。
モルタル壁のひび割れなどに対応できる画期的商品として、30年以上前から普及しています。
1㎡あたり1,000円~1,800円程度で、コスト面も優秀です。
紫外線に弱いため、耐用年数は6年前後と短めですが、豊富なカラーと、1液型の製品が多く塗り重ねしやすいという特徴があります。
メジャーではないものの、一定のニーズがある外壁塗料です。
ウレタン系塗料
柔らかい性質を持っているので、凹凸や細かい細工などがある外壁に適しています。
耐用年数は10年前後で、カビや藻などの汚れに耐性があります。
1㎡あたりの価格は1,800円~2,500円程度と、アクリル系に次ぐお手頃価格です。
シリコン系塗料
耐久性の高いシリコン樹脂を含んでいる塗料で、機能性の高さとコスパのよさにより、一般的な住宅では主流とされています。
耐用年数は12年~15年、1㎡あたりの価格は2,500円~3,000円程度です。
普及率の高さから、シリコン系塗料をベースにした特殊塗料も数多く展開されています。
フッ素系塗料
商業施設やビルなどで使用されている塗料で、品のある光沢感と防汚性の高さが魅力です。
価格は1㎡あたり4,500円~5,000円と高めで、一般住宅で使うにはオーバークオリティ感が否めません。
機能面はシリコン系塗料と同程度ですが、15年~20年もの耐用年数を誇ります。
特殊機能を持った外壁塗装用の塗料3種
塗料は化学製品のため、研究開発により日々進化しています。
中には先述のウレタンやシリコン系塗料などに、特殊な成分が配合された塗料もあります。
やや値は張りますが高耐久かつ高性能で、地域の気候や風土、立地に合わせて検討してみるのもよいです。
ラジカル塗料
ラジカル塗料とは、太陽光によって発生する劣化因子「ラジカル」を制御するため、酸化チタンを使用した塗料です。
ラジカルの働きを抑え込み、紫外線や風雨による劣化・ひび割れを防ぎます。
塗料自体は、シリコン系塗料などに高耐候酸化チタンと光安定剤を配合して作られています。
価格はシリコン系塗料と同程度で、1㎡あたり2,500円~3,800円程度、耐用年数はおおむね13年~16年です。
塗料の伸びがよいので、外壁の種類を選ばずに使えます。
光触媒塗料
光触媒は、雨や放水によって汚れが落ちやすくなるセルフクリーニング機能を持っています。
タイルメーカーのTOTOが開発した「ハイドロテクトコート」という名称で流通しており、ラジカル塗料と同様に酸化チタンが使われています。
参考:TOTOの環境浄化技術「ハイドロテクト」|TOTO株式会社
温水便座や車の窓ガラスにも応用されている製品で、塗料に配合すると光触媒の力を活性化します。
光触媒が持つ自浄作用により、風雨による経年劣化から外壁を守る塗料として期待されています。
1㎡あたりの価格は3,400円~5,800円前後と高めですが、外壁周辺の空気清浄効果が認められているため、環境に配慮された塗料として選ぶ方も少なくありません。
耐用年数は15~20年と長く、認定施工店でのみ取り扱いのある塗料です。
セラミック塗料(ガイナ)
特殊なセラミックを混ぜて、建築用として製品化した塗料です。
日進産業の「ガイナ」の認知度が高く、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した断熱技術を応用しています。
国内三大大手塗料メーカーの「日本ペイント」「関西ペイント」「エスケー化研」もセラミック塗料をリリースしています。
断熱・遮熱性能を持っているので、真夏の暑さから室内を守り、冬には暖まった空気を外に逃がさない性質があります。
防音・防臭・防振効果も認められており、雨スジ汚れが目立つ場合や、大通り沿いの市街地など汚れが付きやすい環境にはおすすめです。
カラーは暖色系のみの展開です。セラミックが含まれているので、質感は凹凸のある石材のように仕上がります。
価格は1㎡あたり5,000円から、耐用年数は15~20年程度です。
意匠性や遮熱性能などを目的に、予算に余裕がある方から選ばれています。
外壁塗装のタイミングと塗装工法
外壁に明らかな劣化が見られる場合は、塗装や外壁の張り替えなどのリフォームを即断即決できますが、差し迫った状況でない場合は判断が難しいものです。
外壁塗装は劣化の速度を遅らせることと、災害などに対しての備えの意味合いが強いため、実行に踏み切るタイミングが重要です。
ここからは外壁塗装を検討すべきタイミングと、実際に行われる施工の手順について解説します。
外壁塗装の目安は10年
外壁は日々、太陽光による紫外線や風雨にさらされています。
外壁の塗膜がはがれてしまうと、劣化が一気に進んでしまいます。
新築時や前回塗装に使った塗料が分かる場合は、耐用年数を調べることで再塗装のタイミングを確認できます。
しかし、マンションや新築が建つなどして外壁の一部が日陰になったり、気候変動により降水量が増えて汚れが気になったりなど、住環境の変化があった場合は注意が必要です。
塗料の情報がないケースなども含め、外壁塗装のスパンは10年くらいを目安と考えておきましょう。
3回塗り重ねるのが基本
塗料の効果を最大限発揮するには、3回塗り重ねる手順が必要です。
下塗り・中塗り・上塗りの3ステップがあり、それぞれ塗って乾くまでのタイムラグが発生します。
業者によっては下塗りの工程を省いたり、2度塗りで済ませたりして、施工後に塗装がはがれるなどのトラブルに発展する可能性もあるため、注意しましょう。
外壁の種類や状態により補修が必要
外壁にはさまざまな種類があり、ものによっては補修や洗浄など追加工事が発生します。
塗装前に外壁そのものが劣化している状態も同様です。
サイディングであれば、目地にシーリング材の充填が必要です。
また、手で触れると白い粉が剥落・付着する「チョーキング現象」が起きている場合は、塗料の密着度をアップさせるために高圧洗浄機などを使います。
下処理を施してから厚みのある塗膜で施工すれば、耐久性の高い外壁に仕上がります。
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まとめ
外壁塗装の塗料選びは、新築・住宅リフォームの中でも重要な要素です。
近年では性能だけでなく、デザイン性の高い塗料も開発が進んでいます。
塗料により費用や耐用年数に幅がありますので、種類の特徴を理解したうえで、ご自宅に合った塗料を選ぶことが大切です。
既存の外壁材や劣化の度合いによっても、選ぶ塗料が変わってきます。
「外壁塗装の窓口」などのサービスを利用して、信頼のおける業者を選定しましょう。
その後も、現場調査に立ち会うなどして、見積もりの費用や工事内容をしっかり確認することも重要です。