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木造住宅に比べると、鉄筋コンクリート造のマンションの寿命は長いといわれています。しかし、物件種別に関わらず住宅は築年数に応じて価値が下落するのが一般的です。
マンションも築年数が古くなると建物自体も劣化していくため、一定の年数を迎えると建物としての価値がなくなると考えられています。
また、新築や築年数が浅いマンションへの需要が依然として高いため、築年数が古くなるほど売れにくくなる傾向にあります。
この記事では、築年数が古いマンションの売却方法や注意点などを紹介していきます。
これから築年数が古いマンションの売却を検討している人は、ここで紹介するポイントを押さえてスムーズな売却を目指しましょう。
築年数が古いマンションが売れにくい理由
古いマンションの築年数は様々ですが、築年数が古くなるほど売れにくいのが現状です。他にも、次のような理由で築年数が古いマンションが売れにくいといわれています。
住宅ローンを組むのが難しい
戸建てやマンションは購入金額が大きいため、住宅ローンを利用するのが一般的です。日本では2016年1月末からマイナス金利政策が導入され、消費者は住宅ローンを利用しやすくなりました。
住宅ローンを利用するためには、各金融機関の審査基準をクリアしなければなりません。審査基準は金融機関によって異なるものの、大きく分けて次の項目が基準となります。
築年数の古いマンションの購入で住宅ローンを利用する場合、この内の「担保評価額」が大きく影響してきます。
なぜなら、鉄筋コンクリート造の法的耐用年数は47年だからです。たとえば築年数が47年のマンションは、担保評価額がゼロに近くなります。
そのため、築年数の古いマンションを購入する場合、長期的な住宅ローンの利用が難しくなります。
修繕積立金や管理費が高い
通常、分譲マンションの居住者は毎月修繕積立金や管理費を支払います。一定の年数が経てば建物自体の大規模修繕が必要となり、また、共用部分を適切な状態に維持するためには管理費が必要だからです。
居住者から徴収した修繕積立金や管理費は、各マンションに設けられている管理組合によって管理されています。しかし、築年数が古いマンションは適切に管理されていない可能性も否定できません。
たとえば、居住者の高齢化によって修繕積立金や管理費がきちんと徴収できなかったり、居住者の減少によって修繕積立金や管理費が高く設定されているケースも考えられます。
このような背景から修繕積立金が不足し、適切なタイミングに修繕が行えないといった問題が起きる場合もあります。
躯体や設備、共用部分が古い
築年数が経つにつれて躯体や設備が劣化していくのが一般的です。そのため、築年数が古いマンションも、躯体や設備、さらには共用部分が古くなっている可能性が高いといえます。
たとえば、給湯器、ガスコンロ、エアコンといった備え付けの設備が旧型のままかもしれません。これらは交換すれば済みますが、躯体(くたい)や共用部分が古くなった場合は交換や修繕が難しいです。
躯体や共用部分の場合、次のような設備が古い可能性があります。
築年数が古いマンションの場合、1981年6月1日以降に適用された新耐震基準に適合していないかもしれません。
新耐震基準は、震度6強から7程度の大地震が発生しても建物が倒壊しないというレベルに定められています。
新耐震基準が採用される前に建てられた建物の場合、耐震補強工事で構造の強度を上げているかどうかが見極めのポイントとなります。
建て替えを検討するまでの期間が短い
鉄筋コンクリート造の法的耐用年数は47年だといわれています。しかし、これはマンション自体の物理的な寿命ではありませんので、47年を超えたらすぐに住めなくなるというわけではありません。
ただし、適切なタイミングできちんと修繕しておかないとマンションの寿命は短くなります。不動産専門データバンクの株式会社東京カンテイが行った調査によると、実際に建て替えたマンションの平均築年数は33.4年であることがわかっています。
たとえば、築年数30年のマンションに転居した場合、住み始めて間もなく建て替えを検討するタイミングを迎えることになります。
そのため、購入してもすぐに建て替え工事となり、仮住まいを探して転居しなければならない可能性が高まります。
マンションの大規模修繕のタイミングは、国土交通省の奨励によると築12年を目安に行うとされています。古いマンションを売買する際には、大体10~15年ごとに大規模修繕がきちんと行われているかどうかを確認するとよいです。
築年数が古いマンションの売却方法
築年数が古いマンションは、住宅ローンが利用しにくかったり設備が古いといった理由で売れにくいのが現状です。
これから築年数が古いマンションの売却を検討しているなら、次のような方法を活用してスムーズな売却を目指しましょう。
専門業者に買取を依頼する
築年数が古いマンションを売却する際には、専門業者に買取りを依頼するのもひとつの方法です。専門業者に買取を依頼すると次のようなメリットがあります。
買取のメリット
戸建てやマンションといった住宅を売却する場合、不動産会社に仲介を依頼して購入希望者を見つけるのが一般的ですが、引き渡し後に瑕疵(かし)が発覚すると売り手に責任が生じ、場合によっては損害賠償請求される可能性も否定できません。
その一方で、不動産会社にマンションを直接買い取ってもらう買取を選ぶと、引き渡し後の瑕疵(かし)について責任を負う必要がないので安心です。
築年数が古いマンションは、一般的に売り出しても売れにくいといわれています。不動産会社にマンションを買い取ってもらうと、築年数が古くてもスムーズに売却できます。
買取のデメリット
不動産会社にマンションを買い取ってもらうと、一般的な売却方法に比べて価格が安くなってしまいます。
その価格は、仲介での売却相場額の60~70%といわれています。そのため、マンションの売却代金を新たな住まいの購入資金にしたいと考えていても、十分な金額が得られないかもしれません。
マンションをできるだけ高い価格で売却したいなら、買取よりも一般的に仲介で売り出した方がよいです。
不動産会社に売却を仲介してもらう
不動産会社に仲介を依頼する場合、一般の買い手を見つけて高く売却できる可能性があります。
さらに不動産会社が売却活動を担ってくれるため、自分で広告を作成したり、積極的に売却活動を行う必要はありません。
とくに築年数が古いマンションの売買実績が高い不動産会社なら、スムーズで高値での売却が期待できますので、築年数が古いマンションの売買実績が高い不動産会社を見つけることが大切です。
仲介手数料について
不動産会社に仲介を依頼する場合、「仲介手数料」がかかります。仲介手数料とは不動産会社に仲介を依頼し、買い手との売買契約が成立した時点で発生する手数料のことです。
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められています。ただし、仲介手数料を差し引いても買取よりも高くなるケースは十分にあります。
仲介手数料の上限は、400万円を超える取引金額の場合、取引額の3%+6万円(+消費税)となります。ただし、これは上限ですので、交渉次第でもっと安くしてもらうことができます。
売却を依頼する際に、仲介手数料をいくらにしてもらえるかを相談してみるとよいです。
築年数が古いマンションを仲介で売却するときの流れ
築年数が古いマンションの売却を不動産会社に依頼する場合、次のような流れで進めていきます。
スムーズな売却のために、売却までの流れをあらかじめ把握しておくとよいです。
マンションの相場価格を自分で調べる
築年数が古いマンションの売却を検討したら、まずはマンションの相場価格を自分で調べましょう。なぜなら、相場価格を把握することで高値での売却が期待できるからです。
相場価格を調べる方法はいくつかありますが、ここでは次のような2つの方法を紹介します。
Reins Market Information
Reins Market Informationは公益財団法人不動産流通機構が運営する不動産情報のネットワークシステムで、一般の人でも閲覧できるようになっています。
Reins Market Informationには、過去に取引された物件情報が掲載されていることが特徴です。
土地総合情報システム
参考:土地総合情報システム
土地総合情報システムは、国土交通省が運営する不動産情報のネットワークシステムです。このシステムで得られる情報は、次の通りです。
- 不動産取引価格情報検索
- 地価公示・都道府県地価調査
- 不動産取引価格アンケート結果
相場価格を調べる場合、不動産取引価格情報検索を利用します。ここでは過去に実際に取引された物件情報が閲覧できるため、類似物件を検索することで相場価格が把握できます。
このような相場価格を扱ったデータサイトを利用して、マンションの相場価格を把握しましょう。
不動産会社に査定を依頼する
相場価格を把握できたら、不動産会社に査定を依頼してみましょう。不動産会社に査定を依頼すると、物件情報や立地条件などを考慮した査定額を提示してくれます。
ただし、査定を依頼する不動産会社は最初から一社に絞らないことが大切です。なぜなら、不動産会社によって査定額が異なるからです。
マンションをより高値で売却するには複数社に査定を依頼し、相場価格に近い査定額を提示してくれた不動産会社を選びましょう。仲介を依頼する不動産会社が決まったら、売却活動に向けて媒介契約を締結します。
中古マンションの売却についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。合わせて読んでみてください。
中古マンションの査定について種類や注意点をまとめました。マンション価格が高騰しているタイミングで数年前に購入した中古マンションでも高値で売れる可能性があります。査定のコツなどをチェックして高値売却を目指しましょう。
内覧希望者の対応を行う
実際に物件を売り出すと、物件に興味を持った購入希望者が現れます。購入希望者が現れると、実際に物件を見学してもらう「内覧」を受け入れましょう。
室内の清掃や整理整頓を行い、内覧を受け入れる準備をします。内覧時には購入希望者から質問を受ける場合もあるため、誠実に対応するように心がけましょう。
また、駅からの距離が近いといった周辺環境の利便性や物件のアピールポイントを伝えると、購入意思が高まる可能性が期待できます。
購入希望者が購入意思を固めると、売買契約までに買い手からの購入申込書を受け取ります。その後、売買契約に向けて条件交渉などが行われます。
購入希望者と売買契約を結ぶ
買い手が条件に同意したら売買契約に進みます。売買契約では、売買契約書をもとに買い手と売り手との間で契約を交わします。同時に、買い手から手付金として売買価格の一部が売り手に渡されるのが一般的です。
なお、売買契約書は仲介を依頼した不動産会社が作成してくれるので、売り手や買い手自身が作成する必要はありません。
売買契約成立後に契約解除となる可能性も否定できないため、売買契約書に契約解除の際のペナルティについて記載されていることを確認しておきましょう。
買い手にマンションを引き渡す
売買契約後、1~2カ月程度の期間を経てマンションの引き渡し日を迎えます。この期間が必要な理由は、次の通りです。
- 買い手が住宅ローンを申請して融資が決定する
- 物件のハウスクリーニング
- 状況に応じて物件のリフォーム など
引き渡し日には、マンションの管理規定や各設備のパンフレット、鍵を買い手に渡します。また、買い手から売買価格の残金を受け取る手続きや所有者移転の登記手続きなども行われます。
築年数が古いマンションを売却するためのポイント
築年数が浅いマンションに比べると、築年数が古いマンションは売れにくいといわれています。それでも売却を成功に導くためにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、築年数が古いマンションの売却を成功させるためのポイントについて解説していきます。
適正な価格設定を行う
築年数が古いマンションの売却をスムーズにするためには、適正な価格設定を行うことが大切です。
そこで価格設定に大きく影響するのは「相場価格」です。相場よりも大きくかけ離れた価格設定で売り出してしまうと、相場と同程度、あるいは相場よりも安い他の類似物件に購入希望者が流れてしまいます。
そのため、共用部分や専有部分の状況を総合的に判断し、適正な価格で売り出すことが大切です。
営業力のある不動産会社に依頼する
築年数が古いマンションの売却を成功に導くためには、営業力が強く古い物件の売却を得意としている不動産会社に依頼することが大切です。
たとえば、不動産ポータルサイトに掲載する程度の営業しか行わない不動産会社だと、物件情報が一定の人の目にしか留まりません。一方で売却活動に積極的な不動産会社なら、より多くの人の目に留まる可能性が期待できます。
そのため、築年数が古いマンションをスムーズに売却するためには、積極的に売却活動を行ってくれる不動産会社選びが重要です。
売却が難しいような古いマンションの場合、仲介業者と結ぶ媒介契約は「専任媒介契約」にすることをおすすめします。
人気があり、業者間で売却を競争させることができるような物件ならば一般媒介契約でもよいのですが、売却が難しいような物件ならば、信頼できる仲介業者にじっくりと任せる方がよいかもしれません。
不動産一括査定サイトを利用する
築年数が古いマンションを成功に導くためには、不動産一括査定サイトを利用してみましょう。不動産一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社に査定を依頼できます。
複数の不動産会社に査定を依頼することによって、査定額を比較できると同時に、不動産会社とやり取りしていく上で信頼できる不動産会社が見つけられる可能性も高まります。
リフォームを行っても高く売れる保証はない
築年数が古いマンションは、様々な場所に劣化が生じていることが多いです。そのため、劣化した部分をリフォームした方が、高値で売却できると考えるかもしれません。
しかし、費用をかけてリフォームしたとしても、その分のリフォーム費用を売り出し価格に上乗せてして売却できる保証はありません。
中古マンションの購入希望者の中には、購入後にリフォームを検討している人もいますので、売却前にあえてリフォームをすることは、あまりおすすめではありません。
売却するタイミングを逃さない
築年数が古いマンションを売却する際には、売却のタイミングを逃さないことが大切です。売却のタイミングを間違うと売れない可能性もありえます。
現在、2020年に行われる国際競技大会に向けて都心の不動産価値は高騰しています。その一方で、地方では後継者不足による空き家問題が深刻化しています。
このような背景によって、不動産会社に買取を依頼しても、将来的に築年数が古い物件は買取不可になってしまう可能性も否定できません。
そのため、築年数が古いマンションの売却を検討したなら、できるだけ早く売却することをおすすめします。
築年数が古いマンションは早めに売却しよう
戸建てやマンションといった住宅は、築年数に応じて劣化していくのが一般的ですが、定期的に適切なメンテナンスを行っていれば、よい状態を保つことも可能です。
しかし、戸建てと異なり、マンションの場合は、建物自体のメンテナンスを個人で自由に行えません。そのため、古くなっていくことに対して自分ではどうすることもできません。
築年数が古いマンションを売却するのならば、さらに古くなる前に売却を検討しましょう。