不動産売買で委任状がいるタイミング|ルールや書き方徹底解説

売りたい不動産があるけれど、忙しくて手続きができない、遠くに住んでいるから立ち合いが難しいなどと困っている方もいるのではないでしょうか。

そのような場合、代理人に委任するという方法があります。そして、代理人に依頼する際には、委任状が必要です。しかし、ほとんどの方が委任状に関わった経験がなく、書き方がわからないと悩んでしまいます。

そこで、この記事では不動産売買の際に作成する委任状のルールや書き方、注意点などをまとめました。初心者でもわかるように解説しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

この記事の監修者プロフィール
台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

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不動産売買で委任状が必要になる場合とは

委任状が必要になるケース一覧

不動産売却の手続きは数カ月以上かかるとされています。その際に、売主と買主の立ち合いが必要な場面もあるなど、手間や労力もかかるので、時間に余裕がないと大変です。

やむを得ない事情があり、本人が売却の手続きを進めることができない場合は、代理人を選定して委任することができます。どのようなケースで委任状が必要となるのかを見ていきましょう。

取引を行う不動産が遠方にあるとき

売りたい不動産の所在地が遠かったり、売主が海外に在住していたりすると、本人が売却手続きを進めることが難しくなります。その場合は、あらかじめ代理人を選定して不動産の売却手続きを進めることが可能です。

売却の手続きを始めてから完了するまでは長期間に及びます。打ち合わせがあったり、契約時には立ち合ったりして、足を運ばなくてはならない機会が多いです。

また、遠くに住んでいると、不動産会社や買主からすぐに来てほしいと依頼があった場合にも対応することが難しいでしょう。

遠方に住んでいる方は、売却手続きをスムーズに進めるため、早めに近くに住む方に代理人を選定して、委任を行いましょう。

契約を結ぶための時間が取れないとき

不動産取引を完了させるまでは、打ち合わせや手続きなどがいろいろあり、時間がかかります。仕事が忙しかったり、入院していたりして時間が取れない場合、契約を結ぶための時間を確保することは困難になるでしょう。

優先的に不動産取引を進めるための時間を確保できない場合も、代理人を選定して委任をすることができます。そのため、代理人の方も忙しい方ではなく、手続きのために時間を確保できる方を選びましょう。

不動産の所有者が複数人いるとき

所有者が複数いたり、夫婦で共有名義にしている場合、手続きの際にはその全ての方が立ち会わなくてはなりません。そうなると、スケジュールを調整するのは大変です。

このようなケースでも、代理人を選定して委任をすることができます。そうすることで、全員のスケジュールを調整する手間がかかりません。

また、夫婦で共有名義にしている不動産を離婚や不仲を理由に売却したい場合も、代理人に委任することで、顔を合わせずに売却の手続きを進められるというメリットがあります。

不動産所有者が未成年の場合

例えば、相続などで不動産の所有者が未成年となるケースもあることでしょう。もし、売却する不動産の所有者が未成年だった場合は、法律の規定により、単なる代理人ではなく法定代理人への委任が必要です。

法定代理人とは、法律の規定で定められている代理人のことで、未成年者の場合は親権者である両親に委任します。事情があり両親に法定代理人を委任できない場合、家庭裁判所を通して別の方に委任することが可能です。

ただし、未成年でも結婚している場合は、成年者と同様の扱いとなり、法定代理人を立てなくても売却することができます。

1人で決定して処理することが難しいとき

不動産を売却する手続きを進める中で、媒介契約や売買契約などの契約締結手続き、決済や物件の引き渡しなど、難しい手続きが複数回あります。

例えば、高齢で他に相談できる人がいない場合、複数回にわたるこれらの難しい手続きを1人で全て決めるのは大変です。1人で決定して処理数ることができない場合などは、専門家の手を借りることもできます。

また、信頼できる身近な人に任せるのもいいですが、報酬の支払いが必要だとしても、知識や経験が豊富な専門家に依頼したほうがより安心できるのではないでしょうか。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

代理人へ委任する専門家とは宅建業者です。宅建業者は媒介の他代理も行うことが出来ます。相場については、仲介手数料の倍額以下(6パーセント程度)となります。

不動産売買の委任状に関するルール

代理人を立てる際には、委任状を用意します。どのように用意したらいいのかを知るために、委任状の必要性やフォーマット、記載内容について、そして他に必要なものがないかなどを確認しておきましょう。

委任状に関する4つのルール

代理人を選任するためには必ず必要

代理人に不動産売買の手続きを依頼したいなら、「代理権委任状」が必ず必要です。なぜなら、この委任状が代理権を持っていることの証明になるからです。

なお、委任状の内容も重要で、売買契約において代理人が行う範囲を明確にしなければなりません。範囲を明確にしておかないと、勝手に値下げをするなど、さまざまなトラブルの原因となります。権利を制限することで、トラブルを回避し、売主の目的や希望に応じて売却の手続きを進めることが可能です。

決まったフォーマットはない

委任状は決まったフォーマットがありません。そのため、自由に作成することができます。

しかし、不動産会社により指定される場合もあるので、勝手に用意するのではなく、事前に不動産会社に確認するようにしましょう。

なお、自由に作成できるとなると何を記入すればいいのか悩むことがあります。また、自由に書くと記入漏れがある確率も高くなるので注意が必要です。

そのため、決まったフォーマットを用意してもらったほうが、委任状の記入漏れや作成ミスを防げます。

委任状に代理人の権限の範囲を明確にすることでトラブルを防ぐことができるので、委任状には重要事項や守ってほしいルールなど、記入漏れがないようによく確認しましょう。

ボールペンでしっかりと記入する

委任状は、原本で提出する場合がほとんどで、コピーの提出は不可です。

また、複製可能なシャーペンや鉛筆、消えるボールペンなどで記入することも禁止されています。そのため、ボールペンでしっかりと記入しましょう。

売買契約の手続きを進める中で、さまざまな請求書類が出てきます。それら1つずつに委任状が必要となるため、全てボールペンで丁寧に記入することが大切です。

委任状の他に公的書類も必要になる

委任状の他にも、委任者や代理人の印鑑登録証明書、実印、住民票の写し、代理人の本人確認書類などの公的書類も必要です。これらは委任状と合わせて提出しましょう。

委任者や代理人の印鑑登録証明書は、3カ月以内のもののみ有効です。有効期限が過ぎているものは無効となるため、新しく取得する必要があります。本人確認書類は、運転免許証などの写真付き身分証明書です。

なお、必要なものは場合により異なることがありので、不動産会社によく確認してから用意しましょう。

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不動産売買に利用する委任状に必要な項目と書き方

委任状の項目一覧

委任状にはまず、「本人が不動産売買や手続きに立ち会えないため、代理人に委任する」旨を記入しましょう。

そのうえで、代理人にどこまでの権限を委任するのか、金額のこと、委任状の有効期限、不動産の引き渡し予定日、契約を解除した場合の違約金のこと、税金や家賃の分担起算日や支払日など、具体的に詳細を記入する必要があります。

これから、委任状に必要な項目と書き方のポイントを解説していくので、ぜひ参考にしてください。

どんな権限を委任するのか

委任する権限はできるだけ明確に記すことが大切です。範囲が曖昧にならないような記述の仕方を心がけましょう。

例えば、「売却に関する件」など大まかな記述はトラブルのもとになります。物件価格、手付金の価格、代理人が買主からの価格交渉に応じることができるか、仲介業者からの媒介委託の権限、売買契約や引き渡しに関する権限など、ひとつずつ、事柄に関する範囲や金額を明確に記しましょう。

売却物件の正確な情報

売却物件の情報として住所を記載することは基本です。その際に、自分の記憶だけを信じて記載すると、間違えるリスクがあるので避けましょう。

住所は正確な情報を記入する必要があるため、法務局で入手できる登記簿謄本に従って記入することが大切です。

なお、登記簿謄本は間違いを防止できるだけではなく、不動産を所有していることの証明にもなります。

売却価格や手数料などの金額

トラブルが起こる原因となりやすいのがお金に関することなので、金額を明記することが大切です。また、代理人に価格交渉ができるのかどうか、その場合価格交渉の幅や振込先まで、しっかり明記することに注意しましょう。

金額を記入する際には、「○○円以上」などと大雑把に記載するのではなく、「○○円」と断定することがポイントです。

もし、交渉で違う金額を提示された場合、必ず売主に連絡するように記入しておくのもよいでしょう。

委任状の有効期限

委任状の有効期限を明確にすることも重要です。曖昧になっていると、トラブルが起きた際に代理人権限の有効性がないと見なされる可能性があります。

日にちに関しても「何年何月何日まで有効」と、明確に記入することが重要です。有効期限に限らず、全てにおいて曖昧な記入はトラブルのもとになるという認識で、委任状を作成しましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

基本的にはか月か半年が望ましいです。必要があれば、切れる前に改めて期限を延ばせばよいです

不動産の引き渡し予定日

転勤や引っ越しが迫っている場合などは、不動産の売却を終わらせる期限を決めましょう。

不動産の引き渡し予定日は、転勤や引っ越しの予定から逆算して決めるのがおすすめです。例えば、3カ月後に転勤の予定がある方は、準備期間を考慮して、その半月前の2.5カ月後に日にちを設定しましょう。

契約解除した場合の違約金額

契約締結後に自分勝手な都合でキャンセルをする場合など、どちらか一方が契約違反を犯した場合に支払う違約金の額を設定しましょう。

違約金の相場は、手付金の2倍(売却価格の2割)だとされています。手付金とは、売買契約の際に支払う一時金のことです。

前述で価格を明確に記すことが重要だと伝えていますが、売却価格は売買契約時に決定するため、委任状を作成する時には金額がわかりません。そのため、委任状には「売却価格の2割」のように記載しましょう。

税金や家賃の分担起算日や支払日

固定資産税や家賃、管理費などは、月締めや15日締めとなっていることが多いです。月の途中に引き渡しを行う場合は、これらの費用を日割りにして算出しておきましょう。

そして、費用の負担でトラブルにならないように、その月の費用の負担をどうするのかを決めます。

例えば、固定資産税はどちらが名義になり納付するのか、家賃や管理費などは売主または買主の負担がどうなるのかなどを細かく決めて、委任状に記入しましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

こういった委任に関することで多いトラブルは「委任者の意向と違うことになった」というものです。細かく話しておくことにデメリットはありません。逆に言っていないことは「お任せOK」みたいになるので、細かなことほど細かく定めて書面に記載しておきましょう。

不動産売買の委任状を託す代理人選びのポイント

委任状を託す代理人のポイント

代理人に大切な不動産の売却を任せることになるので、本当に信頼できる人に依頼することが大切です。トラブルを避けるためには誰に依頼したらいいのか、代理人を選ぶポイントを紹介します。

基本的には親族に任せる

不動産の売買は大きなお金が動くので、赤の他人に任せるのは不安です。信頼できる他人だから良いという人もいるかもしれませんが、お金が絡んだために信頼関係が崩れてしまったというのはよくあります。

トラブル回避を重視するなら、親や子ども、または配偶者に任せることも選択肢の一つです。

信頼のおける専門家から選定する

親族に代理人を任せることはおすすめですが、その一方で難しい手続きに対応できるだろうかという不安を持つ方もいることでしょう。

不動産の売買では、契約の際などに専門的な知識を要することがあります。そのため、深い知識を持っており、信頼のおける専門家に代理人を委任するのもおすすめです。

その際には、弁護士や司法書士など、法律に関する専門家から選ぶようにしましょう。専門家に依頼すると依頼料が発生しますが、その分法律の知識をいかし、不動産の売却が有利に進められることもあります。

また、代理人の行いは法的に所有者本人の行いと同様の効力を持っています。そのため、知識がないために売却や手続きで失敗するリスクがある素人よりも、知識が深く信頼できる専門家に依頼したほうが安心です。

友人や会社の同僚は避けるべき

いくら親しい間柄であっても、友人や会社の同僚に任せてしまうと、トラブルが起きた際に人間関係に影響が出てしまいます。また、親しい間柄だからこそ、トラブルが起こったときに問題が大きくなりやすいです。

そのため、友人や会社の同僚ではなく、親族や専門家に依頼するようにしましょう。なお、親族や専門家の中でも、特に信頼できる人を選ぶことも重要です。トラブルを避けたいなら、代理人の選定は慎重に行うようにしてください。

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不動産売買で委任状を作るときの注意点

委任状作成の注意点

委任状に関する注意点も把握しておきましょう。注意するべきことは細かくいろいろありますが、その中でも特にポイントとして押さえておくべきことがあります。

それが、「氏名は自筆で署名する」「空欄の項目がないか確認する」「代理人を立てることを買主に伝える」「誤情報に注意する」「最後に以上と記す」の5つの項目です。

それでは、ひとつずつ確認していきましょう。

委任者の氏名は自筆で署名する

委任状自体は、パソコンで作成しても大丈夫です。しかし、委任者の氏名は自筆でないと認められない場合があるので注意しましょう。

また、委任者の住所と氏名の欄には、自筆での署名に加えて、実印での捺印が必要です。

一方で、代理人の住所と氏名の欄には、基本的に署名や捺印は必要ありません。しかし、場合により求められることがあるので、不動産会社に相談しましょう。

空欄の項目がないかをチェックする

空欄の項目がある委任状のまま契約行為を行ってしまうと、後にトラブルの原因になってしまうことがあります。空欄の項目がある委任状を、一般的に「白紙委任状」といいますが、この白紙委任状は、委任の範囲を明確にしていないことになるので、注意が必要です。

例えば、記入途中で「この項目は調べないとわからないから、後に回そう」と、項目を飛ばして次の項目を記入することがあります。そして、そのまま忘れてしまい、空欄の項目が出てしまったというのはよくあることです。

委任状が完成したら、再度初めから最後まで目を通して確認しましょう。そうすることで、白紙委任状となってしまうミスを防げます。

取引に代理人を立てることを買主に伝えておく

予め取引に代理人を立てることを買主に伝えておかないと、不信感を抱かれてしまう恐れがあります。稀にですが、委任状を偽造して代理人になりすます詐欺もあります。

最近ではいろいろな詐欺のニュースがあり、買主側も慎重になっている方が多いです。買主が少しでも不審に思ってしまうと、売却が失敗に終わる可能性があるので注意しましょう。

本当に売主から委任された代理人かどうかを、売主に連絡して確認する買主もいます。それはそれで、買主に余計な手間や心配をかけさせてしまうことになるので、安心して取引してもらえるよう、事前に伝えておくことが礼儀です。

誤情報を記載しないように気を付ける

誤った情報を記入することがないように、委任状が完成したら必ず内容を確認しましょう。

特に、フォーマットに指定がなく、自由に記入した場合はミスを起こしやすいので注意が必要です。

パソコンでデータ入力をする際にも、文字の入力ミスや変換ミスなどが起こるケースがあります。入力する際にも細心の注意をはらう必要がありますが、その後の確認も怠らないようにしましょう。

なお、不動産会社は大量の案件を取り扱っているため、他の案件と勘違いをしてしまうということもあります。そのため、不動産会社のチェックに加えて、必ず自分自身でも確認することが重要です。

書類の記載終わりに「以上」と記す

書類の記載終わりには「以上」と記す必要があります。「以上」という言葉がない場合は、作成途中とみなされたり、第三者に書き換えられたりする場合があるので、注意が必要です。

重要書類の作成に慣れている方は当たり前のように思うかもしれませんが、書類作成に慣れていない方は「以上」を記入することを忘れてしまうことがあります。

このような少しのミスが、大きなトラブルの原因になる可能性も秘めているため、最後の最後まで慎重に記入し、記入を終えたら内容をよく確認しましょう。

また、誰がどこまで記入したのかという情報も表記しておくことも大切です。トラブルが起こると売主本人が責任を問われるケースがほとんどなので、そうならないように細かいことまで丁寧に記入しましょう。

不動産売買を委任するなら委任状をしっかりと記入しよう

不動産売買を委任するなら委任状をしっかりと記入しよう<

不動産の売買でどうしても本人が立ち会えない、または手続きを進めることが不可能な場合は、代理人を選定して委任しましょう。その際には権限を明確に記載した委任状を用意することで、トラブルを防ぐことができます。

委任状には、代理人にどこまでの範囲を委任するのか、正確な金額や日にち、その他細かい内容を記載しておくことが大切です。また、代理人は信頼できる親族または専門家から選ぶことも重要なポイントのひとつです。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

代理人の選定や委任状について不安があれば、まず不動産会社に相談しましょう。その際には、相談する不動産会社の選び方も重要なポイントとなります。

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