【簡単解説】空き家を無償で譲る方法と無償譲渡するときの注意点

家や土地などの不動産を所有していると、毎年固定資産税を納めなくてはなりません。空き家であっても同様に納税義務が発生します。

また、空き家は放置すると様々な問題を引き起こすので、定期的な管理が必要です。住んでいなくても、空き家を維持するためには費用や手間がかかるのです。

そのため、今後も活用をする予定がないのであれば、空き家は放置せずに手放すことをおすすめします。

空き家を無償で譲渡するメリットや方法、譲渡先の探し方などを紹介します。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

この記事の監修者プロフィール
台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

こちらから最適な土地活用プランを請求できます!

【最大7社に無料でプラン請求】
土地活用を検討するなら最大収益プランが簡単に見つかるHOME4Uの土地活用をご利用ください。土地の節税対策や資産運用による副収入をご検討ならおすすめです。
㈱NTTデータ・スマートソーシングが運営する信頼と安心感、国内最大級1,000万人利用の実績のある土地活用プラン提供サービスです。

空き家を無償でも手放した方がよい理由

空き家を無償でも手放した方がよい理由

空き家を手放すことで、毎年の出費がなくなるなど、そのまま放置していることのリスクを回避できます。ここではそれ以外に、無償でも手放した方がよい理由を紹介します。

税金と維持費にかかる費用が必要なくなる

不動産を所有していると、毎年固定資産税や都市計画税の支払い義務が発生します。

これは空き家であっても住宅として利用している家と同様に、税金を納めなくてはなりません。

また、税金以外にも空き家の管理にかかる費用が必要です。空き家を維持するための水道光熱費、保険料や、清掃や修理などの費用が発生します。

税金や諸費用を含め、空き家を所有していることでかかる平均的な費用は、年間40万円以上になるといわれています。

空き家を手放せばこれらの費用を負担しなくて済み、経済的な負担を大きく軽減することにつながります。

売却しにくい物件を手放せる

不動産を手放すために売却しようとしても、立地条件や家の状態が悪いと買い手が見つからないことがあります。

相続した不動産であれば、地方にあったり築年数が古かったりするケースも考えられます。一般的に、このような条件の空き家は需要が低く、いくら価格を下げても売却が難しいことが多いのです。

しかし、売却が難しいからといって放置をしていても、各種費用の負担は毎年続きます。

売却先がなかなか見つからず、できるだけ早く手放したい場合でも、無償譲渡であれば引き取ってくれる人を見つけやすいでしょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

可能性として、無償ならば隣家の人が敷地拡張のためにもらってくれたり、何らかと事業のために企業が引き取ってくれたりすることが考えられます。

相続のトラブルを回避できる

普段は親族間の関係性が円満であっても、お金や資産が関わると急にトラブルが発生することがあります。

土地や建物などの不動産は、預金などと違い単純に分割することが難しい資産のため、特に、相続する不動産に資産価値がある場合には相続トラブルが起こることが良くあります。

不動産をどのようにして分けるか、分割割合はどうするか、売却するのか所有し続けるのかなど、相続人同士で決めなければいけないことが多く、話し合いがまとまりにくいケースも多いです。

また、相続した人も、相続することで納税義務や管理義務が発生し、大きな負担になることもあります。

こうした相続トラブルや相続後の負担を避けるためにも、売却が難しい空き家を無償で譲渡して手放すという選択肢は有効です。利益が発生しないため、どのように分割するか等の話し合いも不要になります。

空き家を無償譲渡する前に一度不動産査定を依頼してみよう

空き家を無償譲渡する前に一度不動産査定を依頼してみよう

ここまで、空き家の無償譲渡について紹介してきましたが、自分では価値がないと思っている空き家でも値段がつくことがあります。

なので無償譲渡を進める前に、一度不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。

近年、古い家を買って自分の好きなようにリフォームを行って住む人が増えています。

ここ数年、スケルトンリフォームという構造部分から再生を行うリフォームが流行しており、古い空き家であっても、最新の耐震技術や耐熱構造を兼ね備える施工により、間取りまで変えることが可能です。

このようにリフォームの技術も発展しているため、古い建物でも需要が増えています。

不動産会社の査定は、無料で依頼できるものもあります。「古い空き家だから価値がない」と自分で判断せずに、ぜひ一度不動産会社に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。

空き家の査定を依頼する方法

空き家の査定を依頼する方法

最後に、不動産会社と一括査定サイトでの査定の依頼方法を簡単に紹介します。

空き家の査定を不動産会社に依頼する場合、地元の不動産会社と一括査定サイトでの査定がおすすめです。

地元の不動産会社に依頼する

地方にある空き家の場合、査定は地元の不動産会社に依頼してみましょう。

地元に強い不動産会社であれば、そのエリアの不動産価値に精通しているため、空き家の査定も高い精度で行ってくれる可能性が高いでしょう。

また、長く地域に根づいている不動産会社であれば、地域に多くの顧客を抱えています。空き家が売却できると判断された場合、有力な売却先を見つけてくれる可能性があるでしょう。

無料一括査定サイトを利用する

一括査定サイトとは、インターネット上で売却したい不動産の情報を入れるだけで、複数の不動産会社に一括で簡易査定を依頼できるサイトです。査定結果はメールなどで簡単に受け取ることができます。

査定額は、各不動産会社が過去の取引実績や物件の状態などを踏まえて出してくれます。より正確に物件の価値を知りたいのであれば、査定は複数の会社に依頼した方がよいでしょう。

複数の不動産会社をまわって、査定を依頼するのは手間がかかります。このため、インターネット環境さえあれば、簡単に査定の依頼ができる無料一括査定サイトが大変便利です。

また、物件のある地域に対応している不動産会社や、空き家に対応できる不動産会社を探すことができる点も一括査定サイトの強みです。

空き家を譲る方法は3つ

ここでは、空き家を譲る方法として、次の3つを紹介します。

ここでは、空き家を譲る方法として、次の3つを紹介します。

個人に無償譲渡する

1つ目は個人に譲渡するという方法です。

その空き家を欲しいという個人の方であれば譲渡できますが、買い手がつかないような土地や空き家を欲しいという人は多くないでしょう。

そこで、譲渡先として有力になるのが、空き家がある土地の近隣の人です。

とくに隣の敷地の所有者であれば、譲渡を受けることで自分の土地を拡大することができます。土地はある程度の広さがあると資産価値が高くなる場合もあるので、状況によっては喜んで承諾してくれるかもしれません。

個人の譲渡先を探すのであれば、はじめに隣の敷地の所有者に声をかけてみましょう。

法人に無償譲渡する

個人に譲渡しようとすると、近隣の方以外ではあまり譲渡先の選択肢がありません。しかし、法人も含めれば選択肢が広がり譲渡先が見つけやすくなります。

アクセスがよい場所にある空き家であれば、改装して事務所やカフェにするなど、法人ならではの活用方法があるかもしれません。

田舎にある空き家と土地であれば、近隣の建設業者の資材置き場等に活用することもできるでしょう。

また、一般企業だけではなく、社団法人や財団法人、学校、寺社、NPO法人など公益法人等も含めて探すとより譲渡できる可能性が上がるでしょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

手軽に始められるものとして、インターネットで無償譲渡物件の不動産マッチング支援サイトなどの利用があげられます。そちらに登録して掲載してもらうことによって、場合によっては譲渡先が見つかるかもしれません。また、その地域の役場に空き家対策の相談窓口があれば、相談してみても良いと思います。

自治体に寄付をする

個人や法人への譲渡以外に、その土地がある自治体に寄付をするという方法もあります。

自治体へ寄付の相談をする場合は、次のステップで進めます。

自治体に寄付をする

ただし、自治体が必ず寄付を受け入れてくれるわけではありません。

自治体側には土地や空き家の寄付を受け入れる義務はありません。自治体にとって価値のある地域にある空き家であれば寄付を受けてもらう可能性が上がりますが、そうでなければ寄付を受けてもらうことができないケースも多いでしょう。

しかし、一度相談をしてみないことには、寄付を受けてくれるか断られるかはわかりませんので、窓口に相談をしてみてはいかがでしょうか。

空き家を無償譲渡する流れ

空き家の譲渡先を見つけることができた場合、具体的にどのような流れで譲渡を進めていけばよいでしょうか。

空き家を無償譲渡する流れやポイントについて、個人間での無償譲渡のケースと、個人から法人への譲渡のケースを解説します。

個人から個人へ無償譲渡する場合

土地や建物を売却する場合には売主と買主の間で売買契約書を作成しますが、無償譲渡をする場合には、「贈与契約書」を作成します。

のちのトラブルを避けるためにも、しっかりと書面で契約内容を残しておきましょう。

無償譲渡(贈与)の契約書のひな形は、インターネット上にもいろいろとありますので利用されるとよいと思います。内容もそちらに記載されている通りで大丈夫ですが、日付や費用(公租公課)の負担について明記しておくことが大切です。

費用負担は、受贈される側が負担することが多いようですが、決まっているわけではありませんので、両者の協議によって決めることになります(以下に説明されておられる通り)。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

また、無償であっても200円の収入印紙を貼付する必要があります(もし、譲渡費用が発生しているのならば、その金額に見合った収入印紙の貼付が必要です)。

この際、贈与契約書は2通作成した上で、贈与者と受贈者が署名押印をし、それぞれ1通ずつ保管するのが一般的です。

なお、譲渡をするにあたり所有権移転登記の申請手続きおよび、各種費用の支払いを行わなくてはなりません。この点に関しては、贈与者と受贈者で協議を行い、費用の負担の割合を決めましょう。

個人から個人へ無償で譲渡する場合は譲渡所得が発生しないため、贈与者には納めるべき税金は原則として発生しません。

譲渡所得税は個人間の無償譲渡では発生しませんが(譲渡した際の利益は受贈者に引き継がれることになりますので、もし将来的にその受贈者が不動産を売却して利益を得た場合、その利益に加算されて課税されることになります)、受贈者に贈与税は発生します。

計算式は、【課税価格 = 贈与財産価額 − 110万円(基礎控除) 税額 = 課税価格 × 税率 − 控除額(誰からの贈与かによって、税率と控除額は変わります)】となります。売れない(価値がつかない)ような不動産でしたら、110万円に満たないことになるでしょうから、もちろん譲与税はかかりません。

個人から法人へ無償譲渡する場合

個人から法人への譲渡の場合、無償でも「みなし譲渡所得」が生じ、贈与者にも所得税の納付義務が発生する可能性があります。この点が個人間の無償譲渡と異なるポイントです。

みなし譲渡とは、無償または低い価額で不動産を譲渡した場合にも時価で譲渡したとみなし、課税される仕組みのことです。

なぜこのような仕組みがあるかというと、無償譲渡を行った場合、価値が高い不動産であっても所得税がかからず負担が回避できます。このような仕組みを利用し、故意的な所得税の納税回避を避けるためにみなし譲渡の仕組みがあるのです。

一方、一般的な営利法人ではなく公益法人へ無償譲渡をする場合には、税法上の優遇措置があり譲渡所得税が非課税になる場合があります。

譲渡所得税を非課税にするためには、税務署に承認申請書を提出して承認を得る手続きを行います。

空き家を無償譲渡する相手をなかなか見つけられない場合

空き家を無償譲渡する相手をなかなか見つけられない場合

ここでは、無償譲渡先を探す際の相談先として、地元の不動産会社と空き家バンクを紹介します。

地元の不動産会社に相談する

まずは、地元の不動産会社を探し一度相談をしてみることをおすすめします。

地元の不動産会社はその地域の不動産事情について情報を持っています。家を探している顧客も抱えているでしょう。

一方で、不動産仲介会社は不動産の売却を仲介することで手数料を得ていますので、手数料が発生しない無償譲渡先の紹介を行ってくれるとは限りません。対応してくれるかどうかは、不動産会社によるといえそうです。

物件によっては不動産会社が買い取ってくれることもありますので、一度相談してみるとよいでしょう。

空き家バンクを利用する

空き家バンクは、移住希望者などへインターネットを介して空き家情報を発信し、紹介を行うサービスです。

空き家バンクでは、売却や賃貸に加えて無償譲渡での紹介も行ってもらうことが可能です。

自治体による空き家バンクで家を探している人は、はじめからそのエリアにある空き家を探しているわけですから、一般市場よりも自分の空き家に興味を持ってくれる人と出会える可能性が高いといえます。

さらに、自治体によって空き家の引き取り手側に補助金や支援制度が設けられているケースが多く、他のルートで空き家の引き取り手を探すよりも、成約まで至る確率が高いでしょう。

なお、引き取ってくれる人を見つけた際、交渉などは希望者と直接行うことになります。

引き取ってくれる人との交渉は、契約内容(無償譲渡の内容)の話し合いと所有権移転登記手続きになります。いつ、誰から誰へ、どのような条件で(費用負担など)譲渡するのかを取り決めて契約を締結し、契約の確定日に合わせて所有権移転登記をする、という流れです。

個人間でのやり取りが不安な場合は、空き家バンクや空き家マッチングサイトで手続きを手伝ってくれるサービス(有料)があったり、司法書士に依頼したりする(有料)ことを検討されるとよいのではないでしょうか。

そのようなサービスを利用することが決まっているのでしたら、その費用負担についても契約内容で取り決めておく必要があります。

空き家を譲渡するときの注意点

空き家を譲渡するときの注意点

ここでは、空き家を無償譲渡する場合に注意していただきたいポイントを2つ紹介します。

みなし譲渡として税金が発生することがある

個人が法人に空き家を無償で譲渡する場合、「みなし譲渡」として所得税が課せられる点に注意が必要です。

みなし譲渡所得は次の計算式で求められます。

  • 計算式:みなし譲渡所得=不動産の時価-譲渡に要した費用-不動産の取得費

一方、公益法人等への無償譲渡の場合、税務署に所定の手続きを行えば税金は発生しません。

しかし、自動的に非課税になるわけではありませんので、手続きをしていない場合には法人と同様にみなし譲渡所得があると判断され課税対象になる可能性があります。手続きを忘れずに行いましょう。

瑕疵については必ず受贈者に伝える

不動産の取引では、売主は「瑕疵担保責任」という責任を負います。瑕疵担保責任により、購入した不動産に瑕疵(隠れた欠陥)が見つかった場合には、売主側に修繕費用の支払い等の責任が生じます。

空き家の無償譲渡の場合、無料で引き渡しを行うため、原則として贈与者に瑕疵担保責任はありません。

しかし、事前に瑕疵を知っていたのにも関わらず受贈者に伝えていなかった場合は、瑕疵への責任が生じます。そのため、空き家の瑕疵に気づいている場合は事前に受贈者伝えておくことが大切です。

贈与者の担保責任(民法第551条) 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。

明らかに目視レベルでわかるものや、使用中にわかってしまうような場合は「知っていた」と見なされますが、明確な判断基準がありわけではありません。売買ならいざ知らず、無償譲渡の場合は瑕疵担保責任を問うこと自体が少ないのではないでしょうか。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

どうしても贈与側の瑕疵担保責任が心配なのでしたら、契約書に無償譲渡(贈与)の際の瑕疵担保責任の免責を入れ込んでおくとよいと思います。

維持費がかかる空き家は早めに売却するか無償譲渡の検討を

維持費がかかる空き家は早めに売却するか無償譲渡の検討を

空き家は、所有しているだけで毎年固定資産税や管理費用などの維持費がかかります。この後も活用する予定がないのであれば、早めに売却か無償譲渡を検討しましょう。

はじめのステップとして、一括査定サイトで無料の査定を受けることをおすすめします。負の財産だと思っていた空き家に、思わぬ価値がつく場合もあります。

無償譲渡を進める場合には、隣地の方に相談をしたり、空き家バンク等を賢く利用すれば、よりスムーズに進めていける可能性が高いでしょう。