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相続した空き家をどうすればよいのか悩んでいる人は多いです。
自分が子どもの頃に住んでいた家だと思い出も多く、売却に踏み切れない人もいるかもしれません。
しかし、家を使わないで空き家として放置しているだけでも、毎年、税金の支払いが続きます。
そして、空き家は、周辺環境に悪影響を与えないためにも適切な管理が必要となり、そのための費用もかかります。
ここでは、空き家を放置するとどのようなデメリットがあるのか、空き家の売却の際にどれくらいの費用がかかるのか、などを解説しているので、空き家の処分に困っている人はこちらを参考にして下さい。
空き家を放置しない方が良い理由
空き家を放置すると、近隣の住民に迷惑をかける可能性があります。
また、特定空き家として認定されると、税金の支払いの減免が受けられなくなります。
毎年固定資産税がかかる
家などの不動産を所有している人は固定資産税や都市計画税を納めなければなりません。
これは、住んでいない遠方で相続した家であっても、1月1日の時点でのその家の所有者に課税されます。
田舎の家は都心部の家に比べると、固定資産税も少ない場合が多いです。
しかし、10年、20年と払い続けると大きな金額となります。
これらの税金はその家を所有する限り支払いが続きます。
そのため、相続した家など、活用しない家の場合には、少しでも早く売却することで余計な支払いをしなくてすみます。
住宅用地の特例適用がなくなる可能性
原則、住宅用の土地の場合には、固定資産税や都市計画税の支払いには優遇措置があり、固定資産税なら最大6分の1に、都市計画税なら最大3分の1まで軽減されます。
しかし、2015年(平成27年)に施行された「空き家対策特別措置法」により、放置された危険な空き家と認定されると、この優遇措置を受けられなくなり、税金の支払い額が一気に跳ね上がります。
特定空家に認定されないためには、空き家の適切な管理が必要になります。このためには、費用も手間もかかります。
そのため、空き家に管理費用をかけたり、特定空家に認定されるリスクを避けるためにも早めの売却が無難です。
興味がある方には、空き家対策特別措置法をわかりやすく解説した記事をご参考にしてください。
空き家を所有する人に向けて「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が定める内容を分かりやすく解説します。この法律を知ることで、空き家の管理のポイントや何を気をつけなければならないのか理解することができます。また、空き家の上手な活用方法も紹介します。
「特定空き家に認定される」のはそのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態などです。
不動産売却の基本知識については、下記記事で詳しくまとめています。不動産売却が初めてで不安な人は、一度全体の流れを把握しておきましょう。
この記事では、不動産に関する流れやかかる費用といった基礎知識から、取引上の注意点などを分かりやすく解説します。節税の方法や不動産会社の選び方についても触れていますので、不動産の売却における疑問を解消するのに役立ててくださいね。
空き家の売却方法
空き家を手間をかけずに売却したいなら、空き家を残してそのまま売却する方法が簡単です。
また、売れにくい立地にある空き家や、空き家の状態が悪い場合には解体して更地で売却することもできます。
そのまま売却する
手間や余計や費用をかけずに売却するには、空き家をそのまま残して売却するとよいです。
この方法だと、更地で売り出すときのように、解体費用はかかりません。
しかし、空き家をそのまま中古住宅として売却する際には、中古住宅の売却時に発生する瑕疵担保責任に注意する必要があります。
買主は、購入の時点で分からなかった隠れた瑕疵に対して、瑕疵を発見してから1年以内であれば損害賠償を請求したり、契約の解除を行ったり、修理などを要求したりすることができます。
通常、この瑕疵担保責任は、売買契約書の特約で期間が定めたり、免責にしたりできる場合もあります。
古い空き家の場合には、隠れた瑕疵が発見されることもゼロではないため、免責にしたり期間を定めたりしておかないと、売主は大きな負担を負うことになりかねません。
建物を解体して売却する
旧耐震基準で建てられた家や、シロアリの被害が見られる家、梁など家の躯体部分に問題がある家などは、空き家を残して売るよりも更地のほうが売りやすくなります。
ただし、家を解体するには、解体費用がかかります。一般的な木造住宅の解体費用の平均は1坪あたり、3万円から5万円程度かかります。
そして、住宅がなくなれば、固定資産税や都市計画税の支払いの優遇措置も受けられなくなり、税金の支払い額が増えます。
これらの税金は1月1日の建物の所有者に課税されるので、解体を行う場合には、1月2日以降に解体したほうがよいです。
家を解体する費用の相場は、こちらの記事で紹介しています。
築年数が古い家を解体して売却する場合、想像以上にコストがかかる可能性があります。この記事では、家を解体する際の流れや費用の相場などについて紹介しています。解体業者の選び方もあわせて紹介しているので、家を解体する際の参考にしてみてください。
空き家を売却する流れ
空き家を残して売却するときも、更地にして売却するときも手続きの流れはほぼ同じです。
ただし、解体を伴う更地での売却には注意すべきことがあります。
空き家をそのまま売却する場合
空き家を残したまま売却する場合の手順を見てみましょう。
不動産会社の査定
初めに不動産会社を選ぶために査定を行います。このとき、空き家の売却実績がある不動産会社を選ぶとよいです。
そして、空き家のある地域の不動産会社なら、地元の情報にも精通しているのでおすすめです。
また、不動産会社を選ぶときには、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果や担当者の知識や対応の仕方などを比べながら選びましょう。
不動産会社との媒介契約
不動産会社に空き家の売却を依頼するときには、媒介契約を結びます。
この媒介契約には3種類あり、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があります。
これらの3つには、報告義務の回数や買主を自己発見できるかなどで異なります。
また、一般媒介契約では複数の不動産会社と同時に契約できますが、それ以外の契約では1社のみとの契約になります。
販売活動
媒介契約を結ぶと、不動産会社は販売活動を始めます。
多くの不動産会社と物件情報を共有し、広い範囲から買主を探せるように「REINS」に登録したり、折り込みチラシを作成したりして行われます。
また、この販売活動の状況は、専任媒介契約であれば2週間に1回、専属専任媒介契約であれば1週間に1回の報告義務があります。
売買契約の締結
買主が見つかって、売買価格に合意が得られると売買契約を締結します。このときに、買主は売主に手付金を払います。
決済・物件の引き渡し
決済を行うときには、抵当権の抹消登記・設定登記、所有権移転登記が同時に行われます。
そして、残りの代金の入金が確認されたら、鍵と書類を渡し、物件の引き渡しを行います。
空き家を解体して売却する場合
空き家を解体して更地にして売りだすときには、2つの方法があります。
- 売主が前もって建物を解体して更地として売り出す
- 売買契約締結後に解体して、更地として引き渡す
どちらの場合も、解体費用は売主の負担となることが多いようです。
更地にした方が、買主は購入後のイメージがしやすかったり、土地の大きさが把握しやすかったりするというメリットがあります。
しかし、建物を解体してしまうと、税金の支払いが高くなります。
すぐに売却できればよいのですが、売却できなかった場合、その期間高い税金を支払うことになります。
売買契約締結後に解体するのなら、このような高くなった税金を支払うリスクをなくせます。
ただし、買主が住宅ローンに通らなかった場合のためのローン特約がある場合には、買主のローン審査が通ってから解体を行いましょう。
ローン特約の期間内は、契約が白紙に戻る可能性があるので、そこで解体してしまうと、更地にしたけれども売買契約が締結できない、という状態に陥るからです。
買主が解体費用を負担するのであれば、その分を売買価格で調整するという方法もありますが、解体後に土地から瑕疵が見つかる場合もありますので、解体そのものは引き渡し前に行う方がよいと思います。
空き家の売却にかかる費用
空き家の売却時には、税金のほかにも不動産会社に支払う手数料や、司法書士に手続きを依頼するとその手数料も発生します。
不動産会社に支払う仲介手数料
不動産会社に売却を依頼すると成功報酬として仲介手数料を支払います。
この仲介手数料は売買契約が成立したときのみ支払い、売買契約が成立しなかった場合には発生しません。
仲介手数料には上限金額が決められていて、不動産会社はその上限額以上の仲介手数料を請求することはできません。
そして、この仲介手数料は、売買契約が成立したときに半額、残りの半額は決済の日に支払われることが多いようです。
抵当権抹消登記にかかる費用
空き家を売却するときに、その家に抵当権が設定されている場合には、抵当権を抹消しなければ売却できません。
抵当権を抹消するには、抵当権を設定して金融機関から借り入れているお金を全額返済しなければなりません。
そして、この抵当権抹消の手続きは、司法書士に依頼することがほとんどです。
決済の日に立ち会い、売却代金が入って、返済ができれば抵当権抹消の手続きを行います。
この抵当権抹消登記をする際には、登録免許税や司法書士への報酬、事前調査費用、事後に確認をするための謄本取得費用がかかります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、(空き家の場合、←空家でなくても、なので不要)土地(1筆の場合)と建物との2件である場合が多く、不動産1件につき1,000円なので、2,000円となります。
また、司法書士への報酬は1万円から3万円程度です。
売買契約書にかかる印紙税
空き家を売却先が決まると、売買契約書を作成します。このとき、売却金額に合わせて印紙税を納めなければなりません。
また、売買契約書は売主分と買主分作成されるので、2通分必要です。一般的に、売主、買主それぞれが印紙税を負担します。
そして、印紙税額は法律で決められており、次のようになります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 60,000円 |
なお、軽減税率は、1997年(平成9年)4月1日から2020年(令和2年)3月31日に作成された契約書に適用されます。
移転登記の登録免許税
空き家の所有者が変わると、その建物の所有者の名前を元の持ち主から新しい持ち主へと変更しなければなりません。この手続きを所有権移転登記と言います。
そして、この所有権移転登記には登録免許税がかかります。この手続きも抵当権抹消登記と同じく司法書士に依頼できます。
所有権移転登記の登録免許税は、土地と建物の税率が異なり別々に計算して課税されます。
税率 | 軽減税率 | |
---|---|---|
建物 | 不動産の価格の1000分の20 | – |
土地 | 不動産の価格の1000分の20 | 2021年(令和3年)3月31日までに登記を受ける場合には、1000分の15 |
固定資産税台帳に記載された不動産価格が3,000万円で建物価格が1,000万円、土地価格が2,000万円の場合、登録免許税の税額は次のようになります。
|
所得税と住民税
空き家を売却して利益がでると、その利益に対して所得税や住民税等が課税されます。
この利益を譲渡所得と言い、譲渡価格から取得費用や譲渡費用を差し引いたものです。
また、特別控除の適用が出来る場合には、この控除金額も引かれます。この課税譲渡所得は次の式で算出できます。
課税譲渡所得金額 = 譲渡価格 - (取得費用 + 譲渡費用) - 特別控除額 |
なお、取得費用として計算されるうちの建物価格は、減価償却後の価格となります。
これは、建物は経年劣化するもので、年数が経過するごとに価値が下がるためです。
そして、この課税譲渡所得金額に所得税、住民税、復興特別所得税が課税されます。
なお、それぞれの税率は次のようになります。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
所有期間が5年以下の場合 | 30.63% | 9% |
所有期間が5年を超える場合 | 15.315% | 5% |
なお、上記の所得税の税率に復興特別所得税2.1%が上乗せされています。
解体する場合は解体費用がかかる
空き家が築年数が古い場合や、旧耐震基準で建てられた建物である場合、リフォームに高額の費用が必要な場合などは、解体して更地で売り出すほうが売れやすくなる場合があります。
しかし、空き家を解体するには解体費用がかかります。そして、その解体費用を上乗せした金額で売却できるわけではありません。
空き家の解体を検討する際には、不動産会社に相談して慎重に行うことをおすすめします。なお、解体金額の相場は次のようになります。
建物の構造 | 相場価格 |
---|---|
木造 | 3~5万円 |
鉄骨造 | 4~6万円 |
RC造 | 4~7万円 |
上記の表を見てもわかるとおり、建物の構造によって金額は異なります。
そして、解体のときの重機の使用や、人件費、廃棄物の量などで金額が変わります。
解体費用には補助金が出る場合も
解体工事の費用は、木造の家でも100万円以上かかることが多く、費用を用意できないために放置している人も多いです。
このような人のために、自治体によってはこの解体工事の費用に補助金を設けている場合があります。
例えば、神戸市では、家屋の一部に腐朽や破損がある空き家等の条件を満たせば、50万円を上限に解体工事にかかった費用の3分の1以内の補助金がでます。
ただし、2019年(令和元年)12月27日までの申請分で、当初予定している予算に達した時点で受け付けは終了します。
このように、自治体の補助金制度が利用できる場合があるので問い合わせしてみるとよいです。
空き家を売却する際の注意点
空き家をスムーズに売却するには、買手の立場に立って購入後にスムーズに活用できる状態であることが重要です。
また、空き家を解体して売却するときには、注意が必要です。
法的手続きを踏んでいるか確認
空き家の売却の前には、その空き家が売却できる状態であるかの確認が必要です。原則、家は所有者本人でないと売却できません。
そのため、両親から相続した家である場合には、名義の変更を行っていないと売却できません。
また、相続の際に兄弟で共有名義とした場合には、全員の同意がなければ売却できません。
そして、その空き家の現状の確認も大切です。
- 境界は確定しているか
- 接道義務を満たしているか
- 法令上の制限はないか
- インフラは整備されているか
などの確認が必要です。また、周辺の類似物件の売却価格を調べておくと、売出価格をスムーズに決められるでしょう。
更地にすると税金が高くなる
更地にすると、家を建てることを目的にしている買主にとっては、広さがわかりやすく、家を建てるときのイメージもしやすくなります。
また、駐車場やほかの活用を考えている人の目にもとまりやすくなります。
しかし、固定資産税や都市計画税は、居住用の家が建っていると、税金の支払いの優遇措置が受けられます。
小規模住宅用地とされる200平方メートル以下の土地は、固定資産税は最大6分の1に減額され、都市計画税は3分の1に減額されます。
また、一般住宅用地となる200平方メートルを超える部分に対しては、固定資産税は3分の1に、都市計画税は3分の2に減額されます。
しかし、建物がなくなってしまえば、この税金の支払いに対する優遇措置はなくなり、税額が高くなります。
空き家の売却をスムーズに進めよう
家を相続したものの、活用ができずに空き家として放置している人は多いです。
また、幼い頃に過ごした実家を売却することに躊躇することもあるかもしれません。
しかし、家を活用せずに空き家として放置すると多くのリスクがあり、余計な税金の支払いが発生します。
さらに、年数が経過するほど家は価値が下がります。
活用する予定がない空き家なら、早めに行動に移してスムーズに売却することをおすすめします。