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分譲マンションの築年数が10年を経過すると、建物が経年劣化するため、定期的に大規模修繕を行う必要があります。
しかし、大規模修繕の経験がない人にとって、一体どのような工事が行われるのか分からないということも多いのではないでしょうか。
この記事では、まず、10数年毎に到来する分譲マンションの大規模修繕の必要性について説明します。
このほか、大規模修繕までの一連の流れや工事の時期、修繕にかかる費用などについても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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マンションの大規模修繕が必要な理由
マンションなどの建築物は、年数の経過とともに建物の老朽化が進行していきますので、建物の安全性や美観、資産価値などを維持していくためにも、小まめにメンテナンスを行っていかなければなりません。
そのため、10年〜20年周期で大規模修繕を行う必要があります。
ではまず、大規模修繕を行わなかった場合、どのような影響が出るのか詳しく解説します。
経年劣化による問題が大きくなる
分譲マンションに限らず、どんな建物であっても経年劣化による建物への不具合が発生します。もし、大規模修繕を行わなかった場合、(さまざまな)生活へのさまざまな影響を及ぼしかねません。
たとえば、建物に施されている防水処理機能の劣化によって、外壁や屋上から雨水が浸水したり、手すりの錆や腐食による崩壊のリスクが発生し、居住者は快適な生活ができなくなります。
また、生活面以外に考えられるデメリットとして、建物全体の劣化が加速するとともに、マンションの資産価値が減少することも否定できません。
マンションの資産価値が減少すると、物件の値段を下げて売却する必要があったり、中古物件を探している人からも敬遠されたりするリスクが高まります。
これらのことから、居住者が安心して生活できるようにするためだけではなく、建物の資産価値を維持するためにも、マンションの大規模修繕は、とても重要な位置付けにあると言えます。
住人が減りスラム化する恐れがある
大規模修繕を行わないと発生し得る問題の一つとして、建物の劣化によってマンション自体の景観を損ねてしまう可能性があげられます。
その結果、マンションの売却価格を下げる必要が生じたり、老朽化の影響によって現在の入居者が転出することも予想されます。
居住者に限らず、購入を検討している人でも、きれいな状態のマンションに住みたいと思うのは当然のことでしょう。
住人が減ってしまうと管理費や修繕積立費の確保も困難となり、最悪の場合、マンションがスラム化するという悪循環に陥ってしまうかもしれません。
そのような事態を未然に防ぐためにも、建物の資産価値を落とさないよう、日ごろから定期的にメンテナンスを行いつつ、大規模修繕に備えて積立金などを確保しておく必要があるのです。
居住者の高齢化に対応するため
国土交通省が発表した「マンション総合調査」によりますと、1980年代にはマンションに永住したいと回答した居住者は21.1%でしたが、2013年の調査では52.4%に増加しています。
このように、居住者の半数以上の方が「終の棲家」として考えていることから、住民の高齢化対策として、今後はバリアフリーに対応していかなければ、居住者がマンションの住みにくさを感じるだけではなく、訪問者や購入希望者からも不便に思われてしまうかもしれません。
これらのことから、マンション資産価値を下げないようにし、価格を将来的に維持していくためにも、大規模修繕によるバリアフリー化は最重要課題の一つだと言えるでしょう。
大規模修繕では必ずしもバリアフリー化が行われるわけではありませんが、どうせ工事をするならば、一度にまとめて行おうとするケースもあります。国交省からも修繕、改修が奨励されています。
マンションの大規模修繕が行われる時期と費用の目安
マンションは築年数の経過とともに少しずつ劣化しますので、資産価値が下がらないようにするためにも、定期的に大規模修繕を行っていかなければなりません。
ここでは、マンションの大規模修繕を行うタイミングやマンション一戸あたりに必要な修繕費用、毎月支払っていく必要がある「修繕積立金」の計算方法および平均的な金額の相場について詳しく解説します。
時期は12年が目安
大規模修繕を行う時期は、早すぎても遅すぎても無駄な修繕費用を支払うことになりかねないので、適正な時期に行わなければなりません。
国土交通省では築12年を目安として、1回目の大規模修繕を推奨していますが、実はマンションの部位によって補修や交換周期の目安が異なります。以下の表に、それぞれをまとめました。
部位 | 補修及び交換内容 | 目安となる時期 |
---|---|---|
屋根 | 塗装・補修 | 11〜15年 |
防水処理 | 21〜25年 | |
ふき替え工事 | 21〜35年 | |
階段や廊下などの共有部分 | 鉄部塗装 | 4〜10年 |
塗装/防水処理 | 11〜18年 | |
外壁 | 塗 装 | 11〜18年 |
タイル補修 | 12〜18年 | |
給排水管 | 洗浄(高圧) | 5年 |
交換 | 30年 |
このように、部位ごとに修繕計画を作成しておくことで、外壁の塗装剥がれや屋根の雨漏りなどの早期発見に役立ちます。
ただし、修繕計画を立てたとしても、不具合や劣化の進行度合いについては正確な予測ができるわけではないので、小まめな見直しは必要になっていくことでしょう。
費用は1戸あたり60〜90万円が相場
東京都都市整備局が、東京都内の分譲マンションおよび賃貸マンションを対象として、平成25年に「マンション実態調査結果」という資料を作成しています。
この資料によりますと、マンションの規模や戸数によって金額が異なる場合がありますが、修繕費の負担は1戸あたり60〜90万円が最も多く、次いで90〜120万円という結果になりました。
工事の種別では「外壁修繕」「屋上防水・塗装」「鉄部分の塗り替え」「廊下およびベランダの防水」の割合が最も多く占めています。
もちろん、工事の種別内容によって金額に変動がありますが、1戸あたりに必要な修繕費用の目安として参考にしてください。
毎月の修繕積立金の目安は?
入居者はマンション購入後、10年または20年先の大規模修繕に向けて、毎月修繕積立金を支払わなければなりません。
国土交通省がまとめた「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、15階未満の建物で、1平方メートルあたりの修繕積立金の平均相場が、月額約178〜218円という計算結果となりました。
修繕積立金額は、以下の式によって求めることができます。
- マンションの修繕積立金額の目安
- 1平方メートルあたりの金額×専有床面積
とくに、分譲マンションを売りに出した場合、修繕積立金が高ければ購入希望者から敬遠され、マンション自体の売れやすさにも影響してしまいます。たとえば、1平方メートルの月額単価を200円とした場合、専有床面積が70平方メートルの物件なら、毎月の修繕積立金は14,000円ということになります。
そうならないためにも、所有するマンションの積立金額は本当に適正なのか、これを機会に計算してみてはいかがでしょうか。
マンションの大規模修繕の流れと内容
マンションの大規模修繕工事は、すぐに行われるのではなく、まずは修繕委員会を立ち上げて施工会社の選定をしなければなりません。
また、施工会社は大規模修繕工事に入るまえに、安全に工事を行うために必要な「共通仮設物」や「足場の設置工事」を行います。
修繕委員会の発足と施工会社の選定
大規模修繕工事が始まる約1年〜1年半前ぐらいに、修繕委員会の発足が行われます。修繕委員会の選定方法ですが、マンションの掲示板などに告知して希望者を募集するのが一般的です。
次に、修繕委員会に就任した場合の主な活動内容についてまとめました。
- 施工会社や専門家の選定、および打ち合わせ等
- 住人説明会の開催
- 工事中、住人からの要望やクレームの窓口となる
修繕委員会はあくまでも「理事会の下部組織」という位置付けのため、決定権は与えられていません。なので、施工会社や専門家の選定について、最終的な決定を下すのは理事会ということになります。
しかし、修繕委員会のメンバーが集まらないことが多く、結果的には管理会社に依頼して管理組合は報告のみ受けるといったケースが多いようです。
劣化診断で必要な工事を調査する
マンションの大規模修繕は、工事を行う前に建物の劣化診断を行った上で、どのような工事が必要かを検査し現状を把握することから始まります。
基本的には大規模修繕工事の際に、全項目の工事を行うのが前提ですが、すべての項目の工事が必要となるわけではありません。
建物の部位ごとに劣化の進行が異なる場合が多く、特定の部分については数年後に工事を引き延ばすことも可能です。
また、建物の診断方法ですが、段階に応じて目視や打診による簡易なものから、器具を用いた本格的なものまで、調査方法にはさまざまな種類があります。
診断の結果は管理組合に報告され、回覧板や広報誌などによって居住者に周知されます。公開説明会が開催されることもあります。
共通仮設物や足場の設置
まず、メインとなる大規模修繕工事の前準備として、共通仮設物や作業員が安全に工事を行うために必要な足場の設置工事(仮設工事)が行われます。
共通仮設物の工事内容は以下の通りです。
- 作業員用の工事現場事務所、および現場内の作業員用トイレの設置
- 産業廃棄物の集積場の確保
- 工事内容を知らせる掲示板やホワイトボードなど
- 安全対策として駐車場の誘導員や防犯センサーの設置
続いて、足場の設置工事(仮設工事)では外周を透過性のメッシュタイプのシートで覆い、塗料などが周囲に飛散しないようにします。仮設工事は約50世帯以下のマンションなら、1週間ほどで完了します
また、10階以上の高層マンション工事では、強風で足場が揺れることからゴンドラを用意する必要があるため、届け出期間を含めると仮設工事だけで約1カ月を要することもあるでしょう。
工事中、外周をシートで覆われていても、洗濯物を干したりすることはできます。ただし、ペンキ塗りなど近くの部分を工事する際には、洗濯物を干したり窓を開けたりすることができません。
部屋によって、いつからいつまで洗濯物を干すことができないか、などの情報は工事工程表と一緒に掲示されることが多いので、そちらで確認することができます。
大規模修繕工事が実施される
大規模修繕工事のうち、最初に行われるのは建物の外装工事で、それが終わると共用部の工事に取りかかるという流れになります。
ここでは、それぞれの工事完了までに要する期間、および工事の種類や内容について詳しく解説します。
マンションの建物の外装工事
マンションの外装工事には外壁の補修工事や屋上防水工事のほか、各住居に設置されているサッシや、外壁部材の隙間を防ぐシーリングなどが含まれます。
一般的に外装工事は、大規模修繕工事の序盤に行われることが多く、中規模タイプのマンションなら約1〜2カ月で工事が完了するでしょう。
工事の種類 | 内容 |
---|---|
外壁補修工事 | 外壁の汚れや異物を洗浄し、欠けたタイルの交換などを行う。 |
外装塗り替え工事 | 古い塗料を剥がして新しく塗装したり、外観の保持および防水性向上のため、無色の塗料で塗装する。 |
屋上防水工事 | 雨風の侵入を防ぐために行われる工事で、「ウレタン防水」「シート防水」「FRP防水」「FRP防水」の4種類の工法がある。 |
シーリング打ち替え工事 | 古いシーリングを除去して、新しいシーリングを充填する工事。 雨漏りの防水性の確保のために行われる。 |
サッシの改修工事 | ガラスのみ交換する方法と、サッシの枠ごと交換する方法がある。 |
屋上防水工事の中でも、アスファルト防水は防水層が厚く耐用年数は長いのが特徴ですが、他の工法にくらべ料金は高額になります。
これに対し、シート防水は厚みが薄く損傷しやすいですが、費用を安く抑えることが可能です。
また、サッシの改修工事は共用部分に該当するため、変更する場合は区分所有者の過半数、または4分の3以上の同意を得なければなりません。
共用部の工事およびリフォームなど
共用部には、エレベータや廊下の手すり・階段、給排水管設備のほか、ベランダやバルコニーが該当します。
工事にかかる期間は中小規模のマンションなら約2カ月、高層マンションなら3カ月以上の期間を要することがあります。
工事の種類 | 内容 |
---|---|
鉄部の再塗装工事 | 階段・バルコニーの手すり・外階段・シャッターなどの錆びやすい鉄部分の再塗装を行う。 |
給排水管設備の交換 | 漏水やつまりを防ぐために、約15〜20年周期で交換や点検を行う。 |
エレベータ改修工事 | 主に制御盤やボタンの交換、カゴ内部の内装リフォーム工事がメインとなる。 |
廊下の補修工事 | 廊下以外にも、壁や床の剥がれなどのシートの張り替えやリフォームを行う。 |
玄関扉の補修工事 | 扉の表面塗装のほか、新しい扉に付け替え工事をする場合もある |
ベランダおよびバルコニーの改修工事 | ベランダ床の防水塗装工事を行う |
このうち、ベランダおよびバルコニーの工事では部屋の窓をビニールシートなどで養生し、かつ、エアコン(など)の室外機を取り外すといった、大掛かりな作業となる場合がありますので注意しましょう。
玄関や自宅内いずれも専有部分ですので工事は入りません。ベランダは外から入って施工します。一軒の工事は一日で終わる場合が多いですが、防水工事は何度かに分けて塗る必要がある場合もありますので、2〜3日かかる場合もあります。
立ち合いの必要はありませんが、バルコニーにおいているものをどけておく必要があります。
大規模修繕工事の完了
工事完了後は仕上がりに不具合箇所が見当たらないか、修繕委員会や管理委員会立ち合いのもと、完了検査が行われます。
問題がなければ、書類を受け取って引渡し完了となりますが、検査中に不具合が見つかった場合は、是正工事が行われます。
また、メーカーによっては引渡し後に、アフターサービスによる定期点検が実施され、不具合が工事に起因したものであれば無償で対応してもらえますので覚えておきましょう。
分譲マンションの大規模修繕後はマンション売却時に有利です。
マンションの大規模修繕に関する注意点
マンションの大規模修繕工事は、長期に渡って行われることから、居住者の意見をまとめる必要があったり、工事が始まると騒音や臭いなどの問題が発生したりします。
また、管理会社にすべて任せた場合、終了予定のスケジュールを大幅に越えてしまったり、無駄な修繕費用がかかってしまったりというケースもあるので注意が必要です。
修繕に関する意見の相違
マンションの大規模修繕は、居住者全員に関わる工事であることから、意見がそろわなければ話し合いが長期化してしまう恐れがあります。
施工前に起こりやすいトラブルとして、修繕の範囲がまとまらなかったり、修繕積立金が不足している場合の対処方法について意見が対立する、などがあげられます。
そのため、定期的に何度も話し合いの場を設ける必要があるため、他の住人と顔合わせするのが苦手な方にとっては、ストレスに感じてしまうかもしれません。
しかし、最近では管理組合を通して住人の意見がアンケートなどの形で反映され、アンケートの取りまとめを管理会社が中心となって行うケースが多いので、そのような場合は、居住者の負担は少ないようです。
戸数が多いマンションだと、居住者の意見をまとめるのが大変ですので、管理組合だけでなく、管理会社もかかわって行うことが多いようです。
居住者の苦情
工事期間中は大小規模の大きさに関わらず、騒音やホコリ・臭いなどが発生します。
そのため、洗濯物を外に干せない、窓が開けられない、エレベーターなどの共用部分の利用に制限がかかるなど、居住者からの苦情があがるかもしれません。
これらの苦情が発生する原因の一つとして、工事期間や終了時期が居住者にしっかりと明示されていないなどが挙げられます。
居住者へのストレスを最小限に抑えるためには、工事期間のお知らせやエレベータの使用時間について、各家庭のポストに投函、またはエントランスなどに張り紙をして周知徹底しておきましょう。
工事の進行状況を確認する
膨大な時間を費やして作成した修繕計画でも、施工の段階で不具合が発見されると、終了予定のスケジュールが大幅に伸びたり、追加の費用が発生してしまうことも考えられます。
そのため、工事を円滑に行うためには、工事の進行状況を把握することも重要なポイントとなります。工事の完了確認だけではなく、施工会社に対して小まめに進捗状況を確認するようにしましょう。
管理会社に任せきりにしない
管理会社が提出する大規模修繕費用の見積もりは、費用が高めに設定されていることが多いので注意が必要です。
多くの場合、管理会社から大規模修繕の提案がありますが、すでに推薦された業者の中から施工業者を選んでいるため、中間マージンとして見積もりが上乗せされている可能性があります。
もちろん、管理組合は管理会社が提案したプランから選ぶだけでよいので、話はスムーズに進みますが、工事費用が安くなることはありません。
もし、管理会社に任せきりにしたくない、少しでも費用を安くしたい、と思うのであれば、自ら施工業者に見積もりを取ることで、中間マージンやリベートを削減できる場合もあることを知っておくとよいです。
施工業者を選ぶ際は、きちんとした詳しい見積もりを出してくれるかどうか、これまでどのような工事実績があるか、必要な工事内容についてわかりやすく説明してくれるかどうか、などを確認しましょう。
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マンションの大規模修繕に備えよう
大規模改修の計画が決まれば、工事が完了するまでに長い期間を要するので、住民の意見がそろわなかったり、居住者からの苦情が寄せられることも予想されます。
そのため、居住者が直接かかわれるようアンケートや意見決定の投票を行ったり、工事期間中は掲示板や回覧板を利用して、工事の時間帯および終了時期の周知徹底に努めるとよいです。
マンションは、定期的に大規模修繕を行っていかなければ建物の経年劣化が進行してしまい、生活に影響が出てしまうことはもちろん、マンションの資産価値の減少にも繋がります。
工事の周期は約12年に一度が目安となっていますので、資金不足に陥らないよう、毎月無理のない範囲で修繕費用を積み立てて、マンションの大規模修繕に備えておきましょう。
マンションのリフォームにかかる費用を、キッチン・リビング・浴室・トイレなど場所ごとに解説します。また、リフォームに伴うその他の費用や、支出を抑えることに役立つ減税制度なども要チェックです。費用全般を把握して、賢くリフォームしましょう。