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固定資産税は、不動産(固定資産)を所有している人が支払う税金です。土地や建物などの不動産を所有している限り、ずっと払い続けなくてはならないため、できれば節約したいと考える人も多いです。
制度などを利用することで負担を減らすことが可能です。この記事では、固定資産税の基本的な知識を交えながら、減税するための手続きを解説します。
固定資産税が減税される7つの制度
- 軽減措置
- 住宅用地の特例
- 省エネ回収促進税制
- バリアフリー改修促進税制
- 耐震改修促進税制
- 長期優良住宅化リフォーム
- 農地への転用
ここからは、固定資産税を軽減させる方法として、7つの制度や軽減措置をご紹介します。
これらの制度は、基本的に申請が必要です。知らずに損をすることがないように、それぞれの軽減措置の特徴や条件を把握しておきましょう。
軽減措置
新築住宅には、固定資産税の軽減措置があります。新築戸建てなら3年、新築マンションなら5年間、固定資産税が減税される制度です。
新築戸建て | 固定資産税額を1/2減額(3年間) |
---|---|
新築マンション | 固定資産税額を1/2減額(5年間) |
この制度は当初2020年で終了する予定でしたが、税制改正により期限2年が延長され、2024年3月31日までに新築された住宅が対象です。
戸建ての場合は4年目、マンションの場合は6年目から本来の税額に戻ります。
住宅用地の特例
次にご紹介するのが、「住宅用地の特例」です。固定資産税は土地と建物それぞれに課税されますが、土地の場合、住宅用地として使われている場合に税率が下がる特例があります。
住宅用地の特例では、土地の大きさによって減税の割合が異なります。
小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)なら土地評価の1/6、一般住宅用地(200平方メートル超の部分)なら1/3が固定資産税額となります。
小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分) | 土地評価の1/6が固定資産税額 |
---|---|
一般住宅用地(200平方メートル超の部分) | 土地評価の1/3が固定資産税額 |
住宅用地として活用した方が、土地を空き地のままで所有しているよりも大幅に固定資産税額が安くなることがわかります。
1年間だけ減額がある「省エネ回収促進税制」
新築時だけではなく、リフォームを行うと受けることができる固定資産税の減税措置もあります。
例えば、「省エネ」を目的としてリフォームを行った場合、翌年1年に限定して固定資産税の減税が適用されます。
以下の要件を満たせば、省エネ改修工事を行った翌年、当該家屋にかかる固定資産税額が120平方メートル相当分までに限り1/3減額されます。
省エネリフォームによる固定資産税減額の要件
- 平成20年1月1日以前から所在する住宅であること(賃貸住宅ではない)
- 工事後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下で、床面積の1/2以上が居住用
- 省エネ改修工事の費用が50万円超であること? など
減額制度を受けるためには、工事終了後3カ月以内に工事内容を証明できる書類を添付して、市町村に申請を行う必要があります。
なお、この減税措置の適用は2022年3月31日までに工事を行ったものに限られます。
税金が3分の1になる「バリアフリー改修促進税制」
バリアフリー改修工事を行った住宅も、要件を満たすことで翌年分の固定資産税額(100平方メートル相当分までに限る)が1年間、1/3減額される減額制度があります。
バリアフリーリフォームによる固定資産税減額の要件
- 賃貸住宅でない築10年以上の住宅
- 65歳以上の者、要介護認定または要支援の認定を受けている者、障がい者のいずれかに該当する者が居住していること
- 工事後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下で、床面積の1/2以上が居住用
- バリアフリー改修工事の費用が50万円超であること
- 工事内容が、通路等の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良・便所改良・手すりの取り付け、段差の解消などに該当すること
バリアフリーリフォームの減税措置を受けるためには、2023年12月31日までに改修工事を行う必要があります。
要件に該当する場合は、工事完了後3カ月以内に市町村に申請を行いましょう。
最大2年の減税がある「耐震改修促進税制」
耐震リフォームにも減税制度が設けられています。
省エネやバリアフリーリフォームに対する減税制度と異なる点は、固定資産税の減税期間が最大2年であること、減額が1/2であることの2点です。
一般的な住宅の耐震リフォームの場合は減税期間は1年ですが、重要な避難路として自治体が指定する道路の沿道にある住宅なら減税期間が2年となります。
耐震リフォームによる固定資産税減額の要件
- 現行の耐震基準に適合する耐震リフォームであること
- 昭和57年1月1日以前からある住宅であること
- 耐震改修工事の費用が50万円超であること
耐震リフォームの減税措置も、2023年12月31日までに改修工事を行い、工事完了後3カ月以内に市町村に申請を行う必要があります。
特別措置がある「長期優良住宅化リフォーム」
次にご紹介するのが「長期優良住宅化リフォーム」の固定資産税の特例措置です。
長期優良住宅化リフォームとは、耐震改修又は省エネ改修工事と併せて、耐久性向上改修工事を行うリフォームです。
住宅を長く大切に使うために耐震や省エネに配慮され、維持管理が行いやすい住宅にします。
この長期優良住宅化リフォームの認定を受けると、固定資産税の減税措置を受けることができます。翌年1年に限り、固定資産税が2/3の減額になります。
長期優良住宅化リフォームよる固定資産税減額の要件
- 工事費用が50万円超であること?
- 一定の耐震改修・省エネ改修と併せて行うこと
- 床面積が50平方メートル以上であること など
耐震リフォームのみの場合1/2の減税、省エネリフォームの身の場合は1/3の減税ですから、耐久性向上改修工事も同時に行った方が、翌年の固定資産税がより安くなります。
評価基準が変わる「農地への転用」
最後にご紹介するのが、農地へ転用することによって固定資産税を軽減する方法です。
一般的な農地は、「農地課税」と呼ばれる方法で固定資産税が課税されます。(宅地と同様の方法で課税されるケースもあります。)
農地課税で固定資産税課税額が決まる場合、固定資産税が宅地よりもぐっと安くなります。場合によっては、税額が1/10以下になることもあり、固定資産税を抑えることができる方法の一つです。
不動産の制度は、自治体の固定資産税課が現況を元に標準額を設定します。そのため、自治体の固定資産税課へ相談することが一番です。
固定資産税を減税するポイント
- 申請の手続きが必要
- 固定資産税の誤りを訂正
- 税理士にチェックしてもらう
固定資産税の減税措置や制度を利用する際の注意点に加えて、通知された固定資産税が誤っている場合などについても解説します。
もし住んでいない・使われていない不動産であれば、固定資産税を支払うより、売却するのも一つの方法です。
不動産を売却する前に、一括査定を使って、複数の不動産会社から見積を取るのがおすすめです。
ある程度の相場感覚を身につけるほか、より高く売ってもらえる業者を選ぶことも可能ですので、ぜひお試してみてください。
申請の手続きが必要
固定資産税の軽減措置を受ける際には、所有者が利用制度の種類や適用範囲を調べて申請手続きを行わなくてはなりません。自動的に減税をしてくれない点に注意が必要です。
先にご紹介した新築住宅の軽減措置は、初年度に申請書を提出します。リフォームによる各種減税措置の場合は工事完了後3カ月以内に市町村への申請が必要です。
住宅用地の申請については、「固定資産税の住宅用地等申告書」を提出します。
後からでは遅いとか間に合わないということがよくあります。とくに制度を利用しての優遇などはその期限を超えると利用できなくなりますので、事前に一度相談に行っておくとよいです。
固定資産税の誤りを訂正
固定資産税は、市町村の担当部署が一つひとつの建物や土地ごとに評価をつけて計算しています。計算や請求の処理は市町村職員が行うため、人為的な計算ミスが発生することもあるのです。
特に申請したはずの軽減措置が適用されていないということもあるので確認してみましょう。
固定資産税が誤っており、必要以上に納税をしていた場合は、市町村に申請をすることで還付を受けることができます。
固定資産税の誤りがあった際に自分で気づくために、固定資産税の計算方法を参考に、おおよその額を自分で把握しておくことをおすすめします。
税理士にチェックしてもらう
固定資産税の額が妥当かどうかを正しく把握したいのであれば、税理士に計算してもらうという方法もあります。税理士事務所によっては、固定資産税の診断が無料で行えるところもあります。
このような場合、診断後還付が発生する場合に、成果報酬として税理士に代金を支払います。
還付があるかどうかだけではなく、減税措置や制度に該当しているかどうかについても税理士に相談することができます。
固定資産税の課税対象と計算方法
固定資産税は、固定資産を所有している人が納める税金です。
毎年1月1日時点での所有者が、固定資産の価格をもとにして決定された税額を支払います。納付先は、固定資産がある市町村です。
固定資産税の課税対象
固定資産とは、土地、家屋、償却資産のことを指します。それぞれの内訳は以下の通りです。
- 土地…宅地、田畑、山林、原野、その他の土地
- 家屋…住宅、店舗、工場、その他の建物(屋根+三方に壁があり、地面に定着している建物)
- 償却資産…事業用に所有している機械、備品など
償却資産には、事業用の漁船やボート、飛行機、ヘリコプター、看板、門などが該当します。一方、車については自動車税があるので課税対象外となります。
支払う固定資産税の計算の仕方
次に、固定資産税の計算方法について説明します。税額を求める基本の計算式は、土地、建物、償却資産ともに以下のようになります。
- 計算式:税額=課税標準額×税率(1.4%)
一方、それぞれの課税標準額を求める計算が異なりますので、土地と家屋について以下にご紹介します。
土地の固定資産税の計算式
土地の固定資産税を求める際の基本の計算式は以下です。
- 税額=課税標準額×税率(1.4%)
ここでの課税標準額とは、土地の評価額を指します。土地の評価額は、土地の面積に路線価を掛け合わせて算出します。
- 土地の評価額=土地の面積×路線価
路線価は路線(道路)に面した標準宅地1平方メートルあたりの評価額を指し、 国税庁のHPから調べることができます。調べたい土地がある都道府県をクリックして探します。
農地を所有している方は、農地の固定資産税計算方法を説明した記事をご参考にしてください。
農地を引き継いだことで「固定資産税が気になる」という人におすすめの記事です。農地の区分の調べ方や固定資産税の求め方、具体的な計算例、実際に固定資産税を納める場合の支払い方法、注目を集める2022年問題についても解説します。
家屋の固定資産税の計算式
家屋の場合も、土地同様基本の計算式は以下のようになります。
- 税額=課税標準額×税率(1.4%)
課税標準額は、家屋の評価額を指します。家屋の評価額は、「再建築価格方式」という方法で求められます。再建築価格方式とは、もう一度建築したらどれくらいの費用が必要かを想定して価値を求める方法です。
再構築に必要な価格は、購入価格の5~7割程度とされます。さらに、経年劣化による価格減少分を考慮するため、再建築価格に減点補正率をかけるとおおよその家屋の評価額を求めることが可能になります。
簡単に式に表すと下記のようになります。
- 家屋の評価額=再建築価格×経年減点補正率
資産価値が一定金額以下の場合
固定資産税は、資産価値が一定金額よりも低い場合に0円になる「免税点」という仕組みがあります。
同じ市町村内に所有している土地、家屋、償却資産それぞれの価値の合計が一定金額以下の場合に課税対象から外れる制度です。
土地の場合は30万円、家屋は20万円、償却資産は150万円以下であれば、固定資産税が課税されません。
この場合、所有者側から市町村への特別な申請は不要です。該当しない場合には、自動的に固定資産税が0になり、免税となります。
固定資産税のよくある質問
最後に、固定資産税の支払いについて多くの人が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめています。固定資産税について理解を深めて、適切に納税を行いましょう。
固定資産税額が増えることはある?
土地の固定資産税は、住宅用地として活用されることで「住宅用地の特例」が適用となり、小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3に軽減されます。
住宅用地の特例は、空家であっても適用されるのですが、管理が行き届かず「特定空家」に認定されてしまうと、住宅用地の特例の対象から除外されてしまうことがあります。
除外されてしまうと、固定資産税がこれまでの6倍または3倍に増えてしまいますので注意が必要です。
特定空家とは、以下のような状態の空家を指します。
- 倒壊等、著しく保安上危険となる恐れがある状態
- 著しく衛生上有害となる状態
- 適切な管理が行われないことで景観を損なった状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
空家を所有している方は特定空家に認定されないよう、適切な活用や管理を行うようにしてください。
いつ固定資産税を支払えばいい?
固定資産税は、年に1度郵送されてくる固定資産税納税通知書に添付されている振込用紙にて支払いを行います。
これらの書類が送付される時期は各自治体によって異なりますが、多くの場合4~6月ごろでしょう。
振込用紙を利用して現金で支払いを行う場合には、銀行窓口やコンビニでの支払いが可能です。さらに、市町村によっては、口座引き落としや電子マネー、クレジットカード払いが選択できるケースもあります。
支払いは、一括払いまたは年4回の分割払いとなります。一括であっても分割であっても支払う総額は同じです。
固定資産税の納期の詳しく説明は、こちらの記事をご覧ください。
固定資産税の基礎知識から、固定資産税の納期の調べ方や、納期が過ぎた場合の対処法を解説しています。固定資産税の納期が分からないから調べたい、過ぎたらどうなるか知りたいという方におすすめです。また固定資産税の計算方法についても解説しています。
固定資産税を滞納したらどうなる?
固定資産税を滞納した場合、延滞金を上乗せした金額での支払いが求められることになります。
納期までの支払いがないと、市町村から督促状が届いたり、電話での問い合わせがくるようになります。
それでも滞納が続くと、預貯金などの財産が差し押さえられてしまうことや、対象の不動産が競売にかけられてしまうこともあります。
このような段階に進む前に、市町村に早めに相談することをおすすめします。また、生活保護や自然災害で被害を受けた場合などは、固定資産税の全部または一部が免除される制度があります。
固定資産税を滞納した際の対処方法は、こちらの記事をご覧ください。
日々の生活でぎりぎりで固定資産税の支払いが厳しいと感じている人、固定資産税を滞納してしまっている人は早めの行動が重要です。固定資産税を滞納していると大きなリスクがあります。ここでは固定資産税の滞納によって起こることや対処法を紹介しています。
固定資産税の軽減措置などの申告を忘れずに!
固定資産税の軽減措置や制度についてご紹介しました。
記事の中でもご紹介しましたが、固定資産税の減税措置や制度は、該当していても自ら申告を行わない限り適用されない点に注意が必要です。
該当している制度はないか今一度確認し、申告を忘れずに行うようにしましょう。