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「家を新築する」「土地を相続した」など、固定資産を持つと毎年課税される固定資産税ですが、気になるのは、一体いくら払えばよいのかということです。
また、毎年「何となく言われるがまま払っている」という人も、手順を追えば、思ったより簡単に自分で固定資産税を計算することができます。
固定資産税のシミュレーション方法や、減免措置などの知識を仕入れることで、余計な出費を抑えることができるのです。
ここでは、固定資産税のシミュレーション方法やその注意点はもちろん、シミュレーションに必要な情報収集の方法から、より簡単に算出できるおすすめツールの紹介まで、まとめて一挙に紹介します。
固定資産税に関する基礎知識
固定資産税は 不動産を取得した場合に課せられる税金の代表格です。固定資産税に分類されるものや、固定資産評価額の決め方、軽減措置など、固定資産税に関する基礎知識をまとめました。
固定資産に分類されるものは
固定資産に分類されるものには、個人の場合「土地」や「建物」、事業者の場合は、加えて「備品」や「機械」なども含まれます。
固定資産を所有している人は、毎年、固定資産税を納付する義務があり、たとえ人が住居として使っていない空き家であっても、固定資産税の支払いが必要な、固定資産と見なされることに注意しましょう。
固定資産評価額の決め方は
固定資産税は、土地や建物の評価方法を定めた「固定資産評価額」によって算出されます。
固定資産評価額は、固定資産が所在する各自治体の「固定資産評価基準」によってそれぞれ決定されます。
土地の場合は、場所や面積・形状などによって価格は変動しますが、公示価格の6割から7割と、徴税の都合上、実際の想定額より低く見積もられているのが普通です。
建物の場合も、規模や築年数等により評価格は異なりますが、こちらも、不当に高い税額にならないよう、公示価格の4割から6割が目安となっています。
また、この固定資産評価額は、原則3年間据え置かれ、3年に1度のタイミングで見直しが図られています。
固定資産税評価額を詳しく説明した記事は、こちらをご覧ください。
不動産の売却を検討している方は、おおよその価格を知るために、まずは固定資産税評価額を調べてみませんか?この記事では、固定資産税評価額の基礎知識や調べ方をはじめ、一度に複数の不動産会社から見積もりを取ることができる一括査定サービスをご紹介します。
固定資産税の納税義務があるのは?
課税の対象となるのは、毎年1月1日時点に固定資産を所有する人で、4~6月頃に届く納税通知書に記載されている額の納税が必要です。
マンションやアパート、家屋に賃貸で住んでいる場合は、不動産の使用者ではなく、不動産の所有者に納税義務があります。
マンション等の固定資産税も、毎年1月1日時点の所有者に課税されますが、その年中に所有者が不動産を売った場合は、決済日までの日割りを、売主と買主で折半するのが一般的です。
固定資産税の納期を詳しく説明した記事は、こちらをご覧ください。
固定資産税の基礎知識から、固定資産税の納期の調べ方や、納期が過ぎた場合の対処法を解説しています。固定資産税の納期が分からないから調べたい、過ぎたらどうなるか知りたいという方におすすめです。また固定資産税の計算方法についても解説しています。
固定資産税と一緒に支払う税金
固定資産税と一緒に支払う税金に「都市計画税」があります。
都市計画税とは、道路建設や上下水道等の都市計画事業や、土地区間整理事業の費用に充てる目的の税金をいいます。
都市計画税は、市街地や市街化を計画している地域である「市街化区域内」に、土地や建物を所有している人に課せられる税金で、全員が払うものではありません。
また、住宅には減額はありませんが、土地の場合は軽減措置が適用されます。
なお、都市計画税は固定資産税と一緒に納付書が届き、同時に徴収されるのが一般的です。
軽減措置について
2018年度の税制改正によって、新築された住宅に対して適用される、固定資産税の減額措置が2年間延長されました。
そのため、2020年3月31日までに新築された住宅にも減額措置が適用されます。
住宅の場合、1戸当たり120平方メートル(床面積50平方メートル以上280平方メートル以下)、マンションは、3階建て以上で耐火・準耐火建築物であることが条件です。
また土地の場合、小規模住宅用地(1戸につき200平方メートルまでの部分)が6分の1、一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地)が3分の1が減税となります。
固定資産税の減税制度については、こちらをご参考にしてください。
不動産を所有している人が毎年支払う固定資産税ですが、軽減措置があることをご存知ですか。軽減措置の要件に当てはまれば、税金の負担を減らすことができます。固定資産税の軽減措置について、固定資産税の基礎知識を交えながらご紹介します。
ただ、減税措置は申請が必要な場合もあるので注意しましょう。減額期間が過ぎれば本来の税額に戻ることも、前もって知っておくとよいです。
【軽減措置の概要】
区分 | 固定資産税(税率1.4%) | 都市計画税(税率0.3%) |
---|---|---|
※戸建て住宅 | 3年間 固定資産税額の1/2を減額 | 減額なし |
※マンション等 | 5年間 固定資産税額の1/2を減額 | 減額なし |
小規模住宅用地 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
※2020年3月31日までの新築
固定資産税のシミュレーション方法
固定資産税の計算式は、決して複雑なものではありません。あくまで概算ですが、ここでは、戸建て、土地、マンション、空き家、各固定資産税のシミュレーション方法と、その計算例をまとめました。
戸建ての場合
固定資産税の計算式は、固定資産評価額に、地方税法によって規定されている標準税率の1.4%を掛け合わせるのが基本です。
【固定資産税の計算式】
固定資産税=固定資産評価額×1.4%(標準税率) |
なお、特例措置が適用される新築住宅(課税床面積120平方メートル)の場合、固定資産税は2分の1に減額されるため、計算式は次のようになります。
【特例が適用される新築住宅の計算式】
新築住宅の固定資産税=固定資産評価額×1.4%(標準税率)×1/2 |
戸建ての固定資産税の計算例
固定資産評価額が800万円で、2020年に建設した住宅の場合を例にとってみましょう。
新築住宅の特例が適応されるため、戸建ての固定資産税の計算式800万円×1.4に1/2を掛けて、固定資産税は56,000円です。
仮に2023年に建築した場合は、軽減措置の期間が過ぎていますから、800万円×1.4で固定資産税は112,000円となります。
土地の場合
土地の固定資産税も、基本の計算式、固定資産評価額×1.4%(標準税率)で算出します。価値が変動する土地の公示価格は毎年発表され、固定資産評価額は3年に1度見直されています。
また軽減措置として、一戸あたり200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地)は、課税標準の6分の1、200平方メートルを超えた部分(一般住宅用地)は、課税標準の3分の1に軽減が適用されます。
土地の固定資産税の計算例
2019年1月に新築された土地の面積が120平方メートル、建物の床面積が100平方メートルとし、土地の固定資産税課税標準額が5,000万円、建物が800万円の場合の例をみてみましょう。
2018年に更地に住宅を建てた場合は、軽減がないため、5,000万円×1.4%で、土地にかかる固定資産税は70万円となります。
一方、2020年)に、更地に住宅を建設した場合、前年度の2019年1月1日には住宅があるので、減税の適用となり、5,000万円×1/6×1.4%=116,000円となります。
所有している土地は農地の場合、農地の固定資産税の計算方法を詳しく説明した記事もありますので、ぜひご覧ください。
農地を引き継いだことで「固定資産税が気になる」という人におすすめの記事です。農地の区分の調べ方や固定資産税の求め方、具体的な計算例、実際に固定資産税を納める場合の支払い方法、注目を集める2022年問題についても解説します。
マンションの場合
マンションの場合も、固定資産税の計算式は、固定資産評価額×1.4%(標準税率)です。
2020年3月31日までに建てられた新築マンションの場合、減税措置が適用され、5年間は固定資産税を2分の1にすることができます。
さらに「長期優良認定住宅」の新築マンションなら、5年ではなく7年間の軽減措置が適用されます。
なお、建物は年月が経つにつれ評価格が下がっていくため、マンションの場合「経年減価補正率」をもとにした、築年数ごとの固定資産評価額を計算式に当てはめて固定資産税を算出します。
マンションに支払う固定資産税の計算例
専有面積が80平方メートルで、建物の固定資産評価額が1,000万円、土地の固定資産評価額が3,000万円の新築マンションの場合を例に取ってみましょう。
土地の場合は1/6の軽減措置を加味し、3,000万円×1.4×1/6で固定資産税は70,000円となります。
また建物部分(新築)は、小規模住宅用地の軽減率が当てはまるので、1,000万円×1.4×1/2=70,000円となり、よって、固定資産税納税額は合わせて140,000円となります。
マンション固定資産税の詳しい計算方法は、こちらをご覧ください。
毎年マンションの所有者に対して固定資産税が課せられます。税額が多いと経済的な負担も大きいため、マンションの購入を検討している人は税額をある程度把握しておくと安心です。ここでは、固定資産税の算出方法や軽減措置について解説していきます。
空き家の場合
空き家の計算式は軽減措置を加味し、小規模住宅用地なら、固定資産評価額(課税標準額)×1/6×1.4%で算出します。
一般住宅用地の場合は、固定資産評価額(課税標準額)×1/3×1.4%となります。
空き家の場合、土地の広さによって軽減措置は異なり、小規模住宅用地は一般住宅用地より軽減率が大きく、税金の負担が軽いのが特徴です。
また、この軽減措置は、建物には適用されないことに注意しましょう。
【空き家の固定資産税の計算式】
200平方メートル以下の住居用地部分(小規模住宅用地) | 固定資産評価額(課税標準額)×1/6×1.4% |
200平方メートルを超える住居用地部分(一般住宅用地) | 固定資産評価額(課税標準額)×1/3×1.4% |
空き家に支払う固定資産税の計算例
例えば、敷地面積が100平方メートルで、課税標準額2,100万円の固定資産税を求める場合、小規模住宅地の計算式にあてはめ、2,100万円×1/6×1.4%で、固定資産税は49,000円になります。
一方、敷地面積が250平方メートル、課税標準額が3,000万円の場合は、一般住宅用地の計算式に当てはめて、3,000万円×1/3×1.4%で固定資産税は140,000円です。
空き家の固定資産税の詳しい計算方法は、こちらをご参考にしてください。
空き家を相続する場合、固定資産税がどれくらいかかるのかあらかじめ知っておくと便利です。空き家の固定資産税の基礎知識や、計算方法を解説します。また、空き家の固定資産税の負担を軽減する方法を3つ紹介します。
固定資産税のシミュレーションに必要な情報の調べ方
- 課税明細書をチェック
- 固定資産税課税台帳をチェック
固定資産税を算出するのに必要な情報は、役所から届く課税明細書や、固定資産課税台帳から確認することが可能です。シミュレーションに必要な情報の調べ方を確認しておくと、作業がスムーズに進みます。
固定資産税の課税明細書をチェックする
毎年4月から6月頃、各市町村(東京23区の場合は都税事務所)から土地・家屋の所有者宛に送られてくる、固定資産税の納税通知書に「課税明細書」は添付されています。
課税明細書には、固定資産税・都市計画税が課せられる不動産の所在地・家屋の種類や構造などと共に、シミュレーションに必要な「固定資産評価額」が記載されているのでチェックしましょう。
「固定資産評価額」は、「価格」の欄に記載されています。
固定資産課税台帳を確認する
課税明細書以外にも「固定資産課税台帳」で、所有者や不動産の所在、固定資産評価額を確認することができます。
固定資産課税台帳は、固定資産税の納税義務者(共有者含む)ならだれでも閲覧することができ、その他にも相続人、借地人、借家人なども利用可能です。
閲覧するには、各市町村(東京23区は都主税局)のホームページからダウンロードした申請書に、本人確認書類と閲覧手数料を添えて申請する必要があります。
明細書はあくまで市が課税者に送ってくる書面です。台帳は、それを以って公的な資料ということになりますから、例えば第三者にも確かな情報だということがわかります。
【申請に必要な書類】
- 本人確認書類(運転免許所・マイナンバー・パスポート等)
- 代理人が申請する場合(委任状・代理人の本人確認書類)
- 相続人が申請する場合(戸籍謄本)
- 閲覧手数料(200円~400円)
固定資産税をシミュレーションするときの手順
固定資産税をシミュレーションするには、計算式を利用するほかにも方法があります。また、固定資産税と併せて、課税される都市計画税の計算についても確認しておきましょう。
計算するかツールを利用する
固定資産税をシミュレーションするには、紹介した計算式に数値を当てはめて算出するほか、数値を入力して割り出す、インターネット上のツールを利用する方法もあります。
土地の購入代金や固定資産評価率、土地面積など、必要な数値を入力するだけで簡単に固定資産税を算出することが可能です。
ただ、軽減措置などの条件次第によっては割り出される数値も異なるため、目安のひとつとして利用するのがよいです。
都市計画税を計算する
都市計画税の計算式は、固定資産評価額(課税標準額)に、最高で0.3%と定められている税率を掛け合わせて算出します。
【都市計画税の計算式】
都市計画税=固定資産評価額(課税標準額)×0.3% |
また、都市計画税が軽減される特例は次の通りです。
【都市計画税が軽減される特例】
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):固定資産税評価額が6分の1に
- 一般住宅用地(200平方メートル超の部分):固定資産税評価額が3分の1に
固定資産税のシミュレーションにおすすめのツール
自身で電卓を使いながら固定資産税を求めるのもよいですが、ネット上には、およその固定資産税が簡単に算出できるシミュレーションツールも存在します。これらを上手く利用するのもよいです。
固定資産計算シート
「固定資産計算シート」は、取得価額と対応年数を入力し、減価残存率表を参考に原価率を入れると、高速で固定資産税が自動算出されるExcelシートです。
固定資産税&都市計画税計算ツール
家屋の種類や構造を選択して面積を入力するだけで、おおよその固定資産税と都市計画税を算出してくれる計算ツールです。対応しているのは建築1年目の家屋のみとなっています。
なお、シミュレーションの数値は、家屋の平均的な数値で、建てる家によっても評価格は変動するため参考程度と考えましょう。
固定資産税をシミュレーションする場合の注意点
- 管理なしの空き家では軽減税率が適用されない
- 過払いに気づいたらすぐに役場に連絡する
- 土地と建物を別にして計算する
昨今の空き家問題や、過払い金の請求、また固定資産税を算出する際、気を付けなければならない点など、固定資産税をシミュレーションする場合の注意点を、事前に確認しておくと安心です。
管理なしの空き家では軽減税率が適用されない
2015年に制定された「空き家対策特別措置法」により、空き家の状態次第では、軽減措置が適用されないケースがあります。
空き家の増加には減税措置が関係していると言われており、空き家対策特別措置法は、こうした管理されていない空き家を減らすために取られた措置です。
油断して古い空き家を放置していると「特定空家等」に指定され、適応されていた軽減措置が取り消されるケースもあります。
所有者の負担が大きくなる可能性があるため、空き家や周囲の掃除をするなど、定期的に手入れをしましょう。自身での補修が難しい、水道管や外壁などの修繕は業者に頼む必要があります。
【特定空家等の条件】
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態(建物、門、看板等の破損)
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態(汚物の異臭、ゴミの放置による害獣等の繁殖)
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態(建物等の汚損、立木の繁殖)
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態(立木の散乱、動物の鳴き声、糞尿の臭気、不審者の侵入、雪落の危険性など)
なお、翌年の1月1日までに状況を改善することで、翌年の固定資産税の軽減措置はそのまま据え置きになります。
「空き家対策特別措置法」の詳しい説明は、こちらをご覧ください。
空き家を所有する人に向けて「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が定める内容を分かりやすく解説します。この法律を知ることで、空き家の管理のポイントや何を気をつけなければならないのか理解することができます。また、空き家の上手な活用方法も紹介します。
実際の話では「特定空家等」に指定されるケースは少ないです。そこまで手が回っていないのが実情です。
過払いに気づいたらすぐに役場に連絡する
評価格に間違いがあったり、軽減措置を加味していないなど、固定資産税評価額に間違いを発見した場合は、すぐに市町村の課税担当部署(東京23区の場合は都税事務所)に問い合わせましょう。
それでも修正されない時は、納税通知書が交付された翌日から3カ月以内であれば、市町村等に対し審査請求や審査の申し出が可能です。
評価額の不服の場合、評価替えがあった年にしか申し出ができないため、審査ができるのは3年に1度という点にも注意しましょう。
また、過払いなどの還付の申告も、5年以内と期限が定められています。そのため、過払いに気付いたら、すぐに行動を起こすのが重要なポイントと言えます。
土地と建物を別にして計算する
固定資産税は、原則、土地と建物は別々に計算・評価されます。一緒に計算してしまうと、正しい固定資産税が算出できなくなるので注意しましょう。
まず計算式で、土地と建物の固定資産税をそれぞれ算出し、各々の合計額を足したものが固定資産税となります。
固定資産税をシミュレーションして納税に備えよう
不動産を所有していれば、毎年支払わなければならない固定資産税ですが、固定資産税のシミュレーションは、固定資産評価額が分かれば、計算式自体そう複雑なものではありません。
また、固定資産税のシミュレーション方法を知っておくと、明細書の間違いに気づきやすくなり、過払いを防ぐことができて安心です。
自分で計算する以外にも、ネット上には便利な計算ツールがたくさんあります。固定資産税をシミュレーションして賢く納税に備えましょう。