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日々働いていても、思わぬ事故や病気によって税金の支払いが難しくなることもあります。また、給料が減額されることもあるかもしれません。
健康で元気に働いて決まった税金の支払いができているうちはいいのですが、固定資産税などが払えなくなったらどうすればよいのでしょうか。
ここでは、固定資産税を滞納するとどのようなことが起こるかや、固定資産税を滞納してしまったときにはどうすればよいかを解説しています。
固定資産税の滞納を放置すると、大きなリスクがあります。リスクを避けるためにも、事前にしっかりと固定資産税について理解して、滞納しないように心がけましょう。
固定資産税の滞納後の役所の対応
- 納期を過ぎたら20日以内に督促状を送付
- 滞納が続けば財産の調査後に差し押さえ
- 生活必需品以外は競売に
まずは、固定資産税の支払いがされないと役所はどのような手続きをするのかを見てみましょう。
納期を過ぎたら20日以内に督促状を送付
固定資産税は地方税なので、市町村(東京23区は東京都主税局)が課税します。そして、1月1日の土地や建物の所有者に対して課税され、春頃になるとその所有者に対して納税通知書が送付します。
その後、納付期限までに納付が行われていない納税義務者に対して、納期日から20日以内に督促状を送付しなければなりません。
これは、地方税法第73条の34に定められており、納税義務者からの相談がない場合には、滞納の事実が確認されると速やかに送付されます。
滞納が続けば財産の調査後に差し押さえ
固定資産税を滞納し始めてから放置していると、日々、延滞税が課税されます。
そして、督促状を送付しても、催告書を送付しても納税されず、長く滞納が続く場合には、滞納を解消するために財産調査や身辺調査を行います。
財産調査では、預貯金や給料も対象となり、回収が比較的簡単な預貯金や給料の差し押さえが行われます。それでも回収しきれない場合には、家などの不動産が差し押さえられることもあります。
生活必需品以外は競売に
預貯金や給料で滞納が解消できない場合やほかに差し押さえる財産がない場合には、動産の差し押さえを行う場合もあります。宝石や絵画、時計など生活に支障がない贅沢品が主な差押え対象となります。
このような差し押さえられた動産は、競売にかけられて現金化し滞納分の支払いに充てられます。ただし、生活に必要な寝具や畳、服、食料などは差押えすることはできません。
家が競売される前に回避できる方法は、こちらの記事をご覧ください。
家が競売にかけられるとなれば、焦りと不安を抱える内に期日が来てしまうことも少なくありません。しかし、実は競売直前まで回避できる方法があります。冷静に対処するために、競売の流れとメリット・デメリット、回避するための手段を把握しておきましょう。
固定資産税は滞納翌日から延滞金
1日でも支払い期日をすぎるとその日から延滞金がかかります。固定資産税の延滞金は税率が高いため、長期の滞納になると、延滞金も高額になる可能性があります。
固定資産税の延滞金の税率
固定資産税は地方税のため、延滞金の税率も市町村や都が決めていて、自治体によって税率が異なります。そして、延滞金の計算の際は、延滞が始まった日から1カ月間の税率とその後の税率が異なるので注意が必要です。
また、延滞金の税率は毎年変動します。正確な税率は不動産を管轄する自治体のホームページで確認できます。なお、東京23区の税率は、2019年(令和元年)現在の延滞から1カ月を経過する日までは2.6%、その後は8.9%です。
3ヶ月滞納した場合の延滞金の計算例
実際に固定資産税を3カ月滞納した場合の延滞金の金額がどれくらいになるかを計算してみましょう。納期限を第一期分の納税金額が25万円、2018年(平成30年)5月31日を納期とします。そして、2018年8月31日に納付を行うこととします。
- 2018年6月1日から2018年6月30日までの延滞金(30日間)25万円 × 2.6% × 30日 ÷ 365日 = 534.2円
- 2018年7月1日から2018年8月31日までの延滞金(62日間) 25万円 × 8.9% × 62日 ÷ 365日 = 3,779.4円
- 合計 534円 + 3,779円 = 4,313円
税率は、東京23区内での平成30年以降の税率を使用しています。なお、税額を合算するときには、小数点以下は切り捨てになります。
そして、合計の税額は、100円未満の端数は切り捨てとなるので、税額は4,300円となります。
固定資産税を滞納した時の3つの対策
- 役所に連絡をして分納の相談
- 特殊な事情での滞納なら徴収や換価の猶予
- 滞納処分の停止を相談
天災ややむを得ない事情で固定資産税の支払いが遅れることもあるでしょう。遅れた場合には、すぐにどのようにして支払うかやどれくらい払えるかなどを相談することが大切です。
役所に連絡をして分納の相談
固定資産税の支払いができないとき、まずは役所に連絡を入れて相談することが大切です。支払うためのお金がないと相談しても無駄では、と感じる人もいるかもしれません。
しかし、払えないからと言って放置していると、払う意思がないととらえられ、悪質な滞納者として認識されかねません。
督促状が届く前なら、より心証もよくなるので、できるだけ支払う意思があることを示して誠実に対処することが大切です。
支払いが難しいことが分かった時点で相談に行くと、分納ができたり、延滞税を減らしてもらえたりとメリットがあります。
また、差押えに至るリスクも減らせる可能性があります。そして、もし、相談の結果、分納ができそうであれば、その内容を書面として残しておきましょう。これはその後、分納が予定どおりできなかったときの対処法を増やすことになります。
もし、傷病を患っている場合は診断書、失業なら失業認定書など状況が悪いことを証明できる場合は、それらの書類を持っていくとよいかと思います。
特殊な事情での滞納なら徴収や換価の猶予
地震や水害などの災害で被災したとき、また、親族の病気やケガなどの場合には、税金の支払いがしたくてもできない場合があります。
そのようなときには、固定資産税の支払い期限に1年間の猶予が与えられる場合があります。事業の廃止や盗難などで、お金を用意できない場合にも適用されます。
また、差押えになってしまった家や仕事のために必要な機器など、それを換価してしまうと生活ができなくなる場合には、1年間の猶予が与えられる場合があります。
ただし、この換価の猶予は、支払う意思があることが前提となります。
そのため、これらの制度を利用する場合には、役所に相談に出向き支払う意思があることを伝えることが大切です。
また、これらの猶予には延滞税を50%から100%免除される場合があるので、普通の分納よりも滞納を解消しやすくなります。
滞納処分の停止を相談
原則、滞納が長引けば、不動産や動産など生活を維持するために必要でないものを差押え、現金化して税金の回収に充てられます。
しかし、固定資産税の支払いができない人の中には、そもそも処分して現金化できるような財産を持っていない場合があります。
このように、処分できる財産がない場合や、処分してしまうと生活が経ちいかなくなる場合には、滞納処分が停止されることがあります。
この滞納処分の停止は、滞納者申請できるものではありません、徴収員が滞納者の財産調査や身辺調査を行った後に、滞納処分が不可能であると判断した場合にのみ適用されます。
滞納解消で注意が必要な対応
- 債務整理をしても納税の責任は残る
- 不動産の任意売却は完済を目指して活動
- 時効を待つのは現実的ではない
- 固定資産税の価格に不服の申し立て
税金は原則、完済しなければ滞納は解消されません。早めの相談で分納するか猶予をしてもらい、返済の計画を立てるとよいです。
債務整理をしても納税の責任は残る
固定資産税や都市計画税、所得税、住民税などの税金は、非減免債権であり非免責債権でもあるので、債務整理を行っても、減額されることはありませんし、免除されることもありません。
そして、延滞金が発生していた場合には、延滞金もなくなることはありません。
そのため、税金はすべてを支払い終えるまでは、滞納を解消することはできません。支払うことでしか解決できないので、滞納したときには早めの相談が重要です。
不動産の任意売却は完済を目指して活動
固定資産税の支払いが滞るほど生活が逼迫している場合には、住宅ローンの支払いも難しくなることが考えられます。
このようなときには、不動産を維持すること自体が難しいと考えられますので、任意売却という方法で家を売却し滞納している税金や延滞金の支払いを行うという方法があります。
基本的には、差押え登記がされている物件は、売却には、差押え登記の解除が条件となるので税金の完済が条件となります。
また、住宅ローンの残債がある場合には、売却代金でそちらも完済しなければなりません。
固定資産税の滞納がある物件の売却では、これらの条件を踏まえながら売却の手続きを行う必要があるため、税金の未納物件の扱いや、任意売却の知識に長けた専門家のアドバイスを受けながら、売却の手続きを行うとよいです。
住宅ローンの支払いが困難になってしまったとき、競売を避ける方法の一つに任意売却があります。任意売却は債権者の合意を得た上で、一般市場で物件を売却でき、競売よりもメリットの多い手段です。任意売却の基本的な情報や売却の流れなどを解説します。
任意売却の知識に長けた専門家を調べるには、まず、実績の提示のある会社を探しましょう。ホームページやSNS、広告などで宣伝されている会社に相談に行ってみるとよいです。
時効を待つのは現実的ではない
固定資産税の支払いには時効があります。納付期限から5年を経過すると時効となります。
しかし、この時効は、差押えや請求、仮押さえなどがあると中断します。
そして、中断翌日から再度、5年間が経過しなければ時効は成立しません。一般的に、固定資産税を滞納して何のアクションも起こさず5年を経過することはありません。
なぜなら、滞納を解消するために様々な手続きが取られるからです。そのため、時効が成立するのを待つという判断は現実的ではありません。
固定資産税の価格に不服の申し立て
固定資産税はその不動産の価値によって金額が決められています。
そのため、この不動産の価値である固定資産税評価額は、3年に一度見直しを行い税金の徴収のし過ぎを防ぐため、実勢価格のおよそ70%程度の価格に設定されています。
しかし、不動産の所在する場所によっては固定資産の価値も上がるため、固定資産税も高くなり不満を感じる人はいるかもしれません。
固定資産税が高いと感じる場合には、減免の申し立てを行えます。
しかし、この手続きを行っている間にも固定資産税を滞納していると、督促状が送られてきたり、延滞税が増えていったりします。
そのため、手続き中であっても、とりあえずは納税しなければなりません。
もし、減免されるようであれば差額が返金されるので、不服の申し立てを行う場合でも納税は済ませておく方がよいです。
固定資産税の滞納を避けるためにできること
- 支払い額や期日を把握しておく
- 相続放棄した財産の固定資産税は役所で手続
- 収入を減らさない生活をする
固定資産税の支払い日を確認し、金額を把握しておきましょう。そうすると、前もって少しずつ用意することができます。
支払い額や期日を把握しておく
固定資産税は金額が大きくなる場合があるので、支払いは4回までの分割払いが認められています。
しかし、分割払いができても、金額を把握していないと家計とは別に用意するのは難しい場合があるでしょう。
そのため、固定資産税の金額を把握し、納付期日をきっちりと覚えておくと、納付のし忘れや現金が用意できないという事態を避けられます。
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4% |
固定資産税の税額は上記の計算式で計算できます。
なお、固定資産税評価額は納税通知書にある課税明細を見ればわかります。また、市町村の役所(東京23区の場合は都税事務所)で固定資産課税台帳を閲覧して確認することもできます。
なお、固定資産税の税率は、市町村ごとに決められていて標準税率は1.4%ですが、異なる市町村もあるのでお住まいの自治体に確認しましょう。そして、納付期限も市町村ごとに異なるので注意が必要です。
固定資産税の納期と支払方法は、こちらの記事をご覧ください。
固定資産税の基礎知識から、固定資産税の納期の調べ方や、納期が過ぎた場合の対処法を解説しています。固定資産税の納期が分からないから調べたい、過ぎたらどうなるか知りたいという方におすすめです。また固定資産税の計算方法についても解説しています。
相続放棄した財産の固定資産税は役所で手続
家や土地を相続すると、その不動産の所有者が移り、固定資産税の支払い義務がその不動産を相続した人に発生します。
そして、その不動産の固定資産税が滞納されていた場合には、その税金の支払いもしなければなりません。
しかし、相続を知った時点で相続放棄の手続きを行うと、滞納している固定資産税を支払う必要はありません。
ただし、相続放棄の手続きがされているかどうかは役所でわからないので、そのまま督促状が届くことがあります。
土地の相続放棄方法と注意点は、こちらの記事をご覧ください。
この記事では、実家の土地を相続したがいらないので手放したいという人に役立つ情報をまとめました。相続放棄の方法や、相続放棄のデメリットや注意点についても詳しく解説します。マイナス財産となってしまう土地を相続する方は、ぜひ参考にしてください。
この場合、役所に相続放棄をした際の相続放棄申述受理証明書などを提出すると、督促状や催告書が送られてくることはなくなります。
収入を減らさない生活をする
支払いは固定資産税だけではありません。月々の管理費や修繕積立金がかかる場合もあります。もちろん、住宅ローンの支払いがある人も多いです。
そのため、ローンを組んだ時点では余裕を持って支払えていたものが、年がたつにつれ、病気になってしまったり、景気が悪くなったりして収入が減ることも考えられます。
固定資産税を滞納しないようにするためには、まずは健康であることです。そして、安定した収入が得られる仕事を続けることが重要です。
また、離婚や転職を期に、収入が減ることはよくあることです。スキルアップをしたり、円滑な人間関係を築いたりして、失業や転職を避けることも安定した収入を得続けるためには大切なことです。
固定資産税の滞納解決のため即行動
固定資産税は滞納すると、家を差押えられて競売にかけられたり、預貯金や給料が差し押さえられたりする恐れがあるため、まず第一に滞納しないことが重要です。
しかし、天災や病気などで払いたくても払えなくなることもあるでしょう。ここで、払えないからと言って放置すると状況は悪くなるばかりです。
そのため、滞納してしまったら、すぐに相談し対処することが大切です。きちんと相談して手続きをすれば、延滞税については減らしてもらえる可能性があります。
少しでもスムーズに延滞を解消できるように、固定資産税が支払えなくなったら早めに行動を起こしましょう。