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近年は、人生の最期を迎えるための準備である「終活」を始める人が増えています。
終活は決してマイナスな意味合いではなく、自分や大切な家族のために人生を総括するといったプラスの意味合いです。
自分の親が終活を進めていくにあたって、親が保有しているマンションを相続する可能性が生じた人もいるのではないでしょうか。
戸建てやマンションといった不動産を相続する場合、様々な手続きが必要です。
この記事では、これからマンションを相続する可能性がある人に向けて、相続の手続きや費用などについて解説していきます。
突然相続が訪れても慌てないために、この記事を読んで備えておきましょう。
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マンションを相続する手続きの流れ
マンションの相続は、どのタイミングで訪れるかわかりません。
マンションの相続には様々な手続きが必要なため、あらかじめ把握しておくと安心です。
遺産の確認前に必要な手続き
親が亡くなった際には、遺産を確認する前に次のような手続きが必要です。
このような手続きは、死亡から一定の期間内に行わなければなりません。次の表では手続きの期限と手続き内容を示しています。
手続き内容 | 手続きの期限 |
---|---|
死亡届の提出 | 死亡日から7日以内 |
年金受給停止 | 死亡日から10日以内 |
公共料金の停止 | 死亡日から14日以内 |
各種サービスの停止 | |
健康保険及び介護保険の資格喪失届の提出 | |
世帯主変更届の提出 | |
生命保険金の受け取り | |
各金融機関への連絡 |
このように行わなければいけない手続きは多く、手続きが遅くなると兄弟間での遺産争いなどのトラブルや、管理費等の支払遅延も発生します。
ただし、手続きの期限はあくまでも目安です。各項目の手続き方法は、次の通りです。
死亡届の提出
死亡届と火埋葬許可申請書を準備し、各市町村役場に提出します。
年金受給停止
年金受給者が亡くなった場合、住民票のある社会保険事務所に行って手続きします。
公共料金の停止
亡くなった人の名義で公共料金を契約していた場合、サービスの停止の手続きをします。
各種サービスの停止
亡くなった人の名義で各種サービスを利用していた場合、サービスの停止の手続きをします。
健康保険及び介護保険の資格喪失届の提出
国民健康保険の場合は、各市町村役場に国民健康保険資格喪失届を提出します。
社会保険の場合は、健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届を会社経由で年金事務所に提出します。
介護保険の被保険者が亡くなった場合は、各市町村役場に資格喪失届を提出します。
世帯主変更届の提出
世帯主が亡くなった場合、各市町村役場に世帯主変更届を提出します。
生命保険金の受け取り
亡くなった人が生命保険に加入していた場合、受取人が各保険会社に連絡して受け取りの手続きをします。
各金融機関への連絡
亡くなった人が保有していた口座を確認し、各金融機関に死亡したことを連絡します。
マンションの相続は遺言書の確認から
マンションを相続する場合、まずは遺言書の有無を確認しましょう。
法律上は法定相続人に遺留分の請求が認められているものの、相続は遺言書の内容が優先されるようになっています。
遺言書がある場合、家庭裁判所で検認してもらう必要があります。
検認とは、遺言書があることや内容を確認してもらう手続きのことです。
一方で遺言書がない場合は、法定相続人同士で遺産分割協議を開いて遺産の分割を行います。
現金と異なり、土地やマンションといった不動産は法定相続人同士で分割しにくい相続財産です。
そのため、分割方法を巡ってトラブルになりやすいといわれています。
遺産分割協議で分割方法をきちんと協議しておくことが大切です。
相続財産はマンション以外も調査
法律上、相続税の課税対象とそうでない財産があり、財産の全てをきちんと把握しておく必要があります。
相続税の対象となる財産は次の通りです。
- 土地やマンションといった不動産
- 自動車や書画骨董といった動産
- 現金
- 預貯金
- 国債や株式といった有価証券
- ゴルフ会員権
- 生命保険金
- 死亡退職金 など
墓地や仏壇といった祭祀用財産や国などに寄付した財産は、相続税の課税対象ではありません。
相続税は課税対象の財産全体に課税されるため、全ての財産をきちんと把握しておきましょう。
なお、インターネット上で取り引きしたものも財産になる可能性があるため、漏れなく調べることが大切です。
マンションの相続のために名義変更
亡くなった人が保有していたマンションを相続する場合、法定相続人同士で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議で相続人が決まったら、マンションを相続するために名義変更を行いましょう。
名義変更を行うことで固定資産税の請求先が定まり、売却する際もスムーズです。
次の表では、名義変更のために必要な書類と費用を示しています。(遺産分割協議でマンションを相続する場合)
必要書類 | 費用 |
---|---|
亡くなった人の戸籍謄本(10歳前後から亡くなるまで) | 1通につき450円 |
亡くなった人の除住民票 | 1通につき750円 |
法定相続人全員の戸籍謄本 | 1通につき300円 |
法定相続人全員の住民票 | 1通につき300円 |
固定資産税評価証明書 | 1通につき300円 |
名義変更の手続きを行う場合、上で示した費用の他に登録免許税を納付しなければなりません。
登録免許税は、固定資産税評価額によって異なります。
たとえば、相続するマンションの固定資産税評価額が1,000万円の場合は40,000円です。
マンションの相続で支払う税金
マンションを相続する場合、課税対象となるその他の財産を合わせた金額に応じて相続税がかかります。
場合によっては高額になる可能性もあるため、大まかな金額を把握しておくと安心です。
相続税は(相続財産が)基礎控除額を超えると発生
「マンションを相続する手続きの流れ」の「相続財産はマンション以外も調査」で紹介したように、相続税の対象となる財産はマンションだけでなく現金や預貯金、ゴルフ会員権なども含まれます。
相続税は課税対象となる財産の合計金額に応じて異なり、課税標準額から差し引ける「基礎控除額」が設けられています。
相続税を計算する際は次のように基礎控除額を割り出し、課税対象となる財産の合計金額が基礎控除額を超えると相続税が発生する仕組みです。
相続税の税率は、次の通りです。
課税対象となる財産の合計金額 | 税率 |
---|---|
1,000万円以下 | 10% |
3,000万円以下 | 15% |
5,000万円以下 | 20% |
1億円以下 | 30% |
2億円以下 | 40% |
この表をみると、税率は課税対象となる財産の合計金額に応じて高くなることがわかります。
相続するマンションの価値の調べ方
相続税の税率は課税対象となる財産の合計金額に応じて高くなるため、相続するマンションの価値がわかれば大まかな税額が把握できます。
ここでは、相続するマンションの価値の調べ方を紹介していきます。
土地の価値は相続税路線価を使う
戸建てやマンションといった不動産は、建物だけでなく土地も資産です。
マンションの場合、土地の面積は持分割合から判断されます。土地の価格は、次のような計算式で算出できます。
このようにマンションの敷地利用権の評価額は、相続税路線価を用いて算出されます。
相続税路線価は、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」で調べられます。
参考:全国地価マップ|一般財団法人資産評価システム研究センター
建物部分は固定資産税評価額
マンションの建物部分は、固定資産税評価額で価値がわかります。
固定資産税評価額とは、毎年1月1日時点の不動産の所有者に対して課せられる固定資産税のベースとなる評価額です。
不動産の所有者には、毎年春ごろになると固定資産税課税明細書が送付されます。
固定資産税課税明細書を見れば、建物部分の固定資産税評価額がわかります。
固定資産税課税明細書を紛失している場合、不動産を管轄する各市町村役場で再発行できます。
再発行する際は、運転免許証や健康保険証といった本人確認書類を持参する必要があります。
評価額の算出は、自分で調べることで事足ります。チラシや不動産会社に相談したりするのもいいかもしれません。
相続したマンションの3つの活用方法
相続したマンションは、場所によっては自分が住むエリアではない可能性も考えられます。
このような場合は維持管理が難しいため、賃貸に出したり売却して活用するとよいです。
自分や家族が住む
相続したマンションが自分が住むエリアと近い場合、自分や家族が住むのも選択肢の一つです。
たとえば、現在自分が住んでいるところよりも住環境がよくなるなら転居を検討してみましょう。
しかし、転居することによって仕事の通勤などに影響が出る場合は別の方法を検討した方がよいかもしれません。
また、築年数が古いマンションの場合、リフォームやリノベーションの必要性も検討してみましょう。
賃貸にする
相続したマンションは、自分や家族が住む以外にも賃貸に出すという方法も選択できます。
ただし、不労所得は得られるものの、維持管理にコストがかかるのが難点です。
また、自分や家族がすぐに転居する予定はなくても、相続したマンションを将来的に子供に譲るという選択肢もあります。
このような場合は、子供に譲る時が来るまで賃貸に出すのも手段の一つです。
その他の理由で将来的にマンションを使用する予定があるのであれば、あらかじめ賃貸の期間を定めて貸し出す「定期借家契約」を選択するとよいです。
ただし、定期借家契約の場合、次に売却する際の控除は利用できません。
手数料はかかりますが、そのマンションにおける実績のある仲介業者にお願いし、以後の賃貸管理もお任せするとよいです。
これも調べて、ふさわしい仲介業者を探しましょう。
売却する
相続したマンションの活用方法に悩んだ場合、売却するのも手段の一つです。
売却すると、売却金額を法定相続人全員で平等に分割できるというメリットもあります。
売却は一括査定を使う
相続したマンションを売却する場合、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
しかし、査定額は不動産会社によって異なるため、一括査定サイトの利用をおすすめします。
一括査定サイトを利用すると、不動産会社から提示された査定額を比較できるだけでなく、信頼できる不動産会社選びに役立ちます。
売却益が出た場合の税金について
相続したマンションを売却して利益が出た場合、利益に対して譲渡所得税が課せられます。
不動産を売却して得た利益を「譲渡益」といい、譲渡所得税は譲渡益や不動産の所有期間によって税率が異なります。
譲渡益は、次のような計算式で算出します。
譲渡益を算出したら、不動産の所有期間に応じて次の表で示す税率を乗じて譲渡所得税を算出します。
区分 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 30.63% | 9.0% | 39.63% |
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15.315% | 5.0% | 20.315% |
各譲渡所得の所得税には、東日本大震災の復興支援のための「復興特別所得税」2.1%が上乗せされています。
マンションが古いなら相続放棄も事前に検討を
築年数が古いマンションを相続した場合、賃貸や売却といった活用方法が難しい可能性もあります。
このような場合、相続放棄するのも手段の一つです。
古いマンションを相続するデメリット
戸建てやマンションといった住宅は、築年数に応じて価値が下がるのが一般的です。
そのため、築年数が古いマンションを相続しても賃貸も売却も難しい可能性があります。
たとえば、築年数の古いマンションを賃貸に出しても入居者が少ないかもしれません。
安定的に入居者を確保できないと、ランニングコストが高くなります。
また、所有し続けても固定資産税や管理費がかかるため、築年数が古いマンションを相続するデメリットは大きいと言えます。
相続放棄はすべて放棄することになる
築年数が古いマンションを相続してもデメリットが大きいため、相続放棄するのも手段の一つです。
ただし、相続放棄を選択すれば他のプラスとなる財産も全て放棄することになります。
相続放棄するためには、財産を所有する人が亡くなってから3ヶ月以内に手続きしなければなりません。
そのため、相続放棄を検討するのであれば早い決断が求められます。
相続放棄しても管理義務は残る
マンションを含めて相続した全ての財産を相続放棄すると、面倒な管理や維持から解放されると考える人もいるかもしれません。
しかし、マンションを相続放棄しても他に相続する人がいなければ管理義務が残ります。
相続放棄の際に相続財産管理人を申し立てることになりますが、弁護士や司法書士といった専門的な立場の職種に託されることがほとんどです。
相続財産管理人を申し立てる際には、予納金を収めなければなりません。
予納金の金額は30万円から100万円程度かかるため、相続放棄したからといって費用が発生しないわけではないことを心得ておきましょう。
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相続税申告の手続きを簡単に終わらせるなら、相続税に強い税理士へ一括相談できる税理士ドットコムを利用してみてはいかがでしょうか?
日本全国24時間いつでも無料で相談を開始でき、最短で当日に税理士から連絡をもらえます。
申し込みも最短30秒で行えるほど簡単なため、素早く相談できるのが魅力です。
期間内に損をしない方法でマンションの相続を行おう
マンションを相続する場合、一定期間中に様々な手続きをしなければなりません。
築年数が浅いマンションなら賃貸や売却といった手段も利用しやすいものの、築年数が古いマンションは売却さえ叶わないかもしれません。
売却できても譲渡所得税が高額になる可能性もあるため、場合によっては相続放棄も選択肢の一つです。
また、自分や家族が住まないのであれば、相続するマンションの価値を調べて価値が高ければ早めに売却しましょう。