農地を生前贈与する流れは?納税猶予の特例についても解説

親や祖父母などの親族が持っている農地を譲るには、相続だけではなく「贈与」という選択肢もあります。

ただし、農地は宅地などと違って、贈与の際にいくつかの規制があるので知っておかなければ最悪の場合贈与が無効になってしまいます。

この記事では農地の贈与の流れや、贈与を選択するメリット・デメリットについて解説します。

多くの方が気になるであろう税金についても触れていますので、これから農地の贈与を受ける予定がある方にはおすすめです。

▼無料一括査定依頼▼
※都道府県が選択されていません。
※市区町村が選択されていません。
※ご指定いただいたエリアへのお問合せは、現在取り扱っておりません。

※リンク先の売却査定/買取査定は、当社提携先の株式会社NTTデータ スマートソーシングのサービスページになります。

農地の定義

農地の購入方法を解説する前に、そもそも農地とはどういつ土地のことを指すのかを理解しておきましょう。

農地とは、その名のとおり農業のための土地のことです。そして、全国の土地は用途によって「地目」が決められているのですが、農地の場合は「田」や「畑」などが地目として設定されています。

ただし、地目が農地でなかったとしても農業のために利用されている土地であれば、農地としてみなされます。

お持ちの不動産(マンション・一戸建て・土地など)の適正な売却価格を調べるなら、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)」の不動産売却一括査定サービスがおすすめです。


お住まいの都道府県と市区町村を選び、物件の種類を選んでいくだけで、その地域で仲介売却を得意とする不動産会社が自動で選ばれ、最大6社から見積もりをもらうことができます。

全国から厳選した実績豊富な不動産会社に売却を依頼することができるため安心です。

お持ちの不動産(マンション・一戸建て・土地など)の適正な売却価格を調べるなら、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)」の不動産売却一括査定サービスをご利用ください。

不動産売却一括査定のHOME4U

お住まいの都道府県と市区町村を選び、物件の種類を選んでいくだけで、その地域で仲介売却を得意とする不動産会社が自動で選ばれ、最大6社から見積もりをもらうことができます。

実績豊富な不動産会社に売却を依頼することができるため安心です。。

農地の贈与と相続、どちらがお得?

農地を他者へ譲るためには大きく分けて「贈与」「相続」という2種類の方法があります。

では、実際にどちらを選択した方がお得なのでしょうか?

贈与と相続にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、それぞれを理解した上で贈与と相続のどちらを選ぶか決めてください。

農地の贈与を選択するメリット

農地の相続ではなく贈与を選択すると、以下のようなメリットがあります。

  • 早く農業に取り組める
  • 農地だけを贈与できる
  • 手続きが簡単
  • 認知症対策ができる
  • 早く農業に取り組める

農地を親族から譲り受けて農業を始めたいと思っている場合、一刻も早く農地を自分のものにしたい思うはずです。

相続の場合は農地の所有者が死亡してから遺産分割協議を経て、ようやく農地が自分の物になります。

贈与であれば農地の所有者が生存中でも農業に取り組めますし、贈与する側が農業経験者なら耕作のやり方を教わることもできるのです。

農地だけを贈与できる

贈与の場合は複数の財産の中から農地だけを受け継ぐことができます。一方の相続では「農地だけ」を相続することはできません。

財産すべてを相続するか、すべてを相続放棄するかを選択しなければならないのです。

すべてがプラスの財産であればよいですが、借金など負債がある場合には負債も含めた財産を相続するかどうか選ぶことになってしまいます。

手続きが簡単

農地の贈与は相続と比べると、手間がかからないのが特長です。

相続であれば、申請書の作成や書類を揃えるのに時間がかかるのはもちろん、相続人が複数いる場合には全員の合意を得る必要があります。

1人でも相続に反対する人がいたり、遠方で遺産分割協議に参加できない相続人がいたりすると、合意形成に非常に時間がかかってしまうことになります。

一方の贈与は農地を贈与する人と贈与される人の合意と、農業委員会か都道府県知事の許可があれば完了するので、両者の手間の違いは一目瞭然です。

認知症対策ができる

相続は農地の所有者が死亡してから発生するのですが、死亡前に認知症になってしまい全員が納得のいく相続にならない可能性があります。

農地を確実に手に入れたいのであれば、認知症になる前に贈与を受けた方が確実です。

農地の贈与を選択するデメリット

農地の相続ではなく贈与を選択すると、以下のようなデメリットがあります。

  • 相続税よりも税率が高い
  • 節税対策がしづらい

相続税よりも税率が高い

贈与税は相続税よりも税率が高くなっています。

例えば、評価額3000万円の農地を相続した場合と贈与したケースを比較すると、相続税率が15%であるのに対して贈与税率は45%(特例贈与財産の場合)と約3倍です。

また、基礎控除も相続税が3600万円(相続人が1人の場合)に対して贈与税は110万円です。単純な税率や基礎控除の大きさで比較するなら相続の方がお得です。

節税対策がしづらい

贈与税は相続税に比べて節税策を利用しづらいというデメリットがあります。

税理士に相談すれば贈与と相続、それぞれで利用できる節税策はもちろん、納税面でどちらがお得かについても教えてくれます。

農地の贈与税額の計算方法は?納税猶予についても解説

農地を他者へ贈与するとかかる税金として真っ先に思い浮かぶのは、贈与税だと思います。

ここでは、贈与税の計算方法をご紹介する他、農地の贈与で利用できる贈与税の納税猶予制度についても解説します。

農地の贈与税は誰が納める?

農地の贈与税は、贈与によって農地を取得した人(受贈者)へ課されます。

ちなみに、贈与税は個人に対して課される税金なので、法人(会社)が贈与を受けても贈与税は課されません。

不動産最新情報を配信中!

一般贈与財産と特例贈与財産の違い

まず、贈与税を正しく理解するために「一般贈与財産」と「特例贈与財産」について整理しておきます。

「特例贈与財産」は2015年以降で贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上である子供や孫(直系卑属)へ贈与された財産のことで、特例贈与財産該当しない財産を「一般贈与財産」といいます。

両者は贈与税率が違うのですが、特例税率の方が一般税率よりも低いため、贈与する農地が特例贈与財産に該当するかどうかはチェックするようにしてください。

贈与税の計算方法

まず、贈与税額の計算式ですが、以下の通りです。

「贈与を受けた財産の合計額-基礎控除額(110万円)×税率-控除額」

これだけだと少々分かりづらいので、補足します。

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、さらに控除後の課税価格に応じて税率が決められている税率をかけた上でさらに既定の控除額を引くことになるのです。

一般贈与財産の税率

一般贈与財産の場合、課税価格に応じた税率および控除額は以下の通りです。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万以下10%
300万以下15%10万
400万以下20%25万
600万以下30%65万
1,000万以下40%125万
1,500万以下45%175万
3,000万以下50%250万
3,000万超55%400万

特例贈与財産の税率

続いて、特例贈与財産の税率は以下の通りです。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万以下10%
400万以下15%10万
600万以下20%30万
1,000万以下30%90万
1,500万以下40%190万
3,000万以下45%265万
4,500万以下50%415万
4,500万超55%640万

上記の税額・控除額を元に、贈与税額を計算してください。

農地には4種類の区分と評価方法がある

農地の贈与税額を算出するためには「農地がいくらになるのか」を示す評価額が分からなければ計算ができません。

農地の場合、郊外にある農地と街中にあって将来的に宅地転用が可能な農地では財産的価値が全く異なります。

そのため、農地は以下の4種類に分けられ、それぞれ異なった評価額の算出方法を用いるのです。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

では、それぞれの算出評価額算出方法について解説していきます。

純農地および中間農地は倍率方式を用いる

贈与する農地が「純農地」「中間農地」の場合は倍率方式を用いて評価額を算出します。

純農地は農業生産性が高い農地で、宅地転用がほとんど不可能な農地のことで 、中間農地は許可を得られれば宅地への転用が可能な農地のことです。

倍率方式とは

倍率方式とは、主に路線価が定められていない土地の評価額を算出する方法です。

固定資産税評価額に、国税局長によって定められた一定の倍率を乗じて評価します。

市街地農地および市街地周辺農地の評価額

市街地周辺農地の価額は、その農地が市街地農地と仮定した評価額の80%の価格として評価します。

つまり、市街地農地の評価額を算出できれば、市街地周辺のうちの評価額も算出できるわけです。

そして、市街地農地の評価額は倍率方式か宅地比準方式を用いて計算します。

宅地比準方式とは

宅地比準方式は、農地を宅地と仮定して、そこから宅地にするのにかかる費用(宅地造成費用)を引いて求める評価額の計算方法です。

計算式は以下の通りです。

「農地を宅地と仮定した場合の㎡単価」-「宅地造成費の㎡単価」× 農地面積

ちなみに、宅地造成費は国税庁によって地域ごとに定められており、国税庁のHPで閲覧できます。

農地の種類の調べ方

4種類の農地について触れてきましたが、贈与しようとしている農地がどれに該当するのかをどのように知ることができるのでしょうか?

農地の種類は国税庁で、簡単に調べられます。都道府県を選択すると「財産評価基準書目次」が表示されますので「一般の土地等用」をクリックしてください。

さらに町名を選択すると農地の種類が表示されます。「純」は純農地、「周比準」は市街地周辺農地、「比準」「市比準」は市街地農地を指します。

贈与税は納税猶予制度が使える

農地を生前一括贈与した場合、条件を満たすことで課税の特例(納税猶予制度)を利用できます。

この制度は農業を営んでいる人が、農地のすべてを推定相続人1人へ生前一括贈与した場合に、農業を営んでいる内は贈与税の納税が猶予されるという、贈与を受けた人にとっては非常に嬉しい制度なのです。

さらに、この特例を適用して贈与をした側か、された側のいずれかが死亡した場合には贈与税の納税は免除されます。

ただし、贈与者の死亡によって猶予されていた贈与税の納税が免除された場合は贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象となるので、必ずしもメリットばかりがあるとはいえません。

農地を贈与する側(贈与者)の要件

贈与税の納税猶予を適用される要件としては、農地の贈与日まで3年以上農業を続けている個人で、以下の条件に「該当しない」ことが挙げられます。

  • 贈与をした前年以前において、推定相続人に対して相続時精算課税を適用する農地等の贈与をしている
  • 農地の贈与をした同じ年に、今回の贈与以外に農地等の贈与をしている
  • 過去に農地等の納税猶予の特例の対象となる一括贈与をしている

農地を贈与される側(受贈者)の要件

受贈者の要件としては、贈与者の推定相続人のうちの1人であり、以下要件の「すべてに」該当することを農業委員会から証明されていることが求められます。

  • 農地の贈与を受けた時点で18歳以上である
  • 農地の贈与を受けた時点で引き続き3年以上農業に従事していたこと
  • 贈与を受けた後、農地および採草放牧地で農業を行うこと
  • 農業委員会から認定農業者として認められること

農地を贈与した場合にかかる税金・費用は?

農地の贈与時にはいくつかの税金や費用が掛かります。

贈与前にどんな費用がどの程度掛かるのかを把握しておくことで、贈与を円滑に進められるようになります。

登録免許税

農地の贈与を受けた人が登記名義を変更する際に課せられる税金が登録免許税です。

税額は農地の固定資産税評価額の1000分の20(2%)ですが、令和5年3月31日までは軽減税率が適用されており、15/1000になっています。

登録免許税は法務局で所有権移転登記をする際に納めてください。

固定資産税

農地を含む不動産を所有していると、固定資産税が課されます。

税額は土地の評価額に所定の税率を乗じて算出するのですが、農地の種類によって評価方法が異なりますので注意が必要です。

今後も農地として利用されることが見込まれる土地は「農地評価」という、その土地でどれくらいの作物を収穫できそうかを基準に評価します。

一方、都市整備を進めている地区の場合は「宅地並評価」という、宅地として見た場合の価値で判断する評価する方法を用います。

書類取得費用

農地の贈与手続きで必要となる、住民票や印鑑証明を発行する際には手数料がかかります。

市区町村の役場などで申請して取得するのが一般的で、各書類数百円程度の手数料を支払うことになります。

司法書士報酬

農地の所有権移転を司法書士に依頼する場合は、数万円程度の司法書士報酬がかかります。

自分で登記を行えば登録免許税だけで済みますが、書類の不備や記入漏れがあると手間がかかります。

迅速に農地の贈与を終わらせたいのなら、司法書士に依頼した方が確実です。

農地を生前一括贈与する流れ

実際に農地を生前贈与するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。農地の生前一括贈与は以下のように行います。

  • 贈与する農地の調査
  • 農業委員会へ事前相談
  • 贈与条件などの打ち合わせ
  • 農地の贈与契約書を作成する
  • 所有権移転登記をする
  • 贈与税の申告および納税

贈与する農地の調査

まずは、贈与の対象となる農地の情報を確定させるために、面積や住所などの情報を集めます。

法務局で登記簿謄本を取り寄せて登記内容の確認したり、地番参考図や住宅地図から正確な場所の把握をしてください。

農業委員会へ事前相談

農地の贈与をするには、農業委員会に許可を得なければなりません。

農業委員会は管轄内の農地の売買や賃貸を管理する行政委員会で、各市町村の役場が窓口になっています。

農業生産性を維持するために権利者の情報を把握しておく必要があるため、子や孫への贈与の際にも許可を得る必要があるのです。

農地の贈与を検討している段階で農業委員会へ事前相談しておくことで、贈与が認められるかどうか教えてくれます。

贈与後に宅地転用を検討している場合はその旨も相談しましょう。    

贈与内容の打ち合わせ

農地の贈与をする側(贈与者)とされる側(受贈者)で、贈与をいつ行うのかや仮登記をするかどうか等の打合せを行います。     

農地の贈与契約書を作成・締結する

贈与を確実に実行することを書面に残すために「贈与契約書」を作成し、締結します。

売買と違って贈与の場合は金銭が発生しないので契約書は不要と思われるかもしれませんが、贈与が確実にあったことを証明できたり税務調査を受けた際に贈与があった事実を主張できたりといったメリットがあります。

農地の名義を変更する(贈与登記)

農地の贈与によって所有者が変わった場合、法務局で所有権移転登記を行うことをおすすめします。

農地の贈与をした側と贈与をされた側の合意があれば贈与契約は有効となるのですが、第三者による不法占拠に対抗するためにも所有権移転登記をしておくことは非常に大事なのです。

農地の贈与に伴う所有権移転登記では、以下のような書類が必要になります。

  • 登記申請書
  • 贈与契約書
  • 贈与者の印鑑証明書
  • 農地の権利書
  • 受贈者の住民票
  • 農地贈与の許可指令書
  • 司法書士への委任状(司法書士に依頼する場合)

通常の不動産贈与契約と違い、農業委員会や都道府県知事の許可を得たことを証明する「農地贈与の許可指令書」が必要となります。

贈与税の申告をする

農地の贈与の最終段階が、贈与税の申告です。

贈与税は申告書が税務署から送られてくるわけではなく、自ら申告する必要があります。申告方法には以下の4種類があります。

  • 税務署へ申告書を持参
  • 税務署へ申告書を郵送
  • e-taxで申告書を作成し提出
  • 税理士に依頼

いずれかの方法を選んで贈与税の申告を行い、納税を完了させてください。税額の計算や申告が面倒であれば税理士へ依頼するのがおすすめです。

こちらから査定を依頼できます!

HOME4Uで不動産査定

【あなたの不動産いくらで売れる?】
HOME4Uが厳選した1,800社と提携。あなたの不動産査定価格を簡単比較!
※2021年6月現在

農地贈与まとめ

農地の贈与に関するさまざまな情報をお伝えしてきました。

農地は宅地やマンションなど他の不動産と違い、農業委員会などの許可が必要なので不動産取引初心者にとってはハードルが非常に高くなっています。

農地の贈与を実際に行う場合は、無理に自分で解決しようとせずに、税理士などの専門家への依頼も検討しましょう!

費用はかかりますが確実ですし、利用可能な節税方法や補助金を教えてくれるのでおすすめです。