※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
所有している土地が「市街化調整区域」に指定されている場合、市街化区域にある土地と比べて様々な制限を受けます。
制限が多いということは活用がしにくいということになります。活用がしにくい土地は、売却することが難しくなりがちです。
しかし、市街化調整区域にある土地でも、売却先や売却方法を工夫することで売ることも可能です。
市街化調整区域の定義
市街化調整区域にある土地を所有している人でも、市街化調整区域の定義や制約について、詳細に理解ができていない人もいるかもしれません。
はじめに市街化調整区域とは何か、その特徴や一般的な土地との違いを確認しましょう。
許可された建物のみ建てられるエリア
市街化調整区域は、都市計画法という都市の健全な発展を目的として定められた法律によって指定されています。
都市計画法のもとでは、土地は市街化区域と市街化調整区域、どちらにも属さない地域として非線引き区域のいずれかに分類されます。
このうち市街化区域は「すでに市街化しているエリア」や、「計画的に市街化していくエリア」です。
人口の多いエリアに集中しており、東京23区はほとんどの場所が市街化区域です。
一方、市街化調整区域は市街化区域と反対に「市街化を制限するエリア」です。
市街化が進んでいない地方の森林や農地などが市街化調整区域に指定されているケースが多く、農地等の減少を防ぐために無秩序な市街化を防止しています。
市街化調整区域では、市街化が抑制されるため原則として許可されたケースを除き建物を建てることができません。
また、その中で水道や電機などのインフラが整っていない地域もあります。
農地などが広がる郊外のエリア
市街化調整区域に指定されている土地は、多くの場合、人が多く住んでいる市街地から離れている郊外にあります。「田舎の土地」というイメージが当てはまるエリアといえばわかりやすいかと思います。
森林なども多く、緑が多く静かな環境であるとうメリットがある一方で、近くにコンビニやスーパーなどの生活利便施設が少ない、駅やバス停などが遠く生活に不便という特徴があります。
また、市街化調整区域には農地が多くあることも特徴です。
市街化区域との区別
市街化区域では、生活に必要な電気や水道などのインフラに加え、道路や公園などの整備も計画的に行われていきます。
人が生活するための土地としての整備を積極的に行っており、住宅なども自由に建てること可能です。
一方で、市街化調整区域は、自然や農地を守ることを目的として定められていますので、人が住むために必要な整備や積極的な開発は行いません。
そのため、一般的な住宅の建設などは制限されることになります。
制約が多いエリアである
市街化調整区域には、多くの制約があります。建物を建てる際には許可が必要な上、建て方や建てられる規模にも細かく制限があります。
中古物件としてすでにある建物を購入した場合も、改築や建て直しを行う際には自治体の開発許可を得る必要があります。
その他、前提として市街地化を想定していない地域ですので、電気や水道などのインフラ整備の助成金が出ず、自己負担になる場合もあります。
土地の使用方法に制限が多いということは、活用しにくいということになります。
活用しにくい土地を買おうと思う人はあまりいません。そのため需要が低く、市場価値は低くなる傾向があります。
市街化調整区域の土地が売却しにくい
市街化調整区域の土地は、都市計画法に基づいて様々な決まりや制限があることをご紹介しました。その特徴から、売却しても買い手がつきにくいことも事実です。
市街化調整区域にある土地が売れにくい代表的な理由を、4つご紹介します。
住宅ローンの申請が通りにくい
市街化調整区域にある土地は、購入時に住宅ローン融資の審査が通りにくいとされています。これが1つ目の売れにくい理由です。
市街化調整区域は、基本的に許可がないと建物を建てることが難しく活用しにくいエリアで、市場価値は低くなりがちです。
金融機関が住宅ローンを貸し付けるときは、対象の不動産を担保とします。万が一住宅ローンの返済が滞った際には、担保の不動産を差し押さえて売却することで損害を防ぐ仕組みとなっています。
資産価値が低い市街化調整区域にある土地の場合、住宅ローンが滞った際に差し押さえても売れにくい上に価値が低いため、金融機関にとってはリスクの高い融資になってしまうのです。
そのため、市街化調整区域の土地を買おうとしても、住宅ローンの審査は通りにくく、購入したい場合には現金が必要なケースが多いのです。
様々な建築許可が必要
市街化調整区域では、開発や建築などを行う際には、個別の審査の上で地方自治体からの許可を得なければなりません。
すでにある建物を建て替える場合でも、都市計画法に基づいた行政の許可が必要となります。また、土地の売買を行う場合は、買主側から許可申請を行う必要があります。
不動産売買は、通常のフローの取引だけでも手間がかかり必要書類や経費も多いため、初めて行う人にとっては大変な作業です。
市街化調整区域の場合、一般的な取引フローに加えて行政の許可を得るステップが追加されるため、売主サイド、買主サイドどちらからも売買取引に手間と時間がかかるのです。
少なくとも、普通の土地売却(3~6ヵ月程度)よりはかかります。スムーズに売却するためには、やはり市街化調整区域の売却に長けている不動産会社を選ぶことが大切です。
インフラが整備されていない
市街化調整区域の中でも、電気やガス・水道に加えて、通信環境や道路・交通事情を含めたインフラの整備が不十分なケースが多々あります。
住宅地として開発される土地でないため、積極的な整備が行われていない地域が多いためです。
また、将来的な整備が約束されているとも言えない点も、市街化調整区域の土地が売れにくい理由の一つでしょう。
行政は、基本的に市街化調整区域の積極的な開発は行いません。
インフラの整備を行いたい場合、助成金などがおりないことも覚悟しなければなりません。
農地の場合はさらに制約がある
また、農地の場合には農地法という法律の規制もかかります。売却をしたい場合には、農業委員会の許可が必要です。
さらに、農地は農地として売る場合には売却先は農業従事者のみという決まりがある点にも注意が必要です。
市街化調整区域内の農地を一般的な宅地として売却したい場合には、都市計画法に基づいて行政から許可をとった上で、さらに農業委員会の許可をとる必要があり、ますます売却のハードルが高くなります。
何の制約もなく農地が宅地として売却されてしまうと、日本人全体の農地の面積が減っていき、十分な食料の確保が難しくなることが想定されます。
日本の食料自給率を下げないために、農地には様々な制約があるのです。
また、日本の農業従事者は高齢化が進み、その人数も年々減っていることが問題になっています。
制限が多いことに加えて農業人口自体が少ない点が、市街化調整区域内の農地が売却しにくい理由です。
市街化調整区域の土地を売るコツ
市街化調整区域の土地は、建築に制限がある点や住宅ローンが通りにくいなど、売却に不利な境遇にあります。
しかし、ポイントを押さえれば、市街化調整区域の土地でも売却成功率をあげることができます。市街化調整区域にある土地を売るためのコツをご紹介します。
一括査定サイトを利用
市街化調整区域土地の売却は、対応できる不動産会社が限られてしまう上に、その中から良い不動産会社を選ばなくてはならないため、不動産会社探しは手間がかかりがちです。
売却を任せられる良い不動産会社を効率よく探すためには、「一括査定サイト」の利用が便利です。
サイト上で売却したい不動産の情報を入力するだけで、同時に複数の不動産会社に査定を依頼することが可能です。
しかも査定依頼はインターネット上で行うことができ、料金は無料です。
市街化調整区域の土地の売却実績がある会社を自分の足で探すのは難しく、一括査定サイトの仕組みを利用すれば、時間も手間も省くことができます。
ここでは、おすすめの一括査定サイトを紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
また、おすすめの不動産一括査定サイトを比較している記事もありますので、ぜひ合わせてご覧ください。
不動産の一括査定サイトにはどのようなメリットがあるのか興味がある方も多いのではないでしょうか。この記事では不動産一括査定サイトの利点やサイトの選び方などを紹介しています。不動産売却をスムーズに進めたい方に必見の情報を詳しく解説します。
HOME4U
出典:HOME4U
HOME4Uは、NTTの関連会社である株式会社NTTデータスマートソーシングが運営する老舗不動産売却査定サービスです。
全国の実績がある不動産会社と提携しているため、売却しにくい市街化調整区域物件を対応してくれる不動産会社を見つかる可能性が高いです。
リビンマッチ
出典:リビンマッチ
全国1700社の不動産会社と提携しているリビンマッチの一括査定サービスは、チャットで簡単一括査定できるのが特徴です。
また、提携会社が多いため、地方に強い不動産会社も見つかりやすいです。
経験のある不動産会社に依頼
市街化調整区域に限らず不動産の売却では、売却したい不動産のジャンルを得意としている不動産会社に依頼することがスムーズな売却の鍵です。
日本にはたくさんの不動産会社がありますが、多くの場合それぞれの不動産会社は得意分野を持っています。
都心のマンション売却が得意な会社、土地に特化して地域密着で営業している会社など、分野は様々ですが、市街化調整区域の土地のように、難しい案件に特化して営業している不動産会社も少なからず存在します。
市街化調整地域の不動産の売却は難しいため、一般の不動産会社だと対応してもらえないこともあります。
市街化調整区域の取引経験があり、情報に精通している不動産会社を探して依頼することがコツです。
市街化調整地域の売却経験が豊富な不動産会社はインターネットで調べたり、その不動産会社のホームページなどで、取り扱っている物件を確認したりすると良いかと思います。
開発許可の要件を確認する
所有している土地の開発許可の要件がわからない場合は、要件を確認してみましょう。
要件によっては、その土地が実は「売却しやすい土地」だったということもあります。
市街化調整区域にある土地の中には、開発許可がすでに降りていて建物が建てられる状態になっている土地もあります。
この場合、土地の活用がしやすいため売れやすい土地であると言えるでしょう。また、以前と同じ用途、同規模の建物であれば開発許可を得ているということになるため、再建築が可能となる場合が多いです。
注意点としては、各自治体により条例が異なるため、開発許可の要件を確認する場合は土地がある自治体の担当部署に確認をするようにしてください。
また、売却活動に入る前に、どのような種類の建物であれば開発・建築許可を取得できるのかを行政書士を通じて調べておくと良いです。
今は許可が降りていなくても、今後どのような内容で許可が降りるのかを売主側が確認して把握しておけば、土地の売却時に説明することができ多少売れやすくなります。
買主の探し方を考える
市街化調整区域にある土地の場合、一般市場で買主を探しても見つかりにくいため、買主の探し方を工夫すると良いでしょう。
具体的には、農家や市街化調整区域内で事業をしている建設業者など、需要がありそうな買主を探してアプローチすると売却可能性をあげることができます。
農家や農業関係者
市街化調整区域は、もともと市街化を抑制し農地や自然を守るために定められているものです。そのため、農家が「農地」として購入する場合、行政の許可を得る必要がありませんので売買がスムーズです。
また、農業関係者が農業に関係する事業を目的に購入する場合もスムーズな取引が期待できます。
この場合の農業関係者とは、近くの農場で取れた牛乳をチーズやバターに加工する農産加工物を作る業者などが該当します。
農産加工品工場を作る場合、市街化調整区域に土地を購入しても、開発許可がおりるでしょう。
このように市街化調整区域の土地の売却先の1つとしては、農家や農産加工業者などが有力です。
市街化調整区域内で事業を展開している事業者
市街化調整区域ですでに事業を展開している事業者がいれば、土地の需要があるかもしれません。
例えば、建設業者等であれば、従業員用の事務所などに使う場所として土地を必要としているかもしれません。
また、建物を建てるための許可を取らずとも、資材置き場や工場で使う大型車などの駐車場として活用することもできます。
近くに事業を提案している事業者がいるのであれば、提案してみるのも一つの手です。
売りたい土地の隣地所有者
一般的な土地の売却でも同じですが、隣の土地の所有者が敷地を拡大したいと思っているケースが多くあります。
市街化調整区域の土地の売却時も、隣地の所有者に声をかけてみることをおすすめです。
隣の土地が欲しいと考える理由は様々です。
土地を広くすることで所有している土地の価値を上げたいと考えている場合や、排水施設の整備など利便性向上のために新しい土地を必要としている場合があります。
土地の買取りを専門としている不動産会社に買い取ってもらう
売却先がなかなか見つからないのであれば、「買取」を選択するという方法もあります。
市街化調整区域の土地の買取の場合は、市街化調整区域の取り扱いに慣れている不動産会社を探しましょう。
このような不動産会社は、市街化調整区域を買取ったあとに付加価値をつけて一般市場で売却する自信があるため買い取ってくれます。
ただし、買取の場合、一般的な仲介での売却と比べて買取価格は低くなりがちです。
また、買取専門業者であっても、必ず買い取ってもらえると限らない点にも注意しましょう。
一般市場で買主を見つけるのに難航してしまっている場合は、対応策の一つとして買取を検討してみてはいかがでしょうか。
どういった場合は買い取ってもらえないのでしょうか?買取をお願いする前にやっておくべきことはありますか?
市街化調整区域でも売れる可能性はある
市街化調整区域の特徴や、土地を売却する際のコツなどをご紹介しました。
市街化調整区域にある土地は、一般市場ではなかなか売却先が見つかりにくいです。
しかし、ポイントを押さえて売却活動をしていくことにより、売却を成功させることも可能です。
市街化調整区域の特徴を把握し、自分の土地の特徴を確認して売却活動に臨みましょう。
ぜひご紹介したコツを参考に売却先の探し方を工夫したり、市街化調整区域にある土地の売却実績のある不動産会社を探してみてください。