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世界的な景気の停滞や、社会問題である空き家問題、宅地の増加要因となる可能性がある2022年問題など、不動産市場の今後にかかわる出来事が多くあります。
新たに不動産を購入したい人や投資用不動産を所有している人にとっては、不動産の価値の変動は気になるところではないでしょうか。
ここでは、不動産市場の近年の動きから価値が下落する要因、不動産に影響を与える経済の動向、下落に対抗するための対策を解説します。
2014年から続いたマンション特需に陰り
全体的な傾向で見ると、2014年より続いたマンションの特需は落ち着きを過ぎて、陰りを見せ始めているといえます。
海外投資家の爆買いは一息ついている
不動産価格は需要が多く、供給が少ないほど高額になります。
2020年に行われる国際競技大会が決定されたことで、東京の新築マンションを爆買いする海外投資家の動きが続き、マンションの価格自体が大きく上昇しました。
また、その影響で建築資材や職人の人件費の高騰が起こり、新築マンションのコストそのものが高まっています。
その結果、新築マンションの価格自体が高くなりましたが、一方で新築マンションを購入したくても購入できない人が増え、価格が安い中古マンションの人気も高まりました。
人気が高まれば中古マンションの価格を上げても売れるため、中古マンションの価格も上がっていきます。
しかし、その中古マンションの価格が、現在下落傾向にあります。
東京カンテイが公表しているプレスリリースによると、2019年10月より、東京の中古マンションの価格が前月比で2.7%マイナスとなり、さらに11月には前月比0.3%のマイナスを記録しています。
このマンションの価格の下落は、海外投資家の購入が落ち着いたことと、増税による買い控えなどが背景にあるとされています。
参考:株式会社東京カンテイ
近畿圏の不動産ならまだ高値を狙える
不動産価値は地域ごとの傾向の影響も大きく受けるため、東京の中古マンションの価格が下がったとしても、全国的に価格が下がるわけではありません。
2019年5月より近畿圏のマンションの価格が増加し始め、新築マンションの一戸平均価格は2018年より1.7%増加、中古マンションの平均価格は6.4%増加しています。
また、中部圏の新築マンションの価格は2018年と比較して11.7%増加、中古マンションは6.2%と増加しており、価値が下がりつつあるわけではありません。
そのため、2020年の間はまだマンションの不動産価値は維持されると考えられています。
近畿圏、特に大阪では、インバウンドや民泊増加の影響により、すでに一部の地域ではバブル期並みの不動産高騰がみられるようです。
東京と同じような流れになるのかどうかはまだわかりませんが、2025年に開催される万国博覧会の前後にどのような動きになるのか、注意しておく必要があると言えます。
不動産の価格下落の要因
2020年以降、長い目で見ると全国的な不動産価値の下落が予想されており、要因として少子化や高齢化に伴う不動産の供給過多、生産緑地問題が挙げられます。
なぜこれらが要因として考えられているのか、詳しく見ていきましょう。
少子化と高齢化による供給過多で下落
最初に述べたように、不動産は需要が多く、供給が少ない場合に価格が上昇します。
そのため需要と供給のバランスが崩れる出来事は、不動産価格の下落につながる可能性が高いです。
国の対策が必要なほど空き家が増加
空き家の数が増加したことにより、不動産の価値そのものが下がりつつあります。
総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、2018年の調査において空き家率が13.6%と過去最高に達しました。
しかし、同じ調査では総住宅数は前年より2.9%増加し、1世帯当たりの住宅数は1.16戸と総住宅数が総世帯数を上回っていることが報告されています。
この総住宅数が総世帯数を上回る状況は1968年より続いており、人口に対し住宅の供給が多い状態が継続しています。
空き家が増えたことにより、不動産の価値が下がりつつあるため、国は購入をうながすために様々な対策をたてています。
団塊世代の高齢化で相続による売却の増加
第1次ベビーブームの頃に誕生した団塊世代は、2025年に75歳以上になります。
団塊世代が相続や財産整理のために、不動産売却を行うケースが増えることが予想されます。
そうなると、不動産の売り手が増加し、市場に流通する不動産の数が増えすぎることで安くしないと売れない状況が起こり、不動産の価格が下落・暴落すると考えられています。
少子高齢化の進む地方ほど下落は深刻
不動産の価値を左右する要因として、交通機関の利便性の向上や商業施設の誘致、インフラ整備による住みやすさの向上、インターネットの通信環境などの立地条件も深く関ります。
しかし、そもそも人が少なく税収が少ない地方では、こうした生活利便性の向上が期待しにくくなっているのです。
そのため不動産価値は、人の多い都市部より、人口減少が続く地方ほど大きくなることが予想されます。
2022年に迫る生産緑地の問題
2022年になると生産緑地の営農義務がなくなり、農地以外への転用も認められ、宅地が急激に増加することで不動産の価値を下げてしまうことが懸念されています。
そもそも生産緑地の何が問題か
生産緑地とは、市街化区域と呼ばれる開発が進む地域の農地に対し、農業を営むことを定めた土地のことです。
農業が続くことで森林や農地が維持され、環境を保つという目的があります。
その後、農地を維持しやすくするために改正が行われ、1992年に30年間継続して農業を営むことを条件に、税制優遇措置が受けられるようになりました。
さらに、営農義務が定められた30年を経過した場合、指定を解除した上で農地を宅地に転用してもよいとされています。
2022年になると、1992年に指定された生産緑地法の30年間の営農義務が解除され、自治体に買い取り請求ができるようになり、買い取られない場合でも転用や売却が可能になります。
農業の継続が難しいと判断した所有者が、維持できない農地を宅地へ転用することで、宅地の供給量が増え、土地の価格下落を招くと予想されています。
生産緑地に関する2022年問題とは何かを解説している、こちらの記事もご覧ください。
「生産緑地の2022年問題」とは、生産緑地の買取り申請が2022年以降に可能となることで農地の売却が増加し、不動産価値が下がるリスクのことをいいます。生産緑地法改正によりリスクは減少したものの、農地転用は徐々に進むと見られており、対応の検討が必要です。
生産緑地が原因で下落が予想される地域
価格の下落が予想されているのは、首都圏、関西、中京の三大都市圏です。
生産緑地の約8割はこの三大都市圏に集中しており、市街化区域内にあることから立地の良い土地が増える可能性が指摘されています。
そのため、三大都市圏の郊外や市街化区域付近の地域が、不動産の価格を下げないと売れにくくなるのではないかと懸念されているのです。
法改正により下落は限定的になる可能性
実際に生産緑地を宅地に転用し、住宅や土地として売買するには手続きを要することから、2022年にすぐに大きな影響は出ないという見解もあります。
生産緑地を宅地に転用する場合、まず市区町村に買取申出を行い、それが通らなかった場合に転用の届け出を行えるようになるため、手続きに時間を要するのです。
また2017年に行われた生産緑地法の改正により、市区町村が「特定生産緑地」に新たに指定することで、さらに10年間税制優遇措置を継続して受けられるようになりました。
また、2018年には都市農地賃借法が成立したことで農地の貸付が可能になり、事業者などに農業を託すことも可能となりました。
必ずしも全ての農地が宅地化されるとは限らず、2022年になってすぐに価格が下落するわけではないという見方もあることを踏まえて、不動産投資を進めていきましょう。
不安が残る景気の動向
不動産売買に影響を与える「景気の動向」について、近年の傾向から今後の予測についてまとめました。
世界規模で経済は鈍化
IMF(国際通貨基金)が2019年1月21日に発表した「世界経済見通し」によると、2019年からは3.5%に成長率が減速し、世界的に0.2%の成長鈍化があると予想されています。
この成長率はリーマンショック後の平均値と近く、また2020年1月より新型コロナウイルスが流行したことで人や物の流通が滞りやすくなっています。
また日本では2019年に消費税が10%に増税された影響により、買い控えが起こりました。
低金利の維持に限界
不動産価値は需要と供給のバランスよって成り立つため、ローンに直結する金利が上がれば不動産価格は下落し、金利が下がれば不動産価値が上がるという傾向があります。
今後、懸念されるのが、金利の上昇が起きる可能性です。
住宅ローンは、本来、世の中の金利に連動して決まりますが、日本では金融緩和政策や2016年2月より実施された「マイナス金利政策」により超低金利が続いてきました。
さらに金融自由化によって、顧客を獲得するために住宅ローンの金利引き下げが金融機関の間で加速したことも要因です。
しかし、住宅ローンを販売している金融機関にとっては、変動金利は原価割れが起こりかねないほど金利が下がっており、最終的に金融機関が変動金利を引き上げる予想も行われています。
これまでの傾向から、すぐに金利が上がることはないものの、今後徐々に上昇していく可能性も考えられます。
不動産の価格が安くなると売り逃げする投資家が増える
不動産の価格が安くなると、不動産市場の動き自体が鈍くなってしまいます。
その状況をいち早く察知した投資家は、まず安くてもいいから売り切ることを優先することが多いです。
価値下落による収入減少や残債が支払えなくなるリスクを避けるためです。
すると、安い不動産が市場に増え、結果的に売るためにさらに安くする人が増えるという連鎖が起こり、最終的に不動産価値の下落につながります。
不動産価値の下落前に行動に移すには、不動産市場だけでなく、世界的な経済の動きにも注目していくことが大切です。
不動産の下落は4つの方法で対策
- 被害が拡大する前に損切りをする
- 売却は複数の業者で比較
- 価値が下がりにくい立地のよい不動産に投資
- 優良なパートナーのサポートを受ける
今後起きる可能性がある不動産の価値下落に備えるには、自分の所有する不動産をどう利用するかによって対策が異なります。
そこでここでは「不動産の活用」および「投資用不動産」について、4つの対策を紹介します。
被害が拡大する前に損切りをする
賃貸マンションなど投資用不動産の売却が失敗する理由として、家賃も入居者も減少した状態になってしまって売るに売れず、そのまま赤字を抱え込んでしまうことが挙げられます。
もう一度価格が上がる可能性を待つのではなく、価値が下落した不動産を早めに売却し、資産を新しい投資に回す「損切り」も大切です。
確かに価値が下がった不動産を売ることは、その不動産から入ってくる賃料の損失や売却損が気になるところです。
しかし赤字を確定し、損切りにより債務超過がなくなれば、残っている資産で新たな投資を行うこともできます。
本当にその物件を売却せず所有することが今後にとって有益なのか、しっかり検討していきましょう。
売却は複数の業者で比較
売却価格の決定は、不動産を高く売るためにとても重要なポイントです。
適切な価格決定を行わなければ、価格によりシビアになっている購入者に「相場より高い」と判断されたり、反対に「相場より安すぎるから何か事情があるかもしれない」と敬遠される可能性もあります。
そこで大切なのが、見積もり依頼する業者をひとつに絞るのではなく、一括査定サイトを通じて複数の業者から見積もりを取得し、より幅広く不動産査定額の情報を集めることです。
業者によっては、査定額に百万単位の差が出る場合もあり、複数の見積もりを比較することでより適切な相場がわかりやすくなります。
こちらの記事は、おすすめの不動産一括査定サイトを比較して紹介しているので、ぜひ合わせてご参考にしてください。
不動産の一括査定サイトにはどのようなメリットがあるのか興味がある方も多いのではないでしょうか。この記事では不動産一括査定サイトの利点やサイトの選び方などを紹介しています。不動産売却をスムーズに進めたい方に必見の情報を詳しく解説します。
価値が下がりにくい立地のよい不動産に投資
建物そのものは年を重ねるごとに老朽化し価値が下落していきますが、一方で立地条件は10年後も変動がなかったり、反対に開発により条件がよくなったりします。
交通のアクセスがよく、街全体の発展が進んでいる立地条件にある不動産であれば、人が集まるため、今後も需要を維持できるでしょう。
立地条件がよいと安定した家賃収入があるため、物件のメンテナンスにもお金がかけられます。
今後の不動産投資を検討するのであれば、将来的に生活の不便がなく暮らしやすい立地にある不動産を選び、長期的な入居者や売却先の確保を目指しましょう。
優良なパートナーのサポートを受ける
賃貸物件を投資目的で購入した後は、空室になるとその分の家賃収入が減少してしまうため、できるかぎり空室リスクを回避することが大切です。
しかし、転勤や就職が集中する3月のように、入居者の入れ替えが起きる時期などはどうしても空室になる期間が生じることがあります。
そうしたリスクを少しでも避けるには、早めに入居者集めをサポートしてくれる会社や、空室保障(サブリース)を提案している会社を利用することも検討しましょう。
優良なパートナーを見つけることで、複数の投資物件の運用もしやすくなります。
サブリースは、空室対策として魅力的な契約ですが、場合によってはその分の手数料や管理費が思っていた以上に高くかかることがあります。
契約を結ぶ際には、契約内容をしっかりと確認して、納得できるまで十分な説明を受けてからにしましょう。
不動産を所有するなら下落に備えよう
不動産の価値は長期的には下がるという見通しが多く、2022年問題のように2020年以降に起こりうるリスクが指摘されています。
不動産を今後、投資目的などで所有する場合は、下落に備えた対策をした上で購入することが大切です。
売却を検討する場合は、まずは自分でも相場を調べ、複数の不動産会社に査定を依頼し、信用できる不動産担当者を見極めるようにしましょう。