固定資産税が免除・減税される条件を解説|節税対策の基礎知識

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固定資産税とは、土地や家屋、減価償却できる資産を所有している人が支払う税金です。一定の条件に当てはまる場合は、申告することで固定資産税が免除や減税となる軽減措置を受けることができます。

この記事では、とくに土地や家屋について、どのような条件に当てはまれば固定資産税の節税となるのか、また、固定資産税の基本的な知識についても紹介します。

この記事の監修者

西崎 洋一/宅地建物取引士

西崎 洋一/宅地建物取引士

宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。
物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に宅建士の新しい活躍のステージ「宅建士.jp」を運営している。

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固定資産税の仕組

  • 毎年市町村に収める税金
  • 非課税と減免と免税点がある
  • 様々な減税措置がある

最初に固定資産税について簡単に解説します。固定資産税を収める必要がある人の条件や、非課税・減税になる条件など、基本的な知識を押さえて おきましょう。

毎年市町村に収める税金

固定資産税とは、毎年市町村に納める税金の一つです。課税対象となる固定資産を所有する人が毎年1月1日の「賦課期日」に、固定資産の評価額にもとづき税金を納めます。

固定資産とは「土地、家屋、償却資産」のことで、その評価額をもとに「課税標準額×1.4%」という計算式に当てはめて税額を計算します。

非課税と減免と免税点がある

固定資産税には固定資産の用途や所有者の条件により、課税されない「非課税」や税金が軽減されたり免除となったりする「減免」、資産の合計金額により税金が軽減となる「減免点」があります。

次の表は非課税、減免、免税点の特徴についてまとめたものです。減税や免税措置になる条件に当てはまる資産を所有する人は申告することで減税、免税措置が受けられます。

非課税 対象となる資産を所有している場合、地方税法により課税されない
免税点 土地、家屋、償却資産の合計課税標準額が一定に満たない場合課税されない

様々な減税措置がある

固定資産税には非課税、減免、免税点の他にも様々な減税措置が設けられており、住宅の耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、新築住宅などが対象となります。

条件を満たしていれば、固定資産税減額措置の適用申告書を提出することで減税措置が受けられる仕組みです。リフォームや建て替えを計画している人は、自分に当てはまる条件があるかどうかチェックしてみましょう。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

こういった条件は物件所在の市区町村の担当窓口で確認できます。国交省のホームページでも確認できます(が、自治体の方が良いと思います)。また、工事を依頼する建築会社や工務店などでも確認してもらえると思います。

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固定資産税が免除されるケースとは

固定資産税が免除されるケースとは

固定資産税には税負担を軽くする「免税措置」と「減税措置」が設けられています。ここでは固定資産税が免除されるケースについて詳しく解説します。

いずれも申告が必要となるので、該当する人は申告漏れがないよう注意しましょう。

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公共施設など指定された固定資産の場合

地方公共団体や学校法人、社会福祉法人が所有しているもので本来の用途として使用されている資産は非課税対象となります。該当する資産は、学校、福祉施設、公園、公衆用道路など指定された公共施設です。

これらの資産には地方税法による課税対象になりません。申請後、現地調査が行われ審査後非課税措置が受けられます。

いずれの資産も、有料で利用されている場合は非課税対象にはならず、無償の場合のみ適用となります。

固定資産税が免税点未満の場合

市町村に在住の同一人が所有する土地や家屋、償却資産の合計課税標準額が一定に満たない場合は、免税措置が受けられます。

定められた課税標準額の合計額を「免税点」といい、土地、家屋、償却資産それぞれで金額に違いがあります。次にあるのはそれぞれの固定資産に対する免税点です。

  • 土地:30万円
  • 家屋:20万円
  • 償却資産:150万円

たとえば、家屋の課税標準額が30万円、償却資産が130万の場合の固定資産税は、家屋が20万以上で課税となり、償却資産は150万円未満なので免除となります。

固定資産が火災などで被害にあった場合

資産が火災、風水害、震災などにあった場合も固定資産税が免除になります。全額免除になるのは火災や震災により、建物が全壊、全焼等の被害に見舞われ、家屋としての原型を留めず修復不能になった場合です。

被災日以降の納期未到来分が免除対象になります。全額免除以外にも被災の大きさによって減税措置が取られることもあります。

固定資産税が減税されるケースとは

固定資産税が減税されるケースとは

ここでは固定資産税が減税となるケースを紹介します。減税措置も免除と同じくは自分で申告しなければ受けられません。自分の資産が減税対象となるか確認しておきましょう。

固定資産が震災などに遭った場合

次の表は、震災などの災害にあった場合に減免対象となる条件です。全壊では全額免除、その他は損壊の度合いにより減免割合が定められています。

減税となる条件 割合
主要部分が著しく破損し家屋の6/10以上の価値が失われた時 8/10
屋根、壁等が破損し、居住できないなど使用目的を果たせない状態で家屋の4/10以上6/10未満の価値が失われた時 6/10
下壁、畳等が破損し、居住できないなど使用目的を果たせない状態で家屋の2/10以上4/10未満の価値が失われた時 4/10

被災した場合は、固定資産税の納付期限の7日前までに市の担当窓口にり災証明書を提出し、減免申請を行う必要があります。

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固定資産税減税措置を適用した場合

固定資産税は標準課税に対して1.4%の税率が一律で定められていますが、減税措置を適用 することによって支払う税額を抑えることができます。

固定資産税減税措置は、住宅用地・新築住宅・バリアフリー改修・省エネ改修など様々です。いずれも築年数や床面積など細かい基準が設けられ、その基準を満たしていれば減税措置が受けられます。

ただし、減税措置が受けられる条件であっても、申告しなければ適用とならないので注意が必要です。申告漏れにより税金を無駄に多く支払うことのないよう注意しましょう。

土地と家屋の評価額が下がった場合

土地と家屋の評価額が下がった場合も、固定資産税が減税になります。

固定資産税の課税額は、資産の評価額を基準に決定されます。課税額は、土地や家屋の評価については立地や建築年数などにより評価額が変動するので、評価額が下がれば固定資産税も減税されるのです。

土地と家屋の評価額の見直しは3年ごとに行われ、適正な地価や家屋の評価により税額が再算出されます。時価が急激に下がり、前年の評価額を据え置くことが適正でない場合は、見直しが行われる3年未満でも評価額の修正を行っています。

固定資産税の減税制度は、こちらの記事で詳しく説明しています。

住居に適用できる固定資産税の減税措置とは

住居に適用できる固定資産税の減税措置とは

固定資産税の減税措置は住居に適用できるものがたくさんあるので、自分に当てはまるものがないか確認しましょう。ここでは住居に適用できる減税措置について詳しく解説していきます。

住宅用地の課税標準の特例について

住宅用地の課税標準の特例とは、住宅の戸数や床面積に応じて、税負担を軽くするために設けられた課税標準の特例措置です。

住宅用地には土地のすべてが居住する敷地の「専用住宅」と、一部が居住する敷地となっている「併用住宅」があり、併用住宅は居住部分の割合により住宅用地を割り出します。

住宅区分 居住部分 特例率
a 専用住宅 全部 1.0
b c以外の併用住宅 1/4以上~1/2未満 0.5
1/2以上~ 1.0
c 地上5階以上・耐火構造の併用住宅 1/4以上~1/2未満 0.5
1/2以上~3/4未満 0.75
3/4以上~ 1.0

また住宅用地は、土地の面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に区分され、適用される特例率が次の表のように異なります。どちらも課税床面積の10倍までが上限です。

用地区分 土地の用途 面積区分 割合
住宅用地 小規模住宅用地 居住用敷地 200平米以下 1/6
一般住宅用地 居住用敷地 200平米超 1/3
非住宅用地(商業地など) 駐車場・店舗・事務所など なし なし

新築住宅に適用される固定資産税の減額措置

平成30年度の税制改正により、令和2年3月31日までに新築された住宅には、固定資産税の減税措置が適用になります。併用住宅においては居住部分のみが対象です。

住宅区分 居住割合 床面積
専用住宅 全部 50平米以上~280平米以下
併用住宅 全体の1/2以上
区分所有家屋(分譲マンションなど) 各専有部分が1/2以上
共同住宅 全体の1/2以上

減額が適用となる範囲は一戸あたり120平米までで、減額割合は1/2です。減額される期間は3階以上の中高層耐火構造の住宅が新築後5年度分、それ以外の一般の住宅は新築後3年度分となっています。

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耐震化のための建替え

耐震のために家屋を取り壊し、耐震化住宅に建て替えた場合も減税措置が適用になります。

昭和57年1月1日以前からある家を取り壊し、平成21年1月2日から令和2年3月31日までの間に新築された住宅やマンションが減免対象です。新築後3年度分の固定資産税が全額免除となります。

減免対象となる条件は次のとおりです。

  • 新築した居住部分が全体の1/2以上
  • 取り壊し前後1年以内
  • 建て替え前と新築の住宅が同じ市町村内にある
  • 取り壊した日に属する年の1月1日と、新築した日に属する年の翌年の1月1日の所有者が同一
  • 検査済証が交付されている

耐震化のための改修

耐震化については建て替えだけでなく、リフォームなどの改修工事も減税措置対象になります。

次にあるのは改修により減免となる条件です。昭和57年1月1日以前からある家屋を平成20年1月2日から令和2年3月31日までに耐震化のために改修した場合、固定資産税が軽減されます。

  • 耐震改修した居住部分が全体の1/2以上
  • 耐震改修した費用が1戸あたり50万超
  • 耐震基準適合証明書が交付されている

空家除却に係る固定資産税の減免制度

1年以上空家となっていた家屋を取り壊した場合も、固定資産税が軽減される特例となります。

(住宅には)家屋が建っている土地は、住宅用地特例が適用となり固定資産税が減額となりますが、家屋を取り壊すと非住宅用地となり、この特例が適用されません。

しかし、次のような条件を満たしていれば、住宅用地特例と同じ減税率で減免制度が受けられます。

  • 1年以上空家となっていた家屋
  • 特定空家に指定されていない家屋
  • 2018年1月2日~2023年3月末までに取り壊しを行った家屋
  • 空家バンクへ登録済の土地

空き家の固定資産税計算方法と節税方法は、こちらの記事をご覧ください。

住宅の省エネ改修を行った場合の固定資産税の減額

住宅の省エネ改修を行った場合も固定資産税の減免制度が適用になります。平成30年の税制改正により、令和20年3月31日まで2年間延長されることになりました。

減額期間は改修完了の翌年1年度分、上限は1戸あたり120平米で固定資産税が1/3減額になります。減額を受けるための主な条件は次のとおりです。

  • 平成20年1月1日以前から建っている
  • 居住スペースが床面積の1/2以上
  • 改修した床面積が50平米以上~280平米以下
  • 平成28年度省エネ基準相当に適合している
  • 耐震改修した費用が50万超(補助金控除)
西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

免税、減額の申請方法はリフォーム工事を依頼した工務店や業者で、どの条件に当てはまるか確認してもらうと良いと思います。そこでわからない場合は(おそらく大丈夫だと思いますが)、物件所在地の市区町村へ相談するとよいです。

リフォームに関する減税の相談でしたら、「住宅リフォーム推進協議会」などでも受け付けてくれると思います。申請用紙などのダウンロードも可能です。

参考:住宅リフォーム推進協議会

固定資産税の評価や税額に不満や疑問がある場合

固定資産税の評価や税額に不満や疑問がある場合

固定資産税について疑問や不満がある場合は、固定資産の所在地を管轄する税事務所へ問い合わせましょう。

それでも資産の評価額や固定資産税の税額に不満があれば、固定資産評価審査委員会へ審査の申出をすることができます。

固定資産評価審査委員会とは、固定資産の評価額が適正かどうかの審査を行う中立的な期間です。審査の結果、申出のあった資産の評価額が不適当なものであった場合は適正税額に修正されます。

また、住んでいない・使用されていない不動産は、固定資産税を払うより、売却するのも一つの方法です。

実際に不動産を売却する前に、一括査定サービスを使うと、手持ちの不動産はどのぐらいの相場で売れるのかを知ることができます。

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固定資産税は減税措置を活用すれば減らすことが可能

固定資産税は原則として一律の税率で算出されますが、軽減、もしくは減税制度を活用すれば免除・減税することが可能です。

ただし、申告をしなければ、要件を満たしていても軽減措置を受けることはできません。いずれも自己申告が必要なので、自分の資産が固定資産税の軽減措置の対象となるかを確認し、申告漏れを防ぎましょう。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

こうした申告はわずかな期間の違いや広さの違いなどで、軽減措置の対象外になる場合もあります。予定している工事などの計画だけで判断すると、あと少し早ければ軽減措置が受けられたのに…という残念なことにもなりかねません。

まず、軽減措置の期間や条件などをしっかりと調べ、それを受けるためにはいつまでにどのような行動をすればよいのかを逆算することが大切だと思います。