
マイホームの購入を検討し始めたとき、気になるのは「地価」ではないでしょうか。
土地の価格は一定ではありません。景気や街の再開発、2020年に行われる国際競技大会などのイベントや需要と供給のバランスよって変動します。
東京で土地を探しているのであれば、東京の地価推移や現状の地価を知っておくことが大切です。
この記事では、東京の地価推移や近年の地価上昇の要因、最新の地価ランキングを解説します。
あわせて、子育て世代におすすめしたい東京の街を紹介します。
東京都の地価推移
はじめに、バブル期から近年までの東京の地価推移について紹介します。
東京の地価の現状を把握する前に、これまでの東京の地価の推移について知っておくとより売買のタイミングが判断しやすくなります。
また、東京都と一言でいってもエリアごとに様々な特色を持っており、それによって地価推移の傾向も変わります。エリアごとの地価推移についても簡単に解説します。
バブル期の地価高騰
1986~1991年のバブル景気では、株式や不動産を中心に価格が高騰し、経済拡大が起こりました。当然、東京は日本全体の地価高騰を牽引しました。
東京都の1986年の地価(公示地価、基準地価の総平均)は135万9467円/1平方メートルでしたが、翌年の1987年には1平方メートルあたり232万7,218円に急上昇しています。
1年でもこれだけの地価変動があった時期のため、多くの人が投資や資産形成を目的として不動産を購入しました。
しかし、バブル崩壊後、東京の地価は急激に下落していきます。バブル経済が完全に落ち込んだ1995~1996年ごろには、東京都の地価は1平方メートルあたり100万円を割り、その後20年ほど100万円を超えることはありませんでした。
リーマンショックの下落後は上昇傾向に
東京の地価は1996年に1平方メートルあたり100万円を割ってからは60~70万円を推移し、バブル時に比べて安定して低い水準にありましたが、2006年頃から徐々に地価が上昇しはじめます。
そのような中、2008年にアメリカの投資銀行リーマンブラザースの経営破綻を皮切りに世界的な経済危機が発生します。
このリーマンショックにより東京の地価も打撃を受け、2008年に1平方メートルあたり96万円をつけていた地価も2012年には76万円前後まで下落しました。
しかし、2013年以降は再び緩やかな上昇傾向が続いています。この頃からの地価上昇の要因としては、2013年に2020年以降に行われる国際競技大会の開催が決定したことや、2012年末に始まったアベノミクスの影響があるとされています。
東京都内全域の地価は7年連続アップ
東京都都内全域の地価は、2013年より7年連続で上昇しています。
一時期は、2020年に行われる国際競技大会による建設ラッシュがひと段落することで、2019年前後に東京の地価上昇の流れにストップがかかるのでは予想されていましたが、2019年も安定して地価の上昇が確認されました。

2019年に地価が高騰した地域の中でも、特に注目すべきエリアは荒川区と豊島区です。
住宅地での上昇率トップは「荒川区」
2018~2019年の地価上昇が特に著しかったのは荒川区です。地価の平均変動率は8.6%で荒川区がトップで、西日暮里駅周辺の再開発が進んでいることなどにより区全体の土地価格が上昇したとされています。
平均変動率が荒川区の次に高いのは豊島区で、7.9%です。
荒川区や豊島区を含む城北エリアは以前から住宅地として人気が高いエリアですが、ここ数年でさらに地価が上がりました。
東京23区での上昇率トップは「豊島区高田1-36-11」
区の上昇率1位は荒川区ですが、東京23区の中で特に上昇率が高かったポイントは、「豊島区高田1-36-11」です。最寄駅は副都心線の雑司が谷、山手線の目白駅からも徒歩圏内のエリアです。
上昇率は、なんと前年比の10.9%で 1平方メートル当たりの価格は64万3,000円となり話題を呼びました。
このポイントを含む、城北エリアの山手線沿線の内側が、特に上昇率が高いという結果になりました。
エリアによって異なる東京の地価推移の傾向
東京都の地価は全体的に上昇傾向にありますが、エリア毎に見たときにはどのような特徴が確認できるでしょうか。
毎年公示地価が発表されると、全国で1番価格が高い場所がニュースになります。全国で地価がもっとも高いのは4年連続で銀座です。
銀座がある中央区、千代田区、港区を都心3区と呼び、特に地価が高騰しているエリアです。
その一方で、八王子市などを含む東京市部では地価は下落傾向にあり、地価が高騰している都心エリアと対照的な結果となっています。
また、湾岸エリアの江東区などは、ここ数年の開発により地価が高騰しており、継続して上昇傾向が確認できます。
その他、北区や練馬区などは緩やかな上昇傾向にありますが、都心エリアや湾岸エリアと比べると低めの水準だといえます。また、昔から人気が高い世田谷区は、景気変動があっても地価が安定したエリアであると言えます。
このように「東京都の地価」といっても、エリアごとの特徴をみると傾向がまるで異なっています。不動産購入を検討しているのであれば、エリアごとの特徴や今後の予想なども踏まえてタイミングを決めた方がよいです。

エリアごとだけではなく、物件による価格の違いなどにも注目するとよいかと思います。東京の中心部だとマンションであっても値下がりしにくいと思われますが、郊外ならば、マンションよりも戸建ての方が値下がりしにくいかもしれません。
東京都の地価上昇の要因
土地の価格は、経済状況や街の開発、需要と供給のバランスなど様々な要因で変動します。近年の東京都の地価は上昇傾向とご紹介しましたが、その背景にはどのような要因があるでしょうか。
大きな要因としては、2013年から始まった低金利政策、外国人観光客の増加による「インバウンド消費」の増加などが考えられます。
また、通勤に便利な地域や複数の路線が乗り入れる利便性が高い地域は以前から人気が高く、地価も上昇率が高い傾向にあります。
その中でも、城北エリアなどの利便性が高いにもかかわらず相対的に価格水準が低かった地域の変動率が特に高いです。
他にも、都心から少し距離がある多摩地区では区画整備事業の進展が見られる地域で変動率が高くなっています。

また、商業地では、外国人の来訪が顕著な地域、再開発の進捗が見られる地域、ターミナル駅に隣接したエリアを中心に変動率が高い傾向があります。
東京都の地価ランキング
ここからは、東京の市区町村ごとの、また、住宅地、商業地ごとの地価ランキングを紹介します。
地価が高いエリアに共通しているものを見つければ、価格が落ちにくい不動産を探す際の参考にもなります。
東京都の市区町村地価ランキング
東京都の市区町村の地価ランキングの1~5位は次の通りです。
1~5位の5つの区は「都心5区」と呼ばれ、人口が多く世帯収入も多いエリアです。
当然マンション価格も高くなりがちですが、住んでいるのは富裕層だけではありません。共働きによって高収入を得ている夫婦からも需要があります。
一昔前は、郊外に家と車を所有するスタイルを選ぶ家庭が多くありましたが、ここ数年、30~40代の夫婦は通勤に便利な都心エリアに住居を構える傾向が(あります)多いようです。
また、海外の投資家から資産価値が下がらないエリアとして注目されていることも、都心エリアが高い地価をキープし続けることができる理由の1つでしょう。
東京都の住宅地における地価ランキング1位
2019年の住宅地における地価ランキング1位は「港区赤坂1-14-11」でした。地価は、1平方メートル当たり453万円です。
赤坂はかつて武家屋敷が多くあったエリアのため、1つの土地の面積が広いことが特徴です。明治時代に入り、富裕層が武家屋敷の跡地に家を構えたことが、高級住宅街となった背景とされています。
2位には「千代田区六番町6番1外」、3位以降も千代田区や港区、渋谷区などの高級住宅街が並びます。
東京都の商業地における地価ランキング1位
2019年の商業地における地価ランキング1位は、「中央区銀座2-6-7」で1平方メートルあたりの価格は、なんと4,320万円となっています。
明治屋銀座ビルが建っており、銀座一丁目駅徒歩1分、高級ブランドの店舗が集まっているエリアにある土地です。
2位は、同じく銀座エリアの「中央区銀座6-8-3」が続き、3位以降には千代田区丸の内や港区北青山などの商業地が並びます。
【東京23区】子育てファミリーに人気のエリア
マイホームの購入を検討しているのであれば、通勤のしやすさなどの利便性に加え、子供を育てるのによい環境か、自分たち家族に合うエリアかどうかも照らし合わせて探したいですよね。
ここからは、東京23区内の子育てファミリーに人気のエリアを紹介します。
落ち着いた住環境で地価も安定している「世田谷区」
子育てに適した環境として、緑が多く、子供が体を動かして遊べる街であることが理想的です。
世田谷区は緑被率23区内2位で自然を身近に感じられるため、子育てにおすすめしたい区です。また比較的治安がよいことも特徴で、ファミリー世代に人気が高いのがうなずけます。
さらに、世田谷区の特徴として育児サポートが充実している点が挙げられます。
妊婦さん向けの不安解消のための面談制度に始まり、出産費用の援助(404,000円/人)、中学校卒業までの子供の医療費の助成制度、赤ちゃんや子供のショートステイサービスなど、子育て世代が安心できる多くの制度があります。

その他、教育施設が多く子供の学校の選択肢が多い点や、渋谷や新宿などへのアクセスがよい点も世田谷区の大きな魅力です。
子育てファミリーに人気の高い「杉並区」
緑の多さは杉並区も負けていません。緑被率は世田谷区に次いで23区内3位となっており、自然豊かで閑静な住宅街として発展してきた街です。さらに、東京23区内2位の治安の良さも誇ります。
また杉並区では「子ども・子育て会議」という委員会があり、子育て世代の意見を積極的に取り入れ、子育て制度の充実をはかっています。
その他、杉並区の子育て世代へのサポートには、出産育児一時金(420,000円/人)、中学校卒業までの子供の医療費控除、子育て訪問サポート、私立幼稚園の補助金(60,000円/人)などがあります。
さらに、待機児童数ゼロを達成しているという点も、共働きの夫婦にはポイントが高いのではないでしょうか。
治安が良く教育施設の多い「文京区」
教育に力を入れたいのであれば、文京区がおすすめです。
東京都内に6校ある国立小学校のうち3校が文京区にあり、公立小学校でも教育に力を入れている人気校が多いことが特徴です。国立、私立中学校への進学率が23区の中で1番高いことでも有名です。
子育て制度としても、出産育児一時金の支給(420,000円)、子供の医療費助成、子育て訪問サポート、病後児の保育利用料助成、放課後のデイサービスなど、充実した仕組みがあることがわかります。
また、地下鉄が4路線走っていることから、山手線の主要駅に出るのにもとても便利です。親の通勤の利便性がよい街としても魅力的です。
東京23区内1位の治安の良さからも、子育て世代にぴったりな街と言えるのではないでしょうか。
子供が住みやすい環境の「江戸川区」
子供が住みやすい街として、江戸川区もおすすめです。公園面積は東京23区内1位で、水族館などを併設する葛西臨海公園を始め、多くの自然公園があります。
街の再開発も進められており、大型ショッピングセンターなども充実していることから、日常の買い物に便利です。このため特に若い子育て世代に人気が高く、街全体に活気があります。
他の区と同様、出産育児一時金(42万円/人)制度や、子ども医療費助成、児童手当、新生児の訪問健康相談などの制度はもちろんのこと、江戸川区は独自の子育て制度が充実していることも特徴です。
例えば、希望すれば両親が働いていなくても入れる、放課後預かり「すくすくスクール」という区立小学校の制度があります。
また区内の保育園では、通院や冠婚葬祭、親のリフレッシュ目的などでも利用可能な一時預かり制度があります。

それ以外で教育という面では、大使館や領事館が多く、インターナショナルスクールなども充実している渋谷区広尾なども人気があります。大使館が多いとあちらこちらに警察官がいますので、治安面でも安心です。
【東京都市部】地価が安い子育てファミリーにおすすめエリア
利便性が高い23区よりも、もう少しのんびりした場所で暮らしたい人もいるのではないでしょうか。
そのような方におすすめの街は、町田エリアと八王子みなみ野エリアです。それぞれの特徴とおすすめポイントを詳しく紹介します。
都心への利便性も良く買い物も便利な「町田エリア」
近年、町田は再開発が進んでおり、駅前には百貨店や大型スーパーなどの商業施設が多く大変便利です。また、新宿や渋谷、横浜まで約30分と通勤時もそこまで時間がかかりません。
行政による子育て支援の取り組みが充実している点も、子育て世代に町田をおすすめしたい理由の1つです。
例えば、市内には「子どもセンター」という乳幼児?高校生までが利用できる施設が5つあり、市民に子供の遊び場や勉強スペースが提供されています。その他、申請が必要ではありますが、急な用事で子供を預けたい場合に利用できる宿泊保育や夜間保育などの仕組みがあります。
また、自宅で育児をしている母親向けに近くの保育園をかかりつけ窓口にできる「マイ保育園」制度があります。1人で子育てをしているママでも、気軽に地域に相談ができる仕組みが整っています。
さらに都心から距離がある分、公園も多く自然環境も充実しているところも魅力的です。
自然豊かで教育施設が多い「八王子みなみ野」
「とにかく自然が豊かで落ち着いた場所がよい!」という方におすすめしたいのが、八王子みなみ野エリアです。
八王子みなみ野駅はJR横浜線の駅で、新宿まで中央線の特急で43分と少々都心からは離れていますが、山を切り開いて開発されたエリアのため、豊かな緑に囲まれていることが特徴です。エリア内には多摩緑地もあります。
自然が多い場所と聞くと、子供の教育環境を心配に感じる方もいるかもしれませんが、八王子みなみ野エリアは教育施設が多いことが特徴です。
小学校や中学校は駅の近くに集中しており、保育園や幼稚園、学習塾なども多く、充実した教育環境で子育てをすることが可能です。
また、駅前には大型ショッピングセンターが多く、仕事帰りの買い物に便利です。
東京の地価を把握して自分に合った土地を探そう
東京の地価推移や地価上昇の理由、また、子育て世代におすすめの東京の街をご紹介しました。
土地や不動産の価格は常に一定ではありません。マンションを売却したり、マイホームを購入したりする際には、予算を踏まえて土地を探し、地価推移に注目をして購入のタイミングを見極めましょう。
また、東京にはたくさんの魅力的な街があります。それぞれの街の特徴やサービスなども確認し、自分たちに合ったエリアを探しましょう。
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