土地の境界線を調べる4つの方法!費用もまとめて解説

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「境界線がはっきりしない土地を所有している」「お隣との境目を明確にしたい」など、境界線がはっきりしない土地をそのまま放置している人もいるかもしれません。

しかし、土地の境界線を明確にすることは、土地の売却時や新築の場面で大きなメリットがあることに加え、後々の近隣トラブルを回避することも可能です。

また、土地の境界線を明確にしないまま放置していると、売却時や建物を建てる際にデメリットとなったり、近隣トラブルの原因になったりすることがあります。

ここでは、土地の境界線を調べる方法とそのメリットはもちろん、登記記録を確認する方法や、気になる、境界線の測量にかかる費用についても、あわせて紹介します。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

 

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土地の境界線を調べておくメリット

  • 土地を高く売却できる
  • ローンを組みやすくなる

土地の境界線を調べておくと、近隣宅との境界線トラブルを回避できるだけではなく、土地を売買する場合やローンを組む場合にも大きなメリットがあります。

土地を高く売却できる

土地の境界線を明確にすることで、土地を高く売却することが可能です。

売却の際、近隣宅との境界線が曖昧だと建築規制をクリアできないため、土地の価値が下がり、適正価格で売却できません。

また、土地の正確な面積が必要な売却場面では、あらかじめ、隣屋との境界線をはっきりさせておく必要があります。

なぜならば、土地の境界線が原因で隣人とトラブルに発展するケースもあるからです。

なお、土地を売却する場面では、近隣との境界線を明確にする「地積測量図」が必須です。

地積測量図とは

「地積測量図」とは、登記の申請を行う際に法務局に提出する図面で、土地の面積や境界線の位置、土地の位置関係などが記載された公的な測量図です。

地積測量図は管轄の法務局で誰でも閲覧することができますが、ルールが変更された1960年以前の不動産については、当時の測量精度が低かったこともあり、必ずしも正確な数字とは限りません。

また、1960年以降も何度となくルール変更が行われてきましたが、作成時期によって測量精度にばらつきが見られるのが現状です。

ローンを組みやすくなる

ローンを組んで不動産を購入するとき、所有している土地の境界線が曖昧だと、土地の資産価値が低くなる傾向があります。

そのため、ローンの本審査で土地が担保として認められず、ローンが組めないケースも少なくありません。

融資額の上限は、金融機関による住宅ローン審査の担保評価で決定しますが、土地の境界線にまつわる問題も、審査に大きな影響を与えます。

住宅ローン審査を滞りなくスムーズに進めるためにも、近隣との土地の境界線を明確にしておくことは重要なポイントと言えます。

土地の境界線を調べる方法

土地の境界線を調べる方法

ここでは、土地の境界線を調べる方法を紹介します。

土地の境界線を調べる下記4つの方法を紹介します。

  1. 登記事項証明書(登記簿謄本)を確認
  2. 測量士に依頼する
  3. 土地家屋調査士に依頼する
  4. 筆界特定制度を利用する

登記事項証明書(登記簿謄本)を確認

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、不動産の所有権や抵当権などの情報が記載されているもので、民法上、所有権を第三者に対し主張することが可能なデータです。

登記記録は、所有する不動産の所在や面積などを一般に公開することで、取引がスムーズ、かつ安全に行われる役割を担っています。

登記事項証明書(登記簿謄本)は、物理的状況(番地・地目・地積等)を示す「表題部」と、建物の構造や所有権に関する事項が記載された「権利部(甲・乙)」から構成されています。

ただ、登記事項証明書(登記簿謄本)だけでは、隣地境界線を明確に規定するには不十分という点に注意が必要です。

項目 詳細内容
表題部 物件の概要(所在・地番・物件の現状・面積等)
権利部(甲区欄) 所有者に関する事項
権利部(乙区欄) 所有権以外の権利に関する事項(抵当権・根抵当権等)
登記事項証明書(登記簿謄本)の記載事項

測量士に依頼する

測量士は、測量に関する計画作成・実施を行う、国交省管轄の国家資格をもった測量の専門家で、いわば測量の技術者です。

一般的な業務は、道路やトンネル・橋といった公共の土木測量がメインですが、そのほかにも、個人や法人の土地の広さの計測や、地図作成なども行っています。

ただ測量士は、後述で紹介する土地家屋調査士とは異なり、登記目的の測量は行っていませんので注意が必要です。

土地家屋調査士に依頼する

法務省管轄の国家資格をもった「土地家屋調査士」は、測量士同様、土地や家屋の測量を行いますが、測量士との大きな違いは、登記を目的とした測量のみを行っている点にあります。

土地家屋調査士の主な業務は、登記を必要とする個人の土地境界や用途を明確にし、不動産登記の申請をすることです。

測量と登記に関する専門家である土地家屋調査士は、不動産取引の現場では欠かせない存在と言えます。

【測量士と土地家屋調査士の違い】

測量士
  • 基本測量及び公共測量に従事する測量の専門家
  • 登記目的の測量はできない
土地家屋調査士
  • 不動産の測量と表題登記に関する専門家
  • 登記を目的とした測量のみを行っている
  • 登記の申請手続き代理を行う

筆界特定制度を利用する

平成18年導入の「筆界特定制度」を利用することで、土地の境界線を特定することができます。

すでに、近隣トラブルに見舞われている場合に、よく利用される制度です。

この制度は、境界線問題で近隣住民と紛争に発展した場合にかかる、時間や費用の問題を解決するために始まりました。

筆界とは、法務局の登記に基づく土地の境界のことで、筆界特定制度は、この筆界を用いて土地の筆界位置を特定する制度です。

土地の筆界の位置は、専門家や法務局職員の立ち合いのもと、調査・測量、また登記記録や土地台帳などを総合的にみて特定します。

筆界特定制度は、土地所有者の申請のみでの実施が可能で、隣接地所有者の同意は必要ないため、土地所有者の精神的負担を軽くすることが可能です。

黄 威翔/宅地建物取引士黄 威翔/宅地建物取引士

筆界特定制度とは、筆界を新しく決めるというものではなく、登記された際の筆界を筆界特定登記官が明らかにするためのものです。 筆界特定を特定するためには、測量が必要な場合があります。この測量を行う費用は、申請をした人が負担することになっています。

土地境界線登記記録の確認方法と費用

登記記録を確認する方法とかかる費用

以前は登記記録を確認するために、管轄の法務局に出向くのが一般的でしたが、現在では家に居ながらにして登記情報を取得することが可能です。

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登記情報提供サービスを利用

法務局が運営する「登記情報提供サービス」は、インターネット上で登記記録や公図、地積測量図等が取得できるWebサービスです。

「法務局に足を運ぶ時間がない」、また「手間をかけたくない」という人にとっては、とても便利なサービスと言えます。

また、法務省に出向いて書面請求するのと比較しても、取得費用が安い点もメリットのひとつです。

参考:登記情報提供サービス|一般財団法人 民事法務協会

登記情報提供サービスの利用料金

「登記情報提供サービス」の利用にかかる費用には、登録費用のほか、取得したい情報の利用料金が必要です。

また、サービスには「登録」してIDを取得する方法と、ID取得の必要がない「一時利用」があり、目的によって利用方法を選択することができます。

登録して利用する場合

サービスに「登録」すると、IDが付与され、一度登録すれば何度でも無料で観覧することが可能です。(謄本取得のみ有料)。

利用者登録後は、審査等に1週間程度を要し、利用者IDなどが記載された「登録完了通知書」が自宅宛に郵送されるので、大切に保管しましょう。

なお、登録の申込手続には登録費用として300円、また、不動産登記情報の取得には、全部事項が334円、所有者事項144円、地積測量図364円など、1件当たりの利用料金が設定されています。

書類 費用
全部事項証明書 334円 
所有者事項証明書 144円
地図 364円
図面(土地所在図・地積測量図等) 364円
不動産登記情報と利用料金

※協会手数料(14円)含む1件当たりの費用

一時利用で利用する場合

登記情報提供サービスは、登録なしで「一時利用」することも可能です。

登録費用は無料(謄本取得のみ有料)で、名前や生年月日・メールアドレスなどを一時登録をした後、すぐに閲覧することができます。

一時利用の観覧は初回ログイン時のみですが、「今回だけ利用したい」という人には大変便利です。

ただ、今後、何度も利用する機会があるなら、IDで簡単にログインできる個人登録が便利でしょう。

黄 威翔/宅地建物取引士黄 威翔/宅地建物取引士

登記情報提供サービスの利用時間は、平日の午前8時30分から午後9時までです。 また、メンテナンスなどによって平日でも利用できない場合があるので、サービスを利用する予定がある場合は、あらかじめ調べておくようにしましょう。

土地境界線の測量費用

土地の境界線を測量するのにかかる費用

土地の境界線を測量するのに、どれくらいの費用が掛かるのかは気になるところです。

測量士や土地家屋調査士などの専門家に依頼する場合と、筆界特定制度を利用する場合の費用をまとめました。

測量士や土地家屋調査士に依頼

測量には大きく分けて、公的な土地と民間の土地との境界を確定する「官民立合」と、民間の土地同士の境界を確定する「民民立会」と呼ばれる2つがあります。

測量費の相場は、民民立合のように、公的機関の立ち合いが必要ない場合は30万円から50万円程度、一方、官民立ち合いが必要な場合は、おおよそ60万円から80万円が一般的です。

また、測量作業には事前調査や書類作成も含まれており、作業ごとに費用がかかります。

事前調査
  • 図面調査:約15,000~30,000円
  • 所有権調査:約15,000~40,000円
  • 現地調査:約32,000円
測量
  • 現地測量:約70,000円
  • 境界点検証:約20,000~40,000円
  • 境界標設置:約30,000円
書類作成
  • 添付書類作成:約4,800~14,400円
  • 測量図等:約10,000~30,000円
  • 調査報告書作成:約4,800円
登記申請
  • 申請:約9,200~21,000円
  • 登記完了書類取得:約3,000円
測量の作業内容とその費用相場

筆界特定制度を利用する場合

筆界特定制度の利用には、「手数料」と「手続き費用(送料費用)」が必要です。

「手数料」は、土地の固定資産評価額をもとに算出し、収入印紙で支払います。

手数料の計算式は、「申請人の固定資産評価額+相手方の固定資産評価額」÷2×0.05ですが、法務局の「申請手数料計算シミュレーション」を利用すれば、簡単に費用を確認することが可能です。

「手続き費用(測量費用)」も、法務局が定めた計算式に従って算出し、申請後、測量作業までに予納する必要があるので注意しましょう。

測量費用の額は、事案によって異なるため一律ではありませんが、おおよそ50万から80万円が相場となっています。

参考:筆界特定制度に関する“よくある質問”:手数料はどのように計算すればいいですか|法務局

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土地の境界線を調べる際の注意点

  • 隣に住む人にも確認してもらう
  • 境界標には目印をしておく
  • 筆界と所有権界を確認する

土地の境界線を調べる際には、いくつかの注意点があります。近隣住人とのトラブルを回避し、スムーズに境界線を確定するためのポイントを紹介しましょう。

隣に住む人にも確認してもらう

土地の境界線を明確にすることは、自分だけではなく近隣に住む人達にも関わる問題です。

そのため、境界線が確定したら、隣に住む人にも、必ず境界線を確認してもらうことが大切です。

また、後述で紹介する「境界標」を設置する際には、後々のトラブルを避けるためにも、隣接する土地所有者に立ち会ってもらい、話し合って設置するようにしましょう。

境界標には目印をしておく

「境界標」とは、境界点を示すために設置された人為的な目印のことですが、隣人と土地の境界線で揉めないためには、境界標で土地に目印をしておくことが有効です。

境界標の素材には、一時的な仮杭である木製もありますが、石やコンクリート・金属など、永続的に使用できる耐久性のあるものを選ぶと、容易に動かすことを防ぐことができます。

筆界と所有権界を確認する

境界線には「筆界」と「所有権界」があり、通常2つは一致するものですが、何かしらの原因で一致しない場合があり、この不一致が境界トラブルにつながるケースも少なくありません。

「筆界」とは、不動産登記の手続きで決定でされた「公法上の境界」を差し、隣接当事者間で勝手に境界線を変更することはできません。

一方、民法で定められている「所有権界」は、土地の所有者同士の同意があれば土地の移動が可能な、いわば「私法上の境界」です。

境界線トラブルを回避するには、この筆界と所有権界が一致するよう、整理調整をおこなう必要があります。

筆界
  • 公法上(不動産登記法で規定)の境界
  • 登記をしない限り筆界は移動不可能
所有権界
  • 私法上(民法で規定)の境界
  • 隣接当事者間の同意があれば所有者権界は移動可能
境界の種類

土地の境界線を確かめておこう

土地を売却するときは境界線を確かめておこう

土地を高く売却するには、土地の境界線をはっきりさせることが必要不可欠です。

また、近隣とトラブルに発展しないためにも、前もって境界線を特定させておくことは非常に有効といえます。

ひとたび境界線トラブルが始まってしまうと、解決には時間がかかるケースが多く、その分費用も費やさなければなりません。

境界線の曖昧な土地の売却を検討しているのなら、公的な書類の取得や土地家屋調査士等の専門家に測量を依頼するなど、できるだけ早めに境界線を確定し、売却活動をスムーズに進めましょう。